一昨年に続いて2度目のフジ・ロック出演となるイギリスはウェールズ出身の3人組、フィーダーは午後4時半、レッド・マーキーのステージに登場。前回(と昨年1月に行なわれた来日公演)はサポート・ギタリストを加えた4人編成だったが、今回はキーボーディストが加わっている。ヘヴィなギター・サウンドゆえに、デビュー当時はグランジに対するイギリスからの回答などとずいぶん言われたけれど、最高傑作の呼び声も高い『エコー・パーク』を完成させた今は、もはやフィーダー・サウンドとしか言えない、オリジナルのスタイル――美しいメロディを奏でるギター・ロック――を完成させた。ギターではなく、キーボードを加えていることでも、現在の彼らがサウンドのヘヴィさよりもメロディの柔らかさに傾いていることがよく分かる。 ▲フィーダー 最近のイギリス勢の中では珍しく骨太なパワー・ポップを展開する。近々UP予定のインタビューも乞うご期待 | つき動かされるような美しいメロディに、タイトなビートが疾走する演奏が絶妙に溶けあい、夕暮れどきの空気にしみこむ。そんなパフォーマンスにオーディエンスも大満足。英語と片言の日本語を交えてファンに話しかけるフロントマン、グラント・ニコラス(Vo、G)と、彼に遠慮しているのか、黙々とプレイしながらダイナミックなジャンプをキメていた日本人ベーシスト、タカ・ヒロセ。しかし、そんなタカもオーディエンスの歓迎ぶりに思わず「レッド・マーキーでやるって聞いたときは格下げと思ったけど(前回、フィーダーはホワイト・ステージで演奏した)、すげえじゃん!」と叫んでいた。 ラスト・ナンバーは、イントロのリズムがスカッっぽいと思ったら、なんとポリスの「キャント・スタンド・ルージング・ユー」。一瞬、意外な気もしたけれど、やはりイギリス人。同じトリオ・バンドってこともあって、影響を受けているんだろうか? メロディーの持つ哀愁は、思いのほかフィーダーに似あっていた。うーん、最後にすごく得した気分。 フィーダーの演奏に満足しつつ、遅い食事をとろうとオアシス・エリアに行くと、どの屋台にも行列ができている。そこで、あまり客が並んでいないビーフカレー丼を選んだけれど、一口食べてびっくり。これ、ボンカレーじゃん……。さらに酒の肴にドーナツを買い、ワインを買いにいくと、隣の屋台にオアシスのゲムが並んでいる! でも、誰も気づいていない……。 文●山口智男 |