【インタビュー】sis、『トロット・ガールズ・ジャパン』出身の個性豊かな4人が「愛のバッテリー」でデビュー
韓国で絶大な人気を誇る音楽ジャンル・トロット。日本の1970、80年代の大衆音楽、いわゆる“昭和歌謡”と呼ばれるものと近しい耳触りのあるサウンドで、現地ではオーディション番組も好評を博している。この記事の主役であるsisは、そのオーディション番組の日本版『トロット・ガールズ・ジャパン』の準決勝以上に勝ち残った4人で結成されたユニットだ。
メンバーは、幼少期から歌手を目指し、ギターの弾き語りでライブ活動を行ってきた かのうみゆ。K-POPアイドルに憧れ、韓国で練習生としてレッスンを積んできたMAKOTO.。18歳からキャバレーでR&Bやジャズを歌い続けてきた太良理穂子。音大在学中からアイドルとして活動し、ミュージカルにも数多く出演してきたあさ陽あいの4人。なお、かのうとMAKOTO.は、『トロット・ガールズ・ジャパン』終了後、日本代表として韓国で放送されている番組『日韓歌王戦』に出演。韓国国内でも高い支持を集め、YouTubeにアップされた歌唱映像が凄まじい再生数を記録している。
そんな出自も個性も異なる彼女達が、このたびシングル「愛のバッテリー」でデビューすることになった。同曲は、2009年に韓国で大ヒットしたトロットの名曲で、今回プロデュースを務めるヒャダインが日本語詞/編曲を担当。懐かしくも新しい中毒性のあるダンスポップに仕上がっている。初登場となる今回のインタビューでは、デビュー曲はもちろんのこと、彼女達がどんな人物なのか、話を聞いた。
■最初は4人が混じり合うのかなっていう不安が少しあったけど
■足りていないものを補い合えているので結果的には良かった
──この4人でsisというグループで活動するというお話を聞いたときに、まずどう思われましたか?
かのうみゆ(以下、かのう):こんなチャンスをいただけたことにまず感謝だなと思いました。足りないことはもちろんたくさんあるんですけど、このグループに私を選んでくれたスタッフさんにも感謝ですし、今まで支えてくれた家族や友達、ファンの人達にも恩返しができるように歌っていきたいなって。なので、ただただメジャーデビューありがとうございますという気持ちでした。
MAKOTO.:私ももちろん感謝の気持ちが大前提にあるんですけど、最初は正直、“この4人なんだ?”とは思いました。なんていうか、バラエティ豊かじゃないですか、どう見ても(笑)。なので、バラバラすぎて混じり合うのかなっていう不安が少しあって。でも、みんなそれぞれ個々で歌ってきた子達なので、いろいろ話し合いながらやっていくうちに、いまはもう全然大丈夫になりましたね。
──最初はどうなるかわからないところが楽しみというよりは、不安の方が強かったと。
MAKOTO.:最初はそうでしたね。でも逆に、自分にないものをみんなが持っているから、足りていないものを補い合えているので、結果的にはすごくいいなと思います。
太良理穂子(以下、太良):私は(『トロット・ガールズ・ジャパン』の)準決勝で落ちたので、こうやってメンバーのひとりとして選んでいただけたことへの感謝が一番にあるんですけど、ひとりずつのキャラがバラバラだから大丈夫かな?って、私も最初は思ったんです。やっぱりオーディションで出会っているから、最初はみんなのことをよく知らないじゃないですか。だから、グループになってから知っていく感じではあるんですけど、それこそお互いが補い合っていることもそうだし、身長とかそういう面でも良いバランス感があって。私としては、これまでグループはまったくやったことがなかったので、すごく勉強になっています。
──お互いのことを知りながら、この4人だったらこういうこともできるんじゃないかというのも見えてきて。
太良:そうですね。この子にはこういう一面もあるんだというのが分かると、じゃあ私はこういうことを頑張ろうとか。4人でいる中で、自分はどういうふうにバランスを取りながら、sisの太良理穂子という存在をどうしていくかというのをすごく考えながら楽しくやらせていただいてます。
かのう:良いコメント。
太良:あざっす(笑)。
──(笑)。あさ陽さんはどう思われました?
