【ライブレポート】B'z、<LIVE FRIENDS>に20名のサポートファミリーと上質でスマートな音楽空間
ライブエンターテイメントが帰ってきた。
◆B'z 画像
2021年11月17日(水)、アーティストとオーディエンスとの心の交流と一体感、時と場所を共有した特別な空間から生まれる感動と高揚感は、観客の歓声が無くとも何ら変わらないことを、B'zは当たり前のように実証してみせた。東京ガーデンシアターで我々が体験したのは、ライブエンターテイメントが復権の狼煙を上げた感動的な瞬間でもあり、同時にソーシャルディスタンスを強要させた新型コロナウイルスも、我々から音楽を引き離すこと(ディスタンス)はできないことを高らかに伝える一夜でもあった。
11月16日〜17日に開催された<B'z presents LIVE FRIENDS>は、政府による「ワクチン・検査パッケージに関する技術実証」に選定された有観客公演として開催された。もちろんマスク着用で声出しは禁止、タオルを振り回す行為もNGという厳しい規定が当たり前のように敷かれてはいるものの、会場規定のキャパシティ100%動員が許され、全ての席が埋められた状況でライブは幕を開けた。
<B'z presents LIVE FRIENDS>は、12月8日に発売される『FRIENDS III』をリリースに先駆けてライブ初披露する場でもあり、これまで演奏されることがほぼなかった『FRIENDS』『FRIENDS II』収録の過去作も合わせて、存分に披露されるだろうと事前に伝えられていた。そもそも『FRIENDS III』というコンセプトアルバムは、コロナ禍が生み出した作品であることは否定できない。パンデミックによって強要された隔離時間が、そのまま新たな楽曲群を生み出す背景となり、結果『FRIENDS III』という特異な情趣を持った作品の誕生を誘発したからだ。
松本孝弘のプライベートな質感が多分に音となり、稲葉浩志の生活環境に根付いた価値観がそのまま歌詞となって、各楽曲が誕生したとなれば、内なる情熱をふつふつと音にすることがゴールであり、いわゆるストロングスタイルのB'zフォーマットに落とし込む必要も必然もなかったのだろう。そんな『FRIENDS III』の楽曲だからこそ、<B'z presents LIVE FRIENDS>は10人のストリングスと4人のブラス隊にドラム&パーカッション、そしてキーボードにベース、ギター、コーラスという20名に及ぶサポートファミリーを従えての、特筆すべきサウンドフォーマットが組み込まれることとなった。
そのコンセプト然り、作品が持つテイスト然り、そしてステージに立つ演者が奏でるサウンドの品格然り、そこに現れたのは、規模感こそ違えどいわば巨大なビルボードライブのような上質でスマートな音楽空間であり、紗幕越しに聴こえてきたストリングスとピアノによるインタールードからスタートする滑らかさや、スーツで身を固めるスタイリッシュさも、全ては『FRIENDS III』の持つ品性がB'zに求めたものだったようにも見えた。
観客を煽るようなスタートも切らず、稲葉浩志による焚きつけるようなMCも影を潜めたのは、時勢柄ではあるものの、もとよりこの作風が呼び起こしたものと考えたほうが合点がいく。そしてその性向に呼応するように、歓声を禁じられたオーディエンスは拍手だけで思いを表し、無言で熱い視線を送り続ける。歓声のない拍手だけで熱を帯びる会場は、凛と空気を研ぎ澄ませ、爽やかに澄みわたる音楽の貴高さを生み出すことにつながっていく。<B'z presents LIVE FRIENDS>では、ハードエッジなロックテイストを全面に押し出した、伝家の宝刀を抜いて全力でぶつかるような直球アプローチは一瞬たりとも顔を見せなかった。
オーディエンスに声を出させてはいけないという状況を見据えた時、自らの身体に染み込んだあらゆる音楽の香りを放ちさえすれば、どんな環境であれどB'zという音楽クリエイトチームがケミストリーを起こすことを、30余年のキャリアをもって確信していたことが伺える。見たことのない景色・音像…そしてアイコン的ハードサウンドが消え失せたとしても、稲葉浩志が歌い松本孝弘がギターを奏でれば、ストリングスもパーカッションも全てB'z印に生まれ変わるという、マジカルなひとときを常に堪能することができた。それはまるで砂漠の中に突如現れたオアシスのような多幸感であり、B'zの横顔に知らなかった表情を見つけたような、これまで味わったことのない高揚感でもあった。
着席が求められていたライブだったが、「アンコールだけ…ちょっと立っていいらしいんですよ」との稲葉浩志の言葉から、会場は総立ちとなり、一瞬にして一体感がさらに強固なものになっていく。アンコールの最後を飾る楽曲では、ダンサブルなビートに乗せて会場全員が腕を左右に振り、巨大なグルーブが一体化した会場を占拠した。沸き起こる大拍手には、会場を震わせるほどの大歓声にも似たエネルギーが満ち満ちていた。
深みと広がり・立体的な音楽表現…『FRIENDS III』に収録された楽曲からは、年月を重ねた男の情感を歌う新たなバラード作品も披露された。現在のB'zが歌うラブソングとして「いつかのメリークリスマス」以来の名バラードが誕生したことも、この日に発見できた嬉しいサプライズだ。
「みんなが声を発せない」…そんな状況を気遣って、松本孝弘と稲葉浩志は深々と頭を下げ大きな投げキッスで、ステージを後にした。当たり前のようにLIVE-GYMのパフォーマンスを経て、一番最後に拳を突き上げ「おつかれー」と叫べる日が来るのも、そう遠くないことを願って。まだまだB'zのチャレンジと果てしなき音楽の旅路は続くのだ。
B'zは11月16日および17日の有観客公演<B'z presents LIVE FRIENDS>で『FRIENDS III』収録曲を初披露、12月8日に同コンセプトアルバムをリリースし、12月24日(金)20:00から1月3日(月)23:59まで<B'z presents LIVE FRIENDS>配信ライブを実施する。
取材・文◎烏丸哲也 (JMN統括編集長)
■ライブ<B'z presents LIVE FRIENDS>
2021年11月16日(火) 東京ガーデンシアター
2021年11月17日(水) 東京ガーデンシアター
▼B'zサポートメンバー
小野塚晃(Key)、大賀好修(G)、Yukihide“YT”Takiyama(B)、河村“カースケ”智康(Dr) and FRIENDS Special Band
●配信ライブ●
2021年12月24日(金)20:00〜
アーカイブ配信(見逃し)期間:配信ライブ終了後〜2022年1月3日(月)23:59
▼チケット
¥4,500(税込)
※アーカイブ配信も同額
※全メディア共通
▼配信メディア
・PIA LIVE STREAM https://w.pia.jp/t/bz-livefriends-pls/
・ローチケ LIVE STREAMING https://l-tike.com/bz/
・Streaming + https://eplus.jp/bz-livefriends/
・dTV https://video.dmkt-sp.jp/ft/s0007253
・uP!!! https://up.auone.jp/articles/id/85448
・U-NEXT https://www.video.unext.jp/lp/bz_livefriends
・DMM.com https://www.dmm.com/digital/stage/-/theater/=/name=bz-livefriends/
・Rakuten TV https://live.tv.rakuten.co.jp/content/396880/
・B'z PARTY https://www.bz-party.com/
■コンセプトアルバム『FRIENDS III』
▲初回限定盤/通常盤
▲LIVE FRIENDS盤
●全国CDショップ・ECサイトでの販売●
【初回限定盤(CD+DVD)】BMCV-8061 2,750円(税込)
・DVD:「いつかのメリークリスマス 〜FRIENDS Ⅲ edit〜」MUSIC VIDEO
【通常盤(CD)】BMCV-8062 2,310円(税込)
●B'z Club-Gymのみでの受付・販売●
【LIVE FRIENDS盤(CD+LIVE FRIENDSロゴ入りロックグラス)】BMCV-8063 3,080円(税込)
※LIVE FRIENDS有観客公演チケット・配信ライブチケット購入者限定盤
▼CD収録曲
1. harunohi
2. シーズンエンド
3. ミダレチル
4. Friends III
5. Butterfly
6. こんな時だけあなたが恋しい
7. GROW&GLOW
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