【インタビュー】小林愛香、2ndアルバムに煌めく12色の挑戦と歌声「皆さんの人生を彩る楽曲を届けたい」

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■今までにない歌い方に挑戦したり
■演奏したり、コラボしたり


──アルバムのリード曲にして1曲目は、Q-MHzが作詞作曲編曲を手掛けた「Lonely Flight」です。

小林:Q-MHzさんに描いていただく曲は、盛り上がったり熱量の高いものが多いのですが、「今回はQ-MHzとしても、チャレンジングな曲が作りたい」という話があったんです。Q-MHzさんはそもそも、いろいろなタイプの曲を作られているから、どんな曲が届くのか想像もつかなかったんですね。結果、これまで小林愛香に書いていただいていた曲とは違う、新しいQ-MHzさんの曲になったと思っています。

──熱量というより、空を駆けるような爽快感がありました。

小林:疾走感だったり浮遊感だったり。私の印象としては、大きな旗を振っているような絵的なイメージも受けました。


──タイトルに“Lonely”とありますが、これは寂しさや孤独を感じさせるワードですよね?

小林:ひとりひとりが違うことをしながら生きている日常で、「Lonely Flight」を聴いているときだけは、ひとつの思いで繋がれる、どんなに遠くにいても。それはすごく素敵なことですよね。私もコロナ禍では、なかなか思うように皆さんとライブができなかったり、イベントがほぼ全部中止になったりして、苦しい時期があったんです。だけど、音楽を通して思いが繋がっているって感じてて。ひとりじゃないって感じていたし、みんな同じ思いで繋がれている安心感がありました。歌っている私自身、みんなと同じ気持ちで繋がっているんだよということを伝えたかったので、「Lonely Flight」のような楽曲が歌えて、すごく幸せです。コロナ禍を経たライブで、“やっと会えたね!”って同じ空間で繋がれるのって本当にいいですよね。

──そんな想いを込めたレコーディングでは、どんなことを心がけましたか?

小林:爽やかに駆け抜ける感じを意識して、熱さというよりは、力みすぎず少し涼しい顔で歌っていたかもしれないです(笑)。

──ラテンな「BUMMER, BUMMER」から、ニューウェーブ/エレクトロポップの「Breakthroughだ!」への流れには落差があります。

小林:アルバムの曲順もあいきゃんチームで考えたもので。最初と最後の曲を決めて、あとはブロックごとにテーマを持たせる形にしたんです。前半ブロックは新しさを詰め込んだ感じですね。


──やしきんさんが作詞作曲編曲を手掛けた「Breakthroughだ!」は、小林さん自身がキーボードを弾いたという点も新しい。

小林:弾きましたね。もともとはQ-MHzの田代さんが誕生日にショルキーをプレゼントしてくださったところから始まって。私自身、“これは弾けという圧だな”と思っていたんですが、その答えがこの曲だったんです(笑)。しかもシンセソロのパートは、やしきんさんが打ち込みで作ったもので、実際に手弾きしていなかったんですよ。だから実際に弾くのは難しくて、苦戦しながら少しずつ収録していったんですけど、ライブで披露するとなったら当然一発勝負なので。どうなるんだろうって今からドキドキしています。

──ライブで盛り上がること間違いなしです。「前半ブロックは新しさを詰め込んだ」という言葉の通り、「Breakthroughだ!」は曲としても新しさがあるし。

小林:レトロな感じも新しさもあるので、今っぽい感じですよね。アルバムの中でもフックになる曲だと思いました。歌詞もポップでかわいいし、攻めているところもあるので、すごく好きな曲です。

──続く4曲目の「アミュレットメモリー」は一転。ピアノと歌から始まり、ヴァイオリンとヴィオラとチェロといった弦楽が入ってくるアコースティックバラードです。

小林:大切な誰かを思いながら聴いてほしい曲ですね。『アニソン派』のクリエイターコンペで選ばれたメキメキ地蔵さんの曲なんですけど、最初にコンペで聴いたときは、ボーカロイドを使っていたこともあって、少し冷たいイメージもあったんです。だけど、オケが完成していく中で、弦楽によって温かみが増して、優しさに包まれているようなイメージになって。だから私も優しく、ブレスに至るまで気にしながら歌ったんです。曲調的には、三拍子のおしゃれ感があって、私の新しい音楽になったと思います。


