音を出す理由が明確に、迷いなくできたアルバム『竜舌蘭』スペシャル・インタヴュー【2】

2004.10.28 10:12

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new album
『竜舌蘭』
2004年10月27日発売
東芝EMI
TOCT-25489 ¥3,059(Tax in)

1.
赤い月に吠える夜
2. 青い亀裂
3. バイオレットの空
4. 二つの足音
5. 千日紅
6. くのいち
7. タクシー
8. 東京
9. うみのうま
10. 初秋
11. 考え事
12. 大人のひみつ

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──この新作を聴いて、すごく大人になったという感じがしたのですが、自分たちでもそう思いますか?

ユウ(中島優美/Vo&G): 分かりますね。変わったところもいっぱいあるし。今まで手探りだったことが、すごく明確に、迷いなくできた感じです。


──表現がタイトになり、シャープで贅肉がない感じなんですよね。

アッコ(浜田亜紀子/Vo&B): うわついてない感じですよね。音を出す理由が自分の中で明確になったというか。


──それぞれソロ活動をされてましたが、ユウさんの方はピアノやストリングスを使ったり、GO!GO!とはかなり違う感じでしたね。

ユウ: いろいろな楽器を入れてみたかったんですよね。GO!GO!ではできないようなことをやりたいと思っていて、曲自体もGO!GO!で作る曲と全然違ったし。

──アッコさんの方は、ロックなんだけどすごい女らしい感じで。

アッコ
: 女らしいってすごく言われるんですけど、意識してやったわけじゃなくて、そのときの一番自然な状態だったんですよね。“GO!GO!のアッコ”っていうイメージもなんとなく息苦しかったし。

──ユウさんはソロでは作詞していますが、今作では書いてないですよね?

ユウ: はい、書いてないです。

──そういう意味では、具体的にソロ活動のフィードバックは? 例えばソロで使っていた新しい楽器や打ち込みをGO!GO!に持ち込んだり……。

ユウ: 逆にシンプルになったと思いますね。多分、私のソロを聴いたら、次のGO!GO!はすごい派手にするんじゃないかと思った人もいたかもしれないんですけど。

──サウンド面より、精神面での影響の方が大きかったと…。

ユウ: そうですね。ソロをやってみてGO!GO!のシンプルさ、カッコよさを改めて実感して。3つの音へのこだわりとか、いろいろ考える機会になって、客観的にGO!GO!を見られたのは大きかったですね。

アッコ: 自分自身の表現方法が広がることで、いろんな方法があっていいんだと思えるようになりました。GO!GO!のあり方とか、その方法を受け入れることができたし、まだまだ可能性があるんだって思いました。

──ターキーさんは2人のレコーディングに関わられたわけですが、どうでしたか?

ターキー(Dr): 2人とも楽しそうにやってましたね。“こういうことがやりたかったんだな”っていう部分も見えたし。僕的にも他のミュージシャンと一緒にできたことで、すごく勉強になって、感謝してます。


──ソロが楽しそうに見えたというと、逆にGO!GO!のときはかなり真剣勝負で、力が入っちゃう面があったり?

ユウ: 無責任さはないですよね。GO!GO!をやってるときは責任感を感じてしまう。代表してギター/ヴォーカルをやってるんで。ソロだと良くも悪くも自分に返ってくる。

アッコ: 今までは“GO!GO!のアッコ”として“やらなきゃいけないこと”を、勝手にたくさん決めてたんですよ。「ライヴでは、私がMCしなきゃいけないんだ」みたいな。そういうのが積み重なって、どんどん楽しくやれなくなっていた。でも、ソロをやることで、“やっぱり私はバンドが好きなんだ”って、単純に音楽が楽しめるようになったんですよね。

 
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『竜舌蘭』
2004年10月27日発売
東芝EMI
TOCT-25489 ¥3,059(Tax in)

1.
赤い月に吠える夜
2. 青い亀裂
3. バイオレットの空
4. 二つの足音
5. 千日紅
6. くのいち
7. タクシー
8. 東京
9. うみのうま
10. 初秋
11. 考え事
12. 大人のひみつ

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──今作の制作前にそれぞれ考えたことはありますか?

アッコ: ソロで自分が得たものを反映させたかったですね。3人になったとき自分ができることは何か?というのを、初めて真剣に考えたんですよ。これまでは自分が表現したいことばかり考えてたから。

ユウ: 私はソロでは歌に専念したから、バンドとして楽しめるアルバムにしたかったですね。演奏して気持ちいい曲だったり、歌って気持ちいいリズム感だったり。

ターキー: いつも思ってることなんですけど、呼吸を大事にしようと思ったんですよ。ドラムって生の楽器で、打ち込みとかじゃないから。多分、上手いドラマーとかって聴いていて呼吸が分かるんですよね。だから、そういうところにいきたかった。音の切れるタイミングとかを大事にしたかったですね。

──ヴォーカリストとしてはどうでしたか?

ユウ: 今回は一番自然にできたと思ってます。今まで考えすぎてた部分があったんですよ。“もっと自分らしく”“もっとGO!GO!らしく”とか、意識することで余計不自然になっていた。何も考えないようにして、純粋に楽しく、気持ちよく歌って、結果的に一番納得がいくものになりました。

──最近書いた曲が多いんですか?

アッコ: そうですね。「考え事」「タクシー」「東京」「二つの足音」の4曲は前からある曲ですけど。


──M1「赤い月に吠える夜」、M2「青い亀裂」なんか、すごくストレートなロックで、かなりこれまでと違う雰囲気だなと思ったんですよね。

ユウ: 「赤い月に吠える夜」は今まで演ったことのない、初めての演り方で作った曲なんですよ。一番最後にできた曲なんですけど、ドラムから作った曲で、ドラムのビートを最初に作って、私はそれに曲を乗っけたっていうやり方で。


──今作は切ない歌詞が多いですよね。詞の内容も直球勝負というか、リアルな感じがしたんですよね。世界観も含めて。

ユウ: そうですね、シリアスな感じが強いと思います。

アッコ: すごい矛盾してるんですけど、詞を書いて自分が言いたいことって、言葉にならない感情だったりすると思うんですよ。でも、切ない感じというのは、合ってるかもしれない。

──アッコさんはオフの間、一ヶ月の長いヨーロッパ旅行に行かれてたそうですね。

アッコ: よかったですね。一人で行ったのも初めてだったし。すごくいろいろな考え方が変わったんです。言葉、宗教、自分が日本人ということも初めて意識させられたし。自分が自由な人間なんだと実感することで、より音楽を楽しめるようにもなったし。

──特に思い出のスポットは?

アッコ: 「バイオレットの空」ってギリシャからイタリアに船で渡ったとき、地中海の夕日がホントに絵葉書みたいな紫色で、その空のことなんですよ。イタリアの空、水色じゃない深い青がすごい綺麗で。


──「バイオレットの空」の歌詞は、政治的にも受け取れる部分がありますけど、当時の国際情勢を反映してたりするんですか?

アッコ: 今回はそういう内容も含まれてますね。音楽にそういう思想を持ってくることをすごく悩んだんですけど、世界情勢が自分の日常を占める割合が大きくなっていて、言わずにはいられなくなって。GO!GO!が今の状態でそういうのを発言するのもやってみたかったし。

取材・文●バークス

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