深沼元昭ソロ・プロジェクト=Mellowhead

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深沼元昭ソロ・プロジェクト=Mellowhead

今年、10年に渡る活動にいったん終止符を打ったプレイグスの深沼元昭が、早くもソロ・プロジェクトで活動を再開させた。それがメロウヘッド。 基本的にすべての音を深沼が手掛け、自身のスタジオ“DOJO”で仕上げるというコンセプトのユニットだが、実際に出来上がった1stミニ・アルバム『ラハイナ』を聴けば、驚くほど自由な環境で作りあげたのだろうその雰囲気が伝わってくる。

深田恭子やショコラなど多くのアーティストのプロデュースも手掛けてきた深沼らしいポップ・センスは全開だが、そこにとどまらず、様々なジャンルの音を無理なく詰めこもうとする姿勢は本当に聴いているだけで快感だ。タイトル曲には、なんとあの人気バンドのヴォーカリスト、TURNER CAR(だたし変名)も参加。プレイグスからメロウヘッドに至るいきさつ、そしてその意気込みまでを訊いてみた。


「プライベート・スタジオで朝から夜まで、生活の一部として作った作品です」

デビュー・ミニアルバム

『ラハイナ』

LAVAFLOW発売中
SGMS-001 1,365(tax in)

1 裸足だって
2 ラハイナ (featuring vocal:TURNER CAR)
3 ドリフター
4 マージ




インタヴュー映像
メロウヘッド深沼氏のインタビュー映像をお届け!

――まず、プレイグスを活動休止にした理由からおしえてください。

深沼元昭(以下、深沼):
まあ、そんな大袈裟なもんでもないんですよ。最初から何気に集まってできたバンドだったから、何気に休止したっていうかね(笑)。ただ、10年やってきて、だんだん過去の遺産との戦いみたいになってきていたのは事実ですね。もう充分だ、みたいな。まあ、ネタ自体なくはなかったんですけどね、でも、僕自身、プレイグスに関しては最初からある程度のイメージを持っていたんで、それを見据えずに展開していくことはプレイグスの理念に反しているような気がしたんです。

――メロウヘッドの最初のアイディアというのは、いつくらいからあったのですか?

深沼:
やっぱり去年くらいですかね。自分のプライベート・スタジオをもてて、機材も揃えていって、で、経験として自分自身のスキルもアップしていったから、やるなら今だろうって感じで。ずっと同じようなアイディアは持ってたんだけど、それを外のスタジオに持っていって形にしてしまったら、それこそプレイグスと同じようになってしまうわけで。それが悪いっていうわけではないけど、メロウヘッドの場合は自分の家のスタジオだから、寝る直前まで作業をやったりとか起きてすぐやったりとか、そういう生活の一部として作ったわけですよ。端から見たら、“もう少しこうすればよかったのに”みたいなのってあるとは思うんですけど、そういうのを無視して作ってる面白さがある。で、実際、1年ほど前には“こういうのをやろう”っていうのが頭の中にあって、1曲1曲作っていったって感じでしたね。


――音楽的なアイディアとかヴィジョンが先ではなく、環境やメソッドが先だったと。

深沼:
そうです。音楽的なアイディアとかはこれからまだまだ増えていくと思い ますよ。ただ漠然とですけど、こんな感じのサウンド、みたいなのは前から考 えてはいたかな。

――それはクラブ・サウンドを意識した、といったような?

深沼:
まあ、そこまで明確に決めていたわけではないですけど、実際に作ってみると、ライヴでできるような音でもないですからね。ただ、自分として考えていたのは、一人で音楽に対する執念をこめたようなサウンドですね。僕はeelsとかが好きなんで、ああいうのを目指そうというのは考えていました。制限のない自由な状態でどこまでできるか、というのに惹かれるというのはあったんですよ。で、サウンド作りに執念をこめる分、歌くらいは誰かに歌ってもらいたいなと思って。

――自分で歌うことに飽きたとか?

