【ライブレポート】GARNiDELiA、中国イチ有名な日本人アーティストになっても変わらない思い「私たちの歌で抱きしめてあげたい」

GARNiDELiAが9月2日に4年ぶりのワールドツアー＜GARNiDELiA stellacage 2023 -stella ship- Re:CoNNeCT＞の国内最終公演を東京・大手町三井ホールにて開催した。

◆ライブ写真

チケットはソールドアウト。会場には海外からのファンも多く駆けつけた。世界の人たちに“和”をテーマにした楽曲を発信しようと制作した「極楽浄土」は中華圏で反響を呼び、“踊っちゃってみた”動画シリーズが大人気に──。

アンコールでMARiA（Vo）は「GARNiDELiAは日本人のアーティストとして中国でいちばん有名だと言われるようになりました！」と宣言したが、MARiAとtoku（Comp, Key）がワールドワイドなユニットとして熱い支持を受けていることがステージングと客席の盛り上がりからダイレクトに伝わるライブだった。


大歓声の中、ライブはGARNiDELiAが本ツアーに掲げたテーマでもある「起死回生」からスタート。ヴェールを被って登場したMARiAが低域から高域まで幅広い音域で魅了。場内には青いサイリウムが揺れている。続いて2ndアルバム『Violet Cry』（2016年）に収録されている2曲を立て続けに投下。ダンサーが登場し、スモークが派手に噴射された「EXXXTASY」ではEDMで会場を揺らし、MARiAが「最初からぶっ飛ばしていくよ！　東京！」と煽ったロック色の強いナンバー「Real」ではモニターに足をかけ、ステージを走り、エキサイティングなアクト。間奏ではオリエンタルなフレーズをtokuが挟み、前半戦にして激しくヘドバンでぶち上げるMARiA。「SPEED STAR」（『劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女』主題歌）ではダンサーたちと踊りながら歌うMARiAのキレのある動きから目が離せない。灼熱の夏に負けないステージが繰り広げられた。

MCでは「GARNiDELiAにとって初めての会場になります。今日、来てくれてありがとうございますとtokuも挨拶。

「千秋楽。今日、ソールドアウトです。ありがとう！　めちゃくちゃ嬉しい！　やっとウチらの本気を見せられる時がやってきた感じです。今日はみんなの声をたーっぷり聞きたいと思ってますけど〜？」とMARiAが客席に耳を傾け、さらに煽って「でも、かわいい曲なんです」と笑顔。


届けられたのはアニメ『アニメガタリズ』OPテーマに起用された跳ねるビートのポップチューン「アイコトバ」。ハンドクラップ、コール＆レスポンスで盛り上がる場内。カラフルなポップコーンが降ってきそうな楽しさだ。続いてミラーボールの光が反射する演出の中、インディーズ時代のナンバー「Lamb.」に移行するとイントロから大歓声。場内はダンスフロアーと化し、ピンクの照明がステージを包み、アニメ『うちの師匠はしっぽがない』OPテーマとなった艶っぽいナンバー「幻愛遊戯」に。ノスタルジックで歌謡曲の要素もありつつ、レゲエやエレクトロポップも盛り込まれた誘惑に満ちたtokuサウンドとMARiAのパワフルでキュートなボーカルに釘付け。続けてアニメ『大正オトメ御伽話 』OPテーマの「オトメの心得」を届け、MARiAはいったんステージを捌け、楽器陣が残り、各自のソロがフィーチャリングされたインストゥルメンタルでクールダウン。途中からダンサー2人も加わり、扇子を使ったパフォーマンスがステージを彩った。

青いドレスに衣装チェンジをしたMARiAが再び登場し、歌い上げたのは今年の春、アニメ『贄姫と獣の王』のエンディング主題歌としてリリースされたデジタルシングル「ONLY」だった。メロディックなバラードもじっくり聴かせる実力があってこその今のポジションだと思わせられる。


「楽しんでる？」と客席に問いかけ、「大好き〜！」など返ってくる声に耳を傾け、気さくに話しかけるMARiA。海外を含め、数えきれないほどの場数を踏んできたことが今の彼女に繋がっている。

