【ライブレポート】デラックス×デラックス、カロリー過多な愛と情熱ほとばしる「必殺技」の数々
全国33箇所を回った<瞬け!!デラックス×プラネットTOUR>から1ヶ月半弱というインターバルで、32箇所以上に渡る全国ツアーをスタートさせてしまうとは。その豪快さがビジュアルのインパクトだけにとどまらないという意味でも、7人の表現者としての品格を感じられるだろう。
総体重555kgオーバーのアサガオ(Vo)、スイレン(G)、スズラン(B)、サクラ(Dr)の4人と、か弱い彼女たちを守るシダ(ダンサー)、ラシ(ダンサー)、コク(DJ/Mp)の3名のSPで構成された7人組パフォーマンスバンド、デラックス×デラックス。現在開催中の<爆裂!!ギガントスイングツアー>は彼女たちにとって最大規模であり、2日目となる東京・日本橋三井ホールもツアーファイナルの如く大盛況だった。このレポートではツアー中でありながらも公演内容に詳細に触れ、今の7人が成し遂げるエンターテインメントの全貌をとくとお届けする。
アサガオ
スイレン
スズラン
サクラ
シダ
ラシ
コク
メンバーが新たな登場曲「GONG」に乗せてひとりずつ登場して配置につくと、アサガオの優雅な挨拶から「かもめが翔んだ日」で幕を開ける。難易度の高いメロディを軽やかに歌う彼女の歌声に観客は酔いしれるも、サビになれば彼女とSPとともに両手で翼を作りキレのある動きで舞う。冒頭からアーティストとファンが以心伝心していることがあらわとなり、一気に一体感が生まれた。
リズム隊のつなぎに乗せてシダとラシがダンスを見せるとクールなロックサウンドと艶やかなメロディが混ざり合う「アイ・エキゾチック」、アサガオのしなやかな身のこなしも目を見張る「DESIRE-情熱-」と立て続けに披露する。ぶれることのない安定感のある硬派な歌と演奏、曲の躍動感と煌びやかさをキャッチーに表現するSP陣、昭和歌謡とロックをなめらかにブレンドさせるミクスチャーセンスと、たった3曲で7人の持ち味を存分に見せつけた。
サクラは前方がスタンディング、後方に座席が配備されたフロアを見渡し、「物理的な距離はあるのに心の距離の近さを感じる」と観客の熱量に喜びを示す。アサガオは今回のツアーについて「日本全国に必殺技を決めてやるぜ!」という思いを込めて、タイトルにジャイアントスイングの上を行く“ギガント”スイングを掲げたと表明。「このツアーに懸けておりますので、アタシたちの全力ぜひ受け止めてください」と強い眼差しと笑みを浮かべると、会場からは大きな拍手と歓声が起こった。
アサガオの「お手を拝借!」を合図に観客がクラップを鳴らすとヘヴィなギターと小気味よい四つ打ちが混ざり合う新曲「エバビバ」へ。スイレンがセンターのお立ち台に駆け上がりギターソロをかき鳴らすシーンもダイナミックだ。「ブラックキャット・スウィング」からはデラックス×デラックスの同郷の後輩にあたる姉妹ダンサー・NeIROがゲスト参加し、さらに迫力あるステージを作り上げた。曲終わりから間髪入れずにスイレンとスズランが前に出てインストでつないだのは「ダンシング・ヒーロー」。フックとなるシンセの音色は残しながらも、各メンバーやダンサーのソロも組み込み、さらには原曲よりもテンポを上げるなど、原曲にリスペクトを払いつつデラデラ色に染めるアレンジ力も光る。その後もテンポよく「オニサンコチラ」につなぎ、会場の熱を上昇させた。
シダとコクがステージに残ると、BGMと事前録音されたアサガオのリングアナウンサー風ナレーションに乗せてグッズ紹介を行う「DCG」のセクションへ。グッズ紹介までもをエンターテインメントに昇華するのは、意識の高さを超えて貪欲さすらも感じる。そして開演以降、ラジオプログラムのようにスマートにライブが進行していくのも驚異的だ。飽きる瞬間や目を逸らす暇も与えないという点でも、「出来得る限り観客を楽しませたい」という強烈な意志を感じる。愛嬌がありながらもどこまでも隙がなく過剰。さすがハイカロリーなバンドである。
