| ●2人はお互い外人でしたか(笑)。
Char: そうではいけないのかもしれないけど、人間、そのぐらいサッパリ付き合った方がね。
石田: そうそう。執念深いギタリスト同士のギター×3とか…やっぱりねぇ、聴くようなもんちゃうよ。
Char: くどくなる時があるよね。
●怨念が入ってたりしますから。
Char: あとさ、シャレが通用しないヤツってつまらないね。音楽なんて会話と一緒だから、例えば長いソロを弾けるヤツっていうのは、けっこう長い冗談言うヤツなのね(笑)。一発ギャグの人は、チョーキング一発で“スゲーッ”で終わる(笑)。
●ホントかな(笑)。
Char: ホントホント。
石田: 長い冗談言ってオチ忘れるヤツもいてるからな(笑)。
●起承転…でおしまい?
Char: サンタナを観に行った時クラプトンがゲストに出てきたんだけど、それまでは自分がミュージシャンってことを忘れて、けっこう楽しんでたの。でもクラプトンだからどうしてもチェックしちゃうじゃん? 前回のクラプトンはソロが良くなかったから“頑張れよ”みたいな。でね、 “サンタナ偉い!”と思ったのは、一番オイシイところ…オイシイってどういうところかっていうと、自由なところじゃない? そこをクラプトンに任せるわけよ。俺はね、それは凄いなぁと思った。
●ほう
Char: その逆だったらできるかな?って。でね、クラプトンは相変わらずブルーノートでしか弾かないんだけど、サンタナってマイナーな9thとか6thの感じがあるじゃない? 演歌っぽいところが。途中からクラプトンもそこに指が行きだすんだけれど…もうそれ観てると“何で俺を呼んでくんねぇんだ!”状態(笑)。
石田: そもそもクラプトン、今回の来日は“PRIDE”目的やろ、格闘技めちゃくちゃ好きやから。でもサンタナとクラプトンの相性ってのは20何年前と変わらんなぁ。俺はメンフィスでクラプトンとサンタナのツアーを観たけど、最後、クラプトンのバンドでサンタナが入ってくるところでも、普通やったらガーッと出しゃばっていくところが、オイシイとこだけつまんでクラプトンをすーっと立てるサンタナがカッコええなぁと思ったね。
Char: …サンタナはね、とにかくメンバーとセッションしてた。よかったねえ。同じ武道館でも去年のクラプトンのライヴは…メンバーはスティーヴ・ガッドがいたり、まぁ、凄いお人ばっかりなんだけど、もうバックバンドでさ。
石田: サンタナと彼のバンドメンバーとのコミニュケーションは最高。
Char: そういうところから始めてきたヤツだからね。逆にクラプトンは若いときから年上と演っててさ、気を遣ってたでしょ(笑)。
●先輩になったら、いつか後輩をいじめてやる、みたいな(笑)?
Char: そうそう。そんなこと言ってるうちに“ハリウッド男優になってしまった”みたいな(笑)。でもサンタナはさぁ、けっこうシンプルなリフをみんなユニゾンで演ってて、その辺のピュアな遊び心があるかないかっていうところが、話が戻るけど、音楽を長くやっていけるかいけないか…もしくはスタートがそれかどうかっていうのは大きな違いかもしれないね。ダチと始めてるかどうか、みたいな。それがいつのまにか“ギターが友達”になっちゃうと、けっこう上手になっちゃうよねぇ…家で弾いたら世界一みたいなヤツばっかりで。
●ありますね、それ。
石田: 部屋と楽器屋でギターソロを張り合って、ライヴになったらあがってる(笑)。
●その、ライヴ根性みたいなもの…。
Char: 舞台根性って言ってください(笑)。
●BAHOはその権化のようなものですね(笑)。
Char: そこで、表現の方法が“ほんまやん”と“ほんとじゃん”との差ぐらいあるところがBAHOかな。そこが共通しあっていっちゃうと…狩人みたいになっちゃうんだろうな(笑)。
石田: ヒデとロザンナって言うかと思ってた、あとはビリーバンバンとか(笑)。