あさ陽あい(以下、あさ陽):私はオーディションの途中で敗退して、敗者復活(ファンによるWEB投票)で決勝に行かせてもらったので、まさか自分がメンバーに選ばれてデビューさせていただけるとは思っていなくて。オーディションに落ちたときは本当に泣きながら帰って、思い出すと今でもそのときの感情が蘇ってくるんですけど、その悔しさを自分は知っているから、それを背負って、バネにして、これから4人で頑張るぞ!ってすごく思いました。私もみんなが言っていたみたいに、それぞれ歌い方とか個性も本当に全然バラバラだから、最初は不安というか、どうなるんだろうという未知な感じではあったんですけど、実際にやってみるとすごく面白くて。もちろん違う意見が出てくるときもあるんですけど、やってみるとそれぞれの良さが相乗効果になって、最近はだんだん形になってきてまとまってきたんじゃないかなってすごく感じています。
▲太良理穂子
──太良さんは御三方から見てどんな人だと思いますか?
かのう:私は元々太良ちゃんとは『トロット・ガールズ・ジャパン』のオーディションで同じグループで、初めてみんなで顔合わせしたときの立ち位置が、太良ちゃんの横だったんですよ。そこから縁なのか分からないんですけど、お話とか相性もすごくよくて、オーディションのときからしょっちゅう一緒にトイレに行ったりとか(笑)。
太良:学校に入学して、出席番号が前後で最初に友達になった人みたいな。
かのう:そうそう! 本当にそういう感じ。いつも明るくてポジティブだし、「とりあえず今日も楽しんでいこう!」って言うんですけど、その一言に救われている自分がいますね。不安もあるけど今日も楽しめればいいやって。そう思わせてくれるオーラがある人だなって思います。
太良:嬉しい。ありがとう。
MAKOTO.:確かに、「明るい」っていうイメージまんまっていう感じですね。ムードメーカー的な感じというか。
太良:ほんと!?
かのう:うん。いつもニコニコしてる感じ。
MAKOTO.:明るいし、ピリッとした空気もなくて。場を和ませてくれますね。
あさ陽:そうそう。いつも太良ちゃんの笑い声が聞こえてくる感じ。歌声もソウルフルで魂を感じるというか。3人とは違う歌い方をしているから、みんなで歌ったときにすごく締まるなって思っています。
▲かのうみゆ
──では、かのうさんはどんな人です?
太良:このなかで一番年下というのもあって、妹的というか、可愛らしい存在で、いつもほんわかしてるんですよ。そこに癒されるというか。かわいいなって思いつつ、だけど人のことをすごく見てるんですよね。メンバーとかスタッフさんの表情がちょっと暗かったりしたら、「大丈夫?」って優しい声をかけてくれたりとか。真剣に考えるときはすごく真剣に考えているので、ギャップがあるなって思います。
MAKOTO.:確かに。たまにほんわかしすぎて心配になるときもあるけどね。
かのう:ははははは(笑)。
MAKOTO.:意味の分からないことを突然しゃべり始めて、「おっと、このタイミングで大丈夫か?」みたいな(笑)。「ちょっと待って、ちょっと一旦考えようか?」っていう心配はありますけど、華があるのでグループを引き立たせてくれていると思いますし、それこそやるときはちゃんとやるので。だからまぁ、若干ハラハラしながらっていう感じですね(笑)。
かのう:母によく言われます(笑)。
あさ陽:でも、そういうところがすごく良いところだなと私は思っていて。周りが応援したくなったり、味方になりたくなるじゃないですか。それに、フレンドリーですごく話しやすいし。私はすごく人見知りなんですけど、最初にいっぱい話しかけてくれて、すごく嬉しかったのを覚えています。
MAKOTO.:人見知りだったの……?
かのう:いま知った(笑)。
あさ陽:そうだよ!
▲MAKOTO.
──では、MAKOTO.さんはどんな人です?
