【ライブレポート】菊池桃子、8年ぶりワンマンとなるプラネタリウム公演で「来年、活動40周年です」

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東京・有楽町にあるコニカミノルタ プラネタリアTOKYOのDOME1にて、デビュー40周年となる2024年のメモリアルイヤーを迎えるのを前に行われたライブ<菊池桃子 -Precious Starlight->。単独公演は2015年5月以来、約8年ぶりとなる。

◆菊池桃子 画像

本公演は「どうしても星の中で歌いたくて」という菊池の思いによって実現、1公演につき90席程度という彼女にとって過去最もキャパが小さい場所でのライブは、プレミアムチケットとなりたちまち完売。急きょ追加公演が打たれて2日間で計4回の開催となった。

床から天頂まで映し出される映像に包まれた空間、ギターとキーボードによるアンプラグドな演奏によって、星や空、宇宙にまつわる楽曲が披露されたコンセプチュアルなひとときをここにレポートする。


オルゴールによる「BOYのテーマ」が流れるなか客席後方から登場した菊池は、ステージに上ってからもほぼ暗転状態のままで1曲目の「DÉJÀ VU」を披露。シングル曲でもオリジナルアルバム収録曲でもなく、企画盤『卒業記念』に未発表新曲として収録された本曲をオープニングに持ってくるという意表を突く選曲と、かなり抑えたライティングの演出を目の当たりにし、この日のライブの趣旨が暗に明示された格好となった。でもご安心を。MCに入ると菊池にちゃんとスポットがあたり、「声出しもOKですよ」と自らアナウンス。

そして続く「アイドルを探せ」では手拍子をリクエスト、ということで一気に明るい雰囲気に。「アイドルを探せ」は映画のタイトルから引用された曲名なのは歴然で、実は天文台で天体観測をしている彼を見守る女性の心情を描いた歌詞。これはもう今日のライブにピッタリすぎる!と思わず膝を打つ。菊池本人もMCで「星・空・宇宙が出てくる曲が多いんですよ」と語り、1コーラスずつ「Starlight Movement」「EDEN OF GALAXY」を、そして「BOYのテーマ」へと繋げるメドレーへ。オケと演奏も凝っていて、単なるアコースティックバージョンにとどまらない。ドラム、ベースともに打ち込みされたシーケンスが走るパターンから、シンプルにパーカッションのみのパターンなどもあり、ギターもエレガット、エレアコ、エレクトリックと使い分けがなされ、曲ごとにサウンドバリエーションがつけられていた。


考えてみれば彼女がデビューした1984年からしばらくは、1986年2月のハレー彗星最接近に向けて巻き起こった天体ブームの時期にあたり、1985年に公開された主演映画『テラ戦士ΨBOY』とその主題歌「BOYのテーマ」のシングル盤ジャケットはSF的で宇宙的なビジュアルイメージだった。彼女の楽曲の詞世界は、少なからずその影響を受けている部分が多いのだろう。これは盲点だった。とはいえ、ここまで星や宇宙にまつわる曲が多いアーティストはなかなかいないのではないだろうか。

閑話休題。続いて、本公演のために菊池本人が作詞作曲したという新曲「Starry Sky」を披露。意外に思う方もいらっしゃるかもしれないが、1991年リリースのアルバム『miroir』で2曲を作曲、YouTubeチャンネルではテーマ曲を書いたりピアノを弾いたりといった部分も見せてくれていたので、なんら違和感を感じさせない良曲に仕上げられていた。そしてその流れのままこの時期の林哲司らしい正統派バラード、「南回帰線」を歌い上げた。


ライブはいよいよ終盤に差し掛かったようで、「テンポアップしていきましょうか」の煽りをキッカケに「SUMMER EYES」のシングルB面オンリーでアルバム未収録の「スターダスト・レクイエム」からご存知「Say Yes!」へと畳み掛け、両手を挙げる “空にSay Yes!” の振りを観客と一体になって盛り上げた。

そして「12月、この曲を聴かないとストレスが残るかなぁと思って」ということでプラネタリウムバージョンの「雪にかいたLOVE LETTER」を、夜の銀座の街に雪が降り注ぐ映像の中でしっとりと歌唱。歌い終えたあと、「クリスマスに今日のことを思い出してくれたら嬉しい」と添えた。

「次の曲で最後です」→「エーっ!」というお約束のやりとりを経て(笑)、「でも次に会うお約束がもうできるんです。わたし来年、活動40周年で……」と切り出し、2024年5月3日に東京都キリスト品川教会グローリア・チャペルでの記念コンサート<EMERALD>の開催と、前月の4月には新作CDをリリースすることが発表された。


最後に「デビューしてすぐの頃、まだ若い私に、雄大で包容力のある宇宙の歌をスタッフが用意してくれました。最後に聴いてください」” と「I Will」を披露。1stアルバム『OCEAN SIDE』のラスト曲で、のちに映画『テラ戦士ΨBOY』のエンディング曲にもなったバラードだが、あれから月日が流れ、今日ここで歌うために存在した曲なのではと思わされるくらいに世界観がぴったりだった。終盤の “I Will” のささやき後、ドラムが入ってくるアウトロ以降はオケをSEに委ね、菊池とサポートミュージシャンは退場、星々の中で今日のライブが終わる演出も見事だった。

振り返るとこの日のセットリストはシングル4曲と新曲1曲、それ以外はアルバムやシングルB面曲などから6曲が選曲されたことになる。なおかつこれらの曲は30周年コンサートでも披露されなかった曲たちなので、1980年代アイドル期以来の歌唱だったのでは?と思われ、ファンにとって、もちろん近年ファンになった人にとっても、貴重なライブになったことは間違いない。わかったのは、現在シティポップ文脈で評価されている楽曲以外の曲も、彼女にとっては宝物なのだ。来年5月のチャペルコンサートでこの続きを見せてくれることを期待したい。


2023年12月9日、ハレー彗星が76年周期のちょうど折り返しとなる遠日点(地球から最も遠い位置)に到達し、以降は地球の方へ戻ってくる軌道に入る。そんなタイミングでプラネタリウムコンサートを開催したのは単なる偶然ではないかもしれない。

取材・文◎田渕浩久
撮影◎kisimari

■<菊池桃子 -Precious Starlight->2023年12月3日(日)@東京・有楽町コニカミノルタプラネタリアTOKYO 2nd Stage セットリスト

01. DÉJÀ VU
02. アイドルを探せ
03. メドレー “Starlight Movement~EDEN OF GALAXY~BOYのテーマ”
04. Starry Sky
05. 南回帰線
06. スターダスト・レクイエム
07. Say Yes!
08. 雪にかいたLOVE LETTER
09. I Will


■<菊池桃子 Special Live "EMERALD"~40th Anniversary & Birthday~>

2024年5月3日(金・祝) 東京・キリスト品川教会 グローリア チャペル
・1部 open14:15 / start15:00
・2部 open17:15 / start18:00
▼チケット
・SuperPremium席:¥15,000(税込 / 来場者限定プレゼント付き)
 特典① ステージ前1〜2列目までの座席保証
 特典② 直筆メッセージカード
・S席:¥10,000(税込/来場者限定プレゼント付き)
※全席指定
※未就学児童⼊場不可
【オフィシャルHP先行受付】
受付期間:12/20(水)12:00~1/14(日)23:59
https://eplus.jp/momoko-kikuchi/

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