【インタビュー】cluppo(小鳩ミク)が伝えたい「“私らしく”でいいよ」
■「楽しんでいこう」「ハッピーであろう」ということを大事にしたいと思ってますっぽ
──続いて5曲目の「voice」。これも結構高いところからの歌い出しですよね?
cluppo:「ふわふわ」と「voice」は歌的にはものすごくむずかしかったですっぽね。この曲でのチャレンジは「ふわふわ」でのそれとは全然違うものではあるんですけど、短いけどキツいっていうか。他の曲に比べて結構さっぱりしたメロディではあるんですけど、実はそのぶん、消費カロリーが高い曲になってますっぽ。結構さらっと行けるんじゃないかなと思ったら意外と疲れる、みたいな。
──この日本語主体の歌詞が曲のリズムにとてもよくマッチしていると思います。
cluppo:そうですっぽね。cluppoの中ではいちばんロック感の強い曲だなと思っていて。特にサビの感じはBAND-MAID的な要素も少し入っていたりするので。でもシンプルだけどしっかりギミックが入っているというか。だからどちらかというと歌詞も英語の響きを活かそうとするより日本語の強い歌詞を載せられるようにしたいなと思ったので、日本語を多めにしましたっぽ。
──言いたいことがものすごくダイレクトに伝わってくる歌詞ですよね。なかでも「いつも私を楽しんでいたい」という言葉は特に象徴的だと思います。
cluppo:この曲に関しては、そこがいちばんcluppoらしさかなって思いますっぽ。BAND-MAIDの場合だとここで「そのまま、まっすぐ進んで行け!」「もう振り向かない!」という感じになると思うんです。でもcluppoではそういう感じではなく、「楽しんでいこう」「ハッピーであろう」というのを大事にしたいと思ってますっぽ。サビの終わり方とかは、いつも最後まで検討したりしてますっぽね。この曲の場合も、その部分の歌詞はこの状態になるまでに何回か変えてきましたっぽ。
──実はすごく近いことを言っているんだけど、BAND-MAIDではこう言うのに対してcluppoではこういう言い方になる、というような温度感の違いが出た曲でもあるわけですね?
cluppo:そうですっぽね。耳に入った時の感触だったり、それこそ同じ意味の言葉でも言い方を変えただけでそれが違ってくることはよくあるので。それをメロディに載せた時にどれくらい強くなるのかなあとか、cluppoでは、そういうところを結構気にしながら書いてたりしますっぽ。
──「実はみんな自分であることを楽しみたいんでしょ?」ということですよね。誰かみたいになることが目標になったり、それができた時に満足したりする傾向というのが人間誰しもあるはずだと思うんです。「だけどそれが本当に楽しいことなの?」と問いかけているというか。
cluppo:「いろんな考え方があっていいんだよ」っていうことを、基本的にどの曲でも言っているところがあるんですっぽ。それをいろいろと言い換えた形で書いているのかもしれませんっぽ。
──まさに十人十色、多様性というところに重なってくるわけですよね。同時に、すべて同じ時期に、同じようなモードの気持ちで書いてきたからこその重なりもあるはずだと思うんです。
cluppo:それはありますっぽね。もちろん同じ時期に書いているけど、それぞれ違う感じに伝えたいなっていう気持ちで書いてきましたっぽね。誰もがみんな、それぞれの平和や幸せを描いていいんだよっていうのが伝わったらいいな、と思いますっぽ。正義って人によって違ったりしますから。
──そして最後に収録されているのが「スーパースター」。この曲もスイング感があって、やはり言葉がたくさん詰まっていて、ラップ的な要素もあります。
cluppo:これもかなりカロリー消費しますっぽ。実は「POGO!」と「スーパースター」のどちらをメインにするかで迷ったんですっぽ。この曲に関してはcluppoではあるんだけど小鳩ミク要素が結構強めに入っているというか、曲としてもちょっとBAND-MAIDの「サヨナキドリ」とか、そっちに近い雰囲気も残した楽曲だったので、今回は最後の1曲として入れることにしましたっぽ。
──確かにBAND-MAIDのアルバムに1曲くらい入っていそうな感じでもあります。
cluppo:そう思われる可能性がいちばん高いのがこの曲だと思いますっぽ。
──しかし意外性もあります。cluppoのひたすら明るいイメージと「スーパースター」というタイトルを重ねてみた時「スーパースターになっちゃうぞ!」みたいなイケイケ・ソングを連想する人も少なくないはずだと思うんですけど……。
cluppo:そこはギャップなんですっぽ。多分、タイトルからイメージされる曲とは違うんじゃないかなって思いますっぽ。
──「スーパースターじゃなくても」という歌なんですよね、実は。
cluppo:そう、「じゃなくても」なんですっぽ(笑)。
──言い換えればそれも「自分のままでいい」ということですよね。ただ、そういうことを言おうとしている時に「スーパースター」という言葉が出てくるのはすごいな、と素直に思いました。
cluppo:印象的な言葉でサビを始めたいなって思っていて、それこそ「PEACE&LOVE」だったり「Flapping wings」だったり、大きなキーワードになるような言葉をサビの頭に持ってきたいなって。その言葉をすごく考えてたんですっぽね。で、私自身が自分のことをスーパースターだとは思えないし、どっちかというと自分的にはSAIKIをスーパースターだと思ってるんですっぽね。
──今、KANAMIさんの声の幻聴を感じました。「私もそう思うー!」というのが。
cluppo:確かにそう言いそうですっぽ(笑)。そこで、cluppoはスーパースターじゃないけど、という自分なりの気持ちを書こうと思ったんですっぽ。
──なるほど! しかし、スーパースターっていったい何なんでしょうね?