──「Can Can One One」は、ワンちゃんへの愛を感じるユニークな曲です。初回生産限定盤Aのジャケットのぬいぐるみは、この曲をモチーフに作られたそうですね。

小林:そうなんです(笑)。あのぬいぐるみ、めちゃめちゃかわいいんです。

──作曲は田代さん、作詞は小林愛香さんと高瀬愛虹さんの共作です。犬の鳴き声を曲タイトルにしたところにセンスを感じます。

小林:高瀬愛虹さんのアイデアなんですけど、田代さんのデモの段階からして“キャンキャン”にしか聴こえなかったんですよ(笑)。最初から“犬の曲”をテーマに作っていただいたので、田代さんはそれを意識して音を作ってくださったと思うんですけど、“ワンワン”の部分もそれにしか聴こえなくて。それがそのまま歌詞になっています。作詞の共作クレジットに関しては、私が書いたエッセイ風のものを、高瀬さんが歌詞に起こしてくださったという。ほぼほぼ歌詞として使っていただけたので、嬉しいです。

──犬への愛が溢れた歌詞は、飼ったことがある人の共感を呼びそうです。

小林:そういう部分もありつつ、私が一緒に住んでるワンコだからこその部分も入れているんです。たとえば、“おさんぽのときは いつも階段上りたがって”とか、一緒にいて“何でなんだろう?”って思うところを詰め込みました。

──5曲目の「Can Can One One」と7曲目の「YARUSHIKANAI feat. 佐伯ユウスケ」の間には、「グミチュウ (パソコン音楽クラブ REMIX)」を挟んでいますが、ちょうどアルバムの中盤のクッションとして効いてます。

小林:すごく可愛らしくリミックスされた「グミチュウ」は、また新しい雰囲気で楽しめる曲になりましたね。“ここからまた行くよ!”と切り替える意味も込めて、中盤ブロックに入れています。


──「YARUSHIKANAI feat. 佐伯ユウスケ」は作詞作曲編曲も佐伯ユウスケさんが手掛けたもので、'90年代以降のジャパニーズラップが詰め込まれた曲です。佐伯ユウスケさんとふたりでラフに歌っているのは、最初からそういう空気感でいこうと相談したものでしょうか?

小林:実は、レコーディングでは通しで4回しか録ってないんです。3回目でほぼ完成したので、そこでレコーディングは終わっていたんですけど、最後に映像用にお遊びで録ったテイクが、ほぼそのまま使われているという(笑)。ボーナストラックみたいな気持ちで録ったものなんですけど、そのおふざけ感も含めて、「こっちのほうがよくない?」となって。だから、笑っちゃってるところもあるし、私の担当割り振りじゃないところまで歌ったりしているんです(笑)。

──「YARUSHIKANAI」という曲タイトルですが、これくらいゆるく“やるしかない”と歌ってる曲も珍しい。

小林:このリリックって、曲を作るにあたって佐伯さんと行った食事会で出てきた言葉そのままなんですよ。たとえば、「自分でやったことがないような、無理そうな仕事が来たときって、どういうスタンスで立ち向かうの?」と佐伯さんに聞かれて、「やるしかないって思ってますねー」って私が話したことから、このタイトルになったりしているので。そのときの会話が全部録音されていたんですけど、その中で私は夢の話もしていて。「私は夢の中で飛べるんですけど、着地とかは夢だから考えたことないですね」って話したものが、そのまま歌詞になってますし。「麻辣湯が好き」とか「麺類は噛まずに飲み込んでるんですよね」って言ったのも、そのまま歌詞になってて。

──曲を作るにあたっての打ち合わせでの会話なんですよね?

小林:ちゃんとした打ち合わせですから(笑)。1時間くらいの日常会話が、そのまま歌詞になっているという…佐伯さんは本当にすごいなって思いました。新しすぎて、さすが過ぎます。

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