【インタビュー後編】ЯeaL、運命の4人編成になって渾身のリリース「拝啓、あの日の僕へ」
現在、7月から6ヶ月連続リリースを行なっているЯeaL。先日行なったインタビューでは、ソングライティングを務めているRyokoが、ここまで発表してきた各曲について、さらにここ数年、様々な出来事と向き合っていた自身やバンドの実情について、赤裸々に語ってくれた。そして、リリース第6弾となる「拝啓、あの日の僕へ」の解禁に合わせて、新たにギタリストとしてYuri(fromたんこぶちん)が加入することを発表。ЯeaLは再び4人で歩み始めていくこととなった。12月17日、Spotify O-WESTでの結成10周年記念ワンマンライブ『ЯeaL Яock Яevolution vol.10 10th Anniversary』も開催目前。今回はメンバー全員集合で、“4人になるまでの話”をじっくりと聞いた。
■Yuriさんが新しく何かを始めるのであれば
■ЯeaLに入ってもらえばいいんじゃないかと思って
──このたび、Yuriさんがギタリストとして加入されることになったわけですが、もともとサポートをされていたんですよね。
Yuri:そうです。約3年サポートさせてもらっていたんですけど、今回加入の話をいただいて。
Ryoko:3人でメンバーをずっと探していたんですけど、なかなか見つからずで。前の事務所に所属していた頃からずっとお世話になっていて、いまも一緒に制作をしている編曲家の渡辺(拓也)さんと一緒にステージに立っていたこともあったんですけど、やっぱり私達はガールズバンドで、ステージに一緒に立つのは女の子がよくて。で、同世代がよかったんですけど、Yuriさんがもともとやっていた“たんこぶちん”が活動を休止するということだったので、休止した後にサポートで手伝ってくれないですか?っていうお誘いをさせてもらって。
Yuri:活動休止した後で、これからどうしていこうかなという漠然とした不安もありつつ、それまで誰かのサポートをしたことなかった私にお話をくれたので、ちょっとびっくりしたんですけど。
Ryoko:なかったんや!?
Yuri:なかった。他のメンバーにはあったけど、私に来たのは初めて。なので、私でいいのかなと思いながら、でも、これからも音楽を続けていきたいという決意はしていたので、お受けしました。
▲Yuri(Gt&Cho)
──ЯeaLというバンドに対してはどんな印象がありました? たんこぶちんと同じく、10代の頃から活動してきたバンドなわけですが。
Yuri:力強いなあって日々思っていました(笑)。私のほうが2歳上なんですけど、2歳下にも関わらず、貫禄が同じぐらい、もしくは私達より上に見えていたので(笑)。
──そういったバンドのサポートをするとなったときに、いける!と思ったところもありました? それこそYuriさんのパフォーマンスって元々力強かったわけですけど。
Yuri:自分自身、男に負けないようなギタリストというテーマを持ってやっていたので、ЯeaLに入ってもおかしくないなとは思っていました。で、実際にサポートして一発目のライヴで「ЯeaLでもいけるじゃないですか」ってRyokoが言ってくれたんですよ。それで自信がつきましたね。ああ、大丈夫なんだっていう。
Ryoko:それこそ、この前のインタビュー(https://www.barks.jp/news/?id=1000226683)でもお話したんですけど、自分達は男に負けたくないというか、女だからってなめんなよっていうマインドでバンドをやっていた時期があって。最近はそれがもう素でできるようになったから、逆に柔らかくなってきたんですけど。でも、やっぱり根っこにはメンバー全員そういう気持ちを持っているので、Yuriさんがサポートに入ってくれたときに、やっている空気とか、表現したいものがたぶん一緒だと思ったので、そういう話をしたんです。「Yuriさん、ほぼЯeaLやん。全然イケてるよって」って。
──アティテュードがシンクロしていて。
Yuri:そうですね。「自分、ここで弾いていられるかも」って思いました(笑)。やっぱりサポートミュージシャンって、キャラクターが合わなかったりすると外されてしまったりするんですけど、よかったなと心底思いました。
──Fumihaさんは、Yuriさんに対してどんな印象がありました?
Fumiha:派手な人だと思っていたので、ЯeaLに入っても大丈夫だと思って。みんなで相談して決めたし、まあ、なんとも思っていませんでした(笑)。
Ryoko:違和感がなかったってことね。
Fumiha:うん。不安もなかったです。もともとバンド自体知っていたし、別に変な人じゃないのもわかっていたので、何も思わなかったですよ。
Ryoko:「何も思わなかった」って言うと意味合いが違って聞こえる(笑)。
──かなりしっくりきたということですね。Aikaさんはどうです?
