【鼎談】DAISHI [Psycho le Cému] × michi.[ALICE IN MENSWEAR] × TAKA [defspiral] 、地元姫路を語る「世界遺産の地から開拓の20年」

ポスト

■打ち込みをいち早く採り入れたのは
■姫路バンドならではだったのかも

──今までお聞きしたヒストリーが、今年、seekさんの呼びかけで実現した姫路Beta支援のチャリティコンピレーションアルバム『VERSUS FATE』(1990年代の姫路のヴィジュアルシーンを作ったMASCHERA、ILLUMINA、TRANSTIC NERVE、DEVELOP FRAME、Psycho le Cémuといった5バンドの音源を収録)に繋がっていくわけですね。

DAISHI:そうですね。俺は、「出したいし、やりたいけど、ムリやと思うよ」って言ったんですよ。「そのメンツを揃えるのは難しい」って。

michi.:アイツの行動力、本当にすごいな。

DAISHI:seekはもともとBeta Musicのスタッフなので、僕らバンドマンより、さらに強い気持ちを持っているんですよね。

michi.:確かに思い入れひとしおだったね。

DAISHI:ちなみにseekもMASCHERAさんの大ファンなんですよ。どれぐらいファンかというと、ライヴの最中に、よくお客さんをステージに上げることがあるじゃないですか。seekはmichi.さんに引き上げられてますからね。

michi.:さっき話に出たホールライヴの時だよね。前列で観てくれる男のコのファンって、こっちからすると嬉しいんですよ。すごく背の高い男子がノッてくれていたので、ステージに引っ張り上げたんです。ただ、“あの時、一緒に歌ったのはseekだったんだ!?”って、後から知ったんですよね(笑)。Psycho le Cémuを始める前の普通の男のコでしたから。Psycho le Cémuがデビューした後、飲み屋で「キミがあの時の!?」って話になったという。

DAISHI:そこからさらに何十年も経って、オムニバスアルバムの旗振り役をすることになるとはね(笑)。


▲TAKA [Vo / defspiral]

──『VERSUS FATE』というタイトルを付けられたのはmichi.さんということですが?

michi.:はい。seekから話をいただいて「もちろん参加させてもらうよ」って答えたんですが、タイトルについては「悩んでいるのでアイディアがあったらお願いします」と言われていて。というのも姫路Betaでは“VERSUS”というタイトルで対バンを開催していて、同じタイトルのコンピレーションアルバムも定期的に発売していたんです。MASCHERAがその当時の対バンに参加してないことや、コロナ禍ということもあり、“VERSUS”という言葉を使うのは意味合いが違うんじゃないか?とseekは悩んでいたんですよ。とはいえ、参加バンドにとって思い入れのあるワードだから絶対に使いたいと思って、今のご時世も鑑みつつ、“運命に抗ってでも”という意味合いを込めて、『VERSUS FATE』というタイトルを提案したんです。

──アートディレクションをMASATO (defspiral)さんが手掛けたり、マスタリングエンジニアを鳴瀬シュウヘイ(DEVELOP FRAME)さんとRYO (defspiral)さんが担当したり、参加メンバーみんなで協力し合って出来た作品なんですよね。当時の思い出を振り返るような機会でもあったと思うのですが?

DAISHI:全てに対して思い出がありますね。DEVELOP FRAMEの純平くんは僕とけっこう性格が似ていて、よく喋ってましたね。木村拓哉さんじゃないか?ってぐらい色気があって。

michi.:カッコよかったね。俺たちMASCHERAはDEVELOP FRAMEから打ち込みの影響を受けたんだけど、TRANSTIC NERVEがMASCHERAから打ち込みの影響を受けるみたいな系譜もできた。今のdefspiralの音楽性もDEVELOP FRAMEとの出会いがなければ開花するのがもう少し遅かったかもしれないですね。

TAKA:たしかに、打ち込みをいち早く採り入れていたのは、姫路ならではのものだったのかもしれないですね。

DAISHI:seekは未だにILLUMINAさんやMASCHERAさんっぽい曲を作ってくるし、AYAくんも「それ、TRANSTIC NERVEの曲、パクったやろ?」みたいな曲を作ってくるんですよ(笑)。最初はコピーから始まるから、コード進行とかもう根底に染みついてるんです。TAKAくんもそういうのあるでしょ?

TAKA:ありますね。RYOのベースフレーズだったりは、やっぱりMASCHERAさんが師匠なので。僕自身、ボーカリストとしてmichi.さんのスタイルにめちゃくちゃ影響受けたし、憧れですから。

DAISHI:seekとか、今もライヴ本番前のリハでMASCHERAさんの「LA MASCHERA」とか「DEN-NO」弾いてたりしますよ。

michi.:ははははは! マジか(笑)!?


