踊るところを見られたらキャリアが終わりになっちゃう! | ――あなたが自分で作品を書く若いシンガーだということで大評判になっていますが、どうしてだと思いますか? MICHELLE: 私がシンガーソングライターだということでこんなに大きく騒がれているのは、現在のシーンにはあまり多くないタイプだからでしょう。今どきの若いシンガーの多くは音楽を作ることをしないから、18歳の気持ちを発信するものになってないのよ。私の音楽は18歳のために18歳が作っているようなものね。18歳の世代が真剣に受けとめてくれるような経験が書けていれば、つまり歌詞をよりパーソナルなものだと感じてもらえればいいんだけど。本当のところ自分ではよくわからないの。私の意見はそんなところね。 ――レコード制作については取り組み始めたばかりですが、“こんなソングライターを使え”とか、例えば“ダンスを習得すべきだ”みたいなことを言う人はいませんでしたか? MICHELLE: 私がレコードを作ったときには“もうちょっとポップなサウンドにしたほうがいいんじゃない?”とか“ちゃんとした衣装を着たほうがいいよ”とか“ダンスもやってみるべきだ”なんてことを言いに来る人はひとりもいなかったわ。私が踊るところを誰かに見られたら、キャリアがおしまいになっちゃう! Maverick Recordsに見出してもらえたのはラッキーだったの。私はアコースティックギターの弾き語りで、“私はここにいる、ありのままの姿を受けとめてほしい”みたいな感じだったし。彼らはそうしてくれたし、今のようなかたちになったのは幸運だった。だって私は、自分そのものしか提供できないタイプだから。自分に関する意見をもっと取り入れるべきかどうかも、よくわからないのよ。 ――自分のアートというものに関する枠組みをどのようにして決めてきたのですか? MICHELLE: 私が自分のアートに関してきちんと定義しているのは、音楽が私にとってはアートであり、私の見た目よりも音楽そのものが重要だと考えているからよ。それはたぶん、この3年間にポップスの世界を目の当たりにしてきて、何が起こって、どんな人が何を言ってきたかを知ったからね。つまり、自分自身をしっかり持って音楽に集中していれば、何も問題はないはずだと思っているの。 ――どんな音楽に影響を受けましたか? MICHELLE: クラシックロックをしょっちゅう聴いていた両親から影響を受けたの。私が大きくなる間ずっと鳴らしていたわ。Led Zeppelinをよくかけていたし、車に乗ったときにはオールディーズのラジオ局を聞いたものよ。私が気に入ってインスピレーションを受けたのはそうした音楽で、育っていく過程でそのときどきに流行っていたPaula Abdulのような音楽よりも、いつでもクラシックロックのほうを聴いてたわ。“何を聴いてるの?”ってしょっちゅう訊かれるけど、私は今でもそのへんのレコードを鳴らしているのよ。QueenとかLed ZeppelinとかAerosmithとか、そういうのをね。でも最近のもけっこう聴いているわ。Black CrowesやTrainはお気に入り。Trainの新しいレコードは本当に素晴らしい。それからLifehouseとCallingも好きよ。彼らとは一緒にツアーすることになっているの。レコードでファンになったアーティストとロードに出られるなんて最高よね。彼らの仕事ぶりをみられるのは本当にすごいことよ。訊きたいことがいっぱいあるわ。 ――女性アーティストの影響は? MICHELLE: おかしなことに、私がいつでも男性ロックバンドばかり挙げるものだから、みんな女性アーティストからの影響について質問してくるのよ。私はずっとLisa Loebの大ファンだったし、Joni Mitchellが本当に大好きなの。でも不思議なことに、私はいつでも男性ロックバンドのほうに傾倒してしまうのよ。なぜだかわからないけど。 ――アルバムには今風なタッチも加えられていますが、それはどのようにしてできたのですか? MICHELLE: スタジオに入っているとき、たくさんの人からレコードをどんなサウンドにしたいか決めたかどうかって尋ねられたわ。ループを入れたいかとか、こんなサウンドにしたいのか、とかね。