Aika:私も違和感なかったです。Yuriさんにサポートしてもらうことになった初ライヴの日に、呼んでいた知り合いの人達から「サポートギターの子、めちゃくちゃかっこいい!」って言われて。それがめっちゃ嬉しかったですね。みんながYuriさんのことを認めてくれていてよかったなと思って。
──Yuriさんは、実際にサポートするようになってから見えてきたもの、わかってきたこともありました?
Yuri:すごくありましたね。最初はとっつきにくい印象が3人ともにあったんです。でも、サポートさせてもらって、こんなに距離が近くていいんだ?って。親近感のわくメンバーばかりで、そこにすごく安心したというか。一緒に温泉とかに行ったりするんですけど、すごいオープンな子達だなって。
Aika:まあ、温泉やもんね(笑)。
Ryoko:そりゃオープンになるよ。水着着て行ったりせんよ。
Yuri:いや、身体的なことじゃなくて(笑)、マインドがオープンな子達。もっと踏み込んでいいんだって思いました。
▲Ryoko(Vo&Gt)
──Ryokoさんとしても、踏み込んできてくれたところもあって、サポートではなくメンバーとして一緒にやっていけそうだなと思ったんですか?
Ryoko:でも、メンバーになってほしいという思いを抱いたのは、本当に最近で。この3年間も、メンバーになることを前提にお願いしていたわけではなかったんですよ。
Yuri:うん。
Ryoko:もう本当にサポートとしてお願いしていて。それは、Yuriさんがたんこぶちんというバンドをとても大事にしているのを傍から見ていてわかっていたので、誘うことが失礼にあたると思っていたし、気軽に「ЯeaLに入れば?」って言えなかったんです。だから、今年の5月末ぐらいまで「メンバーになる気はある?」っていう話は本当に1回もしていなかったんです。
──そうだったんですね。
Ryoko:Yuriさんが感じてくれていた“親近感”というのも、私達は身内以外にトゲを張っていたので、たんこぶちんと仲良くはしていたんですけど、そこまで距離は詰められていなくて。それがサポートをしてもらうことになってから、同じステージで届けている人というのでちょっと打ち解けた部分はあったんですけど、それはメンバーとしてというよりは、同じチームという認識だった感じでしたね。
──そこからどうやってメンバーの話が出てきたんです?
Ryoko:今年の頭に東名阪ワンマンツアー<ЯeaL ONE-MAN tour ~Яe:menber~>をやって、それが終わったタイミングぐらいで6ヶ月連続リリースをするのを決めて、まず「カミサマ」を出すことになったんですけど、MVにYuriさんも入るのかという話が出てきて。あの曲はハンドマイクで歌っているので、3人で撮るとギターがいない映像になるんです。それに対してどうしようかとなったときに、今まではサポートギターがいないといけないものだと思っていたから、ギタリストの人を代えながら。Yuriさんになってからは固定でやってきたんですけど、この前にお話ししたように、メンバーと分かり合えたタイミングが去年の年末と今年の年明けにあって。
──はい。9周年ワンマンの前後でいろいろなことがあったという。
Ryoko:年が明けてからワンマンをやってみて、もしかしたら3人でもできるかもという可能性を見出したんですよ。じゃあ、「カミサマ」のMVは3人で撮ろう、7月からはライヴも3人でやってみようということになって。Yuriさんは、またいつかサポートしてほしいと思うかもしれないけど、10周年だし、一旦いまは3人でステージに立ってみようって決起したんです。お酒も飲んで、よし! 頑張ろう! 3人で!ってなったんですよ。
──3人で。
Ryoko:そのことをYuriさんに伝えたんです。10周年のタイミングで、一度自分達だけの音でやってみたい、まだ12月に予定してるO-WESTワンマンはどうなるかわからないけど、ということを話したら、Yuriさんもちょうど考えていたことがあったみたいで。
Yuri:私も別の形で何か新しく音楽を始めようかなと考えていたんです。これからも音楽を続けていたいからこそ、ЯeaLとはまた別の路線で自分のやりたいことを考えていて。
Ryoko:その話を聞いたんですよ。「実はこういうことを考えていて……」っていう。そっか……ЯeaL入る?って。
──え?
