「上は大水、下は大火事 な~んだ?」@幕張メッセ!
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遠い。電車だろうが車だろうが、幕張は遠い。 しかも、この日は雪が降るかも知れない、と言われていただけに、とても寒かった。 荷物を外のコインロッカーに預けた若人らが、汗かきを頭に入れて半そでTシャツ1枚で会場までの距離を震えながら歩いていた。気合。 開演時刻に合わせてオープニング・アクトの宇頭巻が登場。南大阪出身のツイン・ヴォーカル・バンドで、今年はメジャー・デビューも決まっている期待の存在。いつも表情が見えるほど小さいライヴ・ハウスでやっているのに、この日は豆粒大にしか見えない。会場の大きさを改めて実感した瞬間だった。 が、宇頭巻が演奏していた約30分間、ずっと気になっていたのが、音の悪さ。天井が高いせいか、音が会場内を回転しているような気が。曲を知らずにこの場で初めて聴く人には、何がなんだか分からないことになりはしないか?こんなので大丈夫なのだろうか、リンプ・ビズキットは…。 などと考えていたら宇頭巻が終了。「ここで30分間の休憩を挟んで~」というアナウンスが入る。休憩、って誰の?って気がするんだけど…。 アナウンスどおり、約30分後には会場内の照明が暗転、いつ見てもいつ読んでも長いタイトルの最新アルバム『チョコレート・スターフィッシュ・アンド・ザ・ホット・ドッグ・フレイヴァード・ウォーター』の1曲目である「Intro」が流れ始めた。 同時にステージにロゴを大きくあしらったバックドロップがゆっくりと現れる。 とたんにブロック後方でゆったり構えていた観客が、叫び声を伴ってどーっと前に押し寄せる。そりゃそうだ、数年前の初来日の時はオンエア・ウェストでやってたのにいつの間にか「世界のリンプ」になってしまったんだから、それを少しでも間近で見たいという気持ち。分かりますわ。 さあ、戦闘開始! 「Hot Dog」では、アルバムと同じように、フレッド・ダースト(vo)の気の抜けたへにょへにょラップが観客を煽っている。力が抜ける歌声だなあ、と思いながらも背の低い私は必死に背伸びしてステージを観ると、ウェス・ボーランド(g)のおサルとも言えない宇宙人とも言えない、例の黒・灰・白3トーンのメイク(仮装?)が遠目にもよく分かる。 バッタのように粘りのあるジャンプを繰り返しながら低音の波を生むサム・リヴァース、一段高いセットで両手を大きく振ってスクラッチするDJリーサルと淡々とリズムを叩き出すジョン・オットー。 ステージを何度見直しても、彼らはリンプ・ビズキット。 初来日を逃したファンはこの日を心待ちにしていただろう。「Break Stuff」「My Generation」「Rearrenged」「Fastlane」「Getcha Groove On」と流れるように進み、後方のブロックとは対照的に、前方のブロックはかなり過熱気味。ジョージ・マイケルのカヴァー、「Faith」では例の如くあのだだっ広いステージに女の子をわんさか上げていた。 その後は「My Way」「Full Nelson」と続き、「Tribal-B Boys」。何かと思ったら、ストリートウェアのTRIBALの宣伝タイム。TRIBALのロゴが大きく描かれた布(旗?)が掲げられたその前で、ダンサーが華麗なるブレイクダンスを披露。これが妙に盛り上がって拍手が上がっていたほど。 その間、バンドはひと休みか? ひとしきりブレイクダンスでブレイクした後、ビデオクリップにもなっている「Rollin'」でまた爆発。が、会場内が一体化してる?と思いきや、自分の後方から「前と後ろじゃ別世界だな」という声が聞こえてきた。 自分も、オープニングから曲を追うごとに、何かしっくり来ないものを感じてはいたけど、この声で「確かにそうだな」と思ってしまう。それがバンドに聞こえたわけじゃないだろうが、スロー・ナンバーの「The One」のイントロと共に突然、フロア中央にあるステージにフレッドが登場。だらだらと眺めるだけになっていた後方ブロックの観客が、一気に大集合したのには驚いた。 目の前に上がってきた女のコを見詰め、手を握りながら歌うフレッド。女のコたちが「きゃーきゃー」と妬きもちを妬いているのが可笑しい。 続いて、フレッドの立ち位置はそのままに「Nookie」! フロアがめちゃくちゃ状態に。その間、ステージでプレイしている4人を忘れ、フレッドを見ている観客の方が圧倒的に多かったっけ。 最後の「Take A Look Around」ではフレッドがステージに戻り、一斉に観客の体の向きが正面に戻る。またまた盛り上がってはいるけど、やっぱり前方ばかりが楽しそう。 なんともコンパクトに収めた15曲のセット。見所はいくつか作られてたけど、個人的には「バンド自身もライヴを楽しんでいる」というよりも、「仕事をしている」といった印象を受けてしまったせいか、終始平熱で見てしまった。 本当に、別世界のものを見ている感じ。会場が大き過ぎたせいなのか、単に冷え込んでいただけなのかわからないけど、はっきり言ってうんと後ろにいた自分の所には、熱や温度が届いて来なかった。 最高だった初来日と比較するのもなんだけど、ちょっと今回は残念だった…かも。 柏サオリ |
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