【インタビュー】唯美人形、「私たちが表現する美をもっと追求していきたい」

──紫月さんと蒼井さんは2024年1月にサポートメンバーとして唯美人形に参加して、同年7月の2周年公演で正式メンバーに昇格。しかし、先輩メンバーの卒業などもあり、先ほどおっしゃったように同年10月から2人体制での活動に突入します。約1年近く続いた2人での活動に対して、お2人はどんな気持ちで臨んでいましたか?
蒼井:とにかく完成度を上げようって、2人でたくさん考えた記憶があります。
紫月:そうだね。先輩たちが作り上げてくれたものを、さらに良くして広めていきたいなって気持ちで、先に繋げようと必死でした。あと、その間に新メンバー募集もしていたので、とにかく2人でいい状態にして、新メンバーが安心できるような形で迎え入れようって話していました。
──この3人だからこその強みや武器って見つけられましたか_
蒼井:3人それぞれ、個性がバラバラなところは武器なのかな。それが今は唯美人形にとって大事な要素になっている気がします。
紫月:一人ひとり持っているものが違うからこそ、3人揃ったときにより強くなれるのかなと思います。
水城:ここからさらに良い方向に変化していくんだろうなと思いますし、そういう現状に対してだいぶ自信があるからこそ、私はいい意味で武器とか強みとか決めつけないように考えています。
──皆さんの作り出す世界観やステージ上での佇まい含め、かなり「演じる」ことを意識しているのかなと思いますが。
蒼井:私は普段の自分とステージでの自分に、そこまで差を感じていなくて。そもそも普段からそんなに感情が強く出るタイプでもないから、そのままステージに立つことでお人形らしさをうまく出せているのかな。
水城:逆に私は我が強いので、それを抑えるのが大変で。でも、お芝居もやっていた頃は役に入り込みすぎると我を忘れてしまうことがあったので、今はそういう部分をうまくステージに用いています。
紫月:私も普段から感情が強めに出ちゃうタイプなので、ステージ上ではお人形でいることを極めようと強く意識していて。なので、ライブを観た方に「本当にお人形みたいだったよ」と言われることは、最高の褒め言葉なんです。その一方で、ステージ以外では普段の自分でいることも大切にしているので、オンオフの切り替えでメリハリを付けられたらなと考えています。

──昨年11月末には初のタイ遠征もありました。現地での反響はいかがでしたか?
紫月:初めての海外公演で、私たちもわからないことだらけで不安だったんですけど、唯美人形のことをよく知ってくださっている現地のファンの方が、「唯美人形っていうすごいアイドルが、日本にいるんだよ」と広めてくださったり、お友達をたくさん連れてきてくださったりして。そのおかげで、ライブでもたくさんの方が集まってくださって、日本と同じようにコールをして盛り上げてくださって、その反響の大きさにびっくりしました。
水城:日本だと「この曲はこうやって盛り上がるんだよ」という正解みたいなものを、ファンの皆さんの間で共有できていると思うんですけど、タイのお客さんはもっとおおらかと言いますか。すごく伸び伸びと、私たちのパフォーマンスや音楽自体を楽しんでくださっていることが伝わりました。
蒼井:言語は違っても、唯美人形の音楽は世界中どこでも歓迎してもらえるんじゃないかと、自信を持つきっかけにもなりました。

──昨年12月19日には1stシングル「秘密」がリリースされました。意外にも、これが唯美人形にといって初のCDなんですね。
紫月:そうなんです。自分たちの曲がCDになって、ジャケットに自分たちが写っているCDが店頭に置いてあるっていう事実に対して、最初は「これは本当に起きていることなのか?」って全然現実味がなくて。でも、リリースイベントを始めてからようやく実感が湧いてきました。
蒼井:自分がジャケットに写っているCDが店頭に並ぶなんて、想像もしていなかったことが起こっているなと思うんですけど、リリースイベントを通じていろんな方から反応をいただくことで、日々喜びを噛み締めているところです。
水城:普段の対バンイベントだと、単純にアイドルが好きという方が集まってくださると思うんですけど、リリースイベントってCDを買ってくださった方や唯美人形に興味を持っている方だけじゃなくて、イベント会場に通りかかった方も目にするわけじゃないですか。そうやって、いろんな方々に唯美人形に触れていただく機会を得られたのは、すごく大きなことだなと思っています。
──表題曲の「秘密」を最初に聴いたときの印象っていかがでしたか?