どんなディレクションで進めるかについてはほとんど話をしないで“素”の状態でスタジオに入って、クリエイティヴなスペースを取っておくようにしたの。John Shanksと私はとても緊密に協力して、一緒に曲も作ったわ。 そのままのかたちで演奏し始めたんだけど、ドラムループを入れることになったのは……。つまり、この数年間でポップミュージックはとっても大きなブームになったし、現在の世界で起こっていることに影響を受けないわけにはいかなかったのよ。だから“こうすればとってもポップになるよ”みたいなことじゃなくて、自分たちにとって良いサウンドだと思えるものを作ることが自然の成り行きだった。それぞれの曲にとって適切と思ったやり方をしただけなの。“これはどうしてこうなったの?”っていつも訊かれるけど、そのほうがいい感じだったからで、別に座り込んで“こんなふうにしたい”とか考えたわけじゃないの。 ――スタジオに入ってクリエイティヴなプロセスを経験するという、ある意味で祝祭的な出来事はどんな感じでしたか? MICHELLE: レコーディングを開始したときよりも、私はアーティストらしくなってスタジオを後にしたと思うわ。スタジオにいて、とくにJohn Shanksと過ごしたことで、多くのものを学んだのよ。彼は素晴らしいギタープレーヤーだし、作曲のしかたを見ることもできた。私は誰もがやっているような作品の断片を持ち込んで、それを取り入れて今歌っているような作品に仕上げることができたのは、とってもクールなことだと思う。 インディペンデントでレコードを録音したこともあるけど、今回は自由に使える予算もあったから、スタジオでの経験はまるで違ったものになったわ。例えば、スタジオにいてチェロを試してみたいと思ったら、“これにチェロを入れてみたい”と言えば、誰かが手配してチェロの人を連れてきてくれるのよ。以前なら手に入らなかったような素材の多くが使えるようになったおかげで、クリエイティヴでいられる余裕ができたし、何も妥協しなくてすむようになったわ。何かアイデアを思いついたら、表現すればいいの。テープ上に何かを記録することを阻むような理由は何もないのよ。 とにかくスタジオに入って作品をクリエイトするのはとっても楽しかったわ。スタジオに戻ってサウンド作りをするのが待ちきれないくらい。実際のところ、私は今でもJohn Shanksと一緒に曲を書いたり作業を進めたりしているし、もうセカンドアルバムのことを考え始めているの。 ――いつも曲を書いているのですか? MICHELLE: ソングライティングは留まるところを知らない作業よ。私はコンスタントに書いているわ。でも何に対してもインスピレーションを感じられないときには、まったく書けない。曲作りは私を無防備な状態にしてしまうの。何トンもの曲を書けそうなソングライティングのムードに浸れるときもあれば、何も書けないようなスランプに陥ってしまうこともあるわ。 ――いつでも立ち戻れるような特定のテーマはありますか? MICHELLE: 私がいちばん多く曲を書いているテーマは愛だと思う。考えてみれば世に出ている歌のほとんどはラヴソングよね。普遍的なトピックなの。誰もが愛に関心を持ち、誰もが誰かを愛したいと思い、誰もが人生のある時期には恋に落ちる。だから、いちばん書きやすいテーマなんだわ。本を読んでも、映画を見ても、人の話を聞いても、自分のことを話すにしても愛に関する話題は登場するし、それがどんな感情なのかわかっているから、ソングライティングというかたちで表現できるの。私がかなり力を入れているテーマと言えるわね。 ――振り返ってみて、レコード制作においていちばんクールだったのはどんなことですか? MICHELLE: いちばんクールだったのは……そうね、完成するときだったかな。作業が終わりに近づくにつれて、私は自分たちのハードワークのすべてが報われつつあることを認識し始めていたの。レコードを完成させてみんなに別れを告げるとき、“これでもう、明日またここに来て、みんなと仕事をすることもないのね”って言うのは、とってもつらかった。レコード作りに参加した全員が、とってもクリエイティヴな仕事を成し遂げたって感じられたのはクールだったわ。