【ライヴレポート】michi.、ソロ初ツアー<Road to the Kingdom>ファイナルが告げた50周年の幕開け「もっともっと高く高く」
michi.ソロ初の東名阪ワンマンツアー<Road to the Kingdom>のファイナル公演が8月17日(土)、東京・赤羽ReNY alphaにて開催された。
◆michi. 画像
前日は大型台風接近で各地の交通機関に影響が出るほど大荒れの天候だったが、当日の東京は台風一過の快晴で35度超えの猛暑。michi.もMCで触れていたが、前日の新幹線などの運休によってやむなく参戦を断念し、配信で観た人も少なくなかったのではないだろうか。そんなファンの想いも引き受けるようにmichi.はドラマティックかつエネルギッシュなライヴでソロ初のツアーを締め括った。
開演時刻の17時、michi.コールとハンドクラップが湧き、菅大助(G)、古谷圭介(B)、竹村忠臣(Dr)とおなじみの3人が定位置に。michi.は漆黒の羽根をあしらった夏仕様の衣装で登場した。オープニングは憂いとエッジが同居したMASCHERAのナンバー「Faithless face」だ。いつもながらパフォーマンスを含め、歌の世界に空間ごといざなっていく吸引力に驚かされる。場面を切り替えるように照明も華やかになった疾走感たっぷりの「恋がメルヘン」(S.Q.F)ではフロアから無数の手が挙がり、“僕らなら乗り越えられるから さあ 手を繋ごう”と歌うmichi.へ手を伸ばす。
そして1年前の2023年8月5日、ソロ初のバンド形式ライヴでも披露された「TRANSITION」(ALICE IN MENSWEAR)では低域から高域まで自由に操るヴォーカリゼーションと力強さでフロアを牽引していくなど、michi.の頼もしい姿が印象的なシーンとなった。続いてヘヴィなサウンドの中、ヘドバンで熱を上げていく「鴉」(S.Q.F)を投下してMCへ。
「michi.ソロ初の東名阪ワンマンツアー<Road to the Kingdom>、ファイナル赤羽Reny alphaにようこそ! 積年の夢が叶いました。台風という災害に見舞われて大変な中、集まってくれた君たち、本当にどうもありがとう。そして悔し涙をのんでたどり着けなかった子たちもいると思います。いつも生命を賭けて歌ってますが、君たちにも届くように、今日も自分をガソリンにして燃やしながら、赤羽だけじゃなく日本中、いや、世界中に届けたいので、素敵な夏の思い出を俺たちと一緒に作りましょう! いいですか?」──michi.
毎回恒例のコール&レスポンスで親しみやすい側面も覗かせるものの、MCは少なく、楽曲を生で届け、共有することに特化しているのがmichi.ソロのライヴだ。
MASCHERAの「八月の憂鬱」はエキゾティックでプログレッシヴなサウンドが奏でられ、夏の陽炎のようにゆらめく世界観。スチームパンクをコンセプトのひとつに掲げていたALICE IN MENSWEARの「オートマタ-鋼鉄少女A- 」ではサイバーな質感の同期と生のバンドサウンドがクロス。ポエトリーリーディングから徐々に迫力を増していくmichi.のボーカル、赤く発光する球体を操って歌うパフォーマンスから目が離せない。
幻想的なSEを挟み、中盤はじっくり聴かせるセクションだ。天井のミラーボールが浮かび上がり、澄んだボーカルが胸を打つバラード「女神」(ALICE IN MENSWEAR)が届けられた。続いて“夏の終わり告げる花火”という歌詞と和のテイストを取り入れたメロディに加え、コード感がノスタルジックな気持ちにさせられる「ラストサマー・キス」(S.Q.F)を披露し、michi.が舞うように動き、踊ったMASCHERAの「マドンナ」に移行。
