【ライブレポート】syudou、主催イベント<PENTATONIC>開催。「齢30にして、人前でギターをかき鳴らす。夢はいつからでも叶うぜ!」

2026.01.30 18:00

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◾️1月25日/<PENTATONIC>2日目

ボカロシーンからキャリアをスタートした同世代の盟友が集った1日目に対して、2日目のラインナップはChevon、Aooo、須田景凪、なとり、syudouと、世代もジャンルもバラバラな面々だ。しかし、そうした枠組みを超えて相通じるセンスや熱量を感じる1日となった。

◆Chevon

まずトップバッターに登場したのはChevonだ。SEが鳴り響く中、大歓声に迎えられてボーカルの谷絹茉優、ギターのKtjm、ベースのオオノタツヤの3人がステージに姿を現す。

1曲目は「ノックブーツ」。谷絹はステージを歩き回り、時に腰掛けながら妖艶なハイトーンボイスを響かせる。目が離せない存在感だ。続く「サクラループ」ではKtjmがテクニカルなギターソロを炸裂させ、フロアの熱量を一気に高めていく。オーディエンスのほぼ全員が手を上げて身体を揺らす「るてん」で会場が一体となると、「騒げますか!?」という谷絹のコールに応えて盛大なシンガロングが巻き起こった「冥冥」へ。四つ打ちのビートがフロアを包み込み、心地よい高揚感が満ちていく。

MCで谷絹は「どっちが格好いいとかじゃねえんですよ。ここが一番リアルで、最後に一番幸せな顔して帰ったヤツが優勝なんですよ」。前日にはラウドロックの猛者たちやアイドルグループがラインナップに並ぶフェスに出演していた彼ら。ジャンルの壁を越えて支持を広げてきたバンドの覚悟を感じる。

「大行進していこうと思います」という宣言と共に始まった「大行侵」では、谷絹が四股を踏むようなパフォーマンスを見せ、ダークでヘヴィなサウンドに乗せて妖しいメロディを歌い上げる。「Banquet」では迫力たっぷりのシャウトを轟かせ、オオノタツヤとKtjmによるベースとギターの掛け合いから「銃電中」ではダンサブルなビートが観客の興奮を煽る。

「ここで限界迎えて、こっから限界突破していこうぜ!」という谷絹の呼びかけを合図に、終盤は「ダンス・デカダンス」から「FLASH BACK!!!!!!!!」と息もつかせぬ展開。「今日はPENTATONICという一つの塊になって、思いっきり盛り上がれよ!」という叫びに、フロアは割れんばかりのコール&レスポンスで応え、狂騒的な熱狂を生み出していく。

ライブハウスからキャリアをスタートさせ、数々のフェスで実力を証明し勝ち上がってきたChevon。その勢いと底知れぬポテンシャルを見せつけるステージだった。

◆Aooo

続いてステージに登場したのはAoooだ。石野理子(Vo, G)、すりぃ(G)、やまもとひかる(B)、ツミキ(Dr)という豪華なメンバーが配置につく。すりぃとツミキは1日目に続いて2日連続の出演。さらにツミキはDREAMERSでベース、NOMELON NOLEMONでギター、そしてAoooでドラムと、3つのバンドで異なるパートを担う八面六臂の活躍だ。

「みんな最後まで楽しんで!」という石野の声を合図に「CRAZZZY」でライブはスタート。目まぐるしい展開の楽曲を、中間部では4人が向かい合ってプレイするなど、ひとつの塊となったバンドアンサンブルで駆け抜ける。オーディエンスのハンドクラップが沸き起こった「サラダボウル」、石野のきらびやかな歌声が映える「魔法はスパイス」と、フロアの温度を着実に上げていく。

MCで石野はsyudouから楽屋に手紙が届いていたというエピソードも明かしつつ「リスペクトを込めて熱いライブをしていきたい」と意気込みを告げる。「Geeek」から「FLASH FORWARD」へと続く流れでは、YOASOBIなどのサポートのみならずソロアーティストとしても活躍するやまもとひかるの華やかかつ剛健なベースラインと、ツミキの野性的で手数の多いドラミングが絡み合い、強靭なグルーヴを生み出す。その熱量に乗せ、熱のこもったフレーズを次々と畳み掛ける「BAQN」へと駆け抜けていった。

後半は、メンバー全員で作詞作曲を手がけたという「スターサイン」から。石野がギターを抱え、センチメンタルなメロディを伸びやかに歌い上げる。続く「水中少女」でもギターを掻き鳴らし、甘酸っぱい歌声を会場の隅々まで届けた。 すりぃ、やまもと、ツミキという強烈な個性派揃いのメンツだからこそ、その中心で凛と響く石野理子の歌声が際立つのを感じる。

