【インタビュー】由薫、海外クリエーターとの共同制作が呼び覚ました本能と原点「心が喜ぶことを大事に」

■本能やむき出しの心を無視しては
■豊かに生きていけない
──EPの最後に収録された「Silent Parade」は、由薫さん、エリック・リボム(Erik Lidbom)さん、グスタフ・マレド(Gustav Mared)さんによる共作で、エモーショナルで力強くも美しい曲となりました。Silent Parade=沈黙のパレードというのは、どういう意味合いですか?
由薫:ここにあるパレードは、いわゆるディズニーランドとかのような華やかなパレードではなくて、デモ行進のようなものを思い浮かべていたんです。デモ行進って、誰かが主張をもって行動しているもので、その列が長ければ長いほど意味が強くなる。でも、それを始めたのってきっと一人なんだろうなと思ったときに、音楽活動と似てるなと思ったんです。特にシンガーソングライターって一人で始めて、一人でステージに立っていて、でもその裏にはたくさんのスタッフや聴いてくれる人がいてくれる。今こうして活動ができているのは、はじめの一歩を信じて歩むことができたからだと思っているんです。
──それが“Silent”というのは?
由薫:“沈黙の行列”っていうことは、まだ後ろには一緒に歩いてくれる人がいないんです。でもいないんじゃなくて、“未来にそうなってくれる人がそこにいる”ということを信じて歩くということを描いていて。音楽だけでなく、何か新しいことを始めようという人も、最初の一歩は一人だと思うんですけど、どこまで後ろの景色を想像できているか、それを本気で信じて歩けているか、それが大切だと思うんです。一人だと思って踏み出そうとしている人に対して、“静かなだけで、後ろには未来の賛同者や一緒に歩いてくれる人がいるから、そのまま歩いてほしい”っていう願いを込めた歌になりました。

── 一枚の作品を通して、挑戦的なトラックなどもありますが、音楽を始めてから現在までの由薫さんの歴史や心の変遷がぎゅっと濃く詰まったEPになりましたね。
由薫:今回は歌詞にすごく悩んだんですけど、曲が先に出来てて、後から歌詞を書くからこそ、EP全体を通したテーマを設けることができたり、1曲1曲に今の自分の心境を反映できたのかなと思います。曲を作ったのは結構前で、歌詞を書いたのが最近なので、そういう意味でも過去と現在のコラボレーションになったところもあると思います。
──EP『Wild Nights』を携えて3月29日からツアー<YU-KA Tour 2025“Wild Nights”>がスタートします。東京公演となる恵比寿LIQUIDROOMなど、会場規模がどんどん大きくなっていますが、どんなライブにしたいと考えていますか?
由薫:バンドマスターの小川 翔(G)さんとも話しているんですけど、今回は“バンド”って感じのステージにしたいと思っています。『Wild Nights』収録曲はスウェーデンで、それも1日で作ったような楽曲も多いんですね。私が一緒に制作したスウェーデンのアーティストは、PC上でいろいろ考えながら一番効果的な形を作っていく手法が特徴的だったんですけど、それをただオケとして流しただけではライブの面白味がないなというところで。
──では、バンドアレンジが施される曲もありそうですね。
由薫:はい。作品を聴いてライブに来てくれた人にとっても納得のいくものにしたいですし、ライブならではの良さがあるものにしたいので、精鋭メンバーでツアーを回ろうということになりました。EPには“剥き出しの心”というテーマもあるんですね。収録曲の話でも触れましたが、理性はもちろん大切ですけど、本能やむき出しの心を無視しては豊かに生きていけないと思っているんです。いろいろ開放的にしながらアーティストとしての成長を見せられたら。あとは、前作『Sunshade』のリリースライブが東京で一夜限りのワンマンだったので。前のEPも主役になってくるかなと思うので、そこも楽しみにしてほしいです。

──ライブも重ねてきましたが、楽しさは増えてきましたか。
由薫:実は2025年はまだライブをしてなくて。2月に音楽朗読劇『ピーター・パンとウェンディ』に参加したんです。朗読劇と言っても20曲くらいあって、ボーカルも新たなやり方で歌っていたり、初めて演技的なことをやったり、すごく学びが多かったんですね。改めて表現を見つめ直す機会になったり、引き出しも増えたので、とにかく今ライブをしたくてうずうずしているので、気合いの入ったツアーになると思います(笑)。それに、今回は会場が広くなったので、演出面もこだわって作っていきたいですね。
──2025年は新しい挑戦もしていく年になりそうですか?
由薫:新しいことをたくさんやりたいというより、いろいろなものに触れたい気持ちが大きいですね。
──なるほど。
由薫:今年のテーマは“見つめる”なんです。近年、コライトする機会が増えて、長らく自分自身で曲を生む作業を積極的にできていなかったんですね。音楽的知識が身についてきているけど、自分一人で曲を作っていても納得できないことも多かったりもして。でも今年は、そういうところをしっかりと見つめつつ、いろいろなものを見たり聴いたり、いろいろな場所でいろんな景色を感じたり、そういう経験を曲に書いてリリースできたらと思っています。『Sunshade』『Wild Nights』というまったく異なるEP2作を経て、本当の自分というものを描き出すポイントが次の作品なのかなと思っているので。2025年は自分らしさをより探求していきたいです。
取材・文◎吉羽さおり
撮影◎TOYO
ヘアメイク◎小嶋 克佳/根津 佑奈(アシスタント)
スタイリスト◎今福 幸奈
■EP『Wild Nights』

2025年3月12日配信開始
配信リンク:https://lnk.to/yu-ka_wildnights
1. Feel Like This
作詞:由薫 作曲:由薫・David Fremberg
編曲:David Fremberg
※Netflixシリーズ アニメ『BEASTARS FINAL SEASON』Part1 エンディング主題歌
2. Dive Alive
作詞:由薫 作曲:由薫・Lukas Hallgren
編曲:Lukas Hallgren
3. 1-2-3
作詞:由薫 作曲:由薫・David Fremberg
編曲:David Fremberg
4. Mermaid
作詞:由薫 作曲:由薫・Magnus Funemyr
編曲:Magnus Funemyr
5. Silent Parade
作詞:由薫 作曲:由薫・Erik Lidbom・Gustav Mared
編曲:Gustav Mared for Hitfire Production
■東名阪ツアー<YU-KA Tour 2025 “Wild Nights”>
open17:15 / start18:00
(問)サウンドクリエーター 06-6357-4400
3月30日(日) 愛知・NAGOYA JAMMIN'
open16:15 / start17:00
(問)サンデーフォークプロモーション名古屋 052-320-9100
4月17日(木) 東京・LIQUIDROOM
open18:00 / start19:00
(問)ホットスタッフ・プロモーション 050-5211-6077
▼チケット
・スタンディング:6,000円(税込)
・スタンディング / 特典(直筆サイン入りツアービジュアルカード)付き:7,000円(税込)
※入場時ドリンク代別途要
※特典のお渡しは当日会場のみとなります。ご来場いただけなかった場合の後日お渡しや個別での発送対応はお受けできません。
枚数制限:お一人様各公演4枚まで
年齢制限]:未就学児童入場不可
※電子チケット、紙チケットの取り扱いになります

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