▲defspiral

──3人のボーカリストに揃っていただいたので、パートに特化したお話も聞きたいんですが。先ほどからそういう話は出ていますけど、自分にない個性だったり、歌、パフォーマンスも含めて認め合っているところもありますよね?

michi.:TAKAに関しては“ザ・ロック・ボーカリスト”のカッコよさですよね。喉が強いし、圧がロックというか。尖ってるところがいいですね。DAISHIはエンターティナーなので、刺激されますね。トータル的な見せ方だったり、ストーリー作りだったり、勉強させてもらってます。

DAISHI:いやいや。michi.さんは絶対的な歌唱力と声の色気、甘いトーンだったり。似てないって言われますけど、僕、めちゃめちゃマネして歌っている時があるんですよ。声質が違うから同じにはならないけど、僕の中では盗ませてもらってます。TAKAくんの歌で羨ましいのはローの部分ですね。

michi.:そうだね!

DAISHI:僕はミッドハイ寄りの声質なので、ローが出ているボーカリストが好きなんですよ。それとステージに立っている時のドシッと感ね。

michi.:ふわふわしてない。

DAISHI:そうです。アコースティックライヴとか一緒にやらせていただいたことがあるんですけど、歌がドシッとしているんです。そういうふうに歌うのってすごく難しいんですよ。バンドやり始めたばかりのボーカリストってソワソワしてて、めちゃくちゃ動きまわって煽ったりしますからね。これは、先日のRYUICHI(LUNA SEA)さんとの対談のときにも話したんですが、センターでドンと構えて歌うのは難しいんです。それができるのは羨ましいなって。

michi.:TAKAはウルトラナチュラルにそれができてるんだと思う。カッコつけてるんじゃなくてカッコいい。

TAKA:いやいや、心の中ではジタバタしてます(笑)。

DAISHI:変な柄のパンツとか、ホンマに履いててほしいぐらい(一同笑)。

TAKA:michi.さんは昔から世界観を持たれているボーカリストなので、形容するのもおこがましいんですが。詞の世界観も大好きですし、歌い手としての技術も尊敬しています。この数年、ALICE IN MENSWEARさんと対バンさせていただいて、defspiralの曲を一緒に歌っていただいたこともあるんですが、完璧に仕上げてきてビシッと歌われるんです。音楽やステージに対する敬意を感じますよね。DAISHIはmichi.さんもおっしゃっていましたが、“ザ・エンターティナー”。エゴというか、個の表現ではなく、バンド全体を作品としてプロデュースしてきたんだろうなって思っています。俯瞰で見て成し遂げていくパワーには頭が下がりますね。

──素朴な疑問ですが、3人とも1990年代から変わらない若さをキープされてますよね。ボーカリストって体型も含めて年取らないイメージがありますが、秘訣があるんでしょうか?

michi.:DAISHIに関しては筋トレでしょ(笑)。トレーニングジムを経営しているくらいだから。

DAISHI:michi.さんは肌がツヤツヤですよね。

michi.:僕の場合、家系がそうなんです。なのでお父さんとお母さんに感謝ですね。年を取りにくい遺伝子があるのかもしれない。ただ、アンチエイジングは30代後半ぐらいから意識するようにはなったけどね。

DAISHI:食事も気にしてますよね。michi.さんは僕が筋トレにハマる前からトレーニングしてましたから。肩のラインが出るタイプで。

michi.:そう。今でこそスラッとした肩になりましたけど、学生時代に運動して鍛えていたので、筋肉を落とすのが大変でした。絶食もしましたもん。でも、本当に筋トレっていいみたいですよ。成長ホルモンが出て若返る。

DAISHI:確かにYOSHIKIさん、RYUICHIさん、西川貴教さん、GACKTさんとか、筋トレしてる人は若く見えますね。

michi.:有酸素運動と無酸素運動、どっちもやるのがいちばんなんだけど、筋トレは見た目的にも生命エネルギー的にも若々しさを保ちやすいって聞きますね。僕は細マッチョが好きなので、ムキムキにならないように気をつけながら毎日やってます。

DAISHI:TAKAくんは体型が全然変わらないな。

TAKA:いや、去年はコロナ禍でちょっと太ってしまったので、今年になって絞りましたね。食事に気をつけたり、自転車に乗ったり、筋トレしたり、4ヵ月ぐらいやってて。

DAISHI:最近、ウチのYURAサマは20キロとか走り出したんですけど、その理由がダサくて。「42歳で42,195キロ走んねん!」って言ってました(笑)。ちなみにYURAサマはmichi.さんと同じ高校の後輩なんですよ。けっこう偏差値の高い高校なんですけど、髪型がゆるくて、michi.さんもYURAサマも高校生の頃からロン毛でしたよね。

michi.:その自由な校則で選んだ高校ですね。風紀がゆるいわりにヤンキーが少ないっていう。「3年に一回、生徒に変人が現れる」と言われている高校で、僕の6学年下がYURAサマなんですよ。YURAサマは先生に「オマエ、michi.の弟か?」って本気で聞かれたみたい(笑)。

DAISHI:っていうか、YURAサマが高校の後輩でTAKAくんが中学の後輩なんですよね。

michi.:そう考えたらめちゃめちゃ密やな(笑)。

◆鼎談【4】へ
◆鼎談【2】へ戻る
この記事をポスト

この記事の関連情報