ソロ名義で活動を始めてからのmichi.は、MASCHERA、S.Q.F、ALICE IN MENSWEARなど自らのバンドのセルフカバーをセットリストに据えているが、2024年4月に同会場で開催されたライヴとかぶっている曲は数曲しかない。michi.ソロとしての新曲が世に出る日もそう遠くないことは予想できるが、歩んできた軌跡を丁寧に再確認し、アップデートさせていく活動が、きっと未来へと繋がっていくのだろう。
そして鮮やかなLEDの光により一転、michi.が「踊るぜ!」とイントロで煽った「D.D.HEAVEN 」(S.Q.F)ではフロアに色とりどりの扇子が舞い、michi.も上手下手へと動いてジャンプしてコール&レスポンス。一気に灼熱と化した。そして、温度急上昇のため、会場の水分補給タイムを設けるべくMCへ。
「michi.生誕50周年を迎えます(翌8月18日が誕生日)。ソロ初のワンマンツアーですけど、今回のツアーも大成功の絵が見えてきました! ただ、欲張りなのでもうちょっとおまえたちの熱くなるところを見たいんだが、準備はいいかい? 配信で見てるみんなも、今日は台風も熱帯夜も吹き飛ばす最高の喘ぎ声を俺たちに聞かせてくれ」──michi.
michi.の“アンアンアアアッアーン”というセクシーな煽りで始まるコール&レスポンスでは、最初は恥ずかしそうにしていたファンも徐々に開放モードに。今回はメンバー紹介もドラムの竹村忠臣を“タ、タ、タタ、タケちゃん”という具合で掛け合いをしたのだが、ベーシストの古谷圭介は下の名前で呼んだことがないらしく、“ケ、ケ、ケケ、ケイスケ”にトライしてみたもの今度はmichi.自身が照れ臭くなり、“フ、フ、フフ、フルヤ”にシフトチェンジする場面が微笑ましい。自己紹介では、“ミッチー”と呼ばれることに抵抗があるものの、このツアー中にファンからリクエストが来たため「許す」と笑い、場内に“ミ、ミ、ミミ、ミッチー”コールが響きわたった。
「おまえたち、最高!」と叫び、その流れのままピンクの照明がステージを染めるグラマラスなロックナンバー「GRAPPLER」(ALICE IN MENSWEAR)に突入、開放感が心の扉も解き放つ。そのモードをさらに弾けさせたのは、ライヴのキラーチューン「ROUND & ROUND」 (S.Q.F)だ。振りを客席に伝えながら自ら激しくダンスするmichi.は清々しい笑顔。
サイリウムが揺れる中、後半戦では4曲を連発し、ラストは「俺たちの夏はまだ終わったわけじゃないぜ!」と叫んだリズミカルな夏ソング「My Precious Summer」(S.Q.F)。タオルを回す光景が目の前に広がり、気がつくとバックスクリーンには夏空が映し出されていた。
michi.コールに溢れたアンコールでは「NO RETURN 」(MASCHERA)で別れの切なさを吹っ切るような歌が突き抜け、イントロで右の拳を宙に向かって高く突き上げた「speed shower」 (MASCHERA)でさらにアクセルを踏み込む。間髪入れずフロアもヘドバンの限界突破チューン「スピードスター」(S.Q.F)でアンコールとは思えぬほどのエナジー全開。バンドのメンバーとの一体感も含め、ツアーを廻ってきたからこその手応えが感じられるアクトだった。
「久しぶりに東名阪ツアーをさせていただくことができて、懐かしくもあり、そして“やっぱりロックバンドってこうあるべきもんやな”と再確認しました。記念すべき50周年に素敵な経験と気づきをみんなに与えてもらいました。本当にどうもありがとう。明日50歳を迎えます。ここから俺のアニバーサリーは丸っと1年続くので、みんな覚悟しておいてください。災害やら台風やらいろいろありますが、みんなの健康がいちばん。俺はみんなの前で輝き続けて、歌い続けて、元気な姿を届けることが使命だと思ってます。俺たちも仲間たちもみんなも、もっともっと高く高く飛べるように。そして俺たちがみんなをもっと高いところまで連れて行けるように。もっと高く飛べるかい?」──michi.