深沼:
まあ、元々僕はプレイグスで初めて歌った人なんで、ずっと歌に関してはどっちでもいいって感じではあったんですよ。歌詞は一生懸命書いてましたけどね。ただ、プレイグスがなくなって、それでも絶対自分で歌っていくんだっていう気持ちもなくなった時に、曲に合ったヴォーカルをもってくるってことが一番だって思えて。逆に、そうやって曲に合ったヴォーカリストに来てもらった方が、その曲に対する僕の表現になるんじゃないかと思ったんです。もちろん、自分が歌った方がいいと思ったら今も自分で歌うわけでね。

――それで今回はタイトル曲の「ラハイナ」でTURNER CARさんにヴォーカルをとってもらおうと頼んだんですか。

深沼:
そうです。前から好きなヴォーカリストだったんで。彼がやってるバンドをデビュー前から見ていたんですよ。だから、最初から彼が歌ってくれるっていうのを想定して曲を書いたりしましたね。僕の仮歌の段階で彼の歌真似をしてみたりして(笑)。で、実際に歌ってもらったら、テイク2回でOK。TURNER CARに関しては最初からもう完璧でしたね。彼の声質がレイド・バックした響きに合うんですよ。元々彼もレイド・バックした感じとか好きじゃないですか。そういうのも今回僕のやりたいことに近いと思ったんですよね。

――レイド・バックした感じというのは?

深沼:
今の時代の新しいレイド・バックみたいな感じですね。例えば、ちゃんとした大学出て、いろんな技術も持ってるって人が、結局は女の子の家に転がりこんで、言うことだけは達者、でもロクに働きもしない、みたいなのってあるじゃないですか(笑)。これじゃイカンだろ、と自分で思ってはいても、なかなかそこから抜け出るための一歩が踏み出せない、みたいな。そういう意味でのレイド・バック感ですね(笑)。

――あはは。なんだか分かるような分かんないような。で、深沼くん自身もそういうところ、あったんですか?

深沼:
僕自身はもっと見栄っ張りだったんですよ。だからこそ、弱さを出せる人に憧れるんです(笑)。そういう人って、弱さを出しているのか、単に自堕落なのかさえも考えてないんですよね。そこにロマンティシズムもあると思うんでけど。僕にはそういうのがないんです。“お金がないから貸してくれ”とかって言ってみたかったんですけどねえ(笑)。本当になかったくせに言えなかったですから。強がりなもんで。

――いや、でも、女性から見ればそんなの困りますって。なんとか工面してくれって。

深沼:
まあ、そうなんすけどね。でも、自分の弱いところを素直に見せられるっ ていうのは素晴らしいことでもありますよ。

――例えば、音楽的にもそういう感情ってあります? プレイグス時代は弱い部分をあまり見せられなかった、とか。

深沼:
それはありましたね。あの頃、本当に俺たちヘタクソでしたからね。で、周囲のバンドも同じようにヘタクソで。そんな中でやっていくんだ、うまくなっていかなきゃ、みたいな背伸び感があったんで。でも、今は全然ないですよ、そういうの。もう、イメージに縛られる必要もないし。でも、楽しいですね。こうやって自分が10年かけて変化していくっていうのを見ているのって。

――ところで、メロウヘッドってライヴをやる予定あるんですか?

深沼:
そこなんですよねえ(笑)。普通できないですよね、この音じゃ。クラブ・イベントみたいなのはやっていこうと思いますけど。ほら、こういうインタヴューだと“最後にファンにメッセージを”とかって言われたら“ライヴに遊びに来てください”って言えるじゃないですか。でも、今回は言えないですからね(笑)。だから、とにかくCDを聴いてくださいって感じですね。しばらくはこういうスタイルのミニ・アルバムを出していくと思いますので、ぜひ楽しみにしていてください。

取材・文●岡村詩野

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