【インタビュー】“Elle Teresa”というジャンル、カルチャーを作る
■アイコンになりたい
──エルというジャンル、カルチャーを作りたいって先ほどおっしゃっていましたが、音楽はそういうことをするための突破口みたいな感覚?
Elle Teresa:うん。そう。
──メジャーデビューしたっていうのは、そのための一歩というか。
Elle Teresa:そうかもしれない。届く人の幅がめっちゃ広まってると思う。もともと大人の男の人もライブを観に来てくれたりしたし、若い子もいたんだけど、女の子がさらに多くなったかもしれないです。
──子どもはクラブに行けないけど、そういうファン層にも広がっていきそうな気がします。「このお姉ちゃん、かっこいい」みたい感じで。
Elle Teresa:そういう子たちにも聴いて欲しい! でも、既に11歳のファンの子がいるんですよ。小4か小5なのかな? その子、めっちゃエルの見た目に似てんの。その子、ほんとやばい。私の曲はわかりやすくて難しくないから、いろんな人に理解しやすいと思う。歌いやすいし。それがつまんないって言う人もいるけど、こういうのがストレートにできる人ってあんまいないんですよ。ストレートって実は難しいから。年齢を重ねてく中でそうじゃなくなってく部分もあるじゃないですか? 使える言葉も当たり前に増えてくし、ストレートなことが恥ずかしくもなってくし。でも、エルはそういうことができるから、やっちゃおうって感じ。そういう心を忘れずにやっていきたい。これからそういう子たちがどんどん出てくるようになると思います。そうなったらその子たちと帝国を築こうかな(笑)。
──エル帝国? 楽しそうだから時々入国させてください。
Elle Teresa:どうぞ(笑)。男性も入国OKです。
──ストレートという点だと「baD bitch」は、まさにそうですね。
Elle Teresa:はい。めっちゃわかりやすい。これ、2年前くらいに作った曲です。作った曲の中で何をリリースするのかはスタッフさんにお任せしてるんですよ。エルは全部気にってるんで、昔の曲でも「その時、そうだったんだな」って感じ。
──この曲もそうですけど、ブランドの固有名詞を散りばめるのがエルさんっぽさになっていますよね?
Elle Teresa:たしかに! めっちゃ入ってるかも。ブランドが好きなんで。まじでブランドのモデルやりたい! キャンペーンとかやりたい。BAPEは昔から着てるんですけど、最近モデルをやらせてもらってめっちゃ嬉しかった。
──こういう固有名詞がリリックの中にあると、印象に残りますよね。
Elle Teresa:ラップを始めてすぐの頃の曲を聴いても、こういうこと言いまくってます。内容があんま変わってない。だからこういうのがずっと好きなんでしょうね。
──好きなブランドは?
Elle Teresa:シャネル!
──ハイブランドのものを身に着けるとテンションが上がって自信も出るあの感じって、女性だけじゃないはず。僕も「この感じわかる!」っていうのがあります。
Elle Teresa:メジャーで出した3曲は結構女の子に寄せたテイストの曲なんですけど、この先、違うテイストの曲も出てくると思うから。私、ポップな音楽も好きだし、トラップミュージックも好きだから、そういう部分で聴いてくれる男の人も多いです。最近出した「Fuji」って曲とか、「Dirty」って曲があるんですけど、そういうのとか「聴いてます」って男の子が言ってくれるから。バランス良いなあって自分で思う。
──メジャーで出した3曲は、「Bby girlll」「on my Side」「baD bitch」ですね。
Elle Teresa:この3曲のパック、超いい感じじゃないですか? 「キラキラ!」って感じで、めっちゃ気に入ってます。
──「Bby girlll」は、ちょっと背伸びしたい女の子の姿を描いた曲ですね。
Elle Teresa:はい。これも2年前くらいに作った曲です。
──“私は本物のbad bitch”って歌っていますが、「bad bitch」という言葉が好きですよね?
Elle Teresa:息をするかのように言ってる(笑)。「響きが好きだから、とりあえず言う」みたいな。エルの感覚的には大きな意味はない感じかな。一昔前は「bitch」って嫌な感じの意味だったけど、今はそういうのはないから。「bitch」って今までの曲で何回言ったかわかんない。今度数えてみようかな? 「bitch」以外にも、エルしか使わない他の言葉が作れたらいいですね。
──「bad bitch」は、「on my Side」にも出てきますね。“ゴミ箱にいれちゃえ bad bich”って歌っていますから。
Elle Teresa:言ってますねえ。この曲のビデオ、自分で編集したんですよ。あれも気に入ってます。
──映像作品を作るのも好きなんですか?
Elle Teresa:好きっていうか、自分でやった方が自分が好きなようになるから。自分がやれるところはやりたい。
──活動の幅がどんどん広がってきていますね。海外からのオファーもあるみたいですし。Skrillexからコラボの依頼があったって聞いて驚いているんですけど。
Elle Teresa:前にロスに行った時にセッションしたスタジオの人がエルの話をSkrillexにしたらしくて、「今度コラボしましょう」ってなったみたいで。結局してないんですけど、いつかやりたい。でも、コラボする時にエルはもっと有名になってるかもしれないからなあ(笑)。
──Skrillexより有名になるくらいの気持ちでいたい?
Elle Teresa:うん。そうじゃないと誰とも基本的にコラボしたくない。
──最近はアジア圏のアーティストも欧米とかに進出していますが、そういう活動もしていきたいですか?
Elle Teresa:でも、アジアから海外で勝負できてるのはアイドルだけで、<ローリングラウド>とかに普通に呼ばれてるアジア人はいないんですよ。エルしか行けないと思う、多分。
──海外でも普通に活動できるようになりたい?
Elle Teresa:はい。ずっとそれは思ってます。でも、もっと狙いを定めていかないと無理なんですよ。「海外で売れたい」ってだけだと漠然とし過ぎてるから、「どこの人がエルの音楽を聴くんだろう?」とか考えてます。そこまで考えないと無理。向こうには同じレベルの人なんてたくさんいるから。「そこで目立つにはどうしたらいいんだろう?」っていつも考えてます。
──Spotifyがヒップホップカルチャーを発信するプレイリストの『+81 Connect』のアンバサダーアーティストになりましたけど、そういうのも何かのきっかけに繋がったらいいですね。
Elle Teresa:そうですね。何かに繋がって欲しい。あと思うのは、「アイコンになりたい」ってことですね。カルチャーもそうだし、アイコン。例えば日本だときゃりーぱみゅぱみゅとかアイコンじゃないですか? そういう感じになりたいです。
──「この人の活動は音楽だけじゃなくて、いろんな点で面白いぞ」っていう存在ですね。
Elle Teresa:そうそう! だから、やらなきゃいけないことがいっぱいある。曲もいっぱいできてます。でも、今は自分の中で見極める時期だと思ってます。「今後どんな感じで観られていくのか?」っていうのを。いろいろ悩める時期というか、いろいろチャレンジしたい。どれが一番自分に合ってるか試してる時期だから楽しいです。「Elle Teresa」というアーティストをプロデュースするのを楽しんでいるのかも。これからもずっと追っていて欲しいです。
取材・文◎田中大
写真◎いわなびとん
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