【連載】Hiroのもいもいフィンランドvol.156「Temple Ballsインタビュー」

2025年秋ギタリストのニコ・ヴオレラが他界という悲しいニュースが飛び込んできたフィンランドのメロディック・ハードロックバンドTemple Ballsから、そのニコの発売希望でもあったセルフタイトルのニューアルバムが2026年2月にリリースになる。

昨年このアルバムから2曲先行シングルがリリースになっていたが、今月先行シングル第3段として「Tokyo Love」がリリースになった。ニューアルバム、そのシングル、ニコの思い出話などアルデ・テロネン(Vo)とイミ・ヴァリカンガス(B)がインタビューで語ってくれた。

──2月にリリースされるTemple Balls 5作目となるニューアルバムのタイトルがあなた達のバンド名『Temple Balls』ですが、なぜ今回セルフタイトルをつけたのですか?
イミ:これがTemple Ballsだというサウンドを見つけ出すことができ、どうやったらそれを作り出すことができるか自分たちのスタイルを築き上げることができ、それに敬意を表した。セルフタイトルをつける時がやってきたんだ。
──昨年秋あなたたちのギタリスト、ニコ・ヴオレラが闘病の末他界したという悲しいニュースが飛び込んできて、昨年夏と秋のライブが病気のためキャンセルになった時、もしかして病気が再発したのではないかと心配ではあったものの、まさかの信じられないニュースでした。ニコはニューアルバムの曲をすべてレコーディングすることはできましたか?
アルデ:あぁ、すべてレコーディングできた。夏に一つあったライブ予定をキャンセルしたその週にもレコーディングをやってて、そのまま続けたんだ。
イミ: ニコは自分の担当するギターのパートは全部レコーディングを終えることができたよ。
──そのレコーディングはいくつかのスタジオで行われたのですか?
イミ:レコーディングの基礎となるものはこれまで通りStudio57( Sonata Arcticaのパシ・カウッピネンがオーナーの一人のスタジオ)で行い、ドラムはそこでレコーディングしたんだけど、他の多くは北のオウルのスタジオでもレコーディングした。
アルデ:一部はスウェーデンのH.E.A.T.のホームスタジオでもレコーディングしたんだ。
イミ:これまでは同じスタジオに集まって一緒にしてたんだけど、今回はフィンランドでもStudio57の他にオウルとヘルシンキ、加えてスウェーデンとあちこちでしたことになる。
アルデ:あぁ、フィンランドでもいろんな場所でしたな。オウルでもしたし、一部はニコと一緒にヘルシンキでもして、ヴォーカルの一部パートはスウェーデンだったり。プリプロダクションで出来上がっていた一部ヴォーカルはとてもよかったので、新たに録りなおす必要がなくそのまま使ったものもある。
──新しいアルバムの中にはニコにとって大事な曲みたいなのはありますか?
アルデ: すべての曲だ。で、大事なのはその曲がつまってるアルバムそのものだ。
イミ:出来上がってヘルシンキに行って一緒に聴いたりもしたんだけど、このアルバムまるまるニコにとって大事なものだと思う。すべての曲をレコーディングできて残せたという意味でも。曲を一つあげるとなると「Lethal Force」かな。その曲にはとてもエキサイトして入れ込んでたな。
──では何かニコの思い出話してもらえますか?
イミ:ニコの思い出と聞かれると暖かい思い出しかないんだけど、いっぱいありすぎて、、、
アルデ:う~ん、いっぱいある中で一つあげると、スウェーデンでライブをやった時のことなんだけど、ジェフ・スコット・ソートのライブが同じ日にあって、俺や他のメンバーも彼のファンだけど特にニコが大ファンで、偶然現地のバーでみかけて「ニコ、後ろ見てごらん。誰がいると思う?ジェフ・スコット・ソートがいるよ。」って言ったら、びっくりして目を大きく開いて、ぐるっと後ろを振り向いたニコが「なんてこった!ジェフ・スコット・ソートがいる!」ってすごく興奮して叫んだことを思い出す。落ち着け落ち着け!って落ち着かせたんだけど、彼の一人のファンとしてのニコがそこにいた。
──ツーショットは撮れましたか?
アルデ:もちろん撮れたよ。
──この後バンドは4人のメンバーで続ける予定ですか?それとも新ギタリストを加える予定ですか?
イミ:ニコがこの世を去ってからまだあまりたってなくて、俺達にはそのことを考えるにはもうちょっと時間が必要なんだ。今大事なのはまずこのアルバムを発表すること。そのあとで落ち着いてどうするか、今後のスケジュールとか話をすることになる。まだニコが他界した悲しみの中にいて、もう少し時間が必要だ。直ちに新ギタリストを加えてという気持ちには今はまだなれなくて。
──ニコの病気が発覚した時も、すぐに新ギタリストを加えるんじゃなくて、まずは彼の治療と回復を待ってましたよね。
イミ:それは音楽よりもっと大事なことだったから待つことに決めたんだ。
アルデ:俺達ニコがよくなるって信じてたし、確かに1度は回復して寛解したので、待ってよかったと思った。
イミ:とはいってもこれは活動をやめるってことじゃなくて、この機会にちょっと一度立ち止まってみるって感じ。
アルデ:初期化するっていうか、これまで特に立ち止まって考えてみたことはなかったから、そのいい機会だと思う。
──ニューアルバムの話に戻りますが、「There Will Be Blood」と「Soul Survivor」の2曲のシングルが先にリリースになっていて、第3弾シングルが「Tokyo Love」ですが、この曲はどうやって生まれたのですか?
イミ:朝、車を運転してたら、頭の中にメロディが浮かんできて、直感的にそこに「TALKING BOUT, TALKING BOUT, TOKYO LOVE」って歌詞がかぶさったんだ。いきなり突然浮かんできたんだけど、東京は素晴らしい街で、人々にもいい思い出があるのでこれで曲を作ろうと思った。