「私はなかなか自分に自信を持つことができなかったんですけど、今、強がりじゃなく、本当に自信を持ってみんなに歌を届けるためにこのステージに立てています。みんなの気持ちをすごく素直に受け止められるようになって、強く逞しくなったなって自分でも思ってます。いつもいつも、みんなの愛に支えられています」──MARiA

感謝を伝え、さらに言葉を続けた。

「私が一人じゃないということはキミも一人じゃないということです。一人ぼっちで誰かが怯えないように、どこかで震えて泣いちゃいそうな人がいたら、私たちの歌で抱きしめてあげたい。そんな気持ちでいつも私たちは曲を書いています。この曲もそんな誰かのために書いた曲です」──MARiA


寄り添うように歌われたのはtokuのピアノで始まり、バンドがインしていく
「march」（メジャーファーストアルバム『Linkage Ring』収録）。MARiAは間奏で叫ぶように「泣き虫で弱虫でめちゃくちゃちっぽけな私だけど、そのまま愛してくれて本当にどうもありがとう。キミが私をそのまんまで愛してくれてるように私がそのまんまのキミを全部受け止めるから。一人じゃないってこと、絶対に忘れないで」と伝えた。包みこむような愛のある歌には母性すら感じられ、後半は感動のシンガロング。10周年記念ソングでもある「StarTrail」も届けられ、熱い拍手が鳴り響いた。

MCではGARNiDELiAが超多忙な日々を過ごしていること、今後の計画についてまだ話せないのがもどかしいことが2人の口から語られ、“踊っちゃってみた”シリーズでもおなじみの「響喜乱舞」「桃源恋歌」「謳歌爛漫」を続けて披露し、大盛り上がり。和洋折衷のダンスチューンで扇子を広げ、閉じて口にくわえるパフォーマンスなど見どころ満載だ。ハイパーで情熱的なラブソング「Hysteric Bullet」を投下し、ライブは後半戦に。

それにしても、これだけ歌ってダンスして煽っても尽きないMARiAのエナジーには驚かされる。イントロで「ウチらの力を世界に見せつけようぜ！」と叫んだ「REBEL FLAG」（『魔法少女特殊戦あすか』のEDテーマ）ではローボイスからハイトーンまで使い分け、ダンサーがフラッグを振り、さらにテンションを上げていく。ここからはアニメのテーマソングをたて続けに披露。「grilletto」ではみんなの歌う声が響き、ダンサーが捌けての「BLAZING」ではtokuが前に出てショルダーキーボードでソロを弾き、MARiAと背中合わせになって腕を掲げるパフォーマンスも。「ambiguous」では客席がヘドバンで熱を返す。


「今日はみんなのおかげで最高の１日になりました。最後の最後まで誰のことも置いていかないから。最後まで一緒に行くよ！」──MARiA

本編ラストは“１人では届かない世界を見に行こう”と歌う「約束-Promise code-」で締め括られた。そして熱い熱いアンコールに応えて、GARNiDELiAが再びステージに立ち、届けたのは世界ブレイクのキッカケになった「極楽浄土」。起死回生のツアーにすると誓って駆け抜けたツアーのことに触れ、MARiAは今だから言えることをみんなに伝えた。

「中国に渡り、実はこっそり泣いている日もあって、ホントにくじけちゃいそうになることが何回もありました。それでも、この先、掴めるものが絶対にあると信じて、待っていてくれるみんなの顔を思い浮かべて、震える足を前に前にと進めてきました。そして私たちはGARNiDELiAは日本人のアーティストとして中国でいちばん有名だと言われるようになりました。世界で唯一の存在、世界のアーティストになりました」──MARiA


多くの人たちに知られるようになってもGARNiDELiAは何も変わらないこと、決して遠くなるわけではないと想いをぶつけた。
「どんどん大きくなっていくstella shipは私たちの約束の場所、武道館まで突っ走っていくから、ついてきて」──MARiA

最後の曲は手に持ったタオルを回しながら“隣にキミがいてくれるのなら　世界だって変えられる”とメッセージした「変わらないモノ」。

9月22日からは中国内地ツアーがスタートし、10月１日の上海・万代南夢宮上海文化中心（夢想劇場）でファイナルを迎える。GARNiDELiAの可能性の海はこれからも広がっていくだろう。

取材・文◎山本弘子