cluppo:その定義みたいなのは人によって違うと思うんですけどっぽ、やっぱり「すごいな!」と思う人だったり、世界的に知られてる人とか、そういう意味でのスーパースターもいますけど、それぞれの個人にとってのスーパースターも絶対いるはずだと思うんですっぽ。ただ、誰かからそう思われていたとしても自分では絶対そう思えない、というものでもあると思うんですっぽ。それは自分自身が思うところでもあるので。そういう意味でも、自分ではそう思ってなくても、きっと誰かにとっての何かにはなっているんじゃないかな、ということなんですっぽ。例えばKANAMIにとってSAIKIはスーパースターだと思うんですけど、SAIKIは「私はそんなんじゃない」って言うと思うんですっぽ。それと一緒だと思いますっぽ。
──まあ確かに自ら「私はスーパースターです」と言う人はほぼいないでしょうけども。
cluppo:言わないですっぽね。ただ、SAIKIの場合「女王様だよ」とは言うかもしれないけど(笑)。そっちのほうがしっくりきますっぽ(笑)。
──確かに! あ、「確かに」なんて言ったら女王様に叱られますかね?(笑)
cluppo:ふふっ。伝えておきますっぽ。
──それはともかく、これは裏を返せば「みんな誰かにとってのスーパースターかもしれない」ということでもあるだろうし、それはべつに、目指してそうなろうとすべきものじゃないというか。
cluppo:うん、うん。そうですっぽね。
──この曲の歌詞ですごく印象的だったのは「泣いたって明日は巡ってくる/世界は不平等」というろころなんです。「みんな平等であるはずなんだ、そう信じていよう」という歌は世の中にたくさんあるはずですけど、不平等という言葉をストレートに使っているのもめずらしいんじゃないか、と。
cluppo:なるほどなるほど。だけど世界は不平等ばかりですっぽ(笑)。たとえば「時間は誰にとっても一緒だよ」とか、よく言うじゃないですかっぽ。でも、人によってその使い方も違えば、その体感速度も確実に違うはずで。だからそこで「みんな一緒」と簡単に言うことはできないんじゃないかなって。睡眠を多くとらないと動けない人だっているし、ショート・スリーパーで生きていける人って羨ましいなって、cluppoは思ったりするんですっぽね。私自身がそれでは生きていけない人なので。そうやって人を羨んだり、自分にコンプレックスを感じたりすることも、多分すごく多いほうなので、そういう意味でも不平等を感じるんですっぽ。だけどそこで「不平等だからいいんじゃん?」と思えるようになれたらいいな、とも思ってるんですっぽ。
──要するに他のみんなと平等な状態にあれるようにするうえで必要とされるものの量とかが、それぞれ違うわけですよね。
cluppo:そうなんですっぽ! でも逆にそこでみんな同じだったらつまんないんじゃないかなって、それはそれで楽しくないんじゃないかなって思ったりしますっぽ。
──変な言い方ですけど、人それぞれ、生きていくうえでの設定が違うというか。
cluppo:そうですっぽね。パソコンのスペックが違うみたいなのと一緒だと思いますっぽ。
──たとえば普段、「みんな楽しむためにそんなにたくさん条件が必要なの? 私はこれだけで充分なんだけど」みたいなことを思うことはありますか?
