【速レポ】<CROSS ROAD Fest>Waive、絶好調で叩きつける圧倒的熱量「一生懸命楽しんで」

2025.11.15 21:23

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2000年結成という、ヴィジュアル系ムーブメントの中ではやや遅めに登場したWaive。代表曲でもある「いつか」が高い評価を受け、NHKの番組にフィーチャーされるなど活躍を続けてきたが、2005年に解散を発表。2010年からは“解散中”としながらも、不定期にライブを行なってきた(Waive公式HPには“リビングデッドのような活動…”と自ら書いている)。そして2023年4月に「再結成」表明と同時に、26年1月4日の東京・日本武道館公演をもって解散すると発表した。

◆ライブ写真

以降は、残された時間を燃やし尽くすべく精力的なライブ活動を行い、この6月からはツアー<Waive GIGS 2025「蒼紅一閃 -soukouissen-」>もスタート。夏以降も月に5〜6本のペースでライブを行ない、11月26日には最後の音源作品となるEP「The SUN」をリリースした。「解散」を目前に控えてというのも皮肉ではあるが、現在彼らが絶好調であることは誰の目にも明らかだろう。幕張メッセ最寄りの海浜幕張駅には武道館公演<LAST GIG>を告知する大きなポスターが貼られ、その前で写真を撮るファンの姿も目立った。

オープニングは「The SUN」収録の新曲「火花」。イントロともにステージ前面に火柱が吹き上がり、まさに「火花」にふさわしい光景。「カモン!」と叫ぶ田澤孝介(Vo)のハイトーンボイスに煽られ、会場の空気も一気に熱を帯びる。哀愁漂うメロディアスなボーカルラインも激しいサウンドも、実にWaiveらしい楽曲だ。平歌が終わった瞬間のブレイクから、全員がサビへとエネルギッシュに突入していく様には微塵の迷いもない。サビの《あの日の僕にまだ届くなら すべてを燃やし尽くせ!》という歌詞もバンドの現在と重なるようで、早くも1曲目から彼らの世界観に引き込まれるのを感じる。

「楽しんでいきましょう!」と田澤が呼びかけると同時に、杉本善徳(G, Vo)によるギターのリフが響き渡る。続く2曲目も「The SUN」収録の新曲「燦-sun-」だ。イントロもA・Bメロも間奏も、どこを聴いても濃厚。息をつく間もないほど、思いもパッションもアイデアも詰め込まれた構成。スピード感あふれるサビでは、観客が握った片手を頭上で回して応える。

「幕張! 楽しんでますか。懐かしい気持ちの人や、すべてが新しい出会いですという人もいるかもしれません。ここで起こったこと全てが愛おしいものになるように。一生懸命楽しんで帰ってください」と田澤。

「バラードをひとつ贈ります」の言葉とともに演奏されたのは「spanner」。2000年発表のデモテープにも収録されていた曲であり、今年5月リリースのセルフカバー・ベスト・アルバム『RED ALBUM』でも新たにレコーディングされた重要な楽曲だ。杉本のストラトタイプ・ギターによるイントロのフレーズと、貮方孝司(G)によるレスポールらしい厚みのあるリフとのコントラストが鮮やか。伸びやかなハイトーンの中に繊細なニュアンスもにじませる田澤の歌声が、バラードではより映える。アウトロでは、自在にフェイクするボーカルと、泣き叫ぶようなギターのミドルトーンとの絡みが素晴らしくエモーショナルで、ただただ聴き惚れてしまった。

胸締めつけられるようなバラードの余韻にひたっていると、ここで唐突にMCがスタート。Waiveのライブを観たことがある人にはおなじみ、関西弁でドッカンドッカン笑わせる杉本のトークである。


「ど〜も〜。初めましての人、お久しぶりの人。チケットの料金が一律なのに遠くから来てる人! その不満わかるよ〜、でも楽しんだほうがいいです。高い金出して来てるんで、元取らな損です」(杉本)と、寄り添ってみせる。そして「今日のイベント、僕がゼロをイチにしました! 特にディスパファンの人、ラクリマファンの人、俺にありがとうを(笑)。イベントなのであんまり喋れない、いつもだったら持ち時間全部くらい喋るんですけど(笑)。ここを復活の場に選んでくれた先輩の方、集まってくれた方、ありがとう。おもんないとは思って欲しくない。先輩方にも最高のステージだったよと思わせるくらいの、最高の盛り上がりをしてください」


「力貸してくれますか! いくぞ、いくぞ〜!」(田澤)と、トークで会場の温度をアゲた直後に投下されたのは「ガーリッシュマインド」。2000年発表シングルであり、昨年リリースされたセルフカバー・ベスト・アルバム『BLUE ALBUM』にも新レコーディングで収録されている。ライブでの定番曲&キラーチューンとしてファンにはおなじみのナンバー。イントロから、リフに合わせて田澤が両腕を交互に突き上げ、ファンも同様に両腕を天に向かって突き上げる。杉本と田澤がパートごとにボーカルを担当するのも変則的だし、そもそも歌モノという作りではなく、コラージュ的な暴力性もはらんだ楽曲。レインボーカラーの激しく明滅するライトと目まぐるしく交錯するレーザー。サビ以外の部分でも、ボーカルと呼応するようにファンが両腕で激しい動きで応えたり、ドラムの連打後にファンがジャンプしたり、エネルギーの交歓はライブならでは。田澤も「そんなもんか! みんなが思ってるよりずっと大きな声じゃないとここまで届いてこないから。思ってるより3倍で!」と、容赦なく攻め立てる。「声出せ!いくぜ! 全員で、全員で、ひとつになろうぜ!」と叫び、高井淳(Ba)のベースを基幹にドラムを加えたソリッドなビートから客と掛け合いを交わす。曲が始まった時は三分の二ほどの観客が拳を挙げていたが、終盤ではほぼ全員が拳を突き上げていた。オーディエンスの警戒心を打ち崩し、Waiveの波に飲み込んでいくパフォーマンスの力量はさすがだ。

ラストはこれまた彼らの代表曲「いつか」。2004年の2ndアルバム『INDIES 2』に収録され、『BLUE ALBUM』でもセルフカバーされたミディアムアッパー。《まだ見ぬ未来へと駆け抜けてく》という歌から始まるスケール感のある楽曲だ。こうして改めて聴くと、彼らのサウンドはいわゆるヴィジュアル系のイメージではなく、時代も関係なく聴かれ続けるであろうストレートかつ良質なロックなのだと実感した。

この日のライブでWaiveの音楽に初めて出会い、その魅力に気づいた人も多かったのではないだろうか。年明けの武道館公演<LAST GIG>へ向かって燃え尽きようとしているWaiveの姿を目に焼き付けたライブだった。

取材・文◎舟見佳子
撮影◎堅田ひとみ

■セットリスト
1​. ⽕花
2​. 燦-sun-
3​. spanner
4​. ガーリッシュマインド
5​. いつか

■<CROSS ROAD Fest>
【DAY1】11⽉15⽇(土) 千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
open12:00 / start13:00
【DAY2】11⽉16⽇(日) 千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
open10:30 / start11:30
〒261-8550 千葉市美浜区中瀬2-1

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