【インタビュー】シド ゆうやのソロプロジェクト“S.Yuya”、全曲の作詞作曲、歌唱と演奏、アレンジやプロデュースを自作自演する理由「ひとつの表現だけじゃもったいない」

シドのドラマーゆうやが、自身の誕生日となる2025年12月9日、ソロワークS.Yuya名義の2ndアルバム『circle』を配信リリースした。2025年、目黒ライブステーションでマンスリー公演を開催し、その都度新曲を披露。1年間で生み出した10曲が、時系列通りに収録されたアルバムの完成だ。
驚異的なのは、S.Yuyaがドラムはもちろん、ヴォーカル、ギター、ベースなど全パートの演奏をひとりでこなし、更にはミックスやマスタリングまで担っていること。シドの代表曲「嘘」の作曲者はゆうやであり、その才は言うまでもないが、S.Yuyaでは全曲の作詞作曲まで手掛けている。親しみやすく、かつ存在感のあるメロディーが、シド同様、全パートに歌心を感じさせるバンドアンサンブルによって、しっかりと支えられた仕上がりだ。
ソロとしてBARKS初登場インタビューとなる今回は、アルバム『circle』や2月からのツアー<S.Yuya TOUR 2026 〜Circle〜>に関するインタビューに留まらず、S.Yuyaの成り立ちや目指すところに迫っていく。
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■自分が歌うことや表現することを考えたら
■カラオケで歌いたい曲が優先されるのかな
──ソロとしてはBARKS初インタビューということで、ファンの方なら既にご存じの“S.Yuya入門編”的な質問も交えつつ伺っていきます。2024年に1stアルバム『travel』で始動されましたが、何かきっかけがあったのですか?
S.Yuya:コロナ禍などで、世の中の当たり前が当たり前じゃなくなった時、僕もいろいろと考えることがありまして。今って“正解がいっぱいあるな”と思っていて。枠に囚われ過ぎて小ぢんまりとするのではなく、もっと広くいろいろな音楽活動をしてみたいな、と思ったのがきっかけです。
──シドではドラマーですが、S.Yuyaとしては全パートおひとりで担当されています。率直に、歌うことへのハードルは高くなかったんでしょうか?
S.Yuya:カラオケがずっと好きだったので、そんなにハードルは高くなかった気はしますね。楽器はやり始めようと意識しないとなかなか難しいですけども、歌うことって、わりと日常にあるのかなと。
──1stアルバム『travel』、その後のシングル「アサガオ」、そして2ndアルバムとなる今作『circle』を聴かせていただきましたが、「カラオケに馴染みがあるから」というレベルの歌唱では到底ないですよね。歌という表現だと“ドラムとは違うスイッチが入る”など、実際にやってみて何か発見はありましたか?
S.Yuya:歌うことが単純に好きですし、こうして作品として表現することが今までなかっただけで。シドでも曲を作って提出する時は自分で仮歌を歌うので、自分がつくった曲を家で歌う、ということには慣れていたと思います。細かい発見はあるんですけどね。例えば、自分の声の質はEQ(イコライザー)で言うと“ここが高いところなんだ”とか、そういう特性が分かってきたな、という感じです。
──曲づくりにおいては、シド用とソロ用の区別はあるんでしょうか?
S.Yuya:最初の頃は結構分けていました。なにせソロでは表現するのが自分だけなので、ただ自分が表現したいものだけをつくっていた感じだったんです。でも今回のアルバムからは、月イチでライブをやりながらの作曲期間だったので、またちょっと違いましたね。
──ファンの方の存在が、作用したんですね。
S.Yuya:作品を発表する前に、ライブでまずお客さんの反応や意見を聞きながら、“じゃあ次のライブでは、こんな感じの新曲があったらもっと良かったな”というものをすぐつくって、すぐに表現できるので、実験的なこともできたというか。2曲目の「夢の続きを…」がまさにそうなんですけど、いつもならシドに持っていきそうな曲を“ライブで俺が歌ったらお客さんはどんな反応なんだろうな?”というのを見てみたかった。今回のアルバムは、そういうふうに生まれていった曲が何曲かありますね。
──シドとソロの境目がなく、より自由になってきている感じなんですかね。
S.Yuya:もともとシドを好きになってソロにも来てくれている方が大半だと思うので、お客さんの反応を見ていると、“そう、それを見たかった!”とか“それを聴きたかった!”というのがすごくあるんじゃないかなと。僕がもしファン側だったとしても、そんな気がしますしね。
──そこで“いや、ソロでは俺はこういう面を俺は見せたいんだよ!”というエゴとの葛藤はなかったんですか?
S.Yuya:そういうのももちろん入ってはいるんですけども、前ほど完全に“これはシド、これはソロ”と分けている感じではない気がしますよね。