アルデ:サビの部分のメロディは頭に残ってとってもよかったから変えたくなくて、そのサビの部分から周りを作り上げていくのにちょっと時間がかかって難航した。
イミ:デモを作った時点ではそのサビの部分しか歌詞はなかったんだよ。
アルデ:プリプロダクションの段階ではだいぶ出来上がってきてはいたんだが、いよいよレコーディングって時に最終的に仕上がった曲だ。
イミ:日本には俺たちの音楽を最初の頃から聴いてついてきてくれてた人達も多いし、彼らに敬意を表してでもある。
アルデ:それは俺たちのキャリアの中で前進していくのに重要なことでもあったし、俺たちのハートの中の大きな場所を占めてるよ。
──ではこのニューアルバムにはコンセプトとか何かテーマはありますか?
イミ: このアルバムはTemple Ballsに聴こえるっていうのがコンセプトでもありテーマでもあると言える。俺達のサウンドはこうなんだってアルバムが出来上がった。なのでアルバムタイトルも『Temple Balls』なんだ。
──2017年に東京で開催されたLOUD & METAL MANIA出演で初来日をしてからすでに8年半ほどが経ちましたが、今振り返ってみて何を一番に思い出しますか?
アルデ:時がたつのは早いもんだ。本が書けるぐらい(笑)思い出がいっぱいあるな。
イミ:たくさんの思い出があると同時に、とある理由で欠けてる思い出もある(爆笑)。それ以前に国外でライブしたことほとんどなかったし、この北の端から遠く離れた日本に旅してちょっとお祝いし過ぎたこともあってね(笑)。でもこれは覚えてる。日本でのライブは最高だった!って。あんなライブはそのあとにも経験してないぐらいだよ。日本のみんなの音楽に対する忠誠心ってのは後にも先にもみたことがないぐらいだ。
アルデ:あれは信じられないぐらい最高だった。バンドのドキュメンタリー映画に登場するワンシーンに飛び込んだようで、ちょっと戸惑いもしたが。
イミ:Guns N’ Rosesが昔を思い出すような。
アルデ:そういえば東京のどこかのバーでロン “バンブルフット” サール に偶然ばったり会ったんだ。中に似た人がはいってきて、ニコにバンブルフットに似た人がいるぞ!って言って聞きに行ったらなんと本人だった。ニコとダーツをしてて、彼を誘ったらあまりダーツの腕前は良くないと謙遜してたけど、いざやってみると3回ぶっ続けで投げた矢が全部真ん中の的に刺さったんだよ。その後投げる気は失せたな(笑)。それを見たバーテンダー達もびっくりしてたよ。
──あの来日の時アルデは高尾山に登って、当初イミも登る予定だったんですよね?

イミ:そうだったんだけど、酒がうますぎて(笑)あの時は起きれなかった。
アルデ:俺もほとんど寝てなかったんだけど、それが登ったら信じられないぐらい爽快なよい気分になったことを今でもよく覚えてるよ。山から降りてからもまだ散歩に行こうか!ってぐらいの元気があったよ。山に登るためにそれ用の靴を持参してたのにブーツで行ってしまって、かなり歩いたので足はくたくたになったけどね(笑)。
イミ:日本にロックしに行くのにブーツを脱ぐことはできない。例え山に登るとしてもね(笑)。

──ではニューアルバム『Temple Balls』を聴かなきゃいけない3つの理由を挙げてもらえますか?
イミ:理由(1)は最高のロックアルバムだからさ。そのアルバムは音楽に対する愛と友情がつまって出来上がったアルバムだ。
アルデ:理由(2)は、ちょっと似てるけど車で聴くのに最高のアルバム!特に長距離をドライブする時なんか気分がサイコーになるよ。聴いてほしいな。
イミ:理由(3)は、今世界的にロックを聴く人が少なくなってきてるように思うんだ。だから聴いて、ロックシーンを盛り上げてほしい。
──最後にBARKSの読者にメッセージもらえますか?
ニューシングル「Tokyo Love」のMVに昨年他界したニコのギターソロの映像が収められてて、それを見たバイクの女性の目から涙がポロリのシーンでは一緒に涙ぐんでしまった。このニューアルバムがニコの最後の作品となったが、彼のギターはアルバムの中に残り、聴く私たちの心にもずっと残るに違いない。ニコ他界の悲しみを乗り越え、近い将来この曲を日本でライブで披露する日がやってくることを祈っておこう。先にリリースになったシングル2曲を聴いても、キャッチャーでメロディアスなハードロックサウンド健在!ニューアルバムが楽しみだ。
ニューアルバム『Temple Balls』はFrontier Music Srlより2月13日リリース、国内盤はMARQUEE/AVALONより2月20日リリース予定。
『Temple Balls』
1.Flashback Dynamite
2.Lethal Force
3.Tokyo Love
4.There Will Be Blood
5.We Are The Night
6.Hellbound
7.Soul Survivor
8.The Path Within
9.Stronger Than Fire
10.Chasing The Madness
11.Living In A Nightmare

文◎Hiromi Usenius