それに、こんなことが実現できるってことを体験できたのはとってもエキサイティングだったし、インスピレーションに溢れた作業だった。 レコードの内容でいちばんクールなのは、何人ものドラマーにプレイしてもらったことかな。私はドラマーの大ファンなの。Led Zeppelinの大ファンだった私はいつでもドラムの音に耳を傾けていたけど、今回のレコードでは伝説的なドラマーのKenny AronoffとVinnie Colaiutaに参加してもらったのよ。そんなレベルの高いミュージシャンが自分のレコードでプレイしてくれるなんてね。生のドラムスを入れるまでは、レコードを完成させた気分にはなれなかったけど、その作業がうまくいったら、ふんぞりかえって“ワオッ、こいつはへヴィデューティなサウンドだぜ”って感じになれたわ。本当にクールな出来事だった。信じられないくらい。 ――自分の曲を初めてラジオで聴いたときのことを教えてください。 MICHELLE: 初めて「Everywhere」をラジオで聴いたのは、デトロイトにいるときだった。ラジオ局を訪問した直後に、番組のディレクターが“彼女は自分の曲がラジオでかかるのを聴いたことあるのかい?”って電話してきたの。みんなが“ないんじゃないかな”と答えたら、彼は“車の中にいて。5分以内にかけるから”ってね。その週末はパパが一緒にいて、Maverick Recordsのスタッフも来ていたから、私たちはみんなで車の中に陣取って大音量で聴いたわ。とってもクールな出来事だった。ラジオで自分の曲を聴いたときには、自分が正しいことをやっているんだと認めてもらったような気分だったわね。その曲を聴くたびに“正しいことをやらなくちゃいけない”って気持ちにさせられるの。自分の努力が報われるというのは、ちょっといい気分ね。ラジオ局へ出掛けていって挨拶回りをしたり、番組に出演したりといろいろとやっているときには、そうした活動がどれほどの効果をもたらすのか、なかなか理解できないものだから。 ――大成功を収めたことで、あなたの生活は大きく変わる可能性がありますね。そういうことを考えたことはありますか? MICHELLE: 全然考えないわね。例えば今、ロスアンゼルスに移ってアパートメントを購入したいと思ってるんだけど、それはとってもエキサイティングなことなのよ。つまり、いかにも18歳らしい“家からの独立”ってわけね。完璧な場所を見つけてあとは引っ越すだけだったんだけど、そしたら突然いろんな人が電話をしてきて“ビルのセキュリティはどうなってる?”とか言うのよ。私が“治安の良いエリアなの”って答えても、“扉とかブザーとかはちゃんとしてるの?”ってね。それに“ノー”って言ったら、“そんなところには引っ越すべきじゃないよ。何か別の方法を考えたほうがいい。あと1年は動くべきじゃないな”とか言うわけ。私が“どうして?”って訊いたら、みんなは“来年には状況がすっかり変わって、君の部屋のドアをノックするような人も出てくるかもしれない。そんなことにはなってほしくないだろう?”って言うのよ。私は“ああ”って感じだったわ。そんなこと考えてもみなかったからね。みんなが私に注意を促してくれたのよ。それで私はまるでパラノイアになってしまったけど、そうなる理由なんてないはずよね。確かにどんなときでも用心にこしたことはないんだけどね。よくわからないわ。そんなことを考えるのはとっても変な気分よ。 ――ファーストシングルはどんなふうに作られたのですか? MICHELLE: ファーストシングルの「Everywhere」に関しては、これは何を意味しているのかってみんなから訊かれ続けてるわ。とくに何かについての歌というわけじゃないの。曲を作るときには、できるだけオープンなかたちにするようにしているのよ。つまり、リスナーが“ああ、この娘はあーしてこーしてこうなったけど、自分はそんなふうにはならない”と思ってしまうような曲は作りたくないのね。それだと共感を得られないでしょ? もちろん私が曲を書いたのだから、自分が経験したことにどこかで触れることにはなる。でも、私としては聴いた人が“この娘の歌はこういう意味だと思う”と断定できるような曲にはしたくないの。 たしかに私だって“彼女が言いたいのはこういうことね”とか“彼女の背景にあるものはとってもよくわかるわ”みたいに考えてしまうことがときどきあるんだけど。