Ryoko:遠征中で名古屋から大阪に移動してる車の中で、私がハイエースの助手席で、スタッフが運転してくれていて、3人が後ろに座っていて。それまでフツーにぺちゃくちゃ話してたんですけど、「ねえねえ、Yuriさん、ЯeaL入る気ある?」って、爆弾を放り投げたんです。3年間、本当に1回も話さなかった、そういうムーブを出すことすら気まずかったことを。
──しかもだいぶ急に。
Ryoko:私達としては、3人でやるって決めたけど、それは“ЯeaLとサポートギター”という形が、いまは違うかなと思ったから3人でやろうと思っただけで、メンバーはずっとほしかったし、Yuriさんが必要なかったわけではないんです。だから、Yuriさんが新しく何かを始めるのであれば、ЯeaLに入ってもらえばいいんじゃないかと思って。本当にタイミングよくピースがハマった気がしたので、「やる?」って聞いたら、2週間後ぐらいにお返事をいだだいて、そこからはトントン拍子で。
Yuri:いまに至ります(笑)。
Ryoko:もしワンマンライヴの後に3人でやろうという話をしなかったら、きっとこういう話にならなかったと思うんですよ。Yuriさんも、私達がそういう話をしたからこそ、自分の話もしてくれたんですよね。
Yuri:うん。
Ryoko:そもそも、ウチらは楽しくバンドをやっていただけなので、この先の人生の話とかはあまりしていなかったんです。そういうシリアスな話題は避けていたので。だから、これもある意味運命というか。初めてサポートで声をかけさせてもらったときも、Yuriさんはバンドが休止になったけどまだ音楽を続けたいと思っていたタイミングだったし、今回もちょうど同じようなタイミングでお互い分岐点が来ていたというのは、メンバーになる運命だったんだろうなって思っています。
──Yuriさんとしては、メンバーになる話が来たときにはどう思ったんです?
Yuri:自分も別でやろうと思っていたことを進めていたし、いまは音楽に付随する映像の仕事とかもしていて、そっちにも力をいれたいと思っていたところだったので、正直ちょっと悩んだんですけど。でも、ライヴをやっていて、「ЯeaLっていいな」って思うことがその時々であったんですよ。このバンドに入ったら、この感情をみんなと共有できるのか、いいなぁって思うことがいっぱいあったし、ここにメンバーとして入ったら楽しそうだなと思っていたんですけど。でも、自分もバンドを大事にしていたこともあったし、私から入りたいって言うのも違うなと思っていたし。そういう感じだったけど、分岐点が一緒になって、合致して、メンバーになれたというのは、すごいタイミングだったなと思うし、すごく幸せなことだなと思います。これぞ運命って感じです(笑)。
▲Fumiha(Ba&Cho)
──FumihaさんとAikaさんとしては、RyokoさんがYuriさんに加入の話をしたときって、いきなりだから驚きはしましたよね?
Aika:そうですね。じゃあ3人でやろうってなったところからの、あのブッコミだったんで(笑)。
Fumiha:メンバーに相談もなしでねぇ?(笑)。「ああ、4人でやるのも今日で最後か……」ぐらいに思ってたら、「メンバーになる?」「考える」とか言うから。
Aika:Yuriさんもびっくりしたと思うけど、ウチらもめっちゃびっくりして。
Fumiha:たぶん3人全員同じ気持ちで後ろに座っていた。
Aika:Yuriさんの顔見れなかったもんな?(笑)
Yuri:3人とも黙って前向いて(笑)。
Ryoko:私もほんとに普通に世間話をするテンションで「Yuriさんメンバーなる気ある?」って言ったし。
Aika:そうそう。ほんとに「明日のごはん何にする?」ぐらいのテンションで。
Fumiha:そのときに「メンバーもどう思う?」って聞いてきて。いや、どう思うとかじゃなくて(笑)。
Yuri:私も聞きましたもん。「私、メンバーになっていいの……?」って(笑)。
Fumiha:「あ、はい。私達もメンバーほしかったし」って。
Aika:「Yuriさんが入ってくれるのがベストだったんで、やるんだったらお願いします」って。
Ryoko:そもそも、4人になるのを諦めた理由も、半分ぐらいがYuriさんのせいなんですよ(笑)。正直、結構探したんです。いろいろな動画を見たり、音を聴いたり、コンタクトを取ったりして、水面下でずっと動いていたんですけど、なかなかしっくり来なかったのは、Yuriさんがしっくり来すぎたからなんですよね。サポートの一発目でハマることがなければ、何人かでローテーションするっていう選択肢もあったと思うけど、Fumihaが「不安がなかった」っていうぐらい、最初からYuriさんがいいってなっちゃっていたこの3年間だったので。
▲Aika(Dr&Cho)
──それが今年の5月末の出来事で、そこから6ヶ月連続リリースの制作に入っていったわけですが、Yuriさんも制作には参加されていたんですか?
