【インタビュー】Nothing’s Carved In Stone、4年3ヵ月ぶり12thアルバムに円熟と好奇心と挑戦と「やっぱり音楽の情熱かな」

■けっこう攻めたアルバムになったかも
■そういうのはライブの影響かもしれない
──さて、そんな「May」の後、「Everything」をリリースして、今回のアルバムに繋がっていくわけですが、曲作りを進めながら、どんなアルバムにしたいとか、どんなアルバムになりそうだとか考えましたか?
生形:ここ何枚かは、あんまりそういうのはなくて。さっきも言ったように曲単位で作っていってるので、2曲だったりとか3曲だったりとか、その都度、その中でバランスを取っていった感じです。“前回のレコーディングで激しい曲をけっこう多めに録ったから、次は静かな曲を作ってみようか”とか、考えたのはそういうバランスぐらいかな。
村松:オニィ(大喜多崇規/Dr)は口癖のように「もっと激しくいきたい」って言ってましたけどね。
生形:あぁ、ライブのことを考えてね。
──その意味では、「Everything」のドラムは16ビートで、あの疾走感を出せるってすごいし、めちゃめちゃカッコいいと思いました。
生形:確かに、Nothing’s Carved In Stoneって8ビートの曲が意外になくて、16ビートが多いかも。
──その都度その都度、バランスを考えながら作った曲を1枚にまとめたから、アルバムとしても自然とバランスが取れている、と。
生形:そうだと思います。
──アルバムの曲が出揃ってから、『Fire Inside Us』というタイトルが決まったんですか?
村松:そうです。全曲が出揃ってから、“こんなのがいいんじゃないかな”ってタイトルを幾つか、僕なりに考えさせてもらって。「どれがいい?」ってメンバーに聞いたら、「やっぱりこれがいいね」ってなりました。
──最初、『Fire Inside Us』というタイトルを聞いたとき、皆さんの中にある音楽およびバンドに取り組む情熱のことを表現していると思ったんですけど、アルバムを聴いているうちに、ちょっと違うかもしれないという気がしました。
村松:おー、それを言ってくれたのは初めてですね。
──今回のアルバムは、歌を届ける対象である“君”とか“you”が誰なのか…もしかしたら、2019年に『By Your Side』というアルバムを出した頃からなのかもしれないですけど、これまで以上に明確になってきたという印象があって。誰に届けたいのかはっきりと姿が見えている状態で、歌詞を書いたり、曲を作ったりしていたのかなと想像したんです。だから、『Fire Inside Us』の“Fire”っていうのは、「It Burns to Save You」で歌っている“It burns to save you.”を和訳した“君を救うために燃える炎”のことなんじゃないかって。
村松:実は、そういうタイトルも案としてあったんですよ。だから、そういう意味合いも含んでるタイトルだとは思うんですけど、そのFire=情熱を言い換えると、愛だったりもするんです。でも、それは聴いた人たちがそれぞれに解釈して、自分の中にあるその熱いものを受け取ってくれたらいいので、僕らからタイトルの“Fire”が何だと言うつもりはないですけど、Nothing’s Carved In Stoneの目線で言ったら、やっぱり音楽の情熱なのかな。
──そうなんですね。
村松:いや、そうかもしれないし…みたいな(笑)。

──最近のNothing’s Carved In Stoneのライブで、村松さんがお客さんに語り掛ける言葉を聞いていると、お客さんに対する思いというのは、ますます強くなってきているのかなとも思うんですよ。
村松:あ、それはすごくあります。メンバーもきっとそうだって僕は思ってるんですけど。
──村松さんはそうおっしゃってますけど、生形さんはいかがですか?
生形:ライブに対する一体感はすごく出てきたというか、増してきた気がしますね。今まではわりと個々が好きなようにやりながら、それが一個にまとまってるって感じだったけど。今は曲もそうだし、ライブも一個の塊になってるなって感じはあります。それは客席も。
──一個の塊になるきっかけが何かあったんですか?
生形:何だろう? ずっとやってきて、やってるうちにそうなってきたものだから、何がきっかけだったっていうのはないかもしれない。やっぱり長い間やってきて、自然にそうなったんじゃないかな。