「ハチャメチャに騒げますか!? 私たちと一緒に飛べますか!?」という石野の叫びからラストは「Yankeee」。切れ味鋭いプレイの応酬に「♪LaLaLa」のシンガロングが重なり、大きな歓声の中でステージを降りた。

◆須田景凪

続いてステージに立ったのは須田景凪。「<PENTATONIC>楽しみにしておりました、よろしくお願いします!」という挨拶から「パメラ」でライブはスタートする。「雨とペトラ」と、ボカロP・バルーン名義で発表した楽曲を続け、オーディエンスを一つにしていく。

実は須田は、この日のラインナップにおけるキーパーソンでもある。バルーン名義で2025年にリリースした企画アルバム『Fall Apart』にはChevonとなとりが参加し、ライブでの共演もある。syudouとは「ペンタトニック」でコラボレーションし、ツミキ、すりぃとも交流がある。MCで須田は「いろんなイベントに出てきたけれど、友達が主催して、出演アーティストも全員友達というのは初めて。誰よりも一番俺が楽しんでやろうという気持ちでやってきました」と嬉しそうな表情を見せた。

「希望の歌を歌います」と届けた「メロウ」では、サビのメロディをオーディエンスに委ね、会場全体が高揚感に満ちた温かい空気で包まれる。「ミーム」ではフックの強いフレーズの応酬で畳み掛け、さらに「ここで全部出しきっていこうぜ!」と「パレイドリア」へ。ハンドクラップが沸き起こり、フロアの興奮が加速する。「音楽のことを愛してますか? PENTATONICのこと愛してますか? そんなあなたへ最大級の愛を込めて」と披露した「ラストルック」では、力強い歌声が会場の隅々まで響き渡った。

MCでは「syudouと初めて会ったのが結構前で。はじめましての前にベロベロの状態でチューしてきて、やべえヤツだと思った記憶がある」と主催者syudouとのエピソードを語り、会場の笑いを誘う。「そんなsyudouにクソでかい拍手をお願いします」と友を称え、須田は続けて自身の思いをこう語った。「生きていく中でダルいこととかしんどいことってあるじゃないですか。でもそのしがらみがあるからこそ、解き放たれた時の自由が尊い。今日はまさにその“自由”の日だと思うから、暴れ散らかしてほしい」。そして「その“しがらみ”と“自由”について考えた新曲」として「リベラ」を披露した。

今の須田景凪を代表する「ダーリン」で大きなシンガロングを巻き起こし、「めちゃくちゃ幸せな時間でした」と告げてラストは「シャルル」。会場が一つになったアンセミックな余韻を残し、須田はステージを降りた。

◆なとり

続いてステージに現れたのはなとり。「誰よりもブチかましに来ました」という宣言通り、「IN_MY_HEAD」で最初からトップギアに入る。オーディエンスがタオルを振り回し、フロアは早くも沸騰状態だ。

バックを固めるのは、SuchmosのTAIKING(G)、BREIMENのジョージ林(Sax)、モチヅキヤスノリ(Key)、西月麗音(B)、神田リョウ(Dr)という実力派の面々。シルキーな低音ボイスを持ち味とするなとりだが、「エウレカ」では咆哮に近いパワフルなシャウトも聴かせ、そのボーカルの振り幅を見せつける。

軽やかな「プロポーズ」で会場を一つにすると、続く「金木犀」ではジョージ林の洒脱なサックスを活かしたジャジーなライブアレンジを披露。楽曲ごとに異なる表情を見せていく。

MCでは「ネット音楽をこんなに愛してくれる人がいて感慨深い。私たちを愛してくれる人がこんなにいることを嬉しく思います」と、自身のルーツと主催者への思いを語った。そして「初めて飲みに行った時に『フェスをやりたいんだ』と言っていたのを思い出して。今、こんなにたくさんの人が集まっていることを尊く思います」 とsyudouとの思い出を振り返る。敬意と喜びを抱えつつ、「全員ぶっ倒して帰ろうと思います」と彼らしい言葉で闘志を燃やした。

後半戦は、グルーヴィーな「DRESSING ROOM」でオーディエンスの身体を揺らし、ダークに疾走する「非常口 逃げてみた」へ。「跳べ!」と煽り、オーディエンスのジャンプにフロア全体が波打つ。そして、イントロが鳴った瞬間に大歓声が上がったのは代表曲「Overdose」だ。気だるくも中毒性の高いメロディが会場を支配し、ボルテージはさらに上昇する。ハイテンポな「SPEED」を畳みかけ、ラストは「本気でかかってこい!」と放った「絶対零度」。狂騒の熱気を極限まで高め、「次は愛するsyudouさんです! また会おうぜ!」と雄々しく叫んでステージを去っていった。