Yuri:はい。表向きに発表したのは12月ですけど、内々では7月に加入していて。それ以降にあったレコーディングには参加させてもらっています。
Ryoko:第3弾の「さよならの理由」と、第4弾「ディストラクション・ガール」と、最後の「拝啓、あの日の僕へ」の3曲ですね。第5弾の「re:call」は、先に録っていたものを11月に出したので。
──ЯeaLとしての初レコーディングはいかがでした?
Yuri:難しすぎましたね(笑)。一発目にレコーディングしたのが「ディストラクション・ガール」だったのもあるんですけど。
──またテクニカルな曲から参加しましたね(笑)。
Yuri:Fumihaが「弾けへん!」って言っている横で、私も「弾けへん!」って言いながら、結構苦戦したんですけど。でも、私の音が入ったЯeaLを聴いて、これもありだなって正直思いました。Ryokoもよく「ギタリスト入ったわ」って言ってくれるんですけど、本当に私の色が入ったレコーディングになったので、すごくよかったです。
Ryoko:それまでは私が全部リードギターを弾いていたんですよ。音源にメンバー以外の音を残したくなかったので。でも、ボーカルギターなんで私も一応弾けるけど、ギタリストのギターが弾けるわけではないんですよね。だからそれまで騙し騙し弾いていたんですけど、Yuriさんの入った音を聴いて、「私はもう弾きません!」って(笑)。大満足ですね。
Yuri:でも、10周年の音に加わるというのは、自分的にすごくプレッシャーがあって、レコーディングも緊張したんですけど、周りがおだててくれたので(笑)。ギターソロも自分で考えたんです。これまではもらった楽曲をそのまま弾いていて、自分でギターソロを考えたりすることはなかったんですけど、今回は任せてもらえて。
Ryoko:急にメンバーになってほしいって言ってくるし、いきなりギターソロ投げてくるし(笑)。
Yuri:でも、責任の重さはあったけど(笑)、その信頼感がありがたかったですね。やっぱり自分のバンドでも10周年って責任が強い1年だったので、すごく大事なときだっていうのは身に沁みてわかっていたことでもあったので。
──FumihaさんはYuriさんが入った音を聴いてみてどんな感覚になりました?
Fumiha:なんていうか、私も初めてギタリストが入ったなと思って。元々4人だったので、ギタリストはいたんですけど、ギタリストというよりは……。
Ryoko:まあパフォーマーやったからね。まだギターを始めたての頃だったし、もちろん自分達も含めてまだまだ下手くそだったし。
Fumiha:でも、すごく上手なギタリストが入って、やっと楽曲が整い始めて嬉しいです。今まではずっと散らばっていたんですけど、ギターがうまくなるだけでこんなに楽曲が良くなるんだ?って。あと、レコーディング時間がものすごく短くなりました。今までは1日1曲ペースぐらいだったんですけど、3時間ぐらいで終わるようになったので。めっちゃラクです(笑)。
──Aikaさんはどうです?
Aika:やっぱり質がすごくレベルアップしたというか、ラフの時点でもうすでにめちゃくちゃかっこ良くて。特にミックスされていない録り音を聴いても、これで良くね?って思うぐらい。ギターは別日に録っているんですけど、ウチら(FumihaとAika)はギターを録っている途中から合流するんですよ。
Ryoko:私のギターレコーディングのにときはいないんですよ。
Fumiha:いや、そもそもギターレコーディングのときに、私らいらんやん。
Aika:「終わった後にご飯行きたい」っていうから、じゃあ終わるぐらいに行くわって(笑)。それで行ってみたら「もうここまで録ってるの?」っていう。それも今までだったら考えられなかったですね。
◆インタビュー(2)へ
この記事の関連情報
【インタビュー前編】ЯeaL、Ryokoが明かす6ヶ月連続デジタルシングルの胸の内
ЯeaL、3年ぶり2ndアルバム『ライトアップアンビバレンツ』9月発売
『DI:GA ONLINE』にて、女王蜂、ブリット・フロイド、LINDBERGらのプレゼント企画実施中
Gacharic Spin、全国ツアーにグドモ、the peggies、THE冠、METALLIC SPINら出演
【ライブレポート】ЯeaL、東名阪ツアー初日「みんながいたから、また新しい夢を見つけることができた」
ЯeaL、TVアニメ『銀魂』OPテーマ曲MVに“なぎなた”
ЯeaL、「仮面ミーハー女子」発売イベントで地元大阪ファンを魅了
大阪発10代ガールズバンドЯeaL、「仮面ミーハー女子」にSNS世代の本音