【インタビュー後編】bokula.、21~23歳の若さを追い風に突っ走るバンドの1stフルアルバム『FUSION』
広島のバンドシーンから全国規模のブレイクを狙う若手バンドbokula.(ボクラ)がリリースした1stフルアルバム『FUSION』。多作なソングライターにしてアイディアマンえい(Vo&G)を中心に作り上げた音楽は、爽快かつメロディアスでメッセージ性の強い楽曲になっており同世代リスナーのハートに強く届く。現状、新作、そして未来についてのインタビュー後編だ。
■bokula.には「生きる」「人間とは」とかメッセージ性があって
■そういうものを歌ってるのかなって客観的に見て思っています
――1曲目の「2001」の出だしの歌詞が、象徴的だなと思っていて。“変わらない事が正義じゃない、変わってく事も間違いじゃない”という。これはね、すごくインパクトがありますね。
えい:深いですか。
――深いです。これがアルバムの1曲目の1行目で出てくるから、バンドの姿勢の宣言のように聴こえる。
えい:ああ、確かに。そこ、『FUSION』というアルバムのことを体現してる感じになっていますね。
ふじい:すごい、そこまで狙って作ったんだ。
えい:違う違う(笑)。違うけど、頭からパッと出たワードが、結局この12曲を作る基盤になってくれたのかな?というふうに思います。
――メッセージがありますよね。
えい:現代って、SNSも発達して、誰かが何かしたら、何についてもアンチがあったりとか、そういう風潮に僕は疑問を持っていて。別にその人が、自分が正しいと思ってやったことだったら、何でも正解じゃね?という気持ちが最近あるんです。そういう風潮に一石を投じる、じゃないですけど、そういうものも意気込みとしてあるアルバムですね。
――確かに。かじくんは、どの曲が好きですか。
かじ:いやー、でもやっぱ、全部良いんですけど。
ふじい:オレはもう決まってる。
えい:僕も。
かじ:二つじゃ駄目?
――わがままだな(笑)。いいですよ。
かじ:三つでも?
えい:それは多いな(笑)。
ふじい:じゃあ、「せーの」で言う?
えい:いいよ。せーの!(全員が曲名を指さす)
▲えい(Vo&G)
――おおー、全員違う。えいくんが「ナイトダイブ」、ふじいくんが「満月じゃん。」、かじくんが「ハグルマ」と「美談にしないで.」。面白い。
ふじい:僕、「満月じゃん。」が好きですね。すごいパンクちっくな曲で、駆け抜ける感じがかっこ良い。ライブで絶対盛り上がる。コロナ禍が終わったら、またお客さんにわちゃわちゃしてほしいなと思います。
えい:ライブをしてる雰囲気がすぐイメージできますね、この曲は。
かじ:「ハグルマ」はとりあえず、ギターが無双しているんですけど。「美談にしないで.」は、3か月配信2作目で、今までレコーディングしてきた中で、たぶん一番カチッとギターがハマったなっていう感覚が自分の中にあって。
ふじい:「かじくんの曲」って感じがするもんな。
えい:けっこう、メンバーに向けて曲の構成を書くこともあって。それこそ「ハグルマ」と「美談にしないで.」は、かじくんを生かすための楽曲という感じで考えてたりもします。
かじ:あざす、って感じです。
えい:好きなジャンルを知ってるから、どういうフレーズが好きかも知ってるんで、そこに対して、僕ららしさも残しつつ、どうやって落とし込めばいいとか、考えながら曲を作ったりもします。
▲かじ(G)
――優しい男だなあ。
えい:いやいや。まあ、そうですね。優しいかもしれないです(笑)。
――そういうこと大事ですよ。バンド活動において。
えい:なんて言うんですかね、すごいイヤらしい言い方をすれば、バンドを輝かせるためには、メンバーもちゃんと光らせないと、と思っているんで。そういうところはこだわってたりしますね。
――そんな、えいくんのお気に入りは「ナイトダイブ」。
えい:単純に、メロが好きです。
――この曲、アルバムの中でもちょっと独特でしょう。軽やかで、あったかい余韻を残す曲。
えい:僕、外でイヤホン聴きながら一人で音楽を楽しむのが好きなので。夜中に一人でコンビニ行く時とかに、ふらっと聴きたいなっていう音楽、すっと耳に入って来る音楽が「ナイトダイブ」です。歌詞も何かに注目して書いたわけじゃなくて、すごい幅広く、夜に向けて書いたんですけど、いろんなシチュエーションで聴けるなと思っています。フレーズがどうこうよりも、いかに楽しく、すっと聴けるか。そこをけっこう、僕は音楽を聴く上で大事にしてるので、そういう意味で「ナイトダイブ」は一番好きですね。
――「別に目的はないけど、その方がいいじゃん」という歌詞が、まさにそんな気分だなあと。
えい:そうです。逆に9曲目の「何者にもなれるな」は、自分の感性や意志をすっごい大事にしてる曲なんですけど、「ナイトダイブ」はもっと自由に、フラットに楽しく聴ける曲になってます。
――bokula.といえば、オレたち世代のメッセージソングというか、応援歌というか。そんなふうに聴いてる人も多いと思うけど、それだけじゃない。
えい:いろいろな人に僕らの音楽を聴いてもらって、救われてほしいというか。いろんな場面でいろんな感情の時の聴き方が、それぞれ聴いてくれる人にとってはあると思うんで、音楽のTPOに合わせて好きに聴いてほしいというのはあります。違うアーティストを聴くんじゃなくて、bokula.の中で、いろいろなものを感じ取ってほしいというか。
――それはきっとえいくんが、今までそういう音楽の聴き方をしてきたからだろうなと思いますね。いろんな場面で、音楽に救われたとか、励まされた経験があるとか。
えい:そうなんですかね。昔、小さいウォークマンを持っていて、中学生ぐらいの時に、夜中に寝ながらイヤホンで聴いていたんですけど、聴きながらいろいろ妄想することが多かったんです。僕がこの曲を歌うならこういう場面でこういう雰囲気で、とか。こういう恋愛の曲だったら、この子とこんなことしたい、とか。それが今の僕の音楽の落とし込み方に生きてるのかな?というのはあります。(bokula.の曲は)「自分だったらこうするけどな」というものを、まさに体現できてるような楽曲になっています。
▲ふじいしゅんすけさん(Dr)
――そこは重要なポイントですね。そして『FUSION』というアルバムタイトルはどこから? タイトル曲ができたのが先?
