【ライブレポート】ヴィジュアル系の祭典<MASKED 2026>day2。D’ESPAIRSRAY、Royzら全29組が時代を超えた奇跡の競演「トドメを刺そうぜ、MASKED!」

2026.05.29 23:18

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5月22日から23日に亘り、ヴィジュアル系を世界に発信していくプロジェクト「MASKED」のサーキットフェス<MASKED2026>が、Spotify O-EAST/Spotify O-WEST/duo MUSIC EXCHANGEを舞台に開催された。

初日の22日には総勢29組が出演。キャリアも音楽性も問わず、それぞれのバンドが思い描く「ヴィジュアル系」を掲げての競演は、フェスと言うより「対バン」が近い。長く続くヴィジュアル系の歴史に思いを馳せるとともに、今まさに起こっている新たなムーブメントの熱がすべての会場で感じられた。

そして迎えた2日目、2026年5月23日。本日も同じく29組に及ぶバンドが集結して士気を高める中、満場の観客が期待を胸に開演を待ちかねていた。

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2日目、O-EASTのトップバッターは、なんと初日のトリを務めたばかりのキズ。前代未聞のタイムテーブルから、「MASKED」運営のキズへの信頼と、キズ自身の飽くなき向上心がひしひし伝わってくる。

独特の緊張感が漂う中、初日同様ティザームービーが流れ、いざ開幕。4人は初日と同じ衣装とメイクでステージに現れ、ラストに演奏された「R/E/D/」を1曲目に選んだ。一瞬デジャヴのような錯覚に陥るが、4人が放つ気迫と音はまったく違う。体力的にもラクではないからこそのギリギリ感、昨日の自分たちを超えなければいけないという重圧。「平成」で「もう限界だ! おまえらの力をくれ!」と叫ぶ来夢(Vo)を支えるように、オーディエンスも一体となってライブを作り上げていった。最後に、平和への祈りが壮絶なサウンドスケープを描く「リトルガールは病んでいる。」を贈り、「これが俺らの信じるヴィジュアルロックだ!」と来夢。その言葉が過去ではなく、未来を向いていることを自ら証明するステージだった。

昨年duo MUSIC EXCHANGEのトリを担ったAzavanaが、O-EASTの二番手として登場。ハイトーンのメロディが切なく響く「Hysteria」「秒針に沈めて」など、ダークな激しさと妖艶さを持ち合わせた楽曲でオープニングを彩った。

結成2年目のAzavanaが「MASKED」にたしかな成長を刻む一方、ここからはダウト、摩天楼オペラ、vistlipと、結成19周年組が揃い踏み。紅白のおめでたい衣装で揃えたダウトがキャッチーなロックで踊らせたかと思えば、摩天楼オペラは1曲目の「BURNING SOUL」から鋼鉄魂を迸らせ、圧倒的なスキルで観客を巻き込んでいく。

4月にニューアルバム『DAWN』をリリースしたvistlipは、 智(Vo)の甘い声が幻想的な物語を綴る「未明」や、ピアノとホーンの音色を大胆に取り入れた「Figure」と、アルバムからの新曲群で最新型を示してみせる。2010年代のシーンを支え、今なお個性を磨き続けるバンドたちのブレないスタンスが頼もしい。それぞれの音に、20周年を見据えて一歩ずつ進む静かな覚悟が脈打っていた。

O-WESTは、トップバッターのNICOLASから入場規制が発生する盛況ぶり。初日に引き続き、ポップなサウンドで笑顔を生んだ我が為、情緒溢れるメロディに浸るmitsuと、ソロプロジェクト陣の存在感も光る。そんな中、新世代として頭角を現していたのが、アフターパーティと合わせて本日2ステージを任されたsugarだ。

諭吉(Dr)が休養中のため、兄貴分のキズからきょうのすけ(Dr)をサポートに迎えた編成で登場。「いただきます!」とデビュー曲の「Jam」で火をつけると、「マヌケ」「Ice」とアッパーな楽曲を畳みかける。「MASKED終わらせんぞ!」とギラついた目線で煽るNea(Vo)は、後半フリルの衣装を脱ぎ捨て、上半身裸で叫んでいた。シャウトだけでなく力強いメロディでもオーディエンスの心を貫き、深く爪痕を残すアクトだった。

実力派がひしめくO-WESTを締め括ったのは、RAZORの猟牙率いるNEÜRØMASK。昨年の<MASKED HALLOWEEN -DAY3->で誕生した限定バンドだったが、今回はex.BORNの猟牙(Vo)、K(G)、Ray(G)に海(vistlip/G)、宏崇(蛾と蝶、R指定/Dr)というメンバーが集まり、BORNの楽曲のみというスペシャルなセットリストを披露した。剣(Sadie、RAZOR/G)や衍龍(RAZOR/G)ら見学に来ていた仲間たちも乱入し、フィナーレに相応しいハチャメチャな大騒ぎを繰り広げたのだった。

第三の会場・duo MUSIC EXCHANGEでは、初日以上に新進気鋭のルーキーたちがしのぎを削る。トップバッターの黒蜜は、バンド始動後初ライブの場に<MASKED 2026>を選んだという気合の入り様。「トー横OD」「君のハーフツインを食べたい」などインパクトの強い楽曲でオーディエンスを取り込み、初ライブとは思えないステージングで大きな可能性を知らしめた。

