【インタビュー】deadman、15年ぶり新曲含むリテイクベスト完成「嘘があれば20年前の曲は歌えない」

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deadmanが1月15日、再結成後初音源にして15年ぶりの新曲を含むリテイクベストアルバム『I am here』をリリースする。レコーディングは眞呼(Vo)、aie(G)、kazuya(B)、Toki(Dr)といった2006年の活動休止前のメンバー4人で実施。オールタイムベストといえる選曲はライブ定番曲のみならず、結成初期の楽曲や現在入手不可能な無料配布音源のリテイクも収録された。

◆deadman 画像 / 動画

眞呼とaieによる再始動が発表された2019年、1年間の期間限定復活であることも同時アナウンスされていた。しかし、新型コロナウイルスの影響でイベントやツアーの中止や延期を余儀なくされ、結果、「やりたいことを全部やりきるまで終わりにはしない」と復活期間を延長。結成から20周年となる2021年を“20th anniversary”としてスタートしたのが新たなプロジェクトであり、その第一弾がリテイクベストアルバム『I am here』だ。収録曲はオフィシャルファンクラブ[fuzz]での人気投票をもとに決定し、前述したように活動休止前のメンバー4人でレコーディングが行われている。

リリース形態は“一般流通盤”と“ライブ会場/通販限定盤”の2形態。一般流通盤にはライヴでお馴染みのナンバーに加えて新曲「鐘は鳴る」を収録。ライブ会場/通販限定盤にはファンアイテムとも言えるコアなナンバーが収録されるなど、2形態全15曲に収録楽曲の被りはない。インタビューではまず再始動の経緯、コロナ禍の功罪、そしてリテイクベストアルバム『I am here』について、眞呼とaieにじっくりと話を訊いた。

   ◆   ◆   ◆

■敵がいないというか
■勝ち負けとか全く関係ない

──deadman初のリテイクアルバム『I am here』がリリースとなりますが、まずは今作へ至るバンドの流れからお訊きしていこうと思います。2006年に解散をして、長く沈黙を守っていたdeadmanが、2019年に再結成となったのは、何が大きかったのですか?

aie:当時、名古屋で付き合いがあったイベンターさんから、「ダメ元で一応聞くんだけど、deadmanやれない?」と言われたことが何度かあって。「まあ、ないっすわ」っていうのが、かれこれ10年くらい続いていたんです。で、2018年くらいにもそういう話がきて。そのときたまたま、MERRYのテツさんと眞呼さんと「何か一緒にやりたいね」という話をしていたんです。その流れから、「“deadmanで”という話が今回あるんだけど、これはナシっすよね?」って眞呼さんに言ったら、「いや、ありっすね」という感じで。

眞呼:ははは。

aie:「いいんですか!?」っていう。


▲眞呼(Vo)

──眞呼さんがその時点で、deadmanで動いてもいいなと思えたのは?

眞呼:いちばんのきっかけは、テツさんとaieさんと僕という話だったので、本当のdeadmanじゃなかったところですかね。僕自身、deadmanがトラウマみたいになっちゃっていたんですけど、それがない状態だったからというか。

──トラウマというのは?

眞呼:自分の内面を出しすぎていたのがdeadmanというバンドだったので、当時、精神的にキツい時もあって。解散後も消化しきれずに、暗闇の中にいるような状態が続いていたんですね。だから、復活は拒絶していたし、deadmanを思い出すことで、その苦しい気持ちが蘇ることが嫌だった。消化できていない自分を認識することも嫌だったんでしょうね。でも、テツさんとaieさんと僕であれば、パーティ感みたいな感じが単純に楽しそうだなと思ったという。

──2019年6月22日、名古屋BOTTOM LINEで開催されたイベント<ALL TOMORROW'S PARTY 2019>への出演が13年ぶりのステージとなったわけですが、実際にdeadmanでライヴをしてみてどういう感触でしたか?