シダとコクと入れ違いにアコースティックギターを持ったサクラがステージに登場すると、スツールに腰掛けてギターを優しく爪弾き、その音色に乗せてアサガオがゆっくりとステージに現れてアコースティックコーナーへ。アイコンタクトを交わしたふたりは、「SWEET MEMORIES」を披露する。観客はアサガオの情感たっぷりの歌声に聴き入り、そこからサクラが「ヨバナシのテーマ」のイントロを弾き始めると優しいクラップを鳴らし始めた。ステージとフロアの以心伝心ぶりは1曲目から明らかだったが、それもすべてデラデラの音楽とエンターテインメントへ懸ける情熱がそうさせているのだろう。アサガオは終盤の間奏に乗せて「引き続きデラックス×デラックスのステージ、ご堪能あれ」と告げ、大きな拍手が会場を包み込むなかアコースティックコーナーは締めくくられた。
アサガオはいろんなデラックス×デラックスを見せるという意味でツアータイトルに必殺技を冠したと明かすと、「しっとりしたデラックス×デラックスもいいでしょう?」「最近弾き語り配信ができていないので、たっぷりアタシの歌唱力を押し付けてやろうかなと思って」とアコースティックセクションを盛り込んだ意図をユーモラスに語る。サクラが「たくさんのスタッフさんがいてくださるからライブでアコースティックセットができる」と感謝を語ると、アサガオも「いろんな意味で大きくなったね。こんな大きい会場でできて幸せに思います」と重ねた。
切なくもポップな新曲「春色」、観客のシンガロングも響き渡った「ラララブラ~愛の呪文~」、タオルもミラーボールも華やかに回った「恋してよDISCO」と立て続けに届けると、アサガオは観客に声を掛けてコミュニケーションを取った後に「もっともっと大きくなりたいんですよ。アタシがギリギリ見えるくらいの大きさの会場でライブがしたいんです。でもステージがどれだけ大きくなっても、そのスケールにぴったりになっておきますので。今後どんどんでかくなっていくデラックス×デラックスをよろしくお願いします」と野心を語る。そして「そのためには皆さんの力が必要です。ついてきてくれますか!?」と威勢よく呼び掛けるとメンバーはさらに士気を高め、「LOVEマシーン」「ダイナミック琉球」と情熱的な演奏とパフォーマンスで魅了した。本編ラストの新曲「シーヤ!!!」はまさしくとどめの一撃を与えるような、なおかつこれからのデラックス×デラックスの道筋を明るく照らすような、すがすがしい演奏だった。
「YMCA」でポジティブに溌溂とアンコールをスタートさせると、コール&レスポンスを挟み「セクシー★ダイナマイト」で盛大にこの日を締めくくる。だが熱演を浴びせられた観客のテンションは冷めるどころか上がるばかりだ。エモーショナルなクラップに誘われるように、メンバーは再びステージへと帰還する。
サクラは「アンコールまでは決めているけれど、Wアンコールは会場のみんながまだ聴きたい!と言ってくれるときしかやらないし、体力の限界を迎えているメンバーがひとりでもいたら絶対にやらない。でも今日はみんなやる気満々だね? スイレンは舞台から降りた瞬間から“Wアンコールだ!”って言ってたから」と笑い、アサガオも「食いしん坊たちめ! おかわりしたからには全力で来るんだよ!?」と観客を煽る。急遽披露された「一夜一夜に人見頃」には、これまでの豊富なライブ経験に裏付けされた堂々としたパフォーマンスと、この日7人から生まれた充実感が美しく花開いていた。
このツアーは現時点で来年8月まで続くことが告知されているため、今後の公演で新たなパフォーマンスが生まれる可能性も高い。さらに2025年は約2年振りとなるニューアルバムのリリースも以前よりアナウンスされている。バンドとして、エンターテインメント集団として、アーティストとしてパワーアップし続けるデラックス×デラックス。7人の愛と情熱の込められた必殺技の数々を、ぜひ現地で味わってほしい。
取材・文◎沖さやこ
<デラックスxデラックス「爆裂!ギガントスイングツアー」>
1.かもめが翔んだ日
2.アイ・エキゾチック
3.DESIRE-情熱-
4.エバビバ(新曲)
5.ブラックキャット・スウィング
6.ダンシングヒーロー
7.オニサンコチラ
8.春色(新曲)
9.ラララブラ~愛の呪文~
10.恋してよDISCO
11.スイートメモリーDUO
12.ヨバナシのテーマDUO
13.LOVEマシーン
14.ダイナミック琉球
15.シーヤ!!!(新曲)
En1.YMCA
En2.セクシー★ダイナマイト
WEC1.一夜一夜に人見頃
◆デラックス×デラックス・オフィシャルサイト
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