【インタビュー】加藤和樹、スイートな新曲「Chocolate」リリース「日常の一部として組み込んでもらえるような曲になっていったら嬉しい」

2025.06.11 12:00

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アーティスト・俳優・声優として精力的な活動を続けている加藤和樹が、ニューシングル「Chocolate」をリリース。昨年5月に発表したロックテイスト全開のミニアルバム『Liberation BOX』とはガラリと雰囲気を変え、スイートで軽やか、ポップな魅力が詰まった1曲に仕上がっている。

カップリングには自身で作詞した疾走感たっぷりの「Still Go!」やカバー曲のライブバージョンなども収録。加藤和樹の新たな魅力が引き出された新曲についてはもちろん、いよいよ6月19日からスタートするツアー「Kazuki Kato Live “GIG” Tour 2025 ~ STILL GO ! ~」にかける思いなどを聞いた。

   ◆   ◆   ◆

◼︎ひと息つけるような曲になりうるんじゃないかな

──新曲「Chocolate」は、タイトルもそうですが、ジャケットやMVのビジュアルなど、これまでのイメージにはない仕上がりだなと感じました。

加藤和樹:そうですね。前髪を下ろしているこういう感じとか、結構珍しいかもしれません。

──サウンドのテイストも、最近の楽曲にはなかったタイプで。

加藤和樹:途中でラップ調のパートもあったりますけど、なんだかすごく軽快な感じですよね。どちらかというと、僕がキャラクターソングとして歌っているようなテイストに近いのかなとも思います。でも「加藤和樹」としてはありそうでなかったタイプだから、これはまさに“ニューシングル”として出すのにぴったりなんじゃないかなって思いました。

──改めて、この楽曲をお聴きになった時の第一印象などを聞かせてください。

加藤和樹:選曲会議というか、楽曲がいろいろ集まってくる中でどういう方向性にするかを考えていた時に、この曲が一番耳に残ったんですよ。すごくポップだし、聴いていて体が疼く感じがあったというか。歌詞も、背中を押すような応援ソングはこれまでもあったけど、こんな風にそばで寄り添ってるような楽曲って実はあまりなかったなって思ったんです。雰囲気としてはすごくスイートなんだけど、君は君らしくいていいんだよ、どうするかは君次第、選ぶのは君だからね、でも僕はちゃんとそばで見守ってるよっていうメッセージがちゃんと込められていて、その感じもすごく自分に刺さったんですよ。「マシマシLove Call」が結構なキラーチューンだったんで、あの路線で攻めるのもありかなって正直思ったんですけど(笑)、油っぽいものの後のスイーツっていう流れもアリかなと思ったりもして。

──血糖値、上がりそうです(笑)。

加藤和樹:(笑)。でもこの「Chocolate」は、一旦ちょっと落ち着いて、ほっとできるような曲かなって思うんですよ。僕も疲れたなと感じる時や仕事の合間にチョコレートを食べたりするんですけど、やっぱり糖分補給って大事じゃないですか。

──リフレッシュするし、癒されたりもしますしね。

加藤和樹:皆さんも日々の仕事の大変さとか溜まっている疲れとかいろいろあると思うので、そういう時に聴いてもらうと、ひと息つけるような曲になりうるんじゃないかなって思っています。

──だから、背中を押す応援ソングではなく“寄り添う”というスタンスなんですね。

加藤和樹:はい。歌詞の中に「君に合うTasteを試して」ってあるんですけど、いろいろ試すこと、トライアンドエラーは必要だと思うから、難しく考えないでまずはやってみるって気持ちを大事にすることも伝えられるかなって思うんですよね。“テンションを上げる”とか“ここぞ”という時に聴く曲というより、ふとした時に思い出したり、日常の一部として聴けるような曲。「お守りのように君を守る」という歌詞も出てきますけど、お守りって、常に持っているんだけど持っていることを忘れちゃってる時もあるじゃないですか。それくらいの感じというか、そんなに重く捉えず、日常の一部として組み込んでもらえるような曲になっていったら嬉しいなって思っています。

──だからMVも、日常のシーンをベースにしたような構成になっているんですね。

加藤和樹:監督から話を聞いた時は「え、チョコレート作るの!?」ってちょっと衝撃はありましたけど(笑)。

──キッチンは、ある意味加藤さんにとって第2のステージじゃないですか(笑)。

加藤和樹:(笑)。料理はしますけど、お菓子作りはなかなかやらないので新鮮でした。

──これを機に、やってみようかなとはならなかったんですか?