cluppo:えーっと、どちらかというと私自身が元々あまりプラス思考ではないので。
──プラス思考のカタマリのように見られている部分も大いにあると思うんですけどね。
cluppo:よく言われるんですっぽ(笑)。でも実は意外とナイーヴですし(笑)。鋼の心、鉄の心の持ち主だとか言われたりもするんですけど、落ち込むときはすごく落ち込んじゃいますし、基本、マイナス思考寄りですっぽ。だから多分性格的に言えば多分、BAND-MAIDの歌詞の暗さのほうが元の性格としては近いんですっぽね。ただ、それだけのままでいると楽しめないことが増えたりとか、勿体ないなと思うことがいっぱいあるので、明るく生きていたいっていう希望のほうをこっちで表現してる感じですっぽね。
──つまり、放っておくとマイナス思考に陥りがちな小鳩さんをプラス側に向かわせるために必要なのがcluppo、ということでもあるのかもしれませんね。
cluppo:そうですっぽね。「自分はこうだから」と決めつけて特定の方向に流れていってしまうと、なんかすごく勿体ないなと思うんですっぽ。「両方とも自分だよ」でいいんじゃないかなと思うんですっぽ。それこそこのEP全体を通じて言っている「私らしく、でいいよ」というのもそういうことで。自分自身がそう思っていたいからこそ、こういう内容になったんじゃないかと思いますっぽ。
──マイナスをプラスに変換するスイッチの切り替えのような作業。これまでの小鳩さんの人生の中で、音楽がそれを担ってくれていた部分というのも小さくなかったはずです。
cluppo:はい、とても大きいと思いますっぽ。単純に言えば、落ち込んだ時にはこれを聴いてハッピーな時の自分になる、みたいなことが私の生活の中ですごく大きな意味を持っていたというか。音楽に助けられたり、泣きたい時にそういう気分に浸らせてくれる音楽があったり。音楽と映画はそういうところをずっと担ってきてくれていたかなと思いますっぽ。その世界に入り込めるもの、という意味で。だから私の人生の中ではすごく大きいですっぽね。
──そして、そういう音楽を自分でも……。
cluppo:そう、自分でも作っていきたいなっていう気持ちはありますっぽ。
──変な話、嫌なことがあった日でも、無理やり日記を書いて、そこにネガティヴなことを書き尽くしてしまうとスッキリした気分になれたりすることってあると思うんです。それと同じで、抱えている想いを歌詞にすることというのは、小鳩さんが日々を健全に過ごしていくうえで不可欠なことなのかもしれないな、と今の話を聞いて感じさせられました。
cluppo:それはあるかもしれないですっぽね。歌詞をずっと書いてないと、もやもやしてくる時がありますっぽ。そういう意味でも、私には両方の場が必要なんですっぽ。
──そしてこの「hatohull」が世に出た後は、どのようなことを企てているんですか?
cluppo:特に何も発表できることはありません! いつも言うことは同じなんですけど、長期的な計画がないのは相変わらずですっぽ。BAND-MAIDの初期の頃のような駆け出しの活動を、今cluppoでやっているようなものなので。そういう感覚が今の自分にはありますっぽ。そうしようとしたわけではないんですけど、結果、こうして新たな気持ちで取り組むことができているので、ありがたいことだなって思いますし、なにより私自身が楽しんでできてますっぽね。だから、いちいち思い出したりするんですよ。「あ、確かにBAND-MAIDの最初の頃は大変だったっぽ!」みたいに(笑)。ミュージックビデオ撮影にしろ何にしろ、何かをやるにつけそうやって思い出すんです。そこで「ああ、BAND-MAIDってすごく良くしていただけてるんだな」とか気付かされて、改めて感謝の気持ちが湧いてきたり(笑)。まあでも、この先もBAND-MAIDの状況を見ながら、その合間にcluppoは上手くやっていけたらいいなと思っていますっぽ。あれがやれたらいいな、これもやってみたいな、というのは尽きないので、それをいろんな人と話し合いながら、できることをできる時にちょっとずつやっていけたらいいな、と。cluppoに関しては、ある意味、BAND-MAID以上にいろんなやり方が可能性としてあるはずなんですっぽ。だからいろんな時間の隙間を縫いながら、いろんな隙間を埋めて行ければいいなと思いますっぽね。
取材・文◎増田勇一
写真◎佐々木信行
リリース情報
2022年2月23日(水)
https://lnk.to/POGO_
■1stEP「hatofull」
2022年3月9日(水)発売
pre-add/pre-sav:https://lnk.to/hatofull
[CD Only] PCCA-06114 / 2,200円(税込)
紙ジャケ仕様予定
【収録内容】
「PEACE&LOVE」、「Flapping wings」含む全6曲