MAKOTO.:(話を聞くのが)怖い……(苦笑)。
太良:私はMAKOTO.ちゃんのことをリスペクトしていて、歌もダンスもこのなかで一番上手いと思っています。韓国で練習生をしていたのもあるから、音楽に対しての姿勢がすごくまっすぐだし、MAKOTO.ちゃんが言っていることってすごく入ってくるんですよ。
かのう:話をしていて嘘がないんですよね。たとえばリハをしていて、私の歌について「こうしたほうがいいよ」ってアドバイスをくれたり、私がMAKOTO.ちゃんに「どうしたらいいかな」って聞くと、「みゆはこういうところが良いから、ここを伸ばしたほうが良いと思う」とか、経験があるからすぐに教えてくれたりして。だから先生みたいなものですよね。そうやって言ってくれる子がメンバーにいるのが、私的にはすごく嬉しいです。私もMAKOTO.ちゃんのことをリスペクトしているし、言葉に嘘がないから、話をしっかり聞き入れられるので。あと、すごく努力家ですね。音も外さないし、周りの音もよく聴いているし。
あさ陽:MAKOTO.ちゃん自身もすごく勉強して頑張ってきたのもあるから、音楽的な話もすごく入ってくるし。私もMAKOTO.ちゃんをすごくリスペクトしていて、何か困ったことがあったら「ここどうかな?」って聞くようにしてます。あと、何かあったらいつも全部まとめてくれるところがあって。
かのう:すごく頼りになるよね。
あさ陽:たとえばMCのときとか。
かのう:そう! 私もそうだけど、ここ3人がほわほわしてるから──
MAKOTO.:「はい、先生しゃべるよー」みたいな。
太良:ははははは(笑)。
あさ陽:そうそう(笑)。オールマイティで完璧にできる人ですね。
MAKOTO.:いやだ……もうここから出たい(苦笑)。恥ずかしすぎる……。
▲あさ陽あい
──(笑)。最後、あさ陽さんはどんな人です?
太良:あさ陽ちゃんはとにかく優しいです。明るいし、気遣いもすごくできて、周りのこともすごく見えてるし。最近ラジオとかで一緒になることがあるんですけど、優しいけどおもしろい一面もあったりして。4人それぞれ持っているものは全然違うんですけど、あさ陽ちゃんがいてくれてよかったって思う瞬間が結構あるなって最近めっちゃ思う。
あさ陽:ええー! 嬉しい。
太良:このなかでは一緒にいた期間が一番短いから、急にこの4人が集められたときに、最初はあさ陽ちゃん自身も私達とちょっと距離を感じたんじゃないかなって思うんです。だけど、あさ陽ちゃんのことを知っていくうちにおもしろいなと思うし、優しいし、メンバーにいてくれてよかったなって。
かのう:優しいっていう言葉が本当に似合いますね。常に気にかけてくれているというか。一人ひとりのことをよく見ているし、いいところをすごく分かってくれているんだなって。
太良:コーラスも作ってくれたしね。
かのう:そう! 全部作ってくれたし、練習も常にしていて。だから、MAKOTO.ちゃんがお姉ちゃんな感じはあるんですけど、あさ陽ちゃんも全体的にお姉さんみたいな感じというか。メンバーを柔らかい目で見てくれている感じがします。
MAKOTO.:確かに癒しの感じはあるね。太良ちゃんとはまた違った明るさを持っていると思います。コーラスのことも、彼女は音大卒なのもあってそういうところに長けているし、しっかりまとめてくれているから、縁の下の力持ちというか。そういうところでしっかり支えてくれてるなって思います。ただ、この子もこの子で、たまに「そこで!?」っていうタイミングで変な部分を出してくるから(笑)。
太良:それがまたおもしろいんだよね。
MAKOTO.:そうそう。そこがまたギャップがあっていいなって。おとなしい子なのかなと思ってたら、こういう変なこともできるんだって。
──変なこと、ですか(笑)。
かのう:「え、そんなことあったんだ!?」みたいな話が多いんですよ。
MAKOTO.:もしかしたら、この中で(あさ陽が)一番おかしいかもしれない。
かのう:そう! ほんとそうです。私ですらも「えっ!?」ってなる(笑)。
太良:人見知りだから隠したがりな感じはあるんだけどね(笑)。
MAKOTO.:そうそう。しゃべればしゃべるほど一番ヤバいのがあいちゃんかも。
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