【インタビュー】小林愛香、2ndアルバムに煌めく12色の挑戦と歌声「皆さんの人生を彩る楽曲を届けたい」

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歌手であり声優の小林愛香が8月21日、2ndフルアルバム『Illumination Collection』をリリースした。2021年6月リリースの1stフルアルバム『Gradation Collection』に続く『Illumination Collection』は、心に光を灯していくような楽曲をイルミネーションになぞって集めた作品だ。

◆小林愛香 画像 / 動画

収録は全12曲。音楽プロデューサーチームQ-MHzによるリード曲「Lonely Flight」をはじめ、そのメンバーである田代智一と田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)主宰ソーシャルメディア番組『アニソン派』のクリエイターコンペで採用された3曲、佐伯ユウスケをフィーチャリングボーカルに迎えたRAP曲「YARUSHIKANAI feat. 佐伯ユウスケ」、小林愛香自身がショルダーキーボードを演奏する「Breakthroughだ!」、自ら作詞に参加した「Can Can One One」など、新たな魅力を詰め込んだ楽曲が光り輝く仕上がりだ。

「メジャーデビューしてからみなさんとの出会いで、わたしの色がこんなにも増えたんだよって」とは小林愛香の言葉だ。『Illumination Collection』に収録された多彩な楽曲は、歌手としての小林愛香の可能性を大きく広げることに成功した。裏を返せば、自身の表現力の豊富さが様々な楽曲を呼び込んだと言い換えることもできる。収録全12曲について、またメジャーデビューから現在までの歩みについて、じっくり訊いたロングインタビューをお届けしたい。


   ◆   ◆   ◆

■6時間かけてみっちり歌った曲も
■足もガクガクなりながら歌い続けました


──シンガーとしてのメジャーデビューが2020年ですから、デビュー以降、長らくコロナ禍での活動が続いたことになりますね。

小林:2020年2月26日がデビュー日で。緊急事態宣言は2020年3月からだったんですけど、デビュー日くらいから、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、政府がイベント開催の中止や延期を要請していたので、デビュー記念リリースイベントもできなかったんです。“これからどんなキラキラした1年が始まるんだろう”とワクワクしていたので、びっくりしたし大変でした。

──ライブへの規制は想像以上に長く続きましたから。

小林:それでも規制のなかで、違う形でいろいろなチャレンジができたし、あの時があったからこそ今があると信じているんです。そして今、やっと皆さんに直接音楽を届ける機会がきたんだなと感じています。

──日常が戻りつつある中での2ndフルアルバム制作だったと思いますが、どんな作品にしようと考えていたのでしょうか?

小林:まず、1stフルアルバム『Gradation Collection』を発表したのが約3年前(2021年6月)になるのですが、当時、“アーティストとしてどんなふうに歩んでいきたいのか”をプロデューサーの田代智一さん(Q-MHz)と話していて。そのときにテーマカラーを聞かれたので、「透明とか白。何色でもないし、何色にもなれる人になりたいです」と返したら、「それはグラデーションということだね」という素敵な言葉をいただいたんですね。1stフルアルバムの『Gradation Collection』は、それがコンセプトになりました。バリエーションに富んだ曲が収録されているけれど、段階的な変化=グラデーションだから、その全部が私なんだって言い切ることができるというか。そういう作品として作ることができたんです。


──なるほど。

小林:そしてコロナ禍を経て、こうして皆さんに楽曲を届けられるようになり、念願の2ndフルアルバム制作がスタートしたんですけど。“自分は何を表現していきたいのだろう”と改めて考えたときに、“皆さんの人生を彩るような楽曲を届けたい”と思ったんです。もともとそういう気持ちを軸に活動してきたし、振り返れば私のそばにはいつも音楽があった。音楽って、心を灯したり照らしたり、導く光にもなると思うんです。それってイルミネーションっぽいじゃないですか。そこからアルバムタイトルは前作から韻を踏むように『Illumination Collection』にしたんです。

──小林さんのそばにはずっと音楽があったんですね。

小林:はい。物心ついたときから安室奈美恵さんが大好きで、安室奈美恵さんの音楽と共に、今があるという感じなんです。私も誰かにとってのそういう音楽を作りたいと思ったんですね。皆さんの毎日が、より輝くような音楽を届けていけたらいいなって常々思っています。

──その思いは歌詞からも感じられました。ところで小林さんはご自身を“陽キャ”か“陰キャ”か、どちらだと思いますか?