妖-Ayakashi- から改名したナキリも、<MASKED 2026>が初ライブ。メンバー全員が袴の衣装で揃えるなど和風の世界観を確立し、和旋律を軸にした楽曲が妖しくも美しい。

続くルルノネは、昨年<MAKED mini>への出演を経て、再び挑んだ「MASKEDオーディション」を勝ち抜いてこのステージに辿り着いた。白塗り&三つ編みスタイルが印象的なやもんのパワフルな歌声とフランクなMCが炸裂し、最初は遠巻きに見ていた観客もぞくぞく前方へ引き寄せられていく。個性派ヴィジュアルに負けない激しい楽曲と演奏力を、念願の「MASKED」に刻みつけた。

昨年のオーディションでオープニングアクトを勝ち取った東京花嫁が8番手に出演するなど、オーディションも「MASKED」の欠かせない要素となっている。もしかしたら、<MASKED 2026>の観客の中からオーディションに挑むバンド/アーティストが出てくるかもしれない……そんな未来の物語に期待が募った。

O-EAST後半戦は、2026年にしか実現し得なかった奇跡の競演が続く展開へ。口火を切るのは、昨年14年ぶりの再始動を果たし、5月4日に再始動後初ワンマンを終えたばかりのD’ESPAIRSRAYだ。1曲目の「BORN」からソリッドなサウンドが轟き、声帯トラブルを乗り越えて復活を遂げたHIZUMI(Vo)は、さながら甦った魔王というべき佇まいで君臨。「ぶっ壊しにきました!」と不敵に煽り、空間を引き裂くシャウトやエネルギッシュな歌声を響かせる。壮大かつラウドな新曲「RAPTURE」を始め、スリリングなグルーヴが渦巻く「DESERT」、ゴシックな「DEVIL’S PRADE」など、洋楽に通じるエッセンスは彼らの強み。世界中にフォロワーを持つ魅力をいかんなく発揮し、衰えぬどころか現在進行形のバンドとしての足跡を「MASKED」に残した。

続くアルルカンは、ニューアルバム『imagine』をひっさげてのロングツアー真っ只中。暁(Vo)が切なく歌いあげて始まる「DAWN」や、ダンサブルな4つ打ちビートの「Heaven or Hell〜艶派手〜」など、ニューアルバムの楽曲で最新のスタイルを提示していく。「MASKED」オリジナルアーティスト写真と同じメイクを施した暁は、「D’ESPAIRSRAYのライブを袖で観ていて、最初はワクワクしたけどだんだんヒリヒリしてきた。同じステージに立ってる以上対等ですから、負けるわけにはいかない」と熱く語り、大先輩に挟まれた重圧を力に変えてマイクを握る。絶望も希望も飲み込んで進み続ける決意を込めたバラード「世界の終わりと夜明け前」が、どこまでも美しかった。

去り際の暁が「Sadieが来るぞー!」と愛ある言葉を残したように、2024年に活動を再開したSadieは「MASKED」出演を強く望まれていたバンドのひとつだろう。待ちかねた観客の前に威風堂々と現れた5人は、「迷彩」「心眼」とリバイバルで生まれ変わった名曲を惜しみなく披露。進化したヘヴィネスと歌心で会場を席巻した。真緒(Vo)が「怖いバンドだと思われがちですが、ちょっとお兄さんなだけなので。お兄ちゃんと呼んでください」と語りかけてお茶目な側面を覗かせていたが、5人5様の色気とカリスマ性はやはりすさまじい。疾走ナンバー「クライモア」から、剣&美月の華やかなギタープレイが映える「陽炎」で締め、圧巻の狂騒空間を作り上げた。

ボルテージが高まりきった「MASKED 2026」の大トリは、昨年O-EASTでトップバッターを務めたRoyz。9月の日本武道館公演に向けて走ってきた1年間の歩みを示すべく、鬼気迫るオーラを纏ってステージに立った。昴(Vo)が「トドメを刺そうぜ、MASKED!」と叫び、最新シングル曲「START LINE」を放つ。きらびやかなメロディとメッセージで空気を塗り変えたあと、「VENOM」「TRANSFORME」とアグレッシブに切り替えれば、振り納めとばかりにヘッドバンギングが大量発生。緑のペンライトが揺れた「丸の内ミゼラブル」ではレトロポップに、初期ナンバー「JOKER」ではダークにと、さまざまな表情を見せて魅了した。

改めて武道館公演を告知し、「一生懸命これからも走っていくので、よろしくお願いします!」と昴。「さぁ、いこう」とまっすぐ前を見据えた彼らを、「GIANT KILLER」の大合唱が包み込む。この場所に集まった全員がひとつになって明日への一歩を踏み出す、眩い光に満ちたフィナーレだった。

終演後、10月25日~11月1日の8日間に亘る<MASKED HALLOWEEN>」、さらに<MASKED 2027>が2027年5月2日~29日の3daysで開催されることが発表された。数々の名場面を生んだ2日間を超え、次はどんな景色が生まれるのか。バンドとオーディエンスの熱量を糧にますます大きくなっていく「MASKED」から、今後も目が離せない。