──なるほど。「シリウスの月」というタイトルの曲がありますけど、シリウスの伴星のことなんでしょうか?
村松:いや、これはもっと概念的なことというか、たぶん、星に詳しい人からは絶対突っ込まれるだろうと思ってました。
──恒星であるシリウスに月はないから。
村松:そうそうそう。
──この曲の“お前がまた青く光る時 隣で笑って夜明けを待つから”という歌詞は、お客さんに歌っているのかなって。つまり、シリウスがNothing’s Carved In Stoneで、月がお客さんなのかなと想像したんですけど、そうじゃないんですね?
村松:いやいや、そこは断定しませんけど、そういうふうに聴いてくれたなら、それはそれでうれしいです。よく思うことがあるんですよ。一緒に仕事する仲間でも友だちでも、身近にいるやつ…たとえば、僕とは全然違うジャンルの仕事してるけど、めっちゃがんばっていつの間にか社長になってた高校の時の友だちとか、僕にはできない道の歩き方で、自分のやりたいことをやって、輝いてるやつがいるとするじゃないですか。そういうやつと肩を並べたいみたいな気持ちって、やっぱりあって然るべきだと思うんです、人間の質とか価値とかって、上も下もないはずだから。そういう仲間とか友だちと肩を並べてる時に、“ちょっと落ち込んじゃったんだね”ってやつがいたら、掬い上げたいじゃないですか。もちろん何も言わずに、帰ってくるのを待つことが正解って時もあるから、形はいろいろあると思うんですけど、そういう姿勢っていうのかな。そういうことを書いているんですよね、「シリウスの月」は。なんだか知らない間に暴走して、とんでもないことになりそうだな、みたいな友だちっているじゃないですか。でも、そいつが立ち上がってがんばろうとしているのはわかってるから、“うん、わかった”って。また心から笑えるようになった時は一緒に笑おうっていう。そういう姿勢というか、そういうことを書いたつもりではいるんですけど、それはお客さんに対してもそうですね。
──歌詞をどう受け止めるかは、聴いた人に委ねたいと考えていらっしゃるにもかかわらず、なんだか説明させてしまったみたいですみません。
村松:なかなかこういう話にならないですもんね。
──そうなんですよ。Nothing’s Carved In Stoneのインタビューでは、これまで音楽的な話を中心に聞いてきたなと思って。ただ、だから今回は歌詞を掘り下げようと考えたわけではないんですけど、アルバムを聴いていたら、自然と歌詞についてもあれこれと聞いてみたいと思ったんですよね。
村松:うれしいです。
──と言いながら、音楽的にももちろん興味深いところがいろいろあって。たとえば、さっき話題にした「Everything」や1曲目の「孤独の先」といった疾走感がカッコいいアップテンポのロックナンバーや、「All We Have feat. Masato(coldrain)」のようなラウドなロックナンバーもある一方で、「It Burns to Save You」や「MOONRISE」のようなファンキーな曲というのもNothing’s Carved In Stoneのレパートリーとして、もはや欠かせないものになってきたという印象もありましたが。そういう曲は自然にできるし、やりたいという気持ちにもなるってところがあるんでしょうか?
生形:自然にできるんですけど、疾走感のある曲ばかりだと、自分たちは退屈になっちゃうから。そんなことを考えると、今挙げてくれたような曲が出来ますね。自分たちのど真ん中じゃないのかもしれないですけど。
──「It Burns to Save You」と「MOONRISE」はどんなふうに出来たんですか?
生形:「It Burns to Save You」は、メインでずっと弾いているカッティングのリフが最初に出来て、そこから実はサビを2パターン作ったんですよ。盛り上げるのか、そのままメロウなままでいくのか。その2つをみんなに聴いてもらったら、「激しいほうがいいんじゃないか」ってことで、今の形になりました。
──「「MOONRISE」は「May」と同じタイミングでできた」とおっしゃっていましたね。
生形:そうです。今思えば、「May」「MOONRISE」「Everything」ってすごくバランスがよかったんですね。バラードとラウドな曲と、もう1曲、壮大な曲っていう感じで「MOONRISE」があって。
──「MOONRISE」はファンキーな曲なんですけど、ギターの歪みがけっこうきつめで。
生形:俺ら的にはファンキーっていうよりも、どちらかというと広い曲とかデカい曲とかっていうイメージで作ったんです。
──生形さん的にはそんなにファンキーじゃない?
生形:ひなっちが持ってきた曲だから、ベースはやっぱりそういうふうになってると思いますけど。でも、ひなっちも「ロックにしたい」って言ってたよね。
村松:最初からそう言ってた。そういうファンクっぽいものよりも。
生形:だから、その言葉にひっぱられたってところもあるかもしれない。
──それで歪みも強くなったと。
生形:けっこうラウドめな曲に持っていこうとしましたね。
村松:確かに。
生形:ラウドで、デカいみたいな。イントロのリフもけっこう何パターンも考えたかな。
──「シリウスの月」もデカい曲なのかな。
生形:あれはデカいっていうよりも、いわゆるリフものの曲ですね。拓ちゃんが持ってきたんですよ、リフを。そこからできた曲です。作り方が昔っぽいよね。「リフを持ってきた」って。
村松:ライブしている中で、「1曲ぐらいセッションみたいに作りたいね」って話にもなってたんで、貢献しようと思って、温めていたリフを持っていきました。

──ライブという言葉で思い出しましたけど、曲作りを進めている頃、<Hand In Hand Tour 2025>、<Perfect Sounds 〜Fast & Loud Tracks〜>、<Live on November 15th 2025 〜Lead Tracks〜>といったコンセプチュアルなツアーやライブをやっていたじゃないですか。それが曲作りに何らかの影響を与えたということはありましたか?
村松:<Perfect Sounds 〜Fast & Loud Tracks〜>はあったかもね。
──激しい曲と速い曲のみ演奏したライブでしたね。
生形:チケットの売れ行きも早かったから、みんなやっぱりこういう曲が好きなんだって思いましたね。だから、けっこう攻めたアルバムになったのかもしれない。さっき話した「It Burns to Save You」のサビが結局激しいものになったのは、そういうのもあるかもしれないし。
──「It Burns to Save You」は、サビで8ビートになるところがカッコいい。
生形:そうですね。ファンキーな感じからいきなりロックになる。
──ライブで盛り上がるでしょうね。
生形:そうそう。そういうのは<Perfect Sounds 〜Fast & Loud Tracks〜>の影響かもしれない。