加藤和樹:ならなかったです。チョコレートって、結局買った方が美味しいんですよ(笑)。

──(笑)。

加藤和樹:あとは、チョコレートとかケーキとか、いわゆるお菓子作りって分量をしっかり測らないといけないじゃないですか。僕、普段の料理でも計量とかしないタイプなんですよ。フレンチトーストくらいならなんとなくで出来るから作ってますけど、クッキーとかプリンとか、そういうスイーツ類は作ったことないですね。

──ちなみに、チョコレートはお好きなんですか?

加藤和樹:昔から大好きです。家には、必ずありますね。でも、例えば一箱6個入りとかだったら今日はこれ、明日はこれって決めて一気に食べないようにしてます。

──学生の頃のバレンタインデーなんて、食べきれなくて大変だったんじゃないですか?

加藤和樹:いや、全然ですよ。ちょっとは期待するじゃないですか。でも全然ダメ(笑)。もうちょっと何かあってもよくない!?って感じでしたから(笑)。

──意外です。

加藤和樹:でもミュージカルの『テニスの王子様』をやっていた頃は、たくさんのチョコレートをいただきました。まだ20歳くらいだったから、食べたことのないようなチョコレートばかりで嬉しくて。周りのスタッフから「絶対無理だと思うよ」って心配されるくらいの勢いで持って帰っていたので、しばらくは冷蔵庫がパンパンでした(笑)。

──最近はどういうチョコレートがお好きですか?

加藤和樹:最近のお気に入りは、獺祭のチョコレート。ミュージカル『カムフロムアウェイ』をやっていた時に差し入れでいただいたんですけど、こんなに美味しいチョコレートがあるのか!ってびっくりしました。たまに自分へのご褒美で買ってますけど、ここ最近では一番ハマったチョコレートですね。

──ちょっと話が逸れてしまいましたが、「Chocolate」のMVに出てくるナチュラルで柔らかな加藤さんの表情には、大人の余裕みたいなものも感じました。

加藤和樹:ありがとうございます。実は30代後半ぐらいから、自分でも柔らかくなったなっていうことをなんとなく感じていて。後輩が増えてきて自分が上の立場になることで自ずと人に優しくなるっていうのとはちょっと違うかもしれないけど、硬さというか角が取れてきたというか、そういう印象を自分でも受けるんですよね。今回のジャケットやMVもそうですけど、なんかそういう部分も出せるようになったんだなという感覚はすごくありました。若い頃は、こういうのって多分出来なかったと思うんですよね。

──逆に。

加藤和樹:若い時にこそこういうスイートな、ちょっとアイドルっぽい路線のことをやるのかなと思うけど、僕はそこやって来なかったのもあるし(笑)、性格的な部分とか見た目とかも含めて、そういうのは自分には絶対合わないっていうのがあったんです。自分が笑ったりするのもあんまり好きじゃなかったけど、応援してくださってる方たちから「加藤さんの笑顔がすごく好きです」って言われるようになって、だんだん笑うことに抵抗がなくなってきたんですよね。昔は「かわいい」って言われることがすごく嫌だったけど、この年齢になってようやく、自分ってかわいい部分もあるんだっていうのを自覚したというか。

──認められるようになったんですね。

加藤和樹:堅苦しく考えるんじゃなくて、これからもっと柔軟に対応できるようになっていけたらいいなって思います。歌い方もそうだし、見た目だけではなく、いろんな表現の仕方などを芝居でも出せたらいいなって。

──お芝居でいろんな人物を演じ、いろんな感情を表現されてきたことも大きいのかもしれませんね。積み重なってきたものが、音楽の面でもどんどん引き出されているというか。

加藤和樹:言葉、歌詞というものを大事にしようっていう意識は、お芝居を通してより感じるようになりましたね。ひとつの曲の中にもストーリーがあって、その主人公の気持ちをどう伝えるか、聴き手である相手にどう届けるか。そういう言葉の吐き出し方みたいなものを、より考えるようにもなりました。

──その思いをダイレクトに届けられるのがライブだと思いますが、この曲のパフォーマンスがどんな感じになるのかも楽しみです。

加藤和樹:流れがちょっと一変する感じはあると思いますね。他の楽曲たちと比べると、やっぱりちょっと異色かなとは思うので。コールアンドレスポンスもできるし、一緒に手を上げたりもできるような、すごくライブを意識した楽曲でもあるので披露するのが僕も楽しみです。

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