ご予約はこちらから:cluppo.lnk.to/hatofull_CD_jpn
※価格、収録内容共に予告なく変更する事が御座います。
【法人別特典】
※特典は先着の付与となりますので、なくなり次第終了となります。 予めご了承ください。
※一部店舗に取扱いのない店舗がございますので、ご予約・ご購入時にご確認ください。
※ECサイトでご予約の場合、特典付き商品をご希望の場合は必ず特典付きカートからご注文下さい。
(一部ECサイトでは予約済み商品がキャンセル不可の場合がございますのでご注意ください)
・Amazon.co.jp メガジャケ
・タワーレコードおよびTOWER mini全店、タワーレコード オンライン A5クリアファイル【Type-A】
・全国HMV/HMV&BOOKS online A5クリアファイル【Type-B】
・楽天ブックス A5クリアファイル【Type-C】
・セブンネット A5クリアファイル【Type-D】
・Neowing A5クリアファイル【Type-E】
・ポニーキャニオンショッピングクラブ / その他法人 A5クリアファイル【Type-F】
【cluppo「hatofull」発売記念・プレゼントキャンペーン】
cluppo「hatofull」をご購入いただいた方の中から、抽選で賞品をプレゼントいたします。
対象商品
2022年3月9日発売
cluppo「hatofull」(PCCA-06114)
【賞品】
1) 直筆サイン入り!cluppo “hatofull” 告知ポスター ×3名様
2) 直筆サイン入り!cluppo A4パネル ×9名様
【応募方法】
上記対象商品1点につき「cluppo “hatofull” 発売記念キャンペーン応募券」が1枚封入されております。
応募券に記載の専用応募フォームより申込方法、注意事項をご確認の上、シリアルナンバー、必要事項をご入力いただき、ご応募下さい。応募方法の詳細につきましては、専用応募フォームをご確認下さい。
【応募期間】
2022年4月8日(金)23時59分まで
【当選発表】
当選者の発表は、賞品の発送をもって代えさせていただきます。
【パネル展開催/限定音声コメント入りストアプレイ放送】
下記対象店舗にて、cluppo「hatofull」パネル展を開催
さらにパネル展開催店舗では、cluppoの限定音声コメント入りストアプレイが放送されます。
・実施店舗/実施期間
タワーレコード札幌ピヴォ店/2022年3月8日(火)〜2022年3月14日(月)
タワーレコード新宿店/2022年3月8日(火)〜2022年3月21日(月)
タワーレコード秋葉原店/2022年3月8日(火)〜2022年3月14日(月)
タワーレコード梅田NU茶屋町店/2022年3月8日(火)〜2022年3月20日(日)
タワーレコード福岡パルコ店/2022年3月8日(火)〜2022年3月14日(月)
・注意事項
※応募券の再発行はいたしかねます。
※賞品の発送は2022年4月以降を予定しております。
※応募券や賞品の転売、インターネット上での譲渡はご遠慮ください。
※営業日及び営業時間の変更がある場合がございます。ご利用店舗の営業状況をご確認の上ご来店ください。
※店内では、感染防止対策としてマスクの着用、店内の除菌清掃等実施しております。お客様のご来店の際、マスクのご着用、手指の消毒、ご来店前の体調確認等、感染予防対策へのご理解、ご協力をお願いいたします。
※店舗により音声が店内放送される時間が異なります。予めご了承下さい。
※施策の予定は予告なく変更・中止になる場合がありますので、予めご了承ください。
◆cluppo オフィシャルサイト
この記事の関連情報
BAND-MAIDのギタリストKANAMI、日本人初 PRSよりシグネチャーモデル発売
BAND-MAID、ニューアルバム『Epic Narratives』より壮大な展開の新曲「Forbidden tale」MV公開
【インタビュー】BAND-MAID、壮大な物語を描く最新アルバム『Epic Narratives』発売「過去イチを塗り替えている自信がある」
【ライブレポート】BAND-MAID、進化していく“等身大”「今の私たちだからできる」
BAND-MAID、ニューアルバム発売記念タワレコ店頭キャンペーン実施。SAIKIゲストボーカル曲がアニメタイアップ決定
BAND-MAID、札幌・福岡で番外編お給仕開催決定。SAIKI以外のメンバーがプロデュース
BAND-MAID、アルバム『Epic Narratives』アートワーク公開。先行配信曲「SHOW THEM」MV明日公開
BAND-MAID × THE WARNING、コラボ曲「SHOW THEM」全世界配信決定
【ライブレポート】BAND-MAID、ホールツアー開催。築いてきたものを目の当たりに