【インタビュー】UAが語る、ミュージカル『ジャニス』出演「人前で歌う人生をイメージしたのはアレサとジャニスがいたから」

■ポップに恋している状態を
■めちゃくちゃ楽しんでます

──ちなみにUAさんはカナダの島に移住しましたが、そのことは曲作りや歌にどんな影響を与えていますか？

UA：まず、日本人のメンタリティなのか、私の中にはいい意味でオタクな気質というか、ひとつのものを深く掘り下げたくなるところがあって、その時々でいろいろな音楽に傾倒してトライしてきたんです。今はカナダの都会から離れた島に住んでいるので、現代的というか、先鋭的で込み入った音楽をあまり聴かなくなっていたんですね。結果、いい感じで日本のポップシーンを俯瞰で見ることができて、すごく刺激的だなと感じるようになったんです。

──刺激的なんですね。

UA：欧米から影響を受けた音楽をマネするではなく、ちゃんと昇華しているんですよね。サナギがドロドロになってから綺麗な蝶になるように、新しいものを生みきっているなと思ったし、サウンド重視のオリジナルな音楽もたくさんあって、日本を離れてからのほうが、ポップシーンの影響を受けていると思います。

──家ではポップスを聴くこともあるんですか？

UA：聴いているのは、アメリカやイギリスのヒットチャートの音楽をラジオから。そういう音楽が流れてくる中、幼い子供がメロディをすぐ覚えて歌っている姿を見ると、“この曲を聴けば、いつかこの時のことを思い出すだろうな”って。いろいろな想像が膨らんで、自分もポップミュージックをやってみたくなったんです。そういう音楽に取り組んでいる時のほうが自分のエゴが薄れていく気がしています。

──フラットな状態で音楽制作をなさっているということですか？

UA：フラットなのかはわからないですけど、ラクになったとは言える。いろいろな体験をしてひと段落ついて、大衆に向き合いたくなったのかもしれないです。自分の生活が理想に近づけたので、落ち着いてUA力がフツフツと湧き上がったということだと思います（笑）。

──そういう変化が最新シングル「微熱」にも反映されているんでしょうか？ 柔らかな歌い方も印象的でした。

UA：そうですね。「微熱」はポップに仕上げました。「情熱」(1996年発表)と比べられる方も多いと思うんですが、あの頃は未熟で、でも、あの頃なりに必死に歌っているんですね。柔らかくなれたのもキャリアのおかげだと思います。当時の自分は今のように「微熱」を歌えないと思うので。

──UAさんは沖縄にも住んでいらっしゃいましたよね。環境が音楽に与える影響は大きいですか？

UA：沖縄には3年半住んで、その間に出産したり、いろいろなことにトライしていた時期ですね。3.11(東日本大震災)のショックを後々まで引きずっていたので、自分の歌がどこに向かえばいいのか迷走していて、1曲も歌を作れなかったんです。その3年余りの想いを昇華したのがアルバム『JaPo』(2016年発表)でした。

──目指したヴィジョンがあっての今のスタイルですか？

UA：スケジューリングして目標に向かっていくのはあまり好きではないので、今はとにかく気楽にやっています。ポップに恋している状態をめちゃくちゃ楽しんでますね。

──最後に『ジャニス』に向けての意気込みをお願いします。

UA：今日、衣装を着て、ウィッグとメイクでアレサをオマージュした撮影をさせてもらって。“ホントに始まるんだ！”って武者震いがしました。出来る限りイメージしながら、本番に向けて日々取り組んでいけたらと思っています。

取材・文◎山本弘子
撮影◎レスリー・キー

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