【ライヴレポート】J、<Fire of Hope>に変わらぬ本質と特別な夜「最高な1年の幕開けになりました」

2026.01.16 13:00

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1年の同じ時期に同じ体験を繰り返すことによって得られる特別な感覚というのがある。たとえば年の瀬や正月にいつもの顔ぶれで顔を合わせた時のちょっとした安堵感というのは、普段ひと仕事終えた際のそれとは少しばかり違っている。1月11日、東京・恵比寿リキッドルームで<J 2026 NEW YEAR’S LIVE-Fire of Hope->と銘打たれたJの新春公演を観て、ふとそんなことを感じさせられた。

“希望の炎”という意味合いのツアー・タイトルは、1997年発表のソロ第1作のタイトルが『PYROMANIA』だった事実を持ち出すまでもなく、常に“熱”を求め、新たな発火装置を開発し続けるかのように創作活動を続けてきた彼にはこの上なく似つかわしい。彼は前日にも同じ場所でFC会員限定ライヴを実施しており、この二夜公演をもって2026年をスタートさせることになった。

振り返ってみれば2025年の最初の週末にも、Jは同会場で二夜公演を行なっていた。その際は、本来ならば新作アルバムのリリースを受けた形で実施されるはずだったライヴが、結果的にはそれに先駆けてのものとなり、その先に続いたツアーのさなかに13作目のオリジナル・アルバム『BLAZING NOTES』が発売を迎えることになったのだった。

そして2025年の彼は、重層的に繰り返されたツアーの過程のなかでオーディエンスとともに同作を消化し、例年通り8月12日の誕生日もステージの上で迎え、その日には初の本格自伝本となる『MY WAY-J自伝-』も刊行された。LUNA SEAが35周年を迎え、J自身が55歳になった2025年が、彼にとってのひとつの節目となったことは間違いない。というか、昨年がそうした意味合いの年になることを彼自身があらかじめ意識していたはずだし、過去にもいくつか回顧的書籍を出してきた彼が改めて総括的な自伝を制作したいと考えた理由もそこにあったのだろう。

そんな特別な1年を経ていた後でもあっただけに、もしかしたら2026年は何か大きな変革が待ち受けているのではないか、という気持ちがどこかにあった。それは純粋な期待感というより微かな警戒心を伴った感覚だったようにも思う。ただ、17時の開演定刻を5分ほど過ぎた頃に会場内が暗転し、お馴染みのオープニングSEが流れ、背後から眩い光を浴びたJのシルエットが浮かび上がる図を目にした瞬間、そうした邪念は一気に吹き飛ばされてしまった。

「Alright恵比寿、飛ばしていくぞ!」という叫びに導かれて最初に炸裂したのは「BITE ME」。『BLAZING NOTES』の収録曲のなかでもひときわ疾走感、いや、爆走感のあるナンバーだ。フロアを埋め尽くしたオーディエンスはそのスピードに乗り遅れることなく波打ち始める。そして、その畳み掛けるような勢いから一転、次に繰り出されたのは、頭を振り、拳を振り上げるのに最適なテンポの「Riot Girl」。こちらも最新作からの選曲だ。

Jを指揮官とするステージ上の4人が繰り出す音は、会場のサイズには不釣り合いだと思えるほどにラウドで、足元からも重低音が響いてくる。しかし無駄な要素が排除された状態で研ぎ澄まされたその音像は、刺激に満ちていながら耳をつんざくような痛みを伴うものではない。しかも重厚でありながら空間に富み、ずっしりとした説得力とある種の軽やかさを併せ持っている。

いまやロック・リスナーの多くにはエクストリームな音楽に免疫があり、誰もが刺激の強いものに慣れ親しんでいる。そこで足し算の発想で刺激を塗り重ねていくばかりでは、激辛の食べ物と同じでただただエスカレートしていき、感覚が麻痺していくことになる。それに対してJと彼が信頼を置くメンバーたちが奏でる音像には風通しのいい隙間があり、身体が勝手に揺れ始めるようなうねりがあるのだ。それこそが、彼が長年をかけて求め続けてきたものなのだろう。

ライヴはその後もアッパーな刺激と心地好いグルーヴ感を伴いながら続く。過去さまざまな時代に生まれてきた必殺曲たちが惜しみなく繰り出されるばかりではなく、最新作からの曲、もはや懐かしさを感じさせる曲、しばらくライヴで披露されていなかった曲なども散りばめながら、心地好い緩急をもってクライマックスへと向かっていく。

そこで気付かされるのは、長い時間経過のなかでJ自身の指向性にもその時々の変化が生じていたはずなのに、本質的な部分は何ひとつ変わっていないということだ。言い換えれば、彼が求めてきたのは、ひたすら変わり続けていくことではなく、彼自身がそもそも体現したかったものをより理想に近付けるための説得力や裏付けを身につけていくことだったのだろう。要するに身長を伸ばしてきただけではなく骨格や筋肉の強さも育まれてきたということだ。だからこそ『PYROMANIA』当時からの定番曲たちでさえ、今なお魅力的であり続けているのだろう。

