【ライブレポート】SG、自身初のビルボードライブ開催「俺らでお花畑つくっていきましょう」

SG。2025年3月、彼にとって初のビルボードライブ<SG Billboard Live 2025「Still Blooming」>が大阪と横浜で開催された。今回は、3月20日のBillboard Live YOKOHAMA公演(昼公演)の模様をレポートしていく。
◆ライブ写真
ライブの前には、メディア向けに囲み取材が行われた。今回、初のビルボードライブに挑戦した理由についてSGは「ビルボードは、歌をお届けするシンガーソングライターにとって、一番生々しい空間なのかなと思っていて。もう本当に、粗も全部目立つと思うんです。なので、自分の中でのステップアップとしてチャレンジしてみたいなって思った次第ですね」と答えてくれた。続けて、ビルボードライブだからこそのこだわりとして、「今まで以上に、自分の人間味を見せていくライブにしていく」と語ってくれた。

定刻の15時になると、会場が暗転。凛とした響きのSEが鳴りわたる中、サポートピアニストと共にSGがステージイン。「横浜、会いたかったぜ。今日を素敵な日にしましょう」という呼びかけから、1曲目の「Instagram」へ。囲み取材でSGが語っていたように、彼の歌声が、微細なニュアンスまで含め、いつものライブハウスの時以上にありありと伝わってくる。観客の見方もいつもとは異なり、テーブルに着席して食事やドリンクを楽しみながらのライブ鑑賞ではあるが、SGは、いつものように「盛り上がる準備はできてますか?」と呼びかけ、「ひとくちのキス」を披露してみせる。その呼びかけに応えるように、観客は、自分の席で手拍子をしたり、手を左右に振ったりしながら、SGのライブパフォーマンスに彩りを添えていく。「Cheese」では、SGが、ステージと客席の親密な距離感を存分に謳歌するように、1階の観客、2階の観客と親密なコミュニケーションを重ねながら歌う。
「rainy day」の後の最初のMCパートでは、観客と共に乾杯をするという、まさにビルボードライブならではの一幕も。続けて、インディーズ時代に最初に作った「Lily」、メジャーで最初にリリースした「Palette」、つまりSGにとって原点の2曲を、歌とピアノのみで披露。最小の編成だからこそ、また、ビルボードの音響空間も相まって、SGの歌声が細かな息遣いまで含め手に取るように伝わってくる。囲み取材で自身が語っていたように、まさに、彼の人間味に直接触れるような親密なパフォーマンスだった。続けて、最新曲「Remember」へ。狂おしく昂る切実なエモーションを、その流麗な起伏を含めて伝えてゆく圧巻のパフォーマンスだった。

MCで、学生時代によく足を運んでいたという横浜に対する思い入れを語った後は、カバー曲のコーナーへ。まず、レミオロメンの「3月9日」のカバーを披露。ほとんどファルセットを使わず、パワフルな地声を通して、楽曲に宿る思いの丈を高らかに表現してみせる。続いて、SHAUNの「Way Back Home」 を日本語訳バージョンでカバー。なお、この曲をライブで歌うのは、メジャーデビュー後のライブでは今回が初めてとなった。自身の公式YouTubeで公開したカバー動画の再生回数が6000万回を超えていることもあり、この曲のライブ披露を待ち望んでいたファンもきっと多かっただろうと想像する。左手を胸に当てたり、拳を強く握ったり、また、人差し指を高らかに天に突き上げたりしながら、渾身の歌声を響かせていき、続けて、「死んでもいいや」へ。究極的なまでに深い愛を懸命に伝え抜いてゆく、あまりにも感動的な名演だった。
本編最後のMCパートでは、ライブのタイトル「Still Blooming」に込められた想いが伝えられた。「Still Blooming」には、ずっと咲いている、咲き続けている、という意味合いが込められているという。SGは、去年のことを振り返りながら、今の自分のままではみんなから愛されないのではないか、という不安を抱いていたことを明かした。ただ、今年に入ってから次第に、自分を追い込まないマインド、決して無理をしないペースを掴むことができたという。大変なこと、辛いことはたくさんあるし、もしかしたら、いつまでも満開を迎えることはないのかもしれない。それでも、自分の心の中の花はずっと咲いている、咲き続けている。

「Still Blooming」に込めた想いを、自身の経験を交えながら語ったSGは、観客に向けて「自分の心の花に、大切に水をやって、愛してやって、咲かせ続けてください」「僕もこれからそうしていきたいと思います」と伝えた。そして、「俺らでお花畑つくっていきましょう」「あなたたちは俺の心の友だから。」と呼びかけ、「心友」を披露。両手を大きく広げながら壮大なスケールを誇る歌を送り届け、そして、自身の代表曲「僕らまた」へと繋ぐ。フッドステップのリズムに合わせて客席から大らかな手拍子が巻き起こり、晴れやかな一体感が会場全体を満たす中、この日の本編は鮮やかなクライマックスを迎えた。
そしてアンコールでは、「最後は盛り上がる楽曲を!」という言葉と共に「君に会いたいと願ったって」が披露された。ステージの端から端まで移動しながら、一人ひとりの観客と、この日一番熱く親密なコミュニケーションを重ねてゆくSG。観客もその想いに応えるように、高く上げた手を左右に振って彼のライブパフォーマンスを彩っていく。ライブハウスさながらの、あまり熱い大団円だった。
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