【インタビュー】10-FEET、KOUICHIが語るドラム人生初のフルカスタム「震えるぐらい感動しました」

10-FEETが2025年夏も、凄まじいライブ本数と圧倒的なステージで全国各地のフェスやイベントを沸き立たせている。ライブシーンにおいては、人気や知名度、信頼感や爆発力の面で突出した感があるが、注目すべきは楽曲そのもののクオリティにあり、そのサウンドの心地好さこそ称賛に値する。たとえば、フェス等の彼らのステージ袖に多くのバンドマンが集結する光景はもはや定番だが、3人が放つ万感胸に迫るパフォーマンスはもとより、至高のサウンドを響かせるシステムもバンド仲間からの関心を集めている。
BARKSではTAKUMA(Vo, G)、NAOKI(B, Vo)、KOUICHI(Dr, Cho)が生み出す極上サウンドの秘訣に迫るべく、そのシステムに関するパーソナルインタビューを試みた。第三弾はKOUICHI。メジャー移籍当時からエンドースしていたPearl Drumsとは約20年間共に歩み続けてきたが、昨年よりKOUICHIは新たな道を歩み始めている。そこに至る経緯や最新ドラムセットが描く無双のサウンドについて、じっくりと話を聞いた。
なお、10-FEETは本日9月24日、「第ゼロ感 (sequence ver.)」を配信リリースした。これはタイトル通り、「第ゼロ感」のシンセ等の同期音源であり、音源を流しながら生バンドでコピーすれば完全再現も可能となるというものだ。このリリースを記念して、インタビューの最後には全ドラマーへ向けたアドバイスも語ってもらった。

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■あと何年ドラムを叩けるか分からない
■ドラムに対してイチからこだわってみたい
──KOUICHIさんのドラムセットがだいぶ変わりましたね。
KOUICHI:スタンド類以外は、以前とは全部違うものに変わっています。
──どういう理由やきっかけで、ここまで大きく変えたんですか?
KOUICHI:ここ何年かで、自分のドラム人生やバンド人生はあとどれだけできるのかなって考えたり、ドラムに対して自分なりに向き合った期間があって。そのとき、一度全部をリセットしたくなったんです。そういう思いがまずあったんですね。
──なるほど。
KOUICHI:それまでずっとPearl Drumsとエンドース契約をしていて、すごくお世話になってたし、今も感謝しているんです。でも、やっぱり自分の思いに従いたかったので、Pearlさんとお話をさせてもらって。“この先のことも考えると、あと何年ドラムを叩けるか分からないという気持ちがある。自分なりにドラムに対してイチからこだわってみたいんです”という気持ちをストレートにPearlの担当の方に言ったんですよ。そうしたら、“そこまで思っているなら。分かりました。応援します”と言ってくださって。
──新たなドラムセットは昨年から使い始めたそうですね。
KOUICHI:BARKSさんに撮ってもらったこの新しいDRUMMERS BASEのセットを使い出したのは、去年の<京都大作戦2024>からですね。

──自身主催フェスが筆下ろしの場だったんですね。フェスの場ではいろんなドラム仲間に会うと思いますが、機材の話で盛り上がることも?
KOUICHI:そうですね。どのドラマーがどのメーカーのドラムを使っているとか、よく一緒にフェスに出ているドラマーのことだったら、だいたいお互いの頭に入っているもので。これまでと変化があったら、“あれ!? 変えたの?”って話にもなりますね。ドラムセットも、シンバルに関しても、点数や枚数の変化や、他の機材が増えていたりとか、そういうときも話をしますね。
──他のドラマーたちから、新たなドラムセットへの評判も耳に入ってきていますか?
KOUICHI:やっぱり「いいな」って言われますね。嬉しいですよ。
──そういったドラマー仲間との会話も通して情報交換をしつつだとは思いますが、まずはDRUMMERS BASEのセットに至ったきっかけは?
KOUICHI:ローディさんのツテで、DRUMMERS BASEのスネアを借りたことがきっかけです。使ってみたらすごく良かったので、“これはどこのスネアですか?”みたいな感じですごく興味が湧いて。それでDRUMMERS BASEの方とやり取りしていくうちに、“全部作りましょうか”というお話をいただいたんです。
──DRUMMERS BASEは神奈川県相模原にあるドラム専門の工房ですよね。
KOUICHI:そうです。山の中にあるDRUMMERS BASEの工場まで、10-FEETのローディさんと一緒に行かせてもらったんです。オーナーがオーストラリアの方で、あと日本人のスタッフと、二人でやってるドラムメーカーであり工房です。


──工房を訪れた際、サウンドの質感や叩き心地のことなど、様々なやり取りをしたと思いますが、言葉ではどんなふうに伝えたんですか?
KOUICHI:10-FEETの楽曲は、いろんなジャンルをやっているつもりではあるので。求めているのは、どこかひとつのジャンルに特化したものではなくて、オールマイティな音楽に対応できる音であり、キットとしてもバランスのいいドラムを作りたいとお願いしました。
──DRUMMERS BASEは、フルカスタムに対応しているので、シェルの材質やプライ数などにもこだわったと思うんですが?
KOUICHI:Pearl時代もドラムセットは幾つか使いましたけど、最終的にファイバーグラスシェルを愛用していたんですね。でもDRUMMES BASEにオーダーしたときは、メイプルシェル、要するにファイバーグラスとかカーボンプライではなく、ウッドです。メイプルだから、音の芯もしっかり出るんですよ。ファイバーグラスもそういう特徴を持ったシェルですけど、音の質感がちょっと違いますね。自分で叩いていても、響き方も音質も違うなって感じます。やっぱり木胴ならではの鳴りがある。
──各タイコのサイズも変更しました?
KOUICHI:いや、キックが22インチ、フロアが16インチ、タムが12インチという口径はこれまでと同じ。だけど、フロアの深さは14インチで、タムの深さは8インチかな。
──浅めの胴をチョイスしたということですか?
KOUICHI:そうです。以前使っていたフロアは深さが16インチだったんですけど、フロアは今、ちょっと浅いものが主流らしくて。

──製作途中も何度か工房に行って、試打をしたり仕上がりの確認をしたり?
KOUICHI:いや。最初に行ったときに、その場で全部決めて。そのオーダーのまま製作に入ってもらいました。次に行ったのはドラムセットが完成したときだから、製作過程で叩くことはしなかったです。スネアを叩いて気に入ったという経緯もあったので、DRUMMERS BASEのことは、音もクオリティも信用していましたから。
──ちなみに、シェルのカバリングは?
KOUICHI:黒地で少しラメが入っているブラックスパークルという色ですね。カバリングは何十種類もあったので、色見本をその場で見せてもらって、“これがいいです”って選びました。黒にしたかったんですけど、真っ黒よりはラメが入っていて、照明が当たったらちょっと印象が変わる感じがいいかなって。
──シェルの塗装やカバリングは音に影響するという意味でも、ドラマーにとって大切な部分だと思うんですが、かなり吟味しましたか?
KOUICHI:ドラムの色として、僕は原色があまり好きじゃなくて。そういうセットも過去に使ったことがないですしね。ちょっと明るい色を使っていた時期もありましたけど、やっぱり落ち着いた感じの色が好きなので、基本は黒か、あまり派手じゃない感じ。渋い感じとオトナな感じを求めてました。
──オーダーから完成まで、どれぐらいの期間を要したんですか?
KOUICHI:たぶん半年ぐらいはかかったと思います。それでさっき言ったように、去年の<京都大作戦2024>が、DRUMMERS BASEを使う最初のステージになったんです。







