【インタビュー】SARD UNDERGROUND、ソロ体制初のアルバムに葛藤とポジティヴな未来「宝物だと思っています」

2025.09.18 20:00

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神野友亜(Vo)のソロ体制となっておよそ1年、SARD UNDERGROUNDのオリジナルアルバム『故障した車』が、9月17日にリリースされたる。先行配信曲「I still believe」」「故障した車」を含む全11曲は、友亜自身の実体験と重ねて綴る歌詞、ロマンチックな恋愛ストーリー、リスナーの背中を押す人生のエールソングなど、これまでに以上に彼女のパーソナルな個性を打ち出して、未来への新たな扉を開ける作品だ。

◆SARD UNDERGROUND 画像

8月から9月にかけて大阪と東京で開催されたライブでは、ZARDの楽曲のみを歌う日とオリジナルのみを歌う日の2daysを設定してファンを魅了。力強く新体制の第一歩を踏み出した神野友亜に、アルバム『故障した車』に込めた深い思いを語ってもらおう。

▲アルバム『故障した車』通常盤

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■今までは3人の雰囲気を大事にしながら
■今回は一人なので失敗してもいいって気持ちも

──新体制初のアルバム、ついに完成しました。

神野:楽曲制作は常に進めてはいるんですけど、“アルバムを出そう”と決まったのが、“音源納品まであと1ヶ月ぐらいしか時間がない”みたいなタイミングでした。でも前から制作していた曲も4曲ぐらいあったので、その曲たちを混ぜて作っていきました。

──ちなみに前からあった4曲というのは?

神野:「I still believe」「輝く旅人よ」「ナンバーワンあなたは」「あなた、カトレア」ですね。

──じゃあ残りの7曲を1ヶ月で。それでも相当なハイペースですよ。

神野:もうちょっとあったかな。あと1ヶ月で頑張れたら、アルバムリリースがライブに間に合うスケジュールだったんですけど、途中で「それは無理」となって(笑)。もう1ヶ月延びました。そのタイミングで、思ったよりたくさん曲ができたから、最初は「ミニアルバムかな」みたいな感じで言っていたんですけど「フルアルバムにしよう」ということになりました。

──そんな状況を乗り越えて完成したアルバム。どんな作品になったと思いますか。

神野:宝物だなと思っています。何回も聴いて、自分でも元気になれるアルバムができたなと思っています。寄り添う曲もあれば、引っ張ってもらえる曲もあって、全体的に見たらすごく前向きなアルバムになりました。

──“ソロ体制初”という言い方をされると思うんですが、そういう意識は常にどこかにありましたか。それとも、制作中は1曲1曲に集中するという感じですか。

神野:制作に集中してはいたんですけど、3人だったら出さなかったなという曲はいくつかありますね。「全部自己責任」と「TO MY FREEDOM」は、3人だったら出さなかったと思います。というか、書かなかったと思います。こんな歌詞を。

──それはなぜ?

神野:今までは、私が作詞をしているけど、SARD UNDERGROUNDの曲になるわけで、メンバー3人の印象もその曲に関係してくると思っていたので、3人の雰囲気を大事にしながら言葉選びをしていたんです。だけど、今回は一人なので、何も気にせず、失敗してもいいやという気持ちもちょっとありながら、それこそ“全部自己責任”だと思っていました。

──まさにタイトルの通りに。

神野:そうなんです。「全部自己責任」の歌詞に関しては、”これはダメだ”とプロデューサーの長戸大幸さん(ZARDのプロディーサーでもある)に言われると思って提出したんですよ。“絶対アカンと思うけど一回出してみよう”と思ったら、なんとアルバムに入りました(笑)。

──それって今回の裏テーマかもしれない。“全部自己責任”というワード。

神野:確かに、そうですね。

▲アルバム『故障した車』初回限定盤

──ここから、何曲か個別に掘っていきます。1曲目「故障した車」は、タイトル曲にするつもりで作った曲ですか。

神野:曲が出揃い始めた時に、一番インパクトある曲をアルバムタイトルにしたいなというので、「故障した車」かな?と。一回聴いたら覚えてもらえそうなタイトルという理由で選びました。

──ラテンハウスっぽい雰囲気のトラックと、哀愁の歌謡曲メロディの組み合わせが素敵です。

神野:クセになるグルーヴですよね。でも、このグルーヴを壊したくないなと思ったら、めちゃくちゃ気持ちよくハマる歌詞じゃないといけないから、すごく大変でした。この曲は昔からデモがあったんですけど、やりたいけれど歌詞が完成しなくて、やっと今になって完成した曲です。

──歌詞はどんなふうに?

神野:2年前ぐらいから、歌ネットという歌詞検索サイトでエッセイを書かせていただいて、その中のフレーズを1番のABメロに持ってきています。“このエッセイがハマりそうだな”と思ったら、めちゃくちゃハマって、そこからはすごいスムーズに、その先の歌詞も進んでいきました。

──「故障した車」は、つまり二人の恋の象徴であり、故障した車を二人で直そうと。

神野:しかも“見慣れた街にあなたを誘っている”から、めちゃくちゃ深い関係の二人なんですよ。そういうねちっこさも、歌詞に入れていて。

──ねちっこさ(笑)。

神野:深い感じが曲にめっちゃ合うなと思って、そうしました。よくある倦怠期とか、迷子になっている時の気持ちと重ねて聴いてもらえれば、とも思いますし、シンプルに人生に辛い時に重ねてもらってもいいですし。

──ラブソングであり、ライフソングでもある。

神野:そうですね。

──そういう歌詞のテーマやキーワードって、日頃から書き留めていたりするんですか。

神野:めっちゃ書いています。2番、3番の歌詞も、そのエッセイを書いていた時期に出来ていて、ちょうど同じ空気感でハマった歌詞です。

──そしてまた“コーヒー”が出てくる。神野さんの歌詞、よくコーヒーが出てきますよね。

神野:はい(笑)。この「故障した車」が先行配信された時に、ファンのみなさんのコメントを見ていたら、「「ブラックコーヒー」のアンサーソング」というコメントをすごい見かけて、そんなつもりは全然なかったんですけど、たぶん“コーヒー”が入っているからですね。

──「TO MY FREEDOM」にも出てきますね、コーヒー。

神野:出てきます。もともと「ブラックコーヒー」という曲を書いてからハマり出したコーヒーが、今出てきていると思ったら熱いですね(笑)。

──「ブラックコーヒー」って、確か、神野さんが最初に作詞を手掛けた…。

神野:そうです。まだコーヒーにしがみついています(笑)。

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