梟note、愛に溢れる2ndライブ

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「本当にありがとうございます」

梟noteは<2nd Live「Virtus」>のMCにて、何度も観客に向けて感謝の言葉を伝えた。この会場まで来てくれて、自身のLive見て聴いてくれた全ての観客に溢れる思いから発せられたこの言葉は、本当に心から発していることがわかるほど、感情が込められていた。彼は「こんなにも多くの方に支えられて幸せ」とも語っていた。だからこそ感謝の言葉が尽きなかったのだろう。

だがそれ以上に会場に集まった全ての観客は心の中で強くこう思ったに違いない。「こちらこそ、Liveを開催してくれてありがとう!」と。そう思わざるを得ないほどに、集まった観客は感動と元気を受け取った。

歌い手・弱酸性がシンガーソングライターとして活動する梟note。全ての楽曲は彼が作詞・作曲を行っている。そのサウンドは様々なジャンルを踏襲しつつも、全ての楽曲に共通して感じるのは、本人の内面から湧き出る優しさだ。その気持ちをライブで直接受け取ることで会場が多幸感に包まれ、集まった観客が梟noteに感謝を伝えずにはいられなかったのだと思う。

梟noteの誕生日である8月17日、会場は豊洲PIT。2ndライブとなる今回のタイトルは「Virtus」。“好きな音楽で、明日を救える力、明日を生きる力を与えたい”という意味を込めたタイトルだという。

ライブ開始前には梟note各種グッズが販売され、取分け多くの観客が購入したバングル製のライトはペンライトとはまた違った形で会場に鮮やかな華を添えることとなった。また会場に飾られた「梟nest」と呼ばれる梟noteの「巣」で制作されたアート作品が飾られ、記念撮影をする観客の姿も。


5月に開催された<1st Live「Diluculo」>同様、梟が活発に活動を開始する時間である17時にライブがスタート。が、スタートから誰しもの予想を覆す展開となった。

ステージにはフードをかぶったドラム、ベース、キーボードの3人が登場し、演奏が始まる。観客が歓声と共に一斉にリズムに合わせてクラップをはじめると、3人の演奏が一気に激しくなるのが、そのドラ厶は激しさの中にも、安定したビートやキックとスネアの音色からも感じる心地良さを感じずにはいられなかった。実は、このドラム、梟note自身が演奏していた。10年ほどドラムを行っていたとインタビューで公言しているが、ドラム演奏は初披露。この新しい試みをライブスタートから行うというサプライズで、幕を開けたのだった。

演奏が終わるとフードを脱いだ梟noteがドラムから降りてボーカルマイクに近づき、観客は驚きの歓声をあげる。ギター、そしてドラムのメンバーが揃い、ここから改めて5人でのライブ開幕である。2曲目は「オボツカナシ」。1stライブで「梟note」のスタートとして選んだこの曲を、今回はこの5人のステージでの1曲目に持ってきて披露した。ベースとドラムの低音に合わせながら心に語りかけるように歌う彼のテクニックに、観客はその心地良いさに酔いしれているかのようであった。サビでは梟noteと一緒に会場全体がハンズアップしている様子が実に爽快であった。

ここから梟noteはこのライブに向けて作られた新曲やこれまで発表した楽曲を次々と披露していく。ダンサブルなロックナンバーの新曲「オリジン」、アダルティなサウンド「女王」、クールなダンスナンバー「粛清」をバンドで観客をロックしていく。MCを挟んで弱酸性として作詞・作曲をした「Distortion」を梟noteとして披露、新曲「烏瓜」ではよりメッセージを届けるようなパフォーマンス、「愛ばっかり」ではステージを左右に移動し観客の顔を見ながら、「New Style」ではその場のアドリブで歌詞に抑揚を付けるなど、一連のパフォーマンスは梟note自身がバンドとしてのライブを楽しんでいるかのようであり、それに合わせて観客の笑顔も溢れていった。


