【トークイベント完全再現】SUGIZO × ESP、“音楽×ファッション”を語る「MADE IN JAPANを使いたい」
LUNA SEAが本日10月7日の神奈川・Kアリーナ横浜公演を皮切りに、全国アリーナツアー<LUNA SEA DUAL ARENA TOUR 2023>を開催する。アルバム『MOTHER』と『STYLE』を現代に再現するライヴとして、土曜日に<MOTHER OF LOVE, MOTHER OF HATE>、日曜日に<UN ENDING STYLE>と全国5都市2daysずつの10公演として届けられる予定だ。LUNA SEAのステージとしては5月27日と28日、東京・武蔵野の森 総合スポーツプラザ メインアリーナ2DAYS<THE BEST OF LUNA SEA 2023>以来、約5ヵ月ぶりとなる。
◆SUGIZO 画像
その間メンバーはそれぞれ精力的なソロ活動を展開していたが、“音楽×ファッション”をテーマに据えたSUGIZO×ESPの特別展示会<ESP CRAFT HOUSE 40th Anniversary Exhibition『SUGIZO Museum -MUSIC×FASHION-』>が7月1日〜7月30日まで渋谷 ESP Museumにて開催されていた。そのスペシャルイベントとして7月22日、同会場で行われたのが<SUGIZOスペシャル・トークライヴ>だ。
エシカル ファッション ブランド“THE ONENESS”のコラボアイテム購入者の中から抽選で40名が招待されたトークライヴにゲストとして呼び込まれたのはSUGIZOと深く長く関わってきたESPのクラフトマン進士氏、kiryuyrikやTHE ONENESSのデザイナー高栁氏。司会をBARKS代表の烏丸哲也が務め、ギターにもファッションにもこだわりにこだわり、前例のない発想を提示してきたSUGIZOを中心に刺激的なトークが繰り広げられた。参加人数が限られたクローズドなイベントだったが、SUGIZOのライヴサウンドやステージ衣装に対する探究心が露わとなったスペシャルな内容はあまりにも濃厚なもの。その貴重なトークを今、ここに完全再現したい。
◆ ◆ ◆
■ファッションと音楽はすごく密接
■高栁さんは限りなくミュージシャンに近い
──SUGIZOさんのファッションの要になるTHE ONENESSの高栁さんと、ミュージックでありギターの要になるESPの進士さん。それぞれ20年とか30年のお付き合いだそうですが、この3人が同席することは今までなかったんですよね。
SUGIZO:たしかに、このふたりが並んでるって妙ですね(笑)。
進士:それぞれがお会いすることがあっても、3人が揃うのは初めてですね。
▲SUGIZO、高栁氏、進士氏(LtoR)
──高栁さんがデザイナーとしてESPのSUGIZOモデルと絡み始めたきっかけが、スワロフスキーを装飾したギター(ESP ECLIPSE R-IX)だとお聞きしたのですが。
SUGIZO:いや、知り合ったのは2002年で、R-IXの装飾をお願いしたのは、その10年近く後なんですよ。高栁さんはもともとヨウジヤマモト社にいらっしゃって、独立後、みなさんもご承知のkiryuyrik(ファッションブランド)を立ち上げたんですよね。
高柳:その通りです。
SUGIZO:当時、共通の知人であるスタイリストの北原哲夫さんから「ぜひ紹介したい人がいる」って言われて、雑誌で対談したんです。そこで意気投合してからの付き合いなので、もう21年ですね。kiryuyrikの黎明期から。
高栁:大袈裟じゃなくSUGIZOさんには育てていただいて。
SUGIZO:大袈裟です(笑)。
高柳:本当に鍛えていただいて(笑)。今でもそうですけど。
──デザイナーとアーティストとしての共通項というかシンパシーがあって、今に繋がっているわけですよね。
高栁:シンパシーというとおこがましいですけど、本当にプロフェッショナルを教えていただいている感じです。
SUGIZO:僕はファッションと音楽はすごく密接な関係にあると思っているんです。もちろん服飾デザイナーの方でも音楽に近い感覚の方とそうではない方がいると思うんですが、高栁さんは限りなくミュージシャンに近いと僕は思っていて。音楽と服を作るセンスって近くないですか?
高栁:近いですね。音楽もさまざまな音を重ねてひとつの楽曲になると思うんですが、服も生地や縫製、デザイン、プリントといろいろあって、最終的にひとつになっていくんですね。そのバランス感覚とこだわり方がお話させていただく中で、同じだなと感じることはよくあります。
SUGIZO:わかりやすいところで言うと、昔よくkiryuyrikに行くと店内にめちゃくちゃカッコいい音楽がかかっていたんですよ。「これ誰?」「ナイン・インチ・ネイルズの新しい音源です」っていう会話をよくしたじゃないですか?