──なるほど。S.Yuyaさんのソロのプロジェクトは、全パートをひとりで担うだけでなく、ミックスやマスタリングまでも手掛けていらっしゃるそうで驚きました。多才ですね。
S.Yuya:いやいや。ミックスとかマスタリングとかは特に、エキスパートがいますから、ある意味人任せにしてしまう部分ではあると思うんです。でも自分でやってみたらすごく面白くて、やりがいを感じていますね。だから今、1作目の『travel』を自分でやり直したりしています。
──ギターやベースはどのように習得されたんでしょうか?
S.Yuya:ギターはドラムを始める前からですね。周りの同級生とかの間で、ギターブームだった時期がありまして。僕の家にもたまたまギターがあったので、学生時代からやっていたんですよね。
──シドの活動の中で披露することってあったんですか?
S.Yuya:表舞台で披露したことが2回ほどありました。シドのイベントを小さなライブハウスでやった時にギターを弾いたり。あとは年末恒例だった事務所の日本武道館イベント(<JACK IN THE BOX 2008>)にも一度、ギターで出演したことがあります。
──「風に吹かれて」のギターはスライド混じりのカッティングが小気味良いですし、ほとんどの曲にギターソロが入っていて、相当弾き込んでいらっしゃる印象です。
S.Yuya:本当ですか? ギターは結構好きで集めていて。“カッコいいな”と思ったら、見た目で買ってしまう癖があります。
──ベースも元々お好きなんですか?
S.Yuya:僕、ベースが目立つジャンルの音楽が好きなんです。ファンクミュージックに一時期すごくハマッて聴いていたことがあるし、ベースに耳を持っていかれていることが結構多いです。

──1曲目の「Winter wing」はストリングスも盛り込まれていますが、ストリングスアレンジもご自身で?
S.Yuya:そうです。アレンジのひとつとして頭にパッと浮かんだものを落とし込んでいく、という感じですね。
──S.Yuyaさんの頭の中にあるイメージを、そのままおひとりで形にしていく感じですか?
S.Yuya:そうですね。でも、ひとりは意外と楽なんですよ。人のことを考えなくてもいいし、自分の好みのものを突き詰められる。自分のペースで、自分のやり方で、家で録れてしまうので。
──制作環境としてはDTMで、ご自分で演奏したものを録って、それらを編集もしていくということですよね。
S.Yuya:はい。途中から指がめっちゃ痛くなるんですよ。特にベースを弾いていると。だから最近、ベースを弾くときは左手に軍手をしながら弾いています(笑)。
──そういうプロベーシストの方もいらっしゃいますよね。今後も歌唱、演奏、作詞作曲、アレンジ、それらをプロデュースする部分も、全ておひとりでやっていこうと? 大変そうですが…。
S.Yuya:実は大変です(笑)。でもS.Yuyaに関しては、飽きるまで自分ひとりでやっていこうかと思っています。
──S.Yuyaさんのドラム以外のパートの演奏や歌に関して、シドのメンバーの皆さんが感想をおっしゃったり、アドバイスをなさったりすることはあるんですか?
S.Yuya:いや、特にないです(笑)。僕も他のメンバーのソロに関してはああだこうだ言わないですし。たまにいじられるんですけど、そこで“あ、聴いてくれてるんだな”と分かって、ちょっと照れ臭い感じになるという。

──ファンクというジャンル名が出ましたけれども、S.Yuyaさんの音楽的なルーツはどこにあるんでしょうか?
S.Yuya:特に目立って“この人に憧れて”みたいなことはなく、本当に広くいろいろ聴いてきています。その時々の旬がやっぱりあるので、それが作曲だったり自分が叩くドラムの音だったりに出ているのかな、とは思います。
──情緒的なメロディーとドラマティックな展開には、J-POPの様式美が血となり肉となっていて、自然に滲み出ているのかな、という印象も受けました。
S.Yuya:たぶん、それもやっぱりカラオケが好きだから(笑)。カラオケで歌うとなると日本の歌モノになりますし、自分が歌う、表現すると考えたら、“自分がカラオケで歌いたい曲”が優先されるのかな、という気がしますね。
──ロックバンドですごく好きだったとか、学生時代に憧れてコピーしたとかいう存在は?
S.Yuya:いっぱいいますね。友だちに誘われてバンドを始めた時は、最初にハイスタ(Hi-STANDARD)のコピーをやったんですよ。そこから次にハスキン(HUSKING BEE)とか。
──ドラムの入口はメロディックパンクだったんですね。
S.Yuya:当時の僕にとっては、全然知らないジャンルだったし、誘われたからやってみた、という感じだったんですけど。その後は自分でバンドを組んでみて、JUDY AND MARYをやってみたり。先輩や周りから誘われてやるバンドも多かったので、いろいろな音楽を経験しました。ドラマーは少ないので、すごく需要があるんですよね。
──いくつか掛け持ちしたり?
S.Yuya:そうです。ライブをちょっと観た人に「手伝ってくれない?」と言われて、やってみることで、“あ、こんな曲があるんだ”と知ったり。