そして、ここであることに気づく。ステージ前方の紗幕やスクリーンが一切ないのである。1stライブとは違い、梟noteがバンドサウンドだけで勝負することで、観客はよりステージに集中でき、自由に音に身を預けることができたのではないだろうか。

続く曲の前にMCで「今こうして楽しい時間を過ごせている、ステージに立てていることは皆さんのおかげです。」を感謝を述べて「僕の信じる曲を皆さんに届けたいと思います。」と語りバラード曲を披露していく。

生きているだけでいいよ、というメッセージがストレートに伝えられた新曲「永幸」、切なさの中に温かさも感じる「綻び」。梟noteの語りかけるような歌声が心に溶け込み、続いて披露される「私欲」ではアップテンポで明るいサウンドではあるが、楽曲からの“生きよう”という梟noteからのメッセージを感じることができ、多くの観客が感動で涙する。

ここから一転して、梟noteの活動の原点である“歌ってみた”カバーのターンへ。
今回のライブタイトル「Virtus」が“小惑星”に名づけられていることにちなんで、本人が好きな宇宙を題材にした3曲を披露する。「ハチ / 砂の惑星」、「はるまきごはん / 彗星になれたなら」「seiza / プラネテス」。ボーカロイドファンにとってはお馴染みとも言える曲をバンドサウンドに昇華して違った魅力を引き出すところも、梟noteの魅力だ。

「patience」では会場中が手をあげ、全員で一緒に音を楽しみ、新曲「享楽主義」ではスウィングしながら誰しもが音に乗り、本編ラストの新曲「未完成の音」では疾走感溢れるサウンドの中、梟noteはこの曲を会場に集まった観客に届けるようにステージ上を自由に動きながら歌っていった。曲が終わると「ありがとうございました!」言ってバンドメンバーと共に梟noteはステージから去っていったが、すぐさまアンコールの手拍子と掛け声が会場中に鳴り響いた。

アンコールの後登場すると、まず披露したのは、「Temptation」。2023年の本日、弱酸性として作詞・作曲し配信リリースした曲である。曲がはじまった瞬間一気にボルテージがあがり、会場中が自由に音にのっているかのようであった。続けて新曲「彩られた理想へ」を披露。ゲーム『オルタナヴェルト -青の祓魔師 外伝-』主題歌として先日発表されたばかりの曲。出だしは語りかけるように歌い、サビではより届けるように歌う梟noteのボーカルワークが冴えわたる1曲に観客のボルテージは更に上昇していった。


本日最後のMCでは、梟noteの何気ない「今日誕生日でもあります」という一言から、観客から自然と「Happy Birthday」の歌が歌われ、ドラムやキーボードも演奏に加わって披露されるというサプライズも。

また、本人はこの日のライブへの感謝の思いや、その中で歌えることへの幸せや、未来への思いを涙ながらに語り、その姿を応援するかのように観客はこの日一番の拍手と歓声を贈った。

そしてラストは1stライブ同様「REBORN」。観客はビートに合わせてクラップし、梟noteはステージ全体を使いながら歌唱し、またそれに呼応バンドメンバーも存分に楽しんでいる様子が伺えた。大サビでは梟noteのフライングハートが会場に舞い、幸せがたくさん詰まったステージは幕を下ろした。

改めて思う。梟noteの歌声や楽曲は、心をそっと支えてくれる、いつでもリスナーの側に寄り添ってくれているお守りのようだ。彼の優しさや、楽曲や声から伝わる温かさが、そのことをより一層理解させるステージだった。

写真◎Kato Shumpei

セットリスト

1.introduction
2.オボツカナシ
3.オリジン
4.女王
5.粛清
6.Distortion
7.烏瓜
8.愛ばっかり
9.New Style
10.永幸
11.綻び
12.私欲
13.砂の惑星(cover)
14.彗星になれたなら(cover)
15.プラネテス(cover)
16.patience
17.享楽主義
18.未完成の音

EN
1.Temptation
2.彩られた理想へ
3.REBORN

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