【インタビュー】ROTTENGRAFFTY、NOBUYAとN∀OKIが語るLUNA SEA「僕らの世代はDNAを絶対持ってる」

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LUNA SEAは1990年代を代表するアルバム群から『MOTHER』と『STYLE』という2枚の作品をセルフカヴァーし、現代に再現する全国デュアルアリーナツアー<LUNA SEA DUAL ARENA TOUR 2023>を開催、大きな話題と刺激を振りまくこととなった。

◆ROTTENGRAFFTY 画像

1989年に結成し1stデモテープ『LUNACY』を発表した時からその伝説はスタート、2000年に終幕するまでLUNA SEAは、空前のバンドブームを牽引し、ロックキッズと日本のバンドシーンに多大な影響を与え続けてきた。極論を言えば、大小問わずとも1990年代に音楽に衝撃を受け、その後バンドマンになったアーティストで、LUNA SEAに影響を受けていないミュージシャンはいないことだろう。

もちろんROTTENGRAFFTYもその例外ではない。影響の範囲は決して音楽性に限定されるものではなく、その姿勢や生き様、価値観や物腰ひとつひとつが、ひとりのミュージシャンの骨格を作り上げる栄養素だ。2023年現在、フェス文化とラウドロックシーンの第一線をリードし、次世代のライヴシーンの先導に立つROTTENGRAFFTYは、LUNA SEAに何を見て何を感じてきたのか。

表層ではわからない、二組のトップミュージシャンにみる共通項は何か。新旧の『MOTHER』『STYLE』を耳にしたというNOBUYAとN∀OKIは、LUNA SEAの作品に何を見たのか。話を聞いた。



   ◆   ◆   ◆

■過去を今に持ってきてみんなで向かっていく
■美しいなって思います


──そもそもROTTENGRAFFTYのおふたりは、LUNA SEA世代ですよね?

N∀OKI:そうっすね。だいぶ早かったんちゃうかと思います。1990年…中3の時で、Lunacyの頃ですから。

──Lunacy名義の時代から知っているんですね。

N∀OKI:もちろん。AIONのIZUMIさんのローディーがLunacyというバンドを演っているって先輩から聞いていたんで。で、雑誌『FOOL'S MATE』でかまいたちが表紙やったときに載ってたの、あれは初インタビューじゃないですか? 全員雰囲気カッコええ感じやな、みたいな印象でした。その当時は西川 (貴教/灰猫名義)さんがLuis-Maryを演られてて、Luis-MaryとLunacyは仲がいいみたいやね、みたいな噂をちょこちょこ聞いてました。


▲NOBUYA (Vo)

──あの頃の日本のロックシーンは非常に刺激的でしたよね。

N∀OKI:そうそう。パンクとかビジュアルとかも関係ないというか、雑誌でしか情報がないし、カッコよさそうやったら、CDを考えられないぐらいこぞって買ってました。

──そして、自分もバンドをやりたいと思い始めるわけで。

N∀OKI:中2~3ぐらいから演り始めてました。“バンドってええな”みたいな感じから、貪欲に雑誌とか買い漁って。で、LUNA SEAも1stアルバムを買ってみよう、みたいなそんな感じです。

NOBUYA:ぼくはもうX(X JAPAN)が大好きで、その流れからBY-SEXUALのコピーを演っていたんですけど、僕らのまわりは、THE BLUE HEARTSとかUNICORNとかBOØWYあたりのコピーバンドが多かったんです。ただ、高校に上がったら、そういうコピーバンドがなくなって一気に全部LUNA SEAになったんですよ。LUNA SEAすげえなと思いました。そういう学生たちにも手の届くような見せ方もしていたし。その時はガキやったから、シンプルなものほど難しいものはないってことに気付けなかったけど。

──そういうLUNA SEAの存在や影響力は、おふたりにどう作用したんでしょう。

NOBUYA:周りにLUNA SEAのコピーがめちゃくちゃ増えたんで、僕はもう高校生のときにオリジナルにいきました。今思えば、なんて曲を作ってるんって感じですけど(笑)。LUNA SEAのコピーバンドも演ったことないし、違うことやりたいな、みたいな。

N∀OKI:俺も結構早い段階でオリジナルを演っていたから、LUNA SEAを聴いて“あ、こういうコード進行なんや” “こうなってるんや”とか思ったけど、俺らはどっちかというとパンク寄りやったから、何かを採り入れるとかじゃなかったかな。それよりも、歌唱力もあって演奏力もあって雰囲気もあって楽曲もいいという、こういう界隈で最高峰っていうか完成されてるみたいな見え方やったから、普通にCDが出たら買って聴いてたって感じ。


▲N∀OKI (Vo)

