1 BY YOUR SIDE 2 FLOW 3 KING OF SORROW 4 SOMEBODY ALREADY BROKE MY HEART 5 ALL ABOUT OUR LOVE 6 SLAVE SONG 7 THE SWEETEST GIFT 8 EVERY WORD 9 IMMIGRANT 10 LOVERS ROCK 11 IT’S ONLY LOVE THAT GETS YOU THROUGH
Sadeは、そんじょそこらのディーヴァとは違う。ジャジーなアダルトコンテンポラリー・シンガーとして名を馳せる彼女は、その繊細な表現力に一段と磨きをかけている。アリーナ級のツアーといえば、華々しい振付けのダンスやパイロなどなどの特殊効果に頼って観客を圧倒するものが大半を占める昨今にあって、Sadeはそんなトレンドには汲みせずに独自の洒落たたたずまいを保っており、9月21日、L.A.のGreat Western Forumに集まったファンが見たかったのも、まさにそれなのだ。
Sadeはまた、曲間のお喋りを最低限に控えていた。曲を紹介するにしても、せいぜい2行分程度。母親や娘に感謝したり、あるいは“Smooth Operator”に出てくる悪い男は額に“危険”と印を付けておくべきだと語ったり、という具合だ。世界貿易センターと国防総省へのテロ攻撃から間もない時ではあったが、彼女はそのことには敢えて触れず、しかしショウの冒頭と幕切れの曲がその答えになっていたように思える。Bob Marleyの心休まる“Three Little Birds”が会場に鳴り響く中、ステージに上がった彼女は“Cherish The Day”で幕を開け、2度目のアンコールの後には2人のバックシンガーだけを従えて穏やかなゴスペル風の曲でショウを締め括り、皆を高揚した気分で家路へと送り出したのだ。