【インタビュー】卓真 (10-FEET)、ソロ初作品完成「本格的に弾き語りに取り組んだとても大きな理由」

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■僕らにも死が訪れる。実は今
■映画と変わらない時間を過ごしているわけで

──ソロ名義の卓真さんとして初めてリリースするのがデジタルシングル「軍艦少年」です。12月10日公開映画『軍艦少年』の主題歌として書き下ろした曲ですが、どういういきさつで話が始まったんですか?

卓真:原作者の柳内大樹クンから連絡があって。彼とは昔からすごく仲良しなんですよ。10-FEETのライブによく来てくれていて、応援してくれているんですけど、個人的な付き合いもある。お互いに昔から親友やと思っている間柄で。「10-FEETも好きだけど、TAKUMAのことも声も好きだし、卓真でやってみてほしい」っていうふうに電話で言ってくれて。じゃあ、曲をちゃんと作ってみようかなと思って。だから直接連絡があってスタートしたんです。

──柳内さんと知り合ったきっかけはなんだったんですか?

卓真:最初は<京都大作戦>を観に来てくれて。やべきょうすけ(俳優)さんの知り合いだったのかな。それから個人的にもちょくちょく会って呑むようになったんです。

──弾き語りですでに曲も作っていたから、「卓真でやってみてほしい」というオファに対しても不安や戸惑いはなく?

卓真:そうですね。ただ、弾き語り用に曲を作ってはいましたけど、“楽曲を作って提供して……ということは音源を出すことにもなるのか”と。弾き語りはそれまで、そこまでガッチリ本格的にやるという感覚があまりなかったので。ま、本格的にやる理由もなかったですからね。でも、それが友達のすごく大切な作品が映画になるというタイミングで、そこに「曲を書いてほしい」と言われたわけですよ。親友にお願いされて曲を作るというのが、僕の中でとても大きな理由で。その嬉しさと、一緒に作品を作るという思いから、すごく前向きに取り組むことができましたね。


──熱いですよ、その気持ちと心意気は。原作『軍艦少年』を読み込んでから作詞と作曲を?

卓真:そうです。考え方や感覚に共通点がある仲間の作品なので、普段、一緒に話していたような思いも、この作品に入っていると思ったし。熱いヤツなんですよ、彼は。現実や自分から逃げないってことが、この映画のひとつのテーマにもなっていて、悲しいことや悔いていることに目を背けず、乗り越えていく。人の死と向かい合うということもテーマのひとつで。そういったことが原作のあとがきに、ありのまま綴ってあるんです。僕も、祖母と祖父が、父方も母方も亡くなって。友人もずいぶん亡くなってしまった。いろいろな場面で死と直面してきましたけど。直面してきたことによって、大切な人とのこれからの向き合い方を考えましたし。自分が死んでしまうことも想像できるようにもなりましたから、それまでの自分の生き方や人との接し方について考えるようにもなりましたし。

──いろいろ考えさせられたことが歌詞にも反映されているという?

卓真:ええ。映画では、お母さんが自分が病気で死んでしまうことを分かっていて、結婚記念日に届くように手紙を書くんです。人には限られた時間しかないことを知っているからこそ、伝えるべき思いを便箋に綴るわけです。自分が死んだあとに残された人たちの幸せをただただ想って。もし、1年とか2年とか時間があったのであれば、一緒に旅行したり話をしたり、他にも方法はあったかもしれないけど、そうではなかったので手紙という方法で。

──手紙には思いを凝縮させることができますよね。

卓真:そうですね。僕らにも死が訪れる。そのことを考えたら、実は映画の物語と変わらない時間を今、過ごしているわけで。いかに自分から逃げずに、どう人と接して生きていくか。そればかり毎日考えていたら、しんどくなっちゃうけど、事あるたびに、できるだけ考えて毎日を過ごしたほうが、いつ死んでも悔いのない一生になるというか、ベストを尽くせるのかなと思うんです。今回、こういう映画を観る機会や原作を読む機会があって、曲や詞作りに耽っていてハッとする気づきがあった。そういうことと向き合って、死生観や時間の使い方を考えて生きていくことも大切なんじゃないかなと、改めて思わせてくれる作品でしたね。

──「軍歌少年」と「アゲハ」を聴いたとき、ふと立ち止まって、忘れかけそうな大事な気持ちにも気づかせてくれました。

卓真:ありがとうございます。

──歌うとき、いい意味で曲や詞との格闘も多かったですか?

卓真:意外と思いのままやりましたよ。あれこれ考えず、浮かんでくることをそのまま、シンプルに。まあ、そもそもソロで音源を出したいと思ったことも特になかったんで、ヘンな力が入りすぎることもなかったです。


──どちらの曲も胸に染み入るミディアムチューンに仕上がりました。

卓真:そうですね。作曲も、最初はあまりイメージできなかったんです。でも親友に曲を頼まれたことによって、シンプルな考え方と向き合い方でスッと曲作りに取り組めたというかね。自分のために頑張るのはすごく難しいけど、誰かのために頑張るのって、意外と力が湧いてきたり、やるべきことが明確に捉えられたりすることが、多々あるんですよ。

──卓真さんはそういう男です。

卓真:いや、みんなそうやと思うんですよね。自分のために頑張るのって、とっても難しいことで。でも好きな友達とかね、家族や好きな人のために頑張るのって、向き合うことに対してすごく気持ちが強く持てるというか。

──以前、G-Freak Factoryが終わりを見据えて活動を始めたとき、卓真さんがいきなり群馬を訪れて、メンバーと熱く語り合ったことがあったと聞いています。結果、G-Freak Factoryは継続すること決意したそうですが、自分たちのためにそこまでやってくれることに、茂木(Vo)さんは「TAKUMAには叶わないですよ」と言ってましたから。

卓真:自分がされて嬉しいことは、仲間にもしたいですよね。

──「軍艦少年」と「アゲハ」を作って、親友の柳内さんもすごく喜んでいたでしょう?

卓真:はい、喜んでくれました。映画で曲が流れてきたとき、すごく嬉しかったですよ。ミュージックビデオとはまた違うんですよね。メッセージ性のあるシーンの中で音楽が使われているのを観て、本当に感動しました。

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