【インタビュー】vistlip、2026年第一弾シングル『UNLOCKED』が告げた解放への証「今、俺たちがやるべきこと」

2026.01.06 12:00

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■僕らの中のヴィジュアル系魂が
■うずく曲ですよね(笑)

──「Bedtime Story」も、ロマンチックなタイトルとヘヴィな楽曲とのギャップに驚きました。「Code Number」以外は智さんからのリクエストから生まれたというお話でしたが、ヘヴィな曲というリクエストがあったんですか?

Tohya:そういうことです。「Code Number」と「Principal」が決定して、レコーディングが始まるまであと1週間くらいの時に、智さんから「1曲足りない」と言われまして。「ライヴで使えそうな激しい曲がないよね」という話だったんですけど、僕もなんとなくわかっていたので“たしかにね”と思って作り始めました。だから、結構ギリギリにできた一番新しい曲です。僕は普段、自分で作り始めたらライヴのことは一旦無視してしまう傾向にあるんですよ。ライヴで使える曲と考えると、どうしてもクセや決まったノリになりがちで、ちょっと面白みが足りないと感じてしまうので。だから、ライヴで映えそうなフレーズやリズムを使いつつ、僕なりの面白みを込めて何曲か作って、最後にようやくハマったのが「Bedtime Story」です。

──オリエンタルなムードからヘヴィに展開していく流れがライヴで盛り上がりそうですね。

Tohya:そのイントロのフレーズありきで作りましたね。奇妙な音から入って激しくなるのはわかりやすい手法でもあるけど、もう振り切ってやっちゃえ!と思って。あと、ライヴで初披露するからこそ、初見で聴いてもノレるバターンを考えました。

智:2024年に「B.N.S.」というヘヴィな曲を出した時、ファンにすごくインパクトを与えられたので。vistlipのそういう路線もしっかり続けていきたいと思っていたんです。で、こういう曲を書けるのはやっぱりTohyaなんですよ。中でも「Bedtime Story」は一回聴いただけでカッコいいイメージが浮かんだので、これじゃん!と。ミュージシャンになる以前の、僕らの中のヴィジュアル系魂がうずく曲ですよね(笑)。“僕らも暴れたいし、ファンのみんなもそうでしょう?”って言える楽曲だと思っています。

──ここまでヘヴィに振り切って、みんなで暴れられるような曲がシングルに入ってくるのは珍しいですよね。

智:あまりないですね。リリース作品何枚かに1曲入ってたり、入ったとしても今までだったら3曲目あたりにしていたと思います。でも今回は、もしバンドの方向性的に、そういう時期なんだったら1曲目にしてもいいくらいのマインドでした。だから、せめて2曲目だよなって。

──今のvistlipらしさと、みなさんの好きなヴィジュアル系らしさがバチッとハマっている印象はあります。

智:そうですね。実際、ライヴでもばっちり映えていて。お客さんも楽しめるし、俺たちも“きたー!”というテンションになれる曲です。

──ドラマーとしてはどうですか?

Tohya:バンド側がしっかりノッていれば、当然聴いている側もノレるので、ドラムも基本的にストレートにアレンジしています。ただ、どうしても我慢できなくて、一番Aメロは倍の頭打ちみたいな激しいフレーズを入れたんです、ここだけは許してほしい(笑)。初披露がライヴなので、ややこしいことをやると初見で理解されないかなとは思いつつも、どうしても入れたくなっちゃったんですよ。

──ちなみに、裏でシャウトしてるのは海さん?

Tohya:そうです。

智:レコーディングにふらっとやってきたので、「シャウト入れたい?」って訊いたら、「やってみようかな」って。海がシャウトしてるのを、Tohyaと一緒に見守ってました(笑)。

──歌詞のほうは、「Code Number」とはまた違う角度からの解放が描かれていて。現実から連れ去ってくれるようなイメージでしょうか。

智:そうですね。vistlipの中で解釈するなら、僕らが連れ去る側とも読めるし、もちろん命に関することだと捉えてもらってもいい。実を言うと、僕が子どもの頃に好きだった絵本『ねないこだれだ』と重ねて書いているんです。今でも大好きで、だから「Bedtime Story」というタイトルにして。大人の絵本というか、そういう部分でこの曲もちょっと遊んじゃいました(笑)。もともとグロテスク耐性のある人間なので。

