【インタビュー】ビリー・アイリッシュ「自分に正直になれて、今後も正直でいられるようになった」

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ビリー・アイリッシュのニュー・アルバム『ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト』が2024年5月17日(金)にリリースとなり、アルバムに収録される10曲の全貌が公開となった。広大なオーディオ・ランドスケープを旅し、リスナーをあらゆる感情に浸らせるまるで映画のような多様でありながらまとまりのある作品となっている。

ビリー・アイリッシュはアルバムを『曲の家族』として、初めから終わりまでアルバムを一貫して聴いてほしいというが、アルバム制作にはさほど長い期間は必要なかったようだ。

「アルバムの制作を始めたのは2022年の10月あたり、でも思えば2022年の8月に「ビタースイート」のサビと歌詞を書いて、それから全然手を付けていなかったのだけど、それがアルバム制作の最初のアイディア。そして2024年の1月頃にアルバムを完成させたので、実際のところ、アルバム制作のほとんどは2023年の5月から1月頃までなので、それほど長い制作期間ではなかった」──ビリー・アイリッシュ

とはいえ、過剰運動症候群を患っているビリーは、アルバム制作中にも怪我をし、ナーバスになっていた時期もあったようだ。そんな中で新曲「ザ・グレイテスト」を書き上げたことが自信にも繋がり、アルバムへのインスピレーションも整っていくことになったという。



「アルバムの裏側のストーリーとして思いつくのは、「ザ・グレイテスト」を書いた日。私は子供のころから過剰運動症候群で、そのせいで常にけがをしたりしていて、それが原因であることもあれば、違う原因の時もあった。足の指を怪我したのだけれど、原因が一切わからなくて、二年間くらい治らない状態のままで、2023年の5月に、足の指にステロイドの注射を打ちに行って、すごく痛かった。病院の人は、「絶対よくなるし、直る」って言ってたけど、治らなくて、一日中その足に体重をかけることができなかった。そこまで痛くなることを知らなくて、朝6時に起きて片道1時間かけて病院に行って帰ってきて、運転もできず、嫌なことばかりだった。その日はすっかり気分も落ち込み、一難去ってまた一難という感じ。その日はレコーディング作業をするために兄の家まで行き、痛みの中、彼のソファーに座って「音楽今から作るなんで信じられない」って思ってた。その日が「ザ・グレイテスト」を書いた日で、そのおかげで残りの曲も書き始めることができた。「ザ・グレイテスト」を書く前は何も形になっていなくて、計画も自信もなかった。私たちは緊張感を持っていてその日はとても辛かったし、音楽を制作できる気がしなくて、それについて話していた。結局、ブリッジ以外の部分がすべてその日に完成して、アルバムのインスピレーションとコンセプトも完成した日だった。長くなっちゃったけど、そんなことがあった。」


一方で、ミュージック・ビデオにもなっている楽曲「ランチ」は、キャッチーなメロディと歌詞が際立つ作品だが、撮影自体は楽しそうに見えるものの本当はそうじゃなかったという。

「「ランチ」はすごく楽しい曲。この曲のフックを思いついた瞬間にふたりで「これはいい曲になる」って思った。最終的にどのような曲になっても、すごくいい曲になると確信できた曲。これは、よくわからないけど、ポップな曲で、最初はそれが少し怖かった。そのポップの領域に一部としているけど、その世界に入り込むことが怖かった。でもこの曲は大好きだし、歌詞も器用で、楽しくて、クールだと思う。ミュージック・ビデオは分かりやすいと思う。私が小さいころから大好きだった1990年代ヒップホップビデオへのオマージュを込めた作品をつくりたかったんだ。昔のビデオで使っていたカメラをベースに、その面白さを表現しているの。ただ私が踊ってるだけで、楽しいし、大好き。撮影の裏側では、撮影中にずっと食べていないといけなかった。楽しそうに聞こえるけど、逆。サンドウィッチを丸々ひとつ食べて、ピーナッツバターとジャムのサンドウィッチを3つ、クッキー、さくらんぼ、オレンジ、またクッキー、イチゴ、リンゴ、オレンジジュース、りんごジュース、チョコレートミルク…をずっと食べてた。欲しいショットが撮影できるまで続けないといけないので一日中食べ続けて」


「フィニアスとビリーの典型的なスタイルを表現している曲と」ビリーが語る「チヒロ」という曲は、日本人女性の名前からつけられたタイトルだ。日本アニメ文化にも興味を示すビリーだが、『千と千尋の神隠し』とは関係あるのだろうか。

「「チヒロ」は日本人女性の名前。大好きな曲のひとつで、曲のタイトルと私にとってそれが意味していることも大好き。この曲でフィニアスと一緒にプロダクションに取り組むのはすごく楽しかった。最初に作り始めた曲のひとつであったけど、最後まで調整をしていたという制作にはとても時間かけた曲で、最後まで完全に満足しなかった。この曲を作る過程では本当に楽しんでいいっていう認識があって、変わったこともしていい気がした。フィニアスとビリーの典型的なスタイルを表現している曲だと思う。歌詞もそうだし、私の歌い方も、コアである自分と人々に知られている自分を良く表現できていると思う。プロダクションもフィニアスらしくて、ユニークで面白いものになった。この曲は大好きで、聞くたびに良くなっていく気がする」


なお、アルバムで最も思い入れのある曲は「ザ・グレイテスト」だとか。

「特に思い入れのある曲は「ザ・グレイテスト」かな。それがアルバム全体を作れた理由だから。私にとってすごく特別な曲で、アルバム全体の芯のような曲だと思う。うまく言葉に表せないけど、本当に大好きで、おかげでやっと正直になれて、今後も正直でいれる瞬間だった。その曲を書く前は、「正直な部分」で少しブロックを感じていて、自分に正直になれなかったからこそ歌でも正直ではなかった。この曲でやっと「ああ、今は正直でいていいんだ」って自分で許可した気持ちになれて、それは素晴らしいことだと思う」

「本当に大好きで、みんなに会えるのが楽しみ。みんなの母国に行くのが本当に待ちきれない!もうすぐ行くから、本当に!愛しているよ、すぐ会おうね」──ビリー・アイリッシュ

編集◎BARKS編集部

ビリー・アイリッシュ『ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト』

2024年5月17日(金)デジタル/CD発売
国内盤アルバム
封入特典:両面ポスター
先着購入特典:先着特典:マグネットシート
視聴・購入:https://umj.lnk.to/BE_HMHAS
1.SKINNY/スキニー
2.LUNCH/ランチ
3.CHIHIRO/チヒロ
4.BIRDS OF A FEATHER/バーズ・オブ・ア・フェザー
5.WILDFLOWER/ワイルドフラワー
6.THE GREATEST/ザ・グレイテスト
7.L'AMOUR DE MA VIE /ラムール・ドゥ・マ・ヴィ
8.THE DINER/ザ・ダイナー
9.BITTERSUITE/ビタースイート
10.BLUE/ブルー


ビリー・アイリッシュ『ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト』

◆ビリー・アイリッシュ・オフィシャルサイト
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