最後に届けられたのは“楽園に咲く花を 見に行こう この翼が折れてしまうまで”と歌う「to fly high 」(MASCHERA)。明るくなった場内にファンの歌う声が鳴り響いた。
メンバーたちが舞台を降り、ひとりステージに残ったmichi.は感謝の言葉を伝えて、集まったファンに今後の予定を報告した。誕生日前日のライヴというとバースデーケーキが出てきそうなものだが、それもないのが照れ屋のmichi.らしい。既にオフィシャルサイトで発表されている凱旋2daysライヴ<仮面舞踏会 ~RETURN OF THE CHARISMA~>を10月12日および13日に兵庫・姫路Betaで開催することや、12月に東京・赤羽ReNY alphaで年内最後のワンマンライヴを行うこと。加えて、早くも2025年の予定も告知された。
「FCではお知らせしていますが、来年の予定も今、ここで告知したいと思っております。2025年3月29日、8月16日、そして12月は今の時点で2つ候補があります。会場は全て東京・赤羽ReNY alphaです。またSNSなどで報告させていただきますので、みなさん、しっかりお仕事、休みとるようにね(笑)。来年もまだまだ楽しいこと盛り沢山です。もっと増えていく可能性もありますので、逐一、チェックしてください」──michi.
感謝を再度伝え、「みんな大好きだよ」と挨拶して去っていったmichi.。ツアーを経て刻んだ新たな志と高く飛ぶための空路を胸に、michi.はアニバーサリーイヤーを駆け抜けていく。
取材・文◎山本弘子
撮影◎河井彩美
■東名阪ワンマンツアー<Road to the Kingdom>2024年8月17日(土)@東京・赤羽ReNY alpha セットリスト
01. Faithless face (MASCHERA)
02. 恋がメルヘン (S.Q.F)
03. TRANSITION (ALICE IN MENSWEAR)
04. 鴉 (S.Q.F)
-MC-
05. 八月の憂鬱 (MASCHERA)
06. oblivion (S.Q.F)
07. オートマタ-鋼鉄少女A- (ALICE IN MENSWEAR)
-SE-
08. 女神 (ALICE IN MENSWEAR)
09. ラストサマー・キス (S.Q.F)
10. マドンナ (MASCHERA)
11. D.D.HEAVEN (S.Q.F)
-Call & Response-
12. GRAPPLER (ALICE IN MENSWEAR)
13. ROUND & ROUND (S.Q.F)
14. Reality for Realism (MASCHERA)
15. My Precious Summer (S.Q.F)
encore
16. NO RETURN (MASCHERA)
17. speed shower (MASCHERA)
18. スピードスター (S.Q.F)
-MC-
19. to fly high (MASCHERA)
■姫路凱旋<仮面舞踏会 ~RETURN OF THE CHARISMA->
2024年10月13日(日) 兵庫・姫路Beta
open16:30 /start17:00
▼チケット
¥7,000 (税込 / D代別)
※両日共通)
一般発売:2024/9/7(土)10:00〜
イープラス https://eplus.jp/michi./
【2ショットチェキ販売】
両日ともに終演後、michi.との2ショットチェキ撮影会を行います。ご希望者様は、
①当日姫路Beta様の物販ブース(外廊下)にて16:00~16:25に整理券(¥2,000-税込)をお買い上げいただきます。
②終演後、整理番号順のご案内にて物販ブースでの撮影会を行います。
※当日の状況次第ではおひとり様あたりの枚数制限を設けさせていただく可能性もございます
※通常グッズの販売はございませんのであらかじめご了承ください
(問)https://michi-solo.com/contact
▲撮影◎小池和正
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