小林:陰キャだと思います(笑)。物事はポジティヴに捉えたい派ではあるんですけど、たとえばネガティヴになっちゃうと、一生ネガティヴになってしまうタイプというか。すべての物事をマイナスに捉えるモードになってしまうので、ポジティヴな方向にすべてを持っていくように、常日頃から心がけているんです。


──アルバム『Illumination Collection』からは、すごくポジティヴなオーラを感じたんです。小林さんは、きっと根っからポジティヴで、光で照らしてくれる人だと思いました。

小林:でも、今回のアルバムには嫉妬をテーマに書いた曲もあるんですね(笑)。「BUMMER, BUMMER」なんですけど、一般的にはマイナスに捉えられるような嫉妬心も、人間誰しも持っているもので、そういう曲も歌いたかったんです。でも、おっしゃるようにネチネチとした嫉妬というよりも、“そっちを選ぶなんて、ホントにどうかしてる”という、さっぱりとした嫉妬なので、私らしさは出ているのかなと思います(笑)。

──もともと、嫉妬をテーマとして制作された曲でしょうか

小林:作品を作るときは毎回、どういう曲を作るのか、あいきゃん(小林愛香)チームでミーティングするんです。そのミーティングで「今まで作っていない曲って何だろう?」となったとき、「ラテンの曲をやってみよう」という話になって。「ラテンと言ったら、嫉妬でしょ!」みたいな流れで、制作が進みました。

──ラテンではありますが、ボーカルは情熱というよりも、冷めた炎という感じがしました。

小林:赤い炎というよりも、青い炎みたいな感じですよね。“その選択をしたあなたにはあまり興味がない”っていう、気持ちはあるけど離れていく心を歌った曲なので。これまでの曲は“熱くなれ!”みたいなものが多かったんですが、少し引いた目線による大人っぽいボーカルは、今回の挑戦のひとつでした。


──挑戦するときは、たとえば歌の表現だとディレクションを受けながら、新たな歌い方を見つけていく感じなのでしょうか?

小林:この曲に関しては、作詞のカミカオル(作詞:カミカオル/作曲:田代智一)さんがディレクションしてくださったんですが、デモ音源にカミさん自身が歌った仮歌を入れてくださって。これまでの私の作品の場合、デモに仮歌は入っていなくて、シンセで弾いた主旋律からボーカルのイメージを膨らませていくパターンが多かったんです。でも今回、カミさんに手掛けていただいた曲に関しては、カミさん自身が仮歌を録ってくださったので、それを基準にすることができた。これは結構大きな違いで。カミさんの仮歌を噛み砕いて理解して、自分なりにそのボーカルに近づけていく方法を取りました。そういう作業は楽しかったですし、良い経験にもなりました。

──ガイドとなる仮歌に、作家の感情も入り込んでいるわけで。

小林:はい。フェイクの入れ方とか感情的な部分は、シンセメロでは表現できない部分だったりするので。“このグルーヴ感いいな! よし、盗んじゃおう!”みたいなことができたのは、仮歌があったからこそだなと思います。

──カミさんはコーラスにも参加していますし、ハーモニーも聴きどころですね。今回のアルバムで一番大きな挑戦は「BUMMER,BUMMER」でしたか?

小林:いや、同じくカミさんの楽曲「As One」(作詞:カミカオル/作曲:カミカオル、U-Key zone)が一番かな。これはボーカルとしてかなりの挑戦でした。すごく壮大で素敵な楽曲なんですけど、ニュアンスが本当に難しくて。いろいろな歌の表現方法がある中で、「As One」の世界観に寄り添いつつ、その先の皆さんの生活にも寄り添えたらいいなと思いながら、ゆったりと大きな心で包み込むように歌うことを心がけました。「As One」のレコーディングは、6時間かけてみっちり歌ったんです(笑)。これまでで最長だったかも。足もガクガクなりながら歌い続けました(笑)。

──6時間! 喉と集中力は大丈夫でした?

小林:はい、大丈夫でした。優しく、語りかけるように歌ったので。それよりも、英語の発音が難しくて。カミさんと田代さんは英語ができる方なので、発音するときの舌の位置からディレクションしてもらいつつ、ふたりの歌を耳コピしながら、ネイティヴな英語を心がけつつ(笑)。自分の成長を表現することができた1曲になったと思っています。

──想いも、ボーカリストとしてのテクニックも封じ込められた愛の歌です。

小林:そうですね。このアルバムは基本的に、皆さんへの想いを歌っているので。対象が皆さんで、その中のひとりひとりに向けて歌っているイメージです。

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