たくさんの人たちが“ボーイフレンドと2人で曲を聴いたんだけど、彼とのいろんなことをあれこれと思い出させてくれたわ”っていう電子メールをくれる一方で、“敬虔な生活を送っている私たちにとって、この歌は神への信仰を再認識させてくれるものだ”みたいな手紙を書いてくる人たちもいるのよ。まったく異なる解釈をしている人たちが、同じようにひとつの歌を気に入ってくれているの。そんな曲が書けたことを嬉しく思っているわ。だって、そのほうが聴いた人に共感してもらいやすいからね。 ――この曲を書いたとき、どこにいたか覚えてます? MICHELLE: 「Everywhere」を作ったときには寝室にいたわ。それで私のウェブサイト(michellebranch.net)をデザインしてくれている娘に電話して“とってもクールな歌ができたから新しいレコードに入れたいの。まだわからないけど、アルバムの最初の曲にしたいわ。そんなフィーリングの曲よ”って言ったの。それでアルバム作りが進んで、曲順を決める段になったとき、それをオープニングに持ってくることになった。私はまた彼女に電話して“私は正しかったわ! あれが最初の曲になったの。自分でわかっていたのよ”って報告したわ。とってもクールなことね。 ――たしかに、どこかグッとくるところがあったんでしょうね。 MICHELLE: 面白いことに私は曲を作るとき、その曲がどうなるか見えなかったり、自分で盛り上がれなかったりしたら、あまり力を入れないことにしているの。でも中には「Everywhere」みたいに、作り始めたとたんに曲がまとまりだして、どんなサウンドにしたいのかとか、どんなふうに完成するかが聞こえてくるケースがあるのよ。自分でも気付かないうちに没頭しきっていて、曲の全体像をつかんでるのね。そうならない歌については、それ以上かまわないことにしているわ。それに作った曲をとくに書き留めることもしていない。Paul McCartneyが話してるのを見たんだけど、Beatlesも良い曲ができると覚えてしまうから、書き留めることはまったくしていなかったんだって。私も同じようにしているの。作った本人が覚えられないような曲を他の誰が覚えてくれる?っていうのよ。たしかにそうよね。 ――「All You Wanted」について話を聞かせてください。 MICHELLE: 「All You Wanted」はレコードの中でもお気に入りの曲のひとつよ。アルバムの中のとってもシンプルなアコースティックソングとしてスタートしたんだけど、思い描いていたとおりのサウンドなったし、スタジオで歌うときにもちゃんと表現できたから、アーティストとしてとっても満足できた作品だわ。レコードに収録されてから聞き直してみても、自分が望んだかたちを100%再現できていると思えるの。自分の赤ん坊みたいなものだから、とってもクールなのよ。アコースティックな歌として取り上げた曲を育てながら成長を見守り、今度はレコードに収録して巣立っていくのを見送るの。この曲は次のシングルになるかもしれないわね。私としてもそうしたサイクルでやっていくつもりよ。とにかくこの歌にはとっても満足してる。お気に入りのリストで上位にくるのは間違いないわ。 ――自分のレコードを聴いてますか? MICHELLE: “自分のレコードを聴くか”ですって? 何度か聴いたわよ。インスピレーションを得るためにね。例えばツアーのリハーサルに入る前に、ギターパートのどの部分をライヴショウのために残しておくか、あるいはどのように変えてしまうかを検討するために聴いたの。でも最近じゃ、誰かと出掛けるときに聴いてもらうのを楽しんでいるわ。車に乗り込んで自分のアルバムを大音量で鳴らすなんて変な気分だけどね。 ――アルバムの発売日については、何か計画してますか? MICHELLE: ミネソタ州のミネアポリスにいて、アコースティックのショウをやってるわ。レーベルのスタッフや一緒に仕事をした人たちとパーティをするつもりだったんだけど、たしかその週の金曜日に変更したはずよ。レストランへ行ってカラオケパーティをやるの。どんな曲でも歌えるようにしておくし、私のアルバムも全曲カラオケバージョンで用意しておくつもり。