高栁:しましたね。
SUGIZO:「このアルバムいいですね」って話から始まったり。たぶん高栁さん自身が音楽的なんですよ。好きなロックと密接に関係しながら服をデザインして作っているから、感覚が合うんだと思います。例えばtenboデザイナーの鶴田能史さんは音楽的なところとはまた全然別の良さが、確固たる社会的意識がある。どちらが良い悪いということではなくて、高栁さんはロックが大好きで、その感覚がミュージシャンではなく服のデザイナーという職種を通して活きている。
▲<ESP CRAFT HOUSE 40th Anniversary Exhibition『SUGIZO Museum -MUSIC×FASHION-』>
──わかる気がします。ギターを作るビルダーの方にもギターを弾かない方っているんですよね。もちろんギターを作っているわけだから、ギターのことはよく知っているんですけど、プレイヤーとは違うビルダーとしての大事な方向性やセンスがあるんでしょうね。進士さんは元々ギタリストですか?
進士:弾きますけど、プレイヤーというほどではないですね。あまり今まで話したことはないんですけど、僕は当初、全然違う仕事に就いていたんです。でも、とにかく自分がやりたい仕事に就きたくて28歳の時に転職したんですが、ギターが好きというよりも好きな音楽周りでできる仕事がないかなと思っていて。同時に、ものを作ることも好きだったんですね。で、尊敬していたギタリストの方に、「ビルダーのような仕事をやってみたい」って相談したら、「ぜひ、やってください」という話になったのがきっかけです。やるべきことが決まってからは楽しかったですね。
──天職だったんでしょうね。SUGIZOさんとの出会いは?
進士:ある日、ESPの偉い人から呼ばれて、何の話だろうな?と思ったら、「LUNA SEAを担当してくれないか」って言われたんですよ。1994年ぐらいだったと思います。LUNA SEAの活動がどんどん巨大になっていった時期だったので、ESPの営業担当は複数いたんですが、技術担当がいなかった。で、当時の営業担当がSUGIZOさんとINORANさんのギターやJさんのベースをセッティングして持っていくと、「セッティングがこれまでと違うじゃん」って意見をけっこう言われてたらしいんですよね。
SUGIZO:僕らから?
進士:そうですよ(一同笑)。忘れもしないですが、1996年のアルバム『STYLE』のツアーリハーサル現場に行く前のことです。「今日、メンバーから話があるので」ってスタッフの方から言われて、何だろう?って。で、現場に着いたらドキュメンタリーのTVカメラが回ってたんですよ。
SUGIZO:…進士さん、話長いですね(笑)。
進士:ははは。かいつまんでお話すると、そこでSUGIZOさんから、「今回のツアーは不安要素が多いから、ESPさん、ツアーについてきてもらえませんか?」って言われたんです。当時のことをよくご存知のファンの方もいると思いますが、メンバーがステージでギターやベースをよく壊していたので、現場スタッフが困っているということで(笑)。その都度修理しないといけないわけですからね。それでツアーについていくことになりました。
▲ESP ECLIPSE R-IX
──<LUNA SEA CONCERT TOUR 1996 UN ENDING STYLE>当時は、ワンステージごとに壊しちゃってたんですね(笑)。楽器やサウンドへの執拗なまでのこだわりと、しっかり準備してからステージに立つということを当たり前としてやってきた人たちなので、そういうLUNA SEAに応えるESPさんの大変さは想像に難くないですよね。先ほどのスワロフスキーのギターECLIPSE R-IXの話がありましたが、この装飾へのこだわりもすごい。
SUGIZO:ECLIPSE R-IXが完成したのが2008年で、スワロフスキーをつけたのが2011年ですね。
──SUGIZOさんからスワロフスキーで蝶のデザインを施したいとリクエストしたんですか?
SUGIZO:そうですね。
──今、高栁さんが苦笑いなさってますが、どういう経緯で?
高柳:ある時、「高栁さん、これからギター持って行くから待ってて」とお電話がありまして(笑)。「SUGIZOさん、ちょっとでいいので用件を教えてください」と言ったら、「ギターにスワロを付けてほしいんだよね」と。「わかりました」と答えたら、本当に来てくださって。
SUGIZO:蝶はkiryuyrikのアイコンデザインなんですよ。それをギターに装飾したいと思ったんですよね。たしかアメリカ公演だったかな、X JAPANのワールドツアー(2011年開催)に持って行きたかったんです。
高柳:これは後から知ったんですが、海外でkiryuyrik やESPをPRするためだったそうで。SUGIZOさんは、未だに僕にそうは言わないですけど、ありがたいですよね。そういう気持ちもなんとなくわかっていたので、「つけてほしい」って言われて「わかりました」と。ただ、締め切りまで2週間切ってたんです(笑)。
SUGIZO:1ヶ月ぐらいなかったでしたっけ(一同笑)?
◆インタビュー【2】へ
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