えい:フルアルバムを作ろうと思った時点で、これをまず入れようと思ったのがこの曲「FUSION」でした。bokula.ってどんなバンドなんかな?と思った時に、恋愛だとか、かっこ良い楽曲だとか、いろいろある中で、bokula.はもっとメッセージ性があって、「生きる」とか「人間とは」とか、そういうものを歌ってるのかなって、客観的に見て思うので。「FUSION」という曲も、メッセージ性の強い歌詞になっていると思うんですけど、でも「FUSION」というのはあとから付けたタイトルで、めちゃめちゃ意味があるわけでもないんですよ。で、アルバムのタイトルだったらこの曲でいいかな、という感じではありました。
――意味というよりは、響きとか、イメージとか。
えい:もともとのタイトルがあって、なんだったかな、ちゃんとした文にしていたんですけど、それじゃしっくりこないというか、固いなと思ったんです。そこまで固すぎると、アルバムが聴きづらいかなと思っちゃって、それもあって「『FUSION』でいっか」ってなったんだと思います。bokula.の新しいアルバムが出たってなったら、たぶんタイトル曲を最初に聴くじゃないですか。そこでbokula.らしいなって、ちゃんと期待値を上げて、ほかの曲も聴いてくれるだろうなと思ったんで、このタイトルにしました。
――良いタイトルだと思いますよ。何をフュージョン(融合)してるんだろう?って、聴く人によってとらえ方も変わると思うし。それは音楽性でもあり、考え方でもあり。
えい:いろいろな方面から融合していると思います。12曲並べてみて「これっていろんなの混ざってね?」みたいに、あとから気づいたんですよね。「じゃあ『FUSION』でいっか」みたいな。
――広まってほしいですね。そういう欲はありますか。もっと売れたい、もっと大きなところでやりたいとか。
えい:もちろん。bokula.は自分たちの音楽を見せて、自分たちの生活をしていきたいという目標があるんで、そういう意味で売れたいはもちろんですし、いろいろな人に聴いてもらって気に入ってほしいです。ただ、多くの人に聴いてほしいけど、音楽をBGMの一部にされたくはないなというのはあって。ちゃんと大事に聴いてほしいというか、その結果がライブハウスに来るということだと思うんですけど、ライブハウスに来てくれるお客さんはすごく大事にしたいし、bokula.という音楽をやってる以上は、ちゃんと音楽に対してしっかり意志を持って聴いてくれるお客さんに付いてほしいなと思います。
――頼もしい。ツアー、どこかで必ず見に行きます。リリースツアーは1月から2月にかけて、東京、大阪、名古屋、広島の4か所で。今、ベースはどうしてるんですか。
ふじい:今はサポートです。
――ベースのさとぴーくん、は2022年の5月から1年間の活動休止。ということは、近いうちに戻って来る?
えい:もう復活の日も決まっています。
▲さとぴー(B)
――そうなんだ。そういう意味でも、2023年は新しい始まりの年になりますね。
えい:本当にそうです。1月にはどんどん情報解禁があります。アルバムが出るのもでかいニュースですけど、それ以上にもっとあるんで、それを楽しみにしていてほしいなと思います。さとぴーが戻ってからの本体制で、2023年はしっかりと飛躍できる年にしたいと思っています。
――めちゃめちゃ楽しみにしてます。何か言い残したことはないですか?
かじ:あ、えっと、今回のアルバムのために1曲、2年前ぐらいにデモが送られてきた曲があって。でもボーカルのミスターこだわりくんが出ちゃって、結局アルバムに入らなかった曲があるんですけど、マジで自分は過去イチ良い曲だと言い続けてる爆弾の曲があるんですよ。それを早く出したいです。
――そんなこと言われると、早く聴きたくてしょうがないんだけど。
えい:そのくらい、ストックがめっちゃありますということです(笑)。それが出せるかどうかもわからんくらいに、ほかにストックがあるんで。たぶんかじくんが言いたかったのは、「これからのbokula.に期待してください」ということだと思います。
かじ:そうです。じょうずにまとめてもらいました(笑)。
えい:まだ21歳なので、もっともっとできるなって。逆に言えば、売れずして、あんまり長くやり続けるのも無理があるから、だからこそ今できることを全力でやろうって感じです。
取材・文:宮本英夫
リリース情報
2023.01.11(wed) Release
価格: \2,545(税抜) / \2,800(税込)
品番:LDSF-00010
レーベル:STAY FREEEE!!!!!!!!
<収録曲>
01. 2001
02. ハグルマ
03. 美談にしないで.
04. まみれて
05. FUSION
06. 夏の迷惑
07. ルーツ&ワープ
08. 愛愁
09. 何者にもなれるな
10. グッドラック
11. 満月じゃん。
12. ナイトダイブ
ライブ・イベント情報
<ULTIMATE ONE MAN TOUR>
1/19(木) 東京 渋谷Spotify O-Crest
2/03(金) 大阪 心斎橋BRONZE
2/10(金) 愛知 名古屋CLUB UPSET
2/18(土) 広島 ALMIGHTY
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