aie:楽しかった、というのがいちばん大きいですかね。

眞呼:そうですね。

aie:テツさんとやるのは久しぶりだったし、ドラムをやってくれた晁直(lynch.)は一緒にステージに上がるのが初めてだったので。

──結果的に名古屋出身者が集まった形ですよね。

aie:そうです。ミュージシャンとして、ステージ上のセッション感を楽しむというか。10数年ぶりに“deadman”という冠でやるわけだから、お客さんはしんみりしちゃうかなとも思ったんですけど、わりとこっちは祭りな感じだったんですよ。

──2020年9月までの期限付きで活動を再開されましたが、そのときは1年間deadmanをやりきろうという感じだったんですか?

aie:そこもわりと流動的でしたね。名古屋のイベントが決まって、“これは名古屋だけじゃもったいないから東京もやりましょうか”って会場(<oneman live 2019 -before the dawn->9月9日@LIQUIDROOM ebisu)も押さえて。で、“わりと感覚がよかったからツアーもやりますか(東名阪ワンマンツアー<tour2019 -twilight->/12月開催)”みたいな感じだったんです。ただ、だらだらやってしまうと上手くいかないっていう思いもあったから、終わりだけは決めておきたかったんですよね。だったら1年間という期限を設けて当時のスタッフチームを全部集めてやりきって、これで本当に解散します、っていう流れがきれいじゃないかなということだったんです。


▲『I am here』一般流通盤

──そうだったんですね。結果的に2020年はgibkiy gibkiy gibkiyとのツーマン以降、新型コロナウィルスの影響でcari≠galiとのツーマンをはじめ、ワンマンや全国ツアーが中止や延期となり。結果、復活期間の延長を発表して2021年も引き続きライヴやツアーを行なってきました。

aie:振替公演も多かったんですけど、やっとそれを全部消化したのかな。ただキャンセルした場所も7〜8本ありましたね。コロナ禍の状況を考えると、北海道から九州まで回れるようになるには1年じゃ無理かなというので、眞呼さんとも話して。コロナのせいにして1年限定というのを外しつつ、2021年が結成20周年ということもあったので、その辺りも絡めて待っているお客さんもハッピーな状態にしてあげたかったというか。“コロナで窮屈な感じだからバンドくらいは”っていう思いはありましたね。

──deadmanで活動をしてみたら楽しいという気持ちが大きかったという感じもありますか?

aie:そうですね。敵がいないというか。どこかのバンドに数字で負けてるとか、勝ってるとか、まったく関係ないバンドなので。初めは1年で終わると決めていたから、お客さんが0だったらさすがにやらないけど、10人くらいでもやったと思うし、やることに意味があった。どうやったら動員が伸びるんだろうとか、どうしたらCDが売れるんだろうっていうストレスがない。だから楽しいんですよね。

──以前は、数字的なところが活動に影響していたんですか?

aie:あまり意識しないようにはしていましたけど、時代的に周りのバンドがどんどんキャパを上げていく中にいたので。個人的には、クアトロとかそういうサイズのハコでライヴをずっとやっていけたらいいなと思っていたんですけどね。でも当時、同期のバンドが渋公や武道館とかをやるようになると、“おおっ”とは思いましたけど。今は、例えば武道館とかが絶対的な目標でもないし、まあ“楽しそうだったらやる?”っていう空気になっているので。バンドとして健康的な形というか。

眞呼: 10数年前、自分がどう考えていたのかはあまり覚えていないですけど。deadmanをデカくしなきゃいけないとかは、感じていたとは思うんです。大きくなっていかないと、やりたいこともできないので。その辺のせめぎ合いは、当時あったと思います。今は楽しんでやっていて、やりたいことを追求することができるようにもなっているので、そこは別にいいなと。まぁ大きなハコでもやりたいですけど、基本的に僕、デカいハコで走ったりとかはちょっとできないので。

aie:はははは。

眞呼:自分のスペースとしては、半径2メートルくらいの間で動くのがちょうどいいので(笑)。

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