【インタビュー】秋葉龍、3rdアルバム『Tatsu Akiba』に高度な構築美と最新鋭のプログレサウンド「最終作として自らの名前をつけた」

2026.02.08 18:00

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■テクノロジーこそが全てではありません
■私は思い切って縁を切っております

──秋葉さんは作詞、作曲、編曲だけでなく、ヴォーカル、マルチな楽器演奏ほか、ジャケットデザインやミュージックビデオ制作などのアートワークも手がけていますね。

秋葉:私がデザインや映像編集の技術を身に着けたのは、ここ4年ほどのことです。私の愛したバンドにも、アルバムのアートワークやステージングといった視覚的な領域まで、ロックの芸術性を拡張しようという気概を持ったミュージシャンが多くいました。私は、1stと2ndアルバムまでのジャケットやミュージックビデオのアイデアは自分が出し、実際の制作や撮影は腕の立つ知り合いに依頼していました。しかし今作は『Akiba Tatsu』というセルフタイトルということで、出来ることは自分で出し切りたいという思いがあったので、YouTube動画やサムネイル編集で培った技術をより磨き、アートワークの制作に挑みました。

──表現したい世界観や創り出したいイメージは、どんなものなのでしょう?

秋葉:音楽とアートワーク、どちらの制作の中でも私に一貫しているのは“決してAIに頼らない”ということでした。AIの作った作品のように正確無比で完璧に整った作品でも、冷たくて面白さに欠ければ、それは私にとって無価値です。とてもアナログな発想なので、これこそ懐古主義と思われてしまいそうですが、テクノロジーこそが全てではありません。芸術というのは非常に神経を使って、科学や社会と折り合いをつけてやっていかないと、その価値が危うくなってしまいます。ことAIに関しては、うまく対応していかないと“それっぽい”音楽だけがはびこる音楽市場になってしまうので、私は思い切って縁を切っております。このアルバムの収録曲にも「I Ain’t AI」という曲があるのですが、私はこのようなロックをやる以上、身体性のある、ともすれば粗や隙があるようにも捉えられるような、人間にしか、秋葉龍にしか出来ない温かみのある世界を表現していきたいと思っています。

──“プログレ”という言葉から、最近はいわゆる“テクニカルメタル”を想起するリスナーもいるかもしれませんが?

秋葉:世の中には、100の音を並べるのではなく、1音だけで聴かせることのできるミュージシャンもいて、これは訓練によるテクニック習得よりも難しいことだと思います。テクニックは手段であり、目的になってしまってはいけない。それでは運動会やオリンピックのようなものです。私たちがやるのはそうではなく、音楽であり、音楽は一生探し続けても聴き切ることのできないほどの数が世界にあります。もちろんテクニカルメタルも、彼らなりの極地を目指して作られた優れた音楽であると思いますが、リスナーの皆さんが良い音楽を探しているのなら、たまにはテクニックにこだわらない温かみのある音楽も聴いてみてはいかがでしょうか。

──秋葉さんが紡ぎ出す、どこか懐かしく優しい音の世界を新鮮に感じる若い世代の音楽ファンもたくさんいるはずです。もちろん、年季の入ったクラシカルプログレファンには間違いなく響く作品だと思います。

秋葉:私はプログレやカンタベリーのサウンドすらも手段としており、目的ではありません。目的は、“秋葉龍にしか出来ない音楽を作ること”。私の音楽を聴いて、リチャード・シンクレアの声やフィル・ミラーのギターを想起していただくのは大変光栄なことではありますが、そういったサウンドの表層の下には、ただならぬ巨大な秋葉龍のオリジナリティが渦巻いていますので、ぜひ深く味わってお聴きいただければ幸いです。

──先ほどもお話がありましたが、この3rdアルバムはご自身の名を冠したセルフタイトル作となっています。

秋葉:半分冗談、半分真剣みたいなタイトルです。セルフタイトルは多くのバンドやミュージシャンの場合、自身の1stアルバムにつけることが多いと思うのですが、ここは敢えて3作目になって“今なの?”というタイミングでつけるという面白さを狙いました。私の知る唯一の例外は、ビートルズが後期になって毛色の違う初の2枚組アルバムを出す時にやっと『The Beatles』とつけた事例ですね。こういうものとか、曲のタイトルを一番盛り上がるところでもなんでもない場所の歌詞で回収するみたいな“外し”が、個人的にけっこう好きなんですよ。王道とか様式美みたいなのから外れて、リスナーに意外性を与えるというやり方は曲作りでもよく行なっています。

──自身の名前を冠するくらい、出来栄えにも満足している?

秋葉:そうですね。決定的な作品が完成したぞという自信の表れでもあります。今の自分の最大限を引き出すことが出来たし、これからも違う素晴らしい音楽を作っていくつもりではありますが、今作は今の自分にしか出せないパワーがあると私は感じています。そのため当面の間はソロ活動としてのアルバム発表は、これを最後にしようと考えており、最終作として自らの名前をつけたという意味もあります。

──今作の完成を踏まえて、今後どんな活動をしていきたいか、ヴィジョンがあれば教えてください。

秋葉:今後、最も私が注力していきたいのは、まだ駆け出しのバンド”Pink Square Ave.”です。現在私の書いた曲だけをレパートリーとして演奏しておりますが、場数をこなし、バンド内でのメンバーのそれぞれの音楽的カラーの化学反応が起き始めており、私個人ではなくバンドとしての作編曲が活発化していく見通しです。今後はこちらのバンドでまたプログレやカンタベリーにとらわれない、新たな次元のロックへと踏み出していこうと思います。

──Pink Square Ave.は、秋葉さんや金属恵比須の埜咲ロクロウ(B)さんを中心に2024年から活動されているバンドですね。ソロよりもバンド活動の比重が増えていきそうな流れということですか?

秋葉:ソロ活動では、今のような形式のアルバムを出すことは当面しない方針で、全然違う音楽を思いつきでストリーミングのみで発表することはあるかも知れません。今考えているのは大人数のミュージシャンを呼んだ大地の唸るようなゴスペル曲を作ることと、架空のゲームのBGMを作ってまとめてアルバムにすることです。どちらも本当にやるかは分かりませんが(笑)。

──意外な野望をお持ちで驚きました。活動スタイルも広がっていきそうですね。

秋葉:活動開始以来、私は客演としても何作品かで歌、ギター、オルガンなどで参加してきました。作品自体も面白くなったと自負していますし、他の方の素晴らしい音楽に参加させていただくことで私自身の成長にもなりました。ゲストミュージシャンとしてお呼びいただければ、今後も積極的に参加して参りたいと思います。

取材・文◎舟見佳子

 

■3rdアルバム『Tatsu Akiba』
2026年1月28日(水)発売
IMWCD-1839 ¥2,970(税込)
配信リンク:https://linkco.re/ddEpuTXu?lang=ja
▼トラックリスト
01 Overture, ABC & 123 Song
02 Sign 2 Turn 4 Another 1
03 Or O Or I
04 AWV 1202
05 ROFLOLed
06 I Ain’t AI
07 2389
08 ATGC
09 12-15-22-05
10 BGN 26

 

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