前述したように、この夜のライヴと向き合うにあたり、僕には何らかの変化と出くわす覚悟をしていたところがあった。しかし、新旧の楽曲を取り混ぜながら、3曲のアンコールも含めて約110分間に及んだこの夜のステージを観て改めて実感させられたのは、Jという人物が求めるものの“不変さ”であり“普遍性”だった。相変わらず彼は不必要な変化には目もくれず、自分自身だけの道を突き進んでいるのだ。

少しばかり変化を感じさせられたのは、音楽的な部分ではなく、むしろ曲間で話をする際の空気感についてだった。開演早々に耳に飛び込んできた「飛ばしていくぞ!」をはじめ、彼の口からは例によって火に油を注ぐような言葉が次々と聞こえてきた。しかし、ただ煽情的なのではなく、発言の随所からこれまで以上に自然な柔らかさ、余裕のある包容力といったものが感じられたことも書き留めておきたい。元々、面白い話をすることをさほど得意とする人物ではないはずだが、この夜の場合でいえば、干支に関する話、吉井和哉とのやり取りにまつわる話などはオーディエンスの笑いを誘っていた。

そしてもちろん、彼の口からは、来場者の誰もが聞きたかったはずの言葉も聞こえてきた。昨年末、SUGIZOが交通事故に見舞われたことにより12月23日に予定されていたLUNA SEAの有明アリーナ公演が延期となり、2025年中はメンバー個々の活動も停止されていたため、12月30日に東京・渋谷Spotify O-EASTにて開催予定だった<J 放火魔大暴年会2025>も同様に延期措置となっていた。

この夜、アンコールに応えてステージに再登場したJは、その件についてバンドを代表する形で謝罪の言葉を述べ、さらにLUNA SEAの振替公演の早期実現を約束した。そして<大暴年会>については、なんと2026年の同じ日に、同じ場所で開催するのだという。これは公演自体のコンセプトを崩すことなく実施するうえでは最良の判断といえるのではないだろうか。

加えて彼の口からは、今年はまず4月に東京と大阪で計4本のライヴが行なわれること、そして『BLAZING NOTES』に続くニュー・アルバムの制作に入ることが告げられ、さらにソロ始動30周年のアニバーサリー・イヤーにあたる2027年を目掛けてさまざまなことを進めていくとの意向が明かされた。

そしてアンコールの最後をお馴染みの「Feel Your Blaze」で締め括ると、オーディエンスに「昨日と今日、どうもありがとう。最高な1年の幕開けになりました。今年もお互い熱いロックな1年にしていきましょう!」と語りかけ、「何があってもくたばるなよ!」という約束の言葉を投げかけてステージから去っていった。その言葉も、熱いライヴの余韻も、Jのライヴに通い続けてきた人たちにとっては“いつも通り”のものだ。しかし、それがずっと続いていくことが何よりも強く、特別なことなのだと感じさせられた一夜だった。

取材・文◎増田勇一
撮影◎田辺佳子

 

■<J 2026 NEW YEAR’S LIVE-Fire of Hope->1月11日@東京・恵比寿LIQUIDROOM
01.BITE ME
02.Riot Girl
03.RECKLESS
04.break
05.Walk On
06.blank
07.Resist Bullet
08.ACROSS THE NIGHT
09.rodeo life
10.TIME BOMB
11.PYROMANIA
12.Go Charge
13.Evoke the world
encore
14.Field of Roses
15.NOWHERE
16.Feel Your Blaze

 

■<J LIVE 2026 Spring -BLAST OFF->
【東京公演】
4月4日(土) 東京・渋谷CLUB QUATTRO
open17:15 / start18:00
(問)SOGO TOKYO 03-3405-9999
4月5日(日) 東京・渋谷CLUB QUATTRO ※F.C.Pyro.会員限定
open16:15 / start17:00
(問)F.C.Pyro.:https://fcpyro.jp/
【大阪公演】
4月18日(土) 大阪・Yogibo META VALLEY
open17:15 / start18:00
(問)YUMEBANCHI 06-6341-3525
4月19日(日) 大阪・Yogibo META VALLEY ※F.C.Pyro.会員限定
open16:15 / start17:00
(問)F.C.Pyro.:https://fcpyro.jp/
Jオフィシャルファンクラブ「F.C.Pyro.」にてチケット最速先行受付中
詳細:https://www.j-wumf.com/live#spring2026

 

■<J 2025 放火魔大暴年会>振替公演
2026年12月30日(水) 東京・渋谷Spotify O-EAST
(問)SOGO TOKYO 03-3405-9999
詳細:https://www.j-wumf.com/news/20260110_1

 

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