【インタビュー】けいちゃん&ござ&さなゑちゃん&ハラミちゃん&よみぃが語る、ストリートピアノ
5月8日(土)、9日(日)に河口湖ステラシアターにて開催される、国内最大級のストリートピアノイベント<PIANIC -STREET PIANO Festival->。本イベントにはYouTubeなどで活躍する人気のピアニストたちが集結、それぞれの個性溢れるパフォーマンスはもちろん、普段見ることのできないコラボレーションを披露する。
◆撮り下ろし画像
今回BARKSは、4月某日のリハーサル後に行われた合同取材に参加。出演者のよみぃ、けいちゃん、ござ、さなゑちゃん、ハラミちゃんに、イベントの見どころや意気込み、ストリートピアノの魅力などについて話を聞いた。
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■ストリートピアノらしい表現が垣間見えるシーンがこのイベントの目的
──リハーサルをやってみた手応えはどうですか?
ござ:僕は、けいちゃん以外とは一度会ったことがあるくらいなんです。今日は2回目のリハで、どうなるかな?と思ってたんですけど、ちゃんと形になりました。曲をみんなで作るっていう1つの目標があると、一致団結できるのがピアニストなんだな、音楽家なんだなと思って感動しました。
けいちゃん: 5台のピアノで連弾や合奏をするんですけど、合わせてみたら割と自然に1回で揃うんです。知らない誰かとその場で合わせるスキルって、普通のピアノレッスンよりも、ストリートピアノで身についていくところがあるのかなって思いました。
さなゑちゃん:確かにストリートピアノって、弾いていると誰かが乱入してくるイメージ(笑)。私はその場でイチから曲を作るんですけど、誰も知らない曲なのに乱入してきた人は合わせてくれるんですよね。ストリートピアノって、そういう風に合わせるのが得意な人が集まってるんじゃないかなって思います。
▲よみぃ
──それぞれのステージはどんなものになりそうですか? また今回のフェスを通して伝えたいことは?
よみぃ:普通の演奏に加えて、とあるパフォーマンスをやろうと思ってるんです。ヤマハさんの最先端の技術で AI 合奏システムっていうのがあって。4年前くらいから研究されているシステムなんですけど、僕はアドバイザーをやらせていただいてるんです。以前、そのシステムと一緒に合奏する機会があったんですが、すごく面白かったんですね。それを再現するような音源を作って流しつつ、生演奏と合奏するとか、そういった要素を取り入れたいなと。どういう形にするかは、直前までいろいろ試行錯誤してみようと思ってます。
けいちゃん:今、ピアノは日本の歴史上で一番盛り上がっていると思うんですよ。なので、フェスを通して、ピアノの表現の幅の広さとセッションの楽しさを伝えられたらと思っています。僕も、ただピアノを弾くだけじゃないパフォーマンスもしたいと考えてるんですけど、そういう秘めた可能性というか、ピアノの多様性というか、そういうものを表現できたらいいなと思っております。
ござ:<PIANIC>の5日前に僕のソロライブがあるんです。僕が専業のピアニストなって早1年経ちますけれども、人生2回目のソロライブが開催されてからの<PIANIC>ということで、これまでの成長の過程を見せたいですし、本番は皆さんにしっかりしたものをお届けできるかなという自信を持っております。
さなゑちゃん:自分のステージでは、今回のラインナップに入っていないストリートピアニスト4人をゲストとして呼んでみました。ストリートピアノは、“そこ”がステージじゃないですか。だから、動画を上げてるような人だけじゃなくて、素晴らしい技術を持った人がわんさか来るんです。ストリートピアノの世界には今回のラインナップ以外にもすごい人がいっぱいいるので、それも聴いてほしいなと思って。ぜひいろんなピアノを聴いてほしいと思います。
ハラミちゃん:歌がある曲の方が世間的には聴かれていると思うんですけど、ピアノは楽器だけでこんなに豊かな表現ができるとか、こんなにダイナミクスをつけられるんだっていうのを、演者全員で表現できたらすごく嬉しいです。けいちゃんも言っていましたが、<PIANIC>でピアノの可能性を伝えられたらと思います。今までピアニストは、コンクールで優勝するとか、“ザ・登竜門”みたいな王道ルートを辿って有名になってコンスタントに活動していく……という方がほとんどだったと思うんです。でも、こういう時代だからこそ、自由に発信していけたらなと。ストリートピアノを武器に活動の幅を広げている方がたくさん集まるっていうのは、まさに今だからできるフェスだと思っているので、時代の真ん中というか、今はこういう形で表現できるというのをちゃんと伝えられたらいいなと思いました。
▲ハラミちゃん
──“大きな会場でのフェス”ということは、選曲やアレンジに影響しましたか?
よみぃ:みなさんそれぞれ考えていらっしゃるとは思うんですが、やっぱり楽器はピアノだけなので限界があります。フェスだからこの曲っていうよりは、この曲を弾きたいから弾くっていう感じになるのかな。演奏者がその場で弾きたい曲を選ぶと思うので、それぞれ方向性が違ってくると思います。
ござ:お互いが何の曲をやるのかまだわかってない状態なので、自分らしい選曲をしたり、自分らしさがでるような表現をすれば、自然とお互いの個性が立って全体としてバラエティ豊かなコンサートになるんじゃないかなって思います。
よみぃ:みんなまだ(セットリストを)表に出してない状態ですもんね。全員が同じようなものを用意している可能性もある(笑)。
──アレンジはどこまで決め込んでステージに上がるんですか?
けいちゃん:僕はコード進行だけ決めておいて、アレンジはその場でしてしまうっていうのが多いですね。
ござ:僕はジャズのルールに従っている場合が多いです。ジャズは、テーマっていうメロディの部分があって、その後にアドリブをするようなスペースがあるので、それに従って、わかりやすいテーマと自分らしさを出すアドリブゾーンという感じで構成しています。
よみぃ:僕もその時々によって、ですね。元のアレンジを生かすのとその場でするアレンジの比率は、その時と曲によって違うと思います。
ハラミちゃん:私は同じことを2回弾けないタイプなので、例えば観客の方がすごくノリノリな感じで聴いていたら、やっぱりテンポも上がりますし、音数も多くなったりして。逆にしっとりした感じを聴きたい方が多そうだなっていう時は、それに合わせてアレンジしたりします。そうやってオーディエンスに合わせてアレンジを変えるっていうのも、自分の中ではすごく刺激的で好きなので。事前にはほとんど決めずに、その場の空気を感じてアレンジするのが主流です。
さなゑちゃん:私は即興で弾くので、決まった曲を弾くことはあまりないんです。家でも練習しないで行って、その場で感じたものを弾いてます。
よみぃ:さなゑちゃんって、無限に曲が作れるんですよね。
さなゑちゃん:みんなもできるじゃないですか!
よみぃ:いや、さなゑちゃんは尽きることがないから本当にすごいなと思って。コンポーザーもやってらっしゃるんですよね?
さなゑちゃん:私、ピアノがめちゃめちゃ苦手なんです。本当は作曲家なので、自分が作った曲をピアニストに弾いてほしいんですよ。ただ、即興演奏は自分しかできないので、それをメインにやっているという感じです。
▲さなゑちゃん
──今回はフェスのステージということで、連弾だったりゲストがいたりと、普段とはかなり状況が異なると思います。ストリートピアノでは1人で弾くことが多いと思うのですが、意識の違いはありますか?
さなゑちゃん:ストリートピアノでは動画を撮っていますけど、お客さんを呼んでやっていることじゃないので、遊びに行く感覚で弾いているんです。ステージに出るのとは全く意識が違いますね。普段はライブもやらないんですが、ある程度ちゃんと用意していこうと思っています。もちろん、即興もやるんですけど。自分の中の最高のパフォーマンスを出せるようにしたいし、ストリートピアノとも違う演奏になると思います。
けいちゃん:ストリートピアノの自分とステージの自分って、違うところがあって。今回に限ってはその中間というか、ステージに立つ時の緊張感と、ストリートピアノをやる時のラフさを、いい塩梅で混ぜられるステージになればいいなと思います。
ござ:舞台の場合は