――待ちに待った来日ライヴを見て感動したよ。君たちも気分よく思いっきりパフォーマンスできたようだったけど。
ヨンネ:5カ月くらいライヴをやっていなかったから、なんか妙な感じがしたんだ。
ラリー:僕は逆に休んでたからすごくエキサイトしてたよ。日本人ばかりのオーディエンスの前でライヴするのはとても興味深かった。客席を見て東京でやってるんだなぁと感じてクールだなと思った。
ヨンネ:僕たちはみんな日本でライヴをするのが夢だったからね。オジー・オズボーンの東京ドームでのライヴをDVDで観てたんで、自分達も同じ東京でライヴがやれて、夢の一つが実現したよ。
――ライヴは1時間くらいと短かったね。アルバムの曲を全曲聴けて満足できたけど、できればもっと観たかった。君たちももっと演りたかったんじゃない?
ヨンネ:え? 日本では何時間くらいのショーが普通なの?
――1時間半~2時間くらいが普通かな。長いのだと3時間くらい演るバンドもあるよ。
ヨンネ:まだ1枚のアルバムで12曲しかないからね。これだけしか演奏できなくて申し訳なく思ってるよ。でも、もしかしたら8月にもう一度来られるかもしれないから、その時には新曲を何曲か追加して演奏したいと思ってる。
ラリー:実は、もうニューアルバム用の新曲があるんだけど、その曲を演奏できなくてフラストレーションを感じてたんだ。でもね、フィンランドでは1時間くらいが平均的なライヴの長さだよ。
ヨンネ:次のアルバムが出る頃にはもっと長時間のライヴができるさ。
――いつもどんな覚悟を持ってステージに上がるのかな?
ヨンネ:ファンを自分達に惹きつけるようなパフォーマンスをすることさ。“Time to Wakeup”って昨日もオーディエンスに言ってたんだけど、“お前たち起きてんのかよ!”ってカンジで、“この場では僕たちがボスなんだよ、ついて来いよ”という雰囲気を出すことを心がけてる。
ラリー:これが最後のギグみたいにエネルギーを出し切ってパフォーマンスをするようにしてる。オーディエンスには、聴くだけじゃなく観ても楽しめるようにしたいと思ってる。だからステージでも動き回っているんだ。
ヨンネ:ステージではどんなことでも起きる可能性があって、スナップの頭をマイクスタンドで叩くくらい近くへ持って行った時、ホントに危なかったんだ。
ラリー:ステージの周りに係りの人がいるけど、僕らのライヴはとにかく動き回るし水をかけたりするんで、レンタルした機材が濡れて嫌がられるんだ。
ヨンネ:僕は暑くなるから水をかぶったり観客にかけたりするんだよ。
――キーボーディストが加入して音が厚くなったね。やっぱりキーボードは絶対に必要だと思ってた?
ヨンネ:アルバム『WAR OF LOVE』ではキーボーディストが参加していて、アレンジなんかにも関わってもらってたんだ。だからライヴでもどうしても必要になってね。加入したスナップは、僕たちの地元のアマデウスっていうバーで意気投合してさ。
ラリー:彼はオフィシャルなメンバーじゃなくて、ギグの時だけサポートしてもらってたんだ。それは、アルバムをリリースして2カ月間はキーボードなしでギグをやってたんだけど、CDを聴いてライヴに来てくれた人から「キーボードのサウンドがない」という指摘をたくさん受けたんだ。オレ達はそれをテープでやるなんてことはしたくなかった。だから、良い奴だし才能もあるんで、正式に参加してもらったんだ。
――次のアルバムに向けての新曲もでき始めているってことだけど、曲作りはどんな風にやってるの?
ヨンネ:頭の中だけでメロディやアイデアを組み立てていく時もあるけど、ほとんどの場合は、アコースティックギターを弾きながら曲を作っていくね。自然に自分の中から湧き出てくるんだ。あとね、僕のケータイ電話には1分間だけ自分の声を録音できる機能があるんだ。だからメロディなんかを思いついたときには、口笛なんかでそれを録音しておくんだ。
ラリー:アコースティックギターを掻き鳴らしてハミングで作っていく。僕は二日酔いの時に曲作りをするんだ。二日酔いの時って感情が敏感になっていて、僕の身体から出たがっているのが分かる。そういう時って悲しい映画を観たりすると、普段は泣かないのに泣いてしまう。それくらい自分の感情がセンシティヴになっているから、曲作りするにはいいシチュエーションなんだよ。そういう風に、僕は悲しいフィーリングに刺激されて曲作りをすることが多いな。
ヨンネ:人生に満足したりすると曲作りってできないんじゃないかな。僕はメランコリックな音楽が好きで、そういう曲を書いてそれをラウドな音でパフォーマンスするのが、完璧に満足できるシチュエーションなんだ。
――最近ショックを受けた音楽とかある?
ラリー:今日、ケータイの着メロでエアロスミスの「JADED」を聴かせてくれた人がいて、改めてこの曲のスゴさに気付いたんだ。特にサビのところがね!
ヨンネ:ニール・ヤングのアルバム『ラスト・ネバー・スリープス』を買ったんだ。その中の「マイ・マイ・ヘイ・ヘイ」が頭の中で鳴りっ放しなんだよ。僕達の故郷フィンランドのタンペレのレストランで一人で酔っ払っている時に、ジュークボックスから流れてきたんだ。もう泣きそうになっちゃって、すぐにアルバムを買いにいったんだよ。昔の曲なんだけど、すごく新鮮に感じたんだ。
――この世の中で一番好きなものと嫌いなものを教えて。
ラリー:一番好きで大切なのは“愛”。嫌いなのは“暴力”。
ヨンネ:平和が一番重要なことだと思ってる。大事なのは“愛”だよね。