◆syudou

そして2日間のラストを飾るのは主催者、syudouだ。大歓声に迎えられてステージに現れると、「大トリsyudou、始めます!」と宣言し、「神頼み」からライブをスタートさせた。バンドメンバーはKuboty(G)、ホリエマム(Dr)、長島涼平(B)、モチヅキヤスノリ(Key)という初ライブから不動の布陣。モチヅキは須田景凪、なとりに続いて3ステージ連続の出演だ。「インザバックルーム」ではsyudouはステージの端に腰掛けたりお立ち台に上がったりと縦横無尽に動き回りながら歌い、フロアを熱狂の渦に巻き込んでいく。

「昨日はガチの友達を軸にやったエモさがあったんですけれど、今日は関係値がある友達であると同時に、正直『2026年、絶対観といた方がいいだろ』というメンツが揃いました」と、キュレーターをつとめた2日間のラインナップを振り返る。「誰よりも謙虚に、全員から学んで、より大きくしていきたい」と主催者としての抱負も語った。

「昨日の夜は苦渋の決断で飲みに行かず直帰して…流石に今日やりきったら打ち上げをやりたい、というかへべれけになりたい!」と披露されたのは「へべれけジャンキー」。軽快なビートで踊らせた後は、「アタシ」から「ビターチョコデコレーション」へ。1日目にDREAMERSのステージで初音ミクが歌った同曲を、2日目は生身のsyudouが歌い継ぐ。この2日間の物語が繋がった瞬間だ。

この<PENTATONIC>というイベントは、単なる「ボカロシーン」の祭典でもなければ、「ネットカルチャー」という枠組みだけで語れるものでもない。Chevon、Aooo、須田景凪、なとり、そしてsyudou。彼らを一言で括る既存の音楽ジャンルは存在しないだろう。それでもこの日のオーディエンスは、そこに“シーン”が確実に存在するのを感じ取っていたはずだ。出演者全員が互いにリスペクトしながらも、ライブパフォーマンスでは本気で勝ちにいく。そんなバチバチとした緊張感が、イベント全体を貫いていた。

後半、syudouは自身の内面を吐露するように語り始めた。「さぞ陽気な人物なんだろうと思いの方もいるかと思いますが、正直僕は、こういう大きいイベントが楽しめなかった身で。どこに居てもイマイチ馴染めない、ある種の疎外感を感じてました」。そして、「俺自身が楽しい場所を作って、みんなと盛り上がる場を作るべきだった。媚びるべきじゃなかった、俺がやるべきだった」と、2日間の達成感を噛み締めていた。

そして「あの頃できなかったけれど、齢30にして、人前でギターをかき鳴らす。夢はいつからでも叶うぜ!」と叫び、ギターを抱えて新曲「暴露」を披露。フロアからは拳が突き上がる。ヘッドバンギングが巻き起こった「あいきるゆぅ」を経て、「最高に楽しい!」と絶叫。「笑って締めましょう!」と本編ラストの「爆笑」へとなだれ込み、狂気と熱狂が入り混じるカタルシスの中で本編を終えた。

アンコールで呼び込まれたのは、この日のキーパーソンでもある須田景凪。二人が掛け合いで歌うのは「ペンタトニック」だ。もともとは『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』の5周年アニバーサリーソングとして書き下ろされた曲だが、「でも僕ら1人で行こうと独りではないんだ」という歌詞を声を合わせて歌うこの曲は、この<PENTATONIC>というイベントのテーマソングとしても機能していた。

須田がステージを去ると、syudouはこの曲への思い入れと共に、自身がシンガーとして歌い始めて5年目であること、各日5組のアーティストが出演することなど、いろいろな意味が重なったイベントタイトルの由来を明かす。Chevon、Aooo、須田景凪、なとりへの感謝を丁寧に告げ、「次の開催は決まってないけど、今回楽しかったですよね。またやりたいですよね」と語り、客席の反応を受けて「来年やろう!」と宣言し、「5年続けたい」と言い切った。

最後に「一番自分らしい楽曲で締めたい」として選んだのは「ギャンブル」。「このイベントが続いていくかも決まってない。だけど常にギャンブルなのが人生だ!」と叫び、フルパワーで歌う。集まった全員がエネルギーを出し切るようなエンディングだ。最後は生声で「本当にありがとうございました!」と叫んでステージを降りた。

新しいシーンが生まれる。ここから脈動が始まる。そんな実感を得た2日間だった。

なお、この<PENTATONIC>の2日間の模様は、2月5日20時よりABEMAにて1週間無料配信される。配信アーティストはsyudou、Aooo、須田景凪、すりぃ、DREAMERS、NOMELON NOLEMON、YOASOBI。こちらも是非チェックしてみてほしい。

文◎柴 那典
写真◎タマイシンゴ, toya

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