【速レポ】<SATANIC CARNIVAL>、ザ・クロマニヨンズ、ノンストップで繰り広げたステージ「オーライ、ロックンロール!」

2025.06.14 21:19

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「ウホッ」「アァーッ」と原始人の宴を想起させるお馴染みのSEが流れ、甲本(Vo)が両手でメガネを作ってステージを見渡すと、〈人間 人間 人間 人間〉の怒号を繰り返す「クロマニヨン・ストンプ」がスタート。

◆ライブ写真

「オーライ、ロックンロール!」の掛け声一発、〈クロマニヨン〉のリフレインとOiコールを交錯させて一気にアクセルを踏み、そのまま「タリホー」をドロップ。〈わいタリホー さめタリホー〉の大きな合唱も最高だが、何より演奏の歌心がハンパじゃない。一打一打のガシッとしたインパクトがクリアに聴こえてくるドラム、甲本と並走しながら自分の歌を歌い続けるようなギター、生き物みたいな動きで曲そのものをうねらせているベース。4つの歌がひとつの生命体になって、どの曲もどの瞬間もフレッシュな衝動を撒き散らしていく。脇目も振らずロックンロールを鳴らし続けてきたバンドならでは円熟のアンサンブル。しかしその音の髄を流れる血は延々蒼い。そのこと自体が本当に凄まじい。さらに「ランラン」、「生きる」をノンストップで連打し、歌って飛んで舞い踊るような8ビートがグングン加速していった。

「みんな楽しんでいるかー! 最高、最高です! 素晴らしいイベント、呼んでくれてありがとうございます! いっぱい(バンドが)出るから、時々言っとかんと“私は今、何を観ているんだろう”と思うかもしれないね。よろしくお願いします、ザ・クロマニヨンズです! 我々がザ・クロマニヨンズだー! …はい、説明は終わり。どんどんやりましょう!」と甲本の口調は至って穏やかかつ愛嬌溢れるものだが、音楽にすべてを込めているんだから説明は要らないよね、と言わんばかりのストロングスタイルである。

そうそう、もっと曲をくれといった具合に観客も大歓声で応え、「イノチノマーチ」、「あいのロックンロール」でSATAN STAGE一帯はさらに巨大な歌の塊に変貌する。その中でひとつ目のピークポイントを描いたのが、「あいのロックンロール」だった。爆速の2ビートが猛進する楽曲だが、スピードに乗るからこそ、一音一音がビシッと立つ演奏の凄まじさが浮かび上がってくる。さらに〈愛なき世界 夢なき世界/それがどうした 上等じゃねえか〉と歌う本楽曲は、観客にぶつけるように歌い続ける甲本の姿も相まって、とりわけ強烈な気迫を感じさせた。

陽光の下を走るような音楽だが、それでも目をひんむいて世界を見て、歯を食い縛って生きている人間だからこそ綴れるファイトソングである。「もう一発続けてやらせてください!」と叫んでの「エイトビート」もそうだ。〈ああ ゆくえ知れずの/ああ おたずね者が/どこかで モールス信号 たたく〉〈ただ生きる 生きてやる〉という執念と心拍、日々を行く歩調こそがザ・クロマニヨンズにとっての8ビートなのだ。

何しろノンストップで爆走していくライヴゆえなのか、「エイトビート」のアウトロでブルースハープを吹き倒した甲本は、まだ中盤だというのにTシャツを脱いだ。「忘れたらいけないから足元に曲順表が貼ってあるんですけど、この後、どんなに暑くてもTシャツを脱ぐタイミングがないので。ちょっと早いんですけど。…あ、まだ終わんないですよ!」という愛嬌たっぷりなMCに笑う観客。しかし「甲本ヒロト」というロックンロールヒーローのシグネチャーというか、もう一段上の完全体というか、そういう姿を目の当たりにしてとにかく会場は沸きまくっている。この一幕も「まだまだ行くよ」というサインである。
 
この後に披露された「暴動チャイル(BO CHILE)」には〈サンタクロースの名簿に/載っていない子供がいる/隠れてるつもりでも/夢がむきだしだぜ〉という一節がある。「どん底」には〈どん底だから あがるだけ〉という至極シンプルな闘争本能が記されている。ラストにプレイされた「ナンバーワン野郎!」もまさにそう。〈やる事は わかってる/立ち上がる 立ち上がる/いつまでも どこまでも〉。この歌を、空に届くような飛び跳ね方で歌うのが甲本ヒロトだ。

「あいのロックンロール」もそうだが、実存の危機を覚えるくらい切迫した世界を見れば見るほど、これらの歌は生々しく切実なメッセージとして響く。生きて生きて生きまくる、そのためにこのロックンロールが鳴り続けて欲しいと、願いと祈りを託すような気持ちで人々はザ・クロマニヨンズに拳を掲げていたのだと思う。闘い続ける者だけが見られる光のような瞬間の連続だった。

取材・文◎矢島大地
撮影◎柴田恵理

■<SATANIC CARNIVAL 2025>
6月14日(土) 千葉・幕張メッセ国際展示場9-11
6月15日(日) 千葉・幕張メッセ国際展示場9-11
◯物販 / FOOD AREA
・14日 open9:30 / 15日 open8:45
◯ライブ観覧エリア
・14日 開場10:30 / 開演11:30 / 終演21:10(予定)
・15日 開場09:45 / 開演10:45 / 終演20:30(予定)
▼6月14日(土)出演者
04 Limited Sazabys / 10-FEET / The BONEZ / coldrain / ザ・クロマニヨンズ / ENTH / ハルカミライ / HERO COMPLEX / 花冷え。 / HAWAIIAN6 / Ken Yokoyama / MAN WITH A MISSION / Maki / OVER ARM THROW / サバシスター / SHADOWS / SHANK / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / STOMPIN’ BIRD / TOTALFAT / 四星球 / [O.A.]トップシークレットマン
▼6月15日(日)出演者
Age Factory / バックドロップシンデレラ / Crystal Lake / Dizzy Sunfist / FACT / Fear, and Loathing in Las Vegas / FOMARE / THE FOREVER YOUNG / G-FREAK FACTORY / キュウソネコカミ / HEY-SMITH / HIKAGE / マキシマム ザ ホルモン / NOISEMAKER / RIZE / ROTTENGRAFFTY / See You Smile / Suspended 4th / View From The Soyuz / w.o.d. / ヤバイTシャツ屋さん
▶チケット:SOLD OUT

 

関連サイト
◆BARKS内<SATANIC CARNIVAL 2025>特集
◆<SATANIC CARNIVAL> オフィシャルサイト
◆PIZZA OF DEATH オフィシャルサイト

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