Char: そういう美しさみたいなものって、あんまり追求してないから。俺らはタイトさ…みたいなものだよね。でも2人しかいないからグルーヴを作るっていうのもすごい大変なことで、1曲の中でもグルーヴができてる時とできない時とあるぐらいだから。で、演ること忘れちゃったら終わっちゃう世界で、とりあえずコード間違えても右手だけは動いてないと(笑)。
石田: 今回は2部のバラード・メドレーをやって良かったなと思うわ。お互いに作ったバラードはキャラクターも全然違うタイプの曲なんやけど、二人のつながりっていうか…あのメドレーはけっこう好きやね。
Char: ある種、2部がホントの勝負だったのかな。
●そうですね。2部ではっきりとミュージシャン・カラーが出ていましたから。
Char: 見えない部分でのね。一部は見える部分のみのカラーだから(笑)。
石田: 1部は徹底して表現者に務めました(笑)。
Char: 人の曲を歌うぐらいですから(笑)。
●1部は、ジュースで言うなら“無果汁”ですね(笑)。2部は“天然果汁100%”ですが。
Char: そうだね…俺たち、メンバーチェンジできないしねぇ(笑)。それがBAHOが続いてる原因だと思うよ。目的がないから…デビューしよう、とか(笑)。いい意味で、ある程度歳とってから始めたからかもしれないね。基本的には音楽をやりたいっていうところは外人同士でも一緒。そこが最低限かつ最大限の共通項だろうな。
石田: ひとつ思うのは、“ギターを好きなギタリスト”は多い。でも、Charも俺も明らかにギターよりも音楽が好き…つまり、音楽が好きやからギター弾いてるっていう。やけど、ギターの方を優先してる人が意外と多いと思う。
Char: それはギターだけじゃなくて、クラシックのコンサートでも何でも見れば分かるよね。“こいつ音楽解ってねぇなぁ”っていう人は多いよ。スポーツ選手でもそうでしょう。“野球が好きで野球やってるヤツ”と、“勝つだけとか金だけとかプライドだけ”とかでやってても…チームワークがないとダメっすよね、先輩(笑)!
石田: そうや(笑)。
Char: そこは最小限だね。BAHOなんか、今バイバイつったらおしまい(笑)。その最小限の二人っていうところが…漫才もそうなのかもしれないけど、ここはもう自分のキャラクターを磨く以外方法がないわけじゃない?
●そうですね。
Char: おやじミュージシャンだったらレクリエーションだったりコピーで楽しむのも、それでいいんだけど…でも俺らの場合は、現実の仕事が“音楽”だから。BAHOって実は凄くシビアになるわけ。
●ならざるを得ない。
Char: ごまかしがきかない。もう“人”がそのまま出てしまう。で、怖いのは、横でプロから見られてるわけじゃない? バンドが3人だとつるめるんだけど(笑)。
石田: 2人だから派閥の作りようもないわな(笑)。
Char: ピッチャー&キャッチャーでいるしかないわけで、いきなり変化球を投げられても絶対捕るしかないわけよ。ま、俺はキャッチャーだから(笑)。
石田: どの口が言うてんねん(笑)。
●少なくとも暴投は投げられないですね。コントロール悪いうちはBAHOのようなバンドはできそうもないですね。
Char: そう思うよね。
●“無理のない”スタイルが、BAHOの勝因なんでしょうね。
石田: 別の見方をしたら、ホンマ、SMみたいなもんですよ。SMなんて信頼感がないとヒドイだけやもん。
●は?
石田: 信頼感のあるSMなんですよ。お互い、SになったりMになったり(笑)。
一同:(ポカン…)
Char: やったことないから分かんない(笑)。
石田: …かな、と(照笑)。
●そこの中で役割はいろいろ変わるんですよね。
石田: それこそボケ・ツッコミで言えば、こっちがツッコンでたのが気が付いてたらボケにまわってた、とか。全盛期のやすし・きよしの漫才がそうやったんけどね。あれは初めてボケとツッコミがはっきりしてない漫才という、その典型やってん。
Char: ああ、そういえばそうだよね。 |