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Ian Astbury(イアン・アストベリー):Vocals
Billy Duffy(ビリー・ダフィー):Guitars
John Tempesta(ジョン・テンペスタ):Drums
Grant Fitzpatrick(グラント・フィッツパトリック):Bass
Damon Fox(デイモン・フォックス):Keyboards / Rhythm Guitar

アーティストの中には、奇抜でハッとするようなスタイル感覚にめぐまれ、当然のようにロック・アリーナをにぎわせる者達がいる。また、他のアーティストからいいとこどりをして上手く組み立てるという巧みな技を、本能的に持ち合わせごく自然に成功している者もいる。Cultは後者にあてはまり、その中でも並外れた腕を持ったバンドである。しかも、そうやって作り上げた音楽を、他とは一線を画すキャラクターに変え、ファンを虜にしてしまった。彼らが登場した''83年には既に、もはや徹底的に使い古されたと思われているスタイルばかりがロックの世界には存在していたが、Cultはその罠にはまることを避けることすら巧みにやってのけた。

当初Southern Death Cultと名乗っていたイギリス出身の4人組の1stアルバム『Dream Time』は、轟くようにエネルギッシュなロックの部分と、ニュー・ウェイヴっぽいポップな部分、そして無気味なゴスの雰囲気を合わせ持った、強烈な作品だった。しかし、『Love』が出るころには、そのハイブリッドな様式を洗練させ、明確な方程式へと変えていく。それは、Led Zeppelin風の頭のトリップした神秘主義と、明解なソング・ライティング、AC/DC風のギターのハイ・ヴォルテージ・サウンドの激しさを1つまみか2つまみ、さらに心に秘めたロマンティシズムをほんの少々つけ加えるのだ。“She Sells Sanctuary”と“Rain”は、そのポップさが受け、ラジオのプレイリストを独占した。また、その弾んだ感じがダンス・フロアを揺さぶり、憂鬱さがゴス・ファンに受けた。

『Electric』ではさらに強烈な手法を取り入れた。アルバム全体に鳴り響く、Billy Duffyの噛みつくようなギター・サウンドと、Ian Astburyのパワー全開のシャウトである(Robert PlantとChris Cornellの間に位置するに足るシャウトだ)。Rick Rubinの経験豊富なプロデュースのおかげで、彼らの強気のイメージが保たれ、他愛のない歌詞もロック魂の陰にかくれて目立たなくなっている。

『Sonic Temple』と『Ceremony』で、Cultは真面目なロックをさらに深く掘り下げた。しかし、それは厄介な流行を世に解き放つようなものでもあった。曲の中でも、繊細で静かなパートでは、Astburyの真剣だけれども無味乾燥な歌詞が浮いてしまい、パワフルな叙事詩を作り出すことも試みられたものの、彼らがステレオ・タイプのネイティヴ・アメリカンのイメージを間違った形で取り入れてしまったため、それも形にならず。『Temple』からの“Fire Woman”と“Sweet Soul Sister”、そして『Ceremony』からの“Sweet Salvation”と“Ceremony”といった記憶に残るシングルでは、『Electric』での手法を何度も手直しして、すばらしい効果を出そうとした。

しかし、その効き目も薄れ始める。''94年にリリースされた『The Cult』は、彼らの初期のころに戻ったような作品だった。ほとんどの曲がそれなりにいい出来ではあったのだが、残念ながら奇跡はもう起こらず、こうして、''94年に彼らは解散してしまった。

''99年にBilly DuffyとIan Astburyを中心に再結成され、アメリカでライヴを行なった。