蒼井:明るさと暗さの両方を併せ持った、今までにない曲調なので、曲を受け取ったときに以前とは違った印象を受けました。
紫月:この曲含めて唯美人形の楽曲はすべて島村秀男さんが手がけてくださっていて、毎回今までとは違うタイプの曲を届けてくださるんですけど、今回は今まで以上に「ここから新しい唯美人形が始まる」と感じました。
水城:ちょっと懐かしさを覚える曲調で。キラキラした音も入っているんですけど、下のほうの音に意識を傾けると、実は暗さがあるんですよね。その時代に生まれてはないんですけど、ブラウン管の向こうみたいな印象を受けました。
──わかります。昭和のモノクロの世界観みたいなイメージですよね。歌詞に関してはどんな印象を受けましたか?
蒼井:〈野薔薇〉とか〈ヴェール〉とか〈アモーレ〉とか、使われている言葉が唯美人形らしいなと感じました。
水城:今の流行りの音楽とはまったく違うものですよね。たぶんこの歌詞は2人の秘密についてだと思うんですけど、その相手が聴き手によっていろいろ想像できる余地があるところは、唯美人形らしいのかなと思います。
紫月:最初に読んだとき、「これは感情を込めないで、淡々と歌うべきだな」と思いました。あと、琉衣ちゃんが言うように、これは最近の流行とは違う世界観なんですけど、昭和の歌謡曲とも通ずるものがあるという意味では、王道アイドルソングでもあるのかなと思います。

──おっしゃるように、「バズる」ことが目的になりつつある昨今のアイドルソングとは一線を画するものがあるだけに、若い世代には新鮮に響くのではないでしょうか。その一方で、皆さんの親世代など昭和や平成初期の歌謡曲を愛聴してきた世代にもアピールする強みもある。実は世代を選ばずに届く可能性を秘めた1曲なのかなと思いました。
紫月:嬉しい。そうなってほしいです。
──MVもすごく強烈な内容で、短編映画を観ているような気分になりました。
蒼井:それ私たちも感じましたし、ファンの方からも「映画を1本観たみたいな充実感があったよ」と感想をいただいて、すごく嬉しかったです。個人的には、(紫月が)ドアからちょっと覗いているシーンは特に、唯美人形ならではの背徳感があってお気に入りです。
紫月:私たちは撮影前に「今回はこういう物語です」と聞かされてはいるものの、ファンの皆さんにはそこまで伝わっていない。なので、観た方それぞれが自分の中でいろいろと考察して楽しめるのも、すごくいいなと思っています。先ほど「短編映画を観ているような気分になった」とおっしゃってくださいましたが、私はMVだけじゃなくてライブもそういうふうに観ていただきたくて。作品を届けるときは常に、ひとつの物語を楽しんでもらえるような意識で向き合っています。
水城:曲は流れているもののセリフはないので、どこか無声映画みたいでもありますよね。昔のチャップリンの映画もセリフは一切ないんだけど、動きや表情と音楽でいろいろ表現していたりするじゃないですか。唯美人形のMVもそういう感覚で楽しんでいただけたら、面白いんじゃないかと思います。
──カップリングには、過去に発表した楽曲を現メンバーで歌った新バージョン2曲が収録されています。
蒼井:2曲目の「薔薇の詩」は以前のバージョンよりも壮大さが増した、音としての重量感とかが増したアレンジになっていて。前のバージョンを知っている方にも新鮮な気持ちで接してもらえると思います。
水城:「秘密」は2人の曲だけど、「薔薇の詩」に対してはひとりぼっちというイメージがあって。美華さんが言うように、新バージョンは音の厚みが増したので、その寂しさとか哀愁がより漂ってくるアレンジになっているじゃないかと思います。
紫月:私の中では唯美人形で一番好きな曲なんですけど、それを今の体制で録り直したら、イントロを聴いた瞬間から鳥肌が立つほど新しい形に生まれ変わっていて。現時点(※取材は12月末に実施)ではまだライブで披露していないんですけど、きっとパフォーマンスしたら楽しいだろうなって思いました。
──3曲目の「小さな楽園」に関してはいかがでしょう?
紫月:「小さな楽園」も旧体制バージョンとどっちも聴いてほしいくらい好きな曲なんですけど、新バージョンにはキラキラした感じが加わっていて、それによってどこか懐かしさが強まった印象があって。初めて聴いたとしても、「どこかで触れたことがあるんじゃないか」と、あるはずのない記憶を呼び戻されるような感覚になるんじゃないかな。
水城:「小さな楽園」は「秘密」と同じように2人の登場人物の物語なんですけど、「秘密」がお互いを思いやっているのに対して、「小さな楽園」は片方の愛がちょっと強そうに聞こえるんです。特に新バージョンは新たな音が加わったことで、その思いがより強く伝わる形になった気がしています。
蒼井:私はこの曲を聴いていると、なんだか寂しい気持ちになるんですけど、それと同時に安心感もすごくあって。それは、アレンジが変わったことによってそう感じるのかなと、不思議な感覚があります。
──新体制になってまもなく半年が経とうとしていますが、唯美人形として2026年をどんな1年にしていきたいですか?
蒼井:最初に3人になったときと比べて、だいぶ馴染んできた感じが出てきたので、それぞれの良さや個性が引き立つような活動をしていけたらと思っています。
水城:私たちの音楽が徐々にいろんなところに届き始めているものの、まだ唯美人形という名前を知らない方も絶対にいるはずなので、そういう人たちにも私たちの魅力が伝わるように、精力的な活動をしていきたいです。
紫月:私たちが表現する美についてもっと追求していきたいですし、それをもっと広く知っていただきたいですし、それを知っていだくためにもいろんなところに行きたいです。それは国内、海外問わずで、この3人の唯美人形の魅力をたくさん伝えていけたらなと思います。
──では、個人として成し遂げたい目標はありますか?
紫月:私は個人としてよりも、グループとしてこうなりたいっていう気持ちがすごく強くて。特に自分は3人の中では最年長なので、メリッサにとっても琉衣ちゃんにとっても安心できる場所を作りたいです。
水城:私は加入して半年近く経ちましたが、少し慣れが出てきたタイミングだからこそ、ボロが出やすくなるんじゃないかと思っていて。今の環境に甘んじることなく、歌やダンスをもっと頑張っていきたいです。
蒼井:私は唯美人形に入ったことで、自分の感性が少しずつ磨かれてきたと思っていて。加入前は音楽も積極的に聴くタイプではなかったんですけど、唯美人形に入ってからは音楽をもっと好きになれたし、自分の感性もいろんな方面に育っていったと思うので、これからも唯美人形を通していろいろ吸収したことを自分の表現として生かせるようになりたいです。
取材・文◎西廣智一
写真◎尾藤能暢
1st single 「秘密」
M1.秘密
作詞作曲:島村秀男
編曲:島村秀男・顕-aki-
M2.薔薇の詩
M3.小さな楽園
–jacket credit–
direction:hideo shimamura , yui ando
photo , desigh:aika kimura
・初回限定盤(ブックレット24P)
¥3,000(税込)
M1.秘密
M2.薔薇の詩
M3.小さな楽園
M4.秘密-Instrumental-
M5.薔薇の詩-Instrumental-
M6.小さな楽園-Instrumental
・通常盤 (ブックレット6P)
¥1,200(税込)
M1.秘密
M2.薔薇の詩
M3.小さな楽園
<唯美人形バレンタイン公演-香恋->
2026/2/12
BUZZLive赤坂
19:15開場/19:30開演
主催ライブ<唯美人形無銭公演-金銀華->
2026/2/5(木)
BUZZ Live 赤坂
19:15 開場 / 19:30 開演