坂木: ギターやヴォーカルは自己流なんで、あまりフェイバリットってないけれど、曲作りではソフトロック、アニメソング、昔の歌謡曲ですね。バンドマンとしては、スクイーズ、コステロ、ジェリーフィッシュ、WEEZERなどです。あとシンセサイザ-が似合うみたいな…。だからニューミュージックって言われたいですね。サウンドは違いますけど、ユーミン、山下達郎、大滝詠一とか。
真田: 僕もそういうの好き。ああいう曲がもっとロックで、パンク以降の音でやったらカッコ良いと思っているんですね。それに、僕はドラマーとして影響されていると思う。
坂木: あと、僕らMTV世代だからね。そこからサブ・ポップ、グランジが流行ったころが一番多感なときだったし。あ、メタリカもね。
真田: 中学のときはベストヒットUSA毎週欠かさず見てたしね。高校で初期パンク、大学生になって、ブラックミュージックばかり聴いてたなぁ。
坂木: でも、本当に染み込んでいるのはもっと前に聴いた音楽じゃない? 親が持ってたレコードとか、街で流れる音楽。それが根強く残っててその影響が強いと思う。で、そういうのを聴いてまた新たな刺激を受けるっていうかね。ただアレンジは時代性が強く出るかな。 |
| ──2年半ぶりの新譜ですが、その間の期間は何をしていたのですか?
坂木: 1st出して1年くらいは怒濤のライヴ地獄、……いや天国ですね(笑)。ずーっとライヴ、ライヴで月5~6本演ってましたので。
真田: 練習の数よりライヴの数のほうが多い、という有様でした。ふと気づいたら1年くらい経っていたんですね。
坂木: で、これはやばいって月1~2本位に減らしたんです。それから、やっと曲を作ってアレンジしてました。
真田: それでやっと録音に入ったのが去年の11月くらいから。2月にはミックスやって、シングルのカップリングを3月に録りました。エンジニアさんが多忙な方で、予想以上に日数がかかってしまいましたね(笑)。
──2年の間にミニアルバムやマキシ・シングルを出して、ある意味“繋ぐ”ことは考えなかったのですか?
坂木: 自分たちとしてはアルバムを作るという欲が強くてですね、それまで我慢しようと。
真田: シングルを出してもすぐアルバムを出せる体勢であればよかったんですけど、そうじゃなかったんですね。無理にシングル出せばアルバムが延び延びになってしまうような……。だから、あくまでもフルアルバム作りを念頭に置いてました。
──アルバム『GET ENOUGH』を聴いて思ったのですが、どれもがシングル・カットできそうな楽曲ですよね。全体のボリューム感もあって、ある意味、もったいないとも思っちゃいました。だから、よけいに畳みかけるように出しても良いかなと思ったのですが。
坂木: どちらかというと、曲はアルバムを意識して狙って作ったんですけどね。
真田: うん、それに今まではライヴで演っていた曲を集めてCD化してたんですけど、今回はアルバム制作のために作ろうってことになって。だからかなりの勝負作を作らなきゃならない使命はあったんです。
坂木: あと、シングルでは自分たちの色を出し切れないんです。いろんな側面があると思うんで。アルバムだったら12色そろって初めてnudgeのカラーが出せると。……そういう願望があるのかもしれませんしね(笑)。
真田: 今回のシングルの「PLASTIC WORLD e.p」は4曲入りでバラバラなんですよ。アルバムのダイジェスト的。
──ほとんどがライヴを経ていない曲たちということですが、アレンジも1stやライヴとはあきらかに違いますよね。
真田: うん、レコーディングでできる最善のアレンジで作ったから。でもライヴで演るとき、どうしようかなって思ってしまいましたね!
坂木: そうそう、アルバム作っちゃったあとのほうが大変なんです。音を削っていかなきゃいけないから(笑)。なので、アルバム買ってしっかり聴き込んでからライヴに来てもらえれば、少なくとも勝手にアレンジが膨らんで聴こえてくると思うんです。想像力で聴いて欲しいです(笑)。
真田: あなただけの聴こえ方で……って、それ、ライヴじゃねえな(笑)。まあ、ライヴはバンドのグルーヴがあるんで! ライヴは音とノリで楽しむところがあるわけだけど、アルバムは楽曲を意識したほうに寄ってるんで、そう楽しんでください!
──それはそうと、nudge'em allというバンド名の由来は?
坂木: 直訳では“奴ら全員つついて、注目させる”というのがあるんですが、後づけですね。前任のベースがつけたんですけど、メタリカの1stアルバムが『Kill'em all』っていうんですけど、響きがいいなと。でも、“殺す”の“Kill”じゃ怖いんで、“突っつく”くらいの“nudge”にしました(笑)。僕は今年26歳なんですけど、ヘヴィメタ世代なんですよ。高校の時、ガンズのコピーバンドやってましたもんね。
──最後に次作に向けて、企んでることがあったら聞かせてください。
坂木: 作り方としては、今作のようなやり方──僕がMTRでデモ作ってみんなに持っていった──がいい感じなので、これを推し進めようと。あとは、技術的な部分を向上させて、3枚目では今作を越えなきゃいけないんで、どうしましょうかと。
真田: そのやりかたはいいんだけど、ベースの負担が大きくないかぁ?(笑)。リズムの役割とギターの上物の役割と、その両方の要求がベースに掛かるでしょ。
野沢: そそ、僕が大変!(笑)。聴いたこともないようなコード押さえて、家帰ってコードブック見てって(爆笑)。
坂木: 今回のやり方で彼はだいぶ分かったと思うんで、それを今度は野沢君のオリジナリティとして出して欲しいんです!
野沢: うん~。でも、そういうの考えて持ってくると、「それ、やっちゃ~ダメ」って言われるんだよなぁ。なんだかキビシイな……(笑)。 |
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