一緒に仕事をした人や、私のために働いてくれている人が私の曲を歌ってくれるのを見るのが待ち遠しいわ。本当に楽しみにしてるの。とってもエキサイトしてるわ。面白くなりそうよ。 ショウが終わるころには親たちのほうがエキサイトしてるの | ――Lifehouseと一緒にツアーに出るのはどんな気分? MICHELLE: 最初にLifehouseとツアーするって聞いたときは、とってもエキサイトしたわ。だって彼らがこれまでにやってきたことは、私も同じ道のりをたどって経験することだもの。この間メンバーのみんなと会って話をしたけど、彼らは“そうそう、僕らにもそんなことがあったよ。そのときはこんなふうに対処したり、あんなふうに心がけたりしたものさ”っていう感じで、とっても参考になったわ。多くのアーティストが同じような経験をして苦しむのは、情報が受け継がれていないからよ。自分が経験したことなら、どうしてそうしないのかしら? 情報を受け渡していくべきよ。だから彼らとのミーティングは楽しかったし、みんないい連中だったわ。そんなクールな人たちとロードに出て演奏し、あちこち回れるなんてほんとにエキサイティングなことよね。 ――ツアーということについてはどう思います? MICHELLE: ライヴで演奏するのは、私の最も好きなことのひとつよ。私が演奏を始めたころは、つまりスタジオに入る前のことだけど、いつもアコースティックでプレイしてたの。だからバンドと一緒に演奏するようになったのは最近のことだけど、それだけにとっても興奮しているのよ。ライヴで演奏するのは大好きだし、ツアーに出てアメリカ中や世界中を見て回るのを本当に楽しみにしてるの。 ――そういうチャンスはこれまでまったくなかったんですか? MICHELLE: まだバスだって用意してないのよ。ヴァンがあって、それで全部やってたわ。いくつかのショウでHansonと一緒に回ったけど、クレイジーだったわね。女の子の黄色い声がすごくって、ちょっと面白い状況だったわ。興味をそそられる光景よ。だから、ツアーに出るのをとっても楽しみにしているの。 ――あなたのファンはどういう人たちですか? MICHELLE: 私のファンは一緒に出歩いてるような子たちよ。つまり、大半は同世代の女の子なんだけど、私のショウがクールなのは、彼女たちが両親を一緒に連れてくるところなの。それでショウの終わるころには、親たちのほうが子供たちよりエキサイトしているのよ! “素晴らしいわ!”って感じで、サインまで求めてくる。だから私のファンは同年代の子たちから、その親たちや兄姉たちまで幅広いの。 ――ビデオについて聞かせてください。 MICHELLE: 家にいるときはいつでもMTVの「Making The Video」を見て、“ビデオってどんなふうに作るのかしら”と思っていたから、自分のビデオを作ることになって本当にエキサイトしたわ。それで話がうまく進んでLiz Friedlanderに監督してもらえることになったの。2日スケジュールを空けて撮影に入ったんだけど、そのとき私はまだ17歳だった。つまり18歳未満だったから、1日に働ける時間とか、2時間は家庭教師につかなくちゃいかないとか、いろんな制約があったの。 とっても奇妙な感じだったわ。何にも心構えができないままにスタジオに行ったら、衣装とメイクを整えてスタンバイして、すぐに“ハイ、5、4、3、2……”って始まった。私のほうは“こんなに大勢の人が携わっているのね!”みたいな感じだった。それぞれがレフ板やライト、カメラなんかを持って立ってるのよ。合間には誰かが駆け寄ってきて、髪を直したりするのね。私は“本当に変な感じ、こんなのには慣れていないわ”と思ってたの。だから私は最初とってもシャイで、どうやっていいのかまるでわからなかったけど、2日目には“OK、やりましょう。さあ、回してよ”って感じになれたわ。とってもクールな経験だったわね。この世界の別の側面みたいなものを見れたし、“彼女はこれをどんな感じにまとめるのかしら? まるっきりクレイジーだわ”みたいな気分だったの。でも完成した作品を見たときには、あらゆるパートがひとつになっているのがわかったわ。歌にもとっても合っていると思うし、Lizとはまた一緒にやりたいって心から望んでいるの。