──ROTTENGRAFFTYに直接的なLUNA SEAからの感化は感じませんが、振り返ってみれば受けている影響というのはあるのでしょうか。

NOBUYA:ちょうど僕らの世代は、N∀OKIも俺もパンクとかビジュアル系とか関係なく見ていたから、そこのDNAはお互いに絶対持ってると思う。

N∀OKI:ロック創世期で、いろんなものがぐちゃぐちゃあって形容できる言葉がなかった、そこの最後の世代だと思いますね。もっと下になるとジャンルがきっちり枝分かれしてますよね。

NOBUYA:根本がそこなんで、N∀OKIはパンク要素強めやけど根っこにはそういう要素もある。僕はどっちかって言うとV系寄りのボーカリストのスタイルなんですけど、でも根本的には当時見てたパンクの要素もある。そこがロットンの面白いところで、繋がりはちゃんと根底にある。

N∀OKI:同い年なんで中学時代に聴いていた音楽は大体お互い知ってるし、たぶん見てる番組も。同じ京都でね。

──京都といえば10-FEETもいるわけですが、周りのバンド連中はLUNA SEAからどういう影響を受けてきたんでしょうね。

N∀OKI:いや、びっくりするっすよ。それこそ10-FEETがこの間のツアーで「時間がない、最後に曲やるわ」って言うて「ROSIER」演ってました(笑)、マジで。

NOBUYA:しかも僕らのツアーのゲストやったんですよ(2023年9~10月に開催した<響都超特急TOUR>9月26日の新潟公演/9月28日の仙台公演のゲストが10-FEET)。

N∀OKI:ゲストの最後の曲で「ちょっとなんかもう、有名な曲やるわ」言うて「ROSIER」。今、映画『THE FIRST SLAM DUNK』でも盛り上がってるのに、「STAY GOLD」(Hi-STANDARD)とかと違うんかと(笑)。でもガンガン盛り上がるんですよ。やっぱいい曲として脈々と伝わっていますよね。同世代のメロコアのバンド連中も、LUNA SEAにはバッチバチ影響受けてるって聞いたりしてましたし。


▲<響都超特急2023>12/17-18@京都パルスプラザ

──ボーカリストとしての影響はいかがですか?

N∀OKI:僕のスタイルに染み込んでるかどうかはわからないけど、何を言ってるのかがちゃんとわかるボーカル…言葉の解像度が素晴らしい人はいいなって思ってますね。逆に何言ってるかわからんカッコいいのも好きなんすけど、何を言っているのかがわかるとさらに攻撃力が上がるなって思います。RYUICHIさんの場合は、やっぱりあの美声。僕とは全く違うベクトルなんで、自分ではできないからこそRYUICHIさんのスタイルはすごいなと思いますね。

NOBUYA:僕はもう、バッチバチに今でも影響を受けてますよ。元を正せばDEAD ENDがめっちゃ好きやったから、<EXTASY SUMMIT>のビデオで初めてLUNA SEAを観て、めっちゃ音楽カッコいいなと思ったし、ビジュアルもとんがってて何よりRYUICHIさんにMORRIEからの影響を感じたし。BUCK-TICKとかXとかその辺のカッコよさ直撃の後輩世代で、ちゃんとそこにかましにいってるのもすごくいいなと思った。

──なるほど。

NOBUYA:で、RYUICHIさんは歌をしっかりと届けるためにライヴで一切動かないという話をSUGIZOさんが話していて。だから弦楽器隊はあれだけ動かなあかんのや、みたいなことを言われてて。それ、僕は全然気付いていなくて。

──確かに。そんなに動いていないとは思っていなかった。

NOBUYA:ずっと真ん中に立ったままなんです。で、僕も今はそれを採り入れてて、僕も動いてるように見えつつも、サビは絶対に定位置でちゃんと歌を届けるっていうスタイルにしているんです。だから、それはRYUICHIさんの影響ですよね。


──今回LUNA SEAは、『MOTHER』と『STYLE』という2枚のアルバムをセルフカバーし、アルバムの再現ツアーを行っているわけですが、そこはどう見ていますか?

N∀OKI:いいなって思いますよね。バチバチの時代もあったでしょうけど、時を経て、もう一回、過去のものを今に持ってきてみんなで向かっていくっていうのは、美しいなって思います。

NOBUYA:一回活動が止まって、そこから活動しだして、年々活動の内容が増えているというのがすごいですよね。ライヴもめちゃくちゃ演ってるし、さらに加速してるのがすごいなと思って。そんなバンドもたぶん日本のバンドの中でLUNA SEAしかいないだろうし。

──しかもそれぞれはソロ活動もしていますからね。

NOBUYA:そこに挑むっていうのが単純にカッコいいなと思います。

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