Aliceの町の住人たち
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「アリゾナ州では、世界中のどこよりも多くのUFOが目撃されている。中にはすごいのもあって、空に輝く7つの光を皆が目撃したとか…」 そう語るのは、漆黒の髪とお揃いのクマを鋭く光る目の下に湛え、ソファにうずもれる男。 「それはまるで、空飛ぶフライングVのように見えたそうだ」 「問題は、どうしてアリゾナに集まったか、ということだ」 「なかなかの説だな」 「プロのフットボールや野球、バスケットの選手で、バンドに憧れたことがないという人はひとりもいないし、ロックンローラーは皆、バスから降りてまず最初に、スポーツチャンネルをつけて贔屓のチームの成績をチェックしている。ポルノビデオじゃなくてね」 例にもれず、Aliceもゴルフ狂だ。 「実にロックしているよ。世の中で最も中毒性のあるものだ。自分が中毒になっているものを、私はちゃんと把握しているんだ」 「世間にこう言わせたいんだ。『これがAlice Cooperとは思えない。逆の方向へ行ってるものと思っていたのに』と」 つまりはMichael Boltonの方向へ? 「もっとも、Michael Boltonは歌えても、私は歌えないがね」 しかし、髪型はAliceの方がずっといかしている。ところで、酒も飲まないゴルフ好きの父親にしてレストラン経営者であり、喧嘩をふっかけたりポスター相手にマスをかいたりするような思春期をとうに過ぎた彼が、どうしたらこれほどのへヴィメタルモードに入れるのだろうか。 「Korn、Limp Bizkit、Rage Against The Machine…ああいう連中の、ガツンとぶつかってくるようなエネルギーが気に入った。そういうエネルギーで、Aliceの曲を包んでみたんだ」。 いわゆるニューメタルの台頭が、Aliceの「競争本能を目覚めさせたんだよ。気分はさながら老いぼれた速撃ち野郎さ。いつの時代も、自分の方が速いという若手が名乗り出てくるものだが、こっちとしては『坊や、今さらまた拳銃を抜くのは不本意だが、仕方がないな、バキュ~ン!!!』というわけだ」 Marilyn Mansonなんか、格好の的になりそうじゃないか。 「あそこまでAliceに似させるとは、正直なところ驚いた。『おっと、ここまでやられると、こっちが恥ずかしくなるな』とね。あいつに電話して『方向性を変えろ』と言ってやろうかと思ったくらいだ。しかし、あいつは確信犯だ。わかっていて、私が腹を立てるようなことまでやってのける! 『聖書を破り捨てるとは!』と、クリスチャンの私としては、観ていて本当に腹立たしかった。会う機会があったら、『曲作りにもっと時間をかけろ。飾りばかりで、本体は大したことないじゃないか』と言ってやるだろう。彼は彼で、うまくやっているとは思うが、私はどちらかというとRob Zombie寄りだな。彼はショウマンで、ユーモアのセンスもある。Marilynのは深刻過ぎていけない」 「世紀末的な、とことん悲観的なものを書きたかった」と言うAliceだが、未来のホロコーストに、いつものようにちょっとしたユーモア感覚をあしらうことを忘れてはいない。 「私に言わせれば、優れたホラー映画は優れたコメディだからね。『エクソシスト』だってそう。2度目に観た時は、リンダ・ブレアがあれこれ吐き始めたところで、私は笑ってしまった。最初に観た時は怖かったんだが」 その晩の彼のデートのお相手は、たまたまリンダ・ブレアだった。だから言ったでしょう、アリゾナでは不思議なことがあるもので… by Sylvie Simmons |
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