本当に楽しい経験だった。 ――この曲はテレビの「Gilmore Girls」に使われていますね。番組のファンなのですか? MICHELLE: テレビはあんまり見ないほうなんだけど、レコードを作っている間はずっと水曜日の夜が来るたびに“John、「Gilmore Girls」が始まるわ。ひと休みしない?”って感じだったの。でも彼は“ダメだよ、僕は「Friends」を見るんだから”って言うのよ。それで、いつも何を見るかでチャンネル争いをしてたの。私は「Gilmore Girls」の大ファンだから、ビデオを作るということになったときに男優のJared Padaleckiに出演してもらおうとしたんだけど、彼は撮影からオフを取っていたので実現しなかったわ。でも、私のほうが番組に出ることになるかもね。そうすれば会えるわよね? 私の歌をプロモーションに使っているんだから。 ――将来的には演技をしてみたいですか? MICHELLE: たぶんね。可能性を排除することはしないわ。だって私はミュージカルの舞台をやりたくて歌い始めたわけだし、そこに戻っていったとしても、何の不満もないのよ。 ――あなたのウェッブサイトはどんな感じですか? MICHELLE: 私はインターネットジャンキーで、契約してレコードを出すことになる前は自分の音楽をネットで流通させるつもりでいたの。小さな町に住んでたから、ファンのベースもそんなに大きくなかったしね。レコーディングしたデモをMP3にしてサイトにアップしてみたの。それを聞いたサイトデザインをやっているっていう娘に送ったら、“CD分の経費でサイトを作ってあげる”って言うんで“じゃあ、お願いするわ”ってことになったの。それで自分たちのサイトを立ち上げて、MP3をアップしたわけだけど、私は自分の好きなバンドや同じようなオーディエンスにアピールしたいと思ったアーティストのサイトに出掛けていって、掲示板に“さあ、うちに来て私のMP3を聴いて”って書き込んだりもしてるわ。それはずっと前からやってるし、しょっちゅうインターネットに入っているのよ。おかげでイタリア、ドイツ、オーストラリアなんかからも電子メールや電話をもらうの。私のライヴを見たこともない人たちだけど、音楽を聴いて気に入ってくれたわけで、ファンベースは順調に拡大を続けていると言えるわね。 私のウェブサイトにはmichellebranch.comとmichellebranch.netの2種類があって、michellebranch.comはフォトギャラリー/バイオ/ツアーデイトなんかを載せた典型的なレーベルのサイト。もうひとつのmichellebranch.netは私に関するパーソナルなもので、日記やツアーフォトなんかを自分で掲載してるの。個人的なサイトなんで、ファンの写真とかも見ることができるわ。2つのサイトのいちばんクールなところは、Play It Forwardっていうオンラインのeチームを始めたことかな。これは映画の『Pay It Forward』を見て思いついたアイデアなの。私のアルバムから2曲再生してくれるインターネットのポストカードを、3人の友達にメールで送るというものよ。3人っていうのはあくまでも希望なんだけど、受け取った人がまた3人にメールしてくれることを期待しているわけね。ネズミ算式に増えていくわけだから、とってもクールでしょ? それに友人を紹介したり、違うラジオ局やMTVにリクエストするたびに、ポイントが増えていって賞品がもらえるの。例えばロードに出てるときだったらLifehouseツアーの楽屋へ招待とか、サイン入りギターなんかが貰えるというわけ。 私の同世代や回りの友人たちはみんなインターネットにはまっているわけだから、私としても自分の仕事にぜひとも取り入れたかったの。立ち上げのときには“自分がファンだったらバンドのウェブサイトに何をしてほしいだろう”とか“自分は何をやってみたいのかな”なんて考えてみたわ。それで本格的にスタートしてみたら、インディペンデントで始めた2年前から知っているような子供たちがみんな来てくれて。彼らの名前も覚えたし、電話をしては“応援してくれてありがとう”ってお礼を言うのよ。インターネットにはとっても誇りを持っているわ。 By Neal Weiss |