──ファンの方がライヴで聴いて優しいと感じたのは、“『あぁ、死んでもいい』そんな日はこない。僕がそうさせないから”の部分でしょうか。

智:そうでしょうね。バンドとファンの関係や、ライヴ会場というふうに受け取ったら、そう聴こえると思います。でも、それも正解で、間違いではないです。どの曲も、それぞれの人に当てはめて受け取ってもらいたいので。

──そして、lipper盤収録の「Principal」は、ピアノとストリングスが美しいミドルバラード。この曲は智さんからどんなリクエストが?

智:曲調というより、曲を書くうえでの世界観をリクエストしました。具体的には、とある映画を見て刺さった気持ちを音で表現してくれ、と。難しいところなんですけど、その映画自体をモチーフにするんじゃなくて、刺さった気持ちを音にしたらどうなる?って投げたんです。

──面白いリクエストですね。それを受けて、Tohyaさんは作曲にどう向き合っていったんですか?

Tohya:この曲自体は、そのリクエストを受ける前に、もうひとつ別のリクエストを受けて作り始めていたものなんですよ。その時はリファレンスとしてピアノのインスト曲があって、その曲を聴いて僕なりの解釈を落とし込んだ曲を作ってみてほしいということで。作って送ったら「これは違う」となり、次に「この映画を観て感じたことを曲にしてみて」と言われたんです。

──なるほど。

Tohya:“また難しいこと言うな”と思いながら、ひとまずその映画を観まして。映画から、ちょっとひと言では表せない、複雑なんだけど筋が通っている強さ……みたいなものを感じたので。しつこいくらい一本調子のメロディラインにして、訴えかけるような空気が出るようにこだわりました。このメロディが曲の肝となる部分かなと思います。

──曲はすぐに浮かんだんですか。

Tohya:簡単ではなかったですけど、そこまで難しさは感じなかったかな。曲作り自体は面白かったです。

智:気持ちや情景から曲を作るって、一番ミュージシャンっぽいじゃないですか。そういう意味ではインストを作るアーティストはすごくクリエイティヴだし、アートだと思う。だから、Tohyaもそろそろその段階にいこうか、と。そうしたらアーティストとしてひと皮もふた皮も剥けるんじゃないかなと思ったんですよ。結果的にばっちりな曲を作ってくれたので、“できたじゃん!”って新しい可能性を感じましたね。俺はただ言ってるだけですけど(笑)、素晴らしい曲になったんじゃないですか。

Tohya:ただ、映画って絶対、すでにテーマソングが作られているじゃないですか。それとは違う自分なりのものを掴まなきゃいけないと思って、ガチガチに構えて観ちゃって(笑)。逆になかなか感情移入できなかったので、もっとゼロの状態で観たかったなと思いました。

智:ははは!

──歌詞は、曲を受け取ってから仕上げていったんですか。

智:そうですね。この曲は、ちょっと久々に我を出して書いた曲です。フロントマンという立場を書いてみようかなと思って、フロントマンとしての葛藤や、こうありたいという理想、どんな状況でも貫きたい部分だったり、いろいろなものを詰め込みました。冒頭に“スマホを通した加工後の世界。”というフレーズがありますけど、加工して派手に演出できる中で、リアルにファンと顔を付き合わせながら華やかに飾り続けるのは大変なことだなと改めて思ったんですよね。ナチュラル系ミュージシャンとして(笑)。フロントマンだからこそ苦しいことも継続してあるけど、たとえば“忙しい”とか“大変だ”みたいなことはやっぱり言いたくない。みんなの前では華やかに魅せたい。そういう気持ちを書きました。

──ステージに立つ以上、綺麗な夢を見せたいという気持ちと、リアルな姿を見てほしいという気持ちは、両方あり続けるものですよね。

智:うん。だから、何も考えずにありのままでステージに立てる日が来たら、もう勝ちでしょうね。楽しいだろうな、そんなヤツになりたいな、という願望はあります。