【ライブレポート】Original Love、竹内アンナが“おとなの音楽フェス”に登場
Original Loveと竹内アンナが8月14日、<TMC week 2021 ~TOKYO MUSIC CRUISE Spin-Off~>に出演した。
◆ライブ写真
<TMC week 2021 ~TOKYO MUSIC CRUISE Spin-Off~>はザ・プリンス パークタワー東京で開催された“おとなの音楽フェス”。当日のライブレポートをお届けする。
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8月8日に、デビュー3周年を迎えた、竹内アンナが8月14日、<TMC week 2021 ~TOKYO MUSIC CRUISE Spin-Off~>(ザ・プリンス パークタワー東京で開催中の“おとなの音楽フェス”)に出演した。“対バン”の相手は、デビュー30周年を迎えたOriginal Love。ソウル、ファンク、ジャズなどのルーツ音楽を現代的なポップミュージックに昇華する両者が同じステージに立つ、貴重なイベントとなった。
先に登場したのは、竹内アンナ。バンドメンバーの軽快なサウンドとともに放たれたオープニングナンバーは、爽快なポップチューン「RIDE ON WEEKEND」。さらに“「アイデンティティ 持ってんじゃん」気づいて 信じて”というラインが印象的なサマーポップ「SUNKISSed GIRL」を披露し、心地よいムードを生み出していく。竹内アンナのアコギ、谷川正憲(G&Cho/UNCHAIN)、名村武(B)、岡本啓佑(Dr/黒猫チェルシー)、別所和洋(Key/Gentle Forest Jazz Band)によるアンサンブルも絶品だ。
「TOKYO MUSIC CRUISEにお越しのみなさん、竹内アンナです!」「みなさんの前で歌えることがホンマにうれしくて。今日はぜひ、最後まで音楽を味わっていってください!」という挨拶を挟み、TLCの名曲「No Scrubs」をカバー。アコギを演奏しながら本格的なラップを響かせるパフォーマンスは、この日の最初のハイライトだった。
パーカッシブなギターのリフを軸にしたバンドグルーヴ、揺れる恋愛感情を描いた歌詞が一つになった「20-TWENTY-」の後は、竹内アンナの奥深いボーカルを堪能できるシーンが続いた。アコギの弾き語りから始まり、ジャズやブルースのテイストともに“東京の夜”をモチーフにした歌を描き出した「TOKYO NITE」。そして(ギターを弾かず)ボーカルに専念し、“ねぇ曖昧なままだけなんて嫌なんだよ”と切ない恋心を映し出した「If you and I were,」。アコースティックな手触りのサウンド、豊かな表現力をたたえた歌からは、彼女の音楽的な成長がはっきりと伝わってきた。
ライブの後半は、8月8日にリリースされた新曲「ICE CREAM.」から。「今までの夏も、これから作っていく夏も彩っていけますようにという思いを込めた曲です」というこの曲は、ネオソウルの潮流をJ-POPに結びつけた音像、そして、“魔法の夜にとけだして 連れて行って”という歌詞が溶け合うナンバー。キュートな歌声がゆったりと響き、観客も楽しそうに身体を揺らしていた。
ナチュラルな高揚感と“どんな私も私なの”というポジティブな思いが共鳴する「I My Me Myself」、そして、「心のなかで、自由に、あなたらしく踊ってください!」という言葉に導かれたアッパーチューン「Free! Free! Free!」を放ち、ライブはクライマックスへ。ラストは「ALRIGHT」。“あなたはあなたらしく、未来に進んで!”というメッセージは、すべてのオーディエンスの心にしっかりと届いたはずだ。
6月から7月にかけてアコースティックをテーマにしたセルフカバー3作を発表。さらに新曲「ICE CREAM.」をリリースするなど、精力的な活動を続けている竹内アンナ。3月に大学を卒業し、音楽と向き合う時間がさらに増えたことで彼女は、アーティストとして大きく飛躍しようとしている。そのことがまっすぐに感じられた最高のパフォーマンスだった。10月に行われる弾き語りツアー<弾き語り TOUR 2021 atELIER -アトリエ->も楽しみだ。
続いては、Original Love。30周年を迎え、ニューシングル「Dreams」のリリース、全国ツアー<Don't Forget Your Soul Power>の開催など、アニバーサリーイヤーに伴う活動を続けているOriginal Loveは、濃密なソウルと豊潤の音楽性が響き合う圧巻のステージを繰り広げた。
バンドメンバーとともに登場した田島貴男は、満面の笑みで観客に挨拶し、会場のテンションを一気に上げていく。最初の楽曲は、1991年の1stシングル「DEEP FRENCH KISS」。ソウルミュージックの本質を感じさせるグルーヴ、生々しいメロディが共存するこの曲はOriginal Loveの原点であり、30年経った現在でもまったく色褪せていない。
さらに最新アルバム『bless You!』(2019年)から「ゼロセット」を披露し、キレのいいギターカッティングとタイトなバンドサウンドを響かせる。バンドメンバーは、佐野康夫(Dr)、小松秀行(B)、河合代介(Organ)に木暮晋也(G)、真城めぐみ(Cho)を加えたラインナップ。凄腕のミュージシャンたちのよる演奏は、日本最高峰と言っても過言ではないだろう。
「こんな大変な状況を潜り抜け、来てくださってありがとうございます。せめて音楽を楽しんで、心をグチャグチャにしていただけたらと思います」というMCの後は、キャリアを象徴する楽曲が演奏された。まずは1993年にリリースされた「接吻」。ハイハットとオルガン、“長く甘い口づけを交わす”というフレーズが聴こえてきた瞬間、心が震えるような感動が広がる。数多くのアーティストにカバーされた名曲だが、本家本元の「接吻」は、やはり格別。エンディングにおけるソウルフルなシャウト、「声が出せないときは、手がある!」とハンドクラップを要求するパフォーマンスも最高だ。
続いては、名盤『風の歌を聴け』(1994年)に収録された「朝日のあたる道」。切なさと叙情性に溢れたメロディは、まさにエバーグリーンだ。
かけがえのない“今日”への思いを高らかに歌い上げた「The Best Day Of My Life」、“どんな毎日でも、人生でも祝福”というメッセージをたたえた「bless You!」も強く心に残った。先が見えない状況を生きる我々にとって、音楽がもたらす力はとてつもなく大きい──そのことを再認識できる名演だったと思う。
解放感と力強さを併せ持ったヴァイブスが観客の感情を解き放った「The Rover」によってライブは終了。現在のOriginal Loveの充実ぶりを体感できる強烈なステージだった。
9月29日にオフィシャルカバーアルバム『What a Wonderful World with Original Love?』をリリース、田島貴男ソロによる<ひとりソウルツアー2021>が9月から、10月9日には東京・日比谷野外大音楽堂でのスペシャルライブ<A Change Is Gonna Come ~ Original Love Live At 日比谷野音ライブ>も開催される。30周年を契機にしてOriginal Loveは、さらなる充実の時期に突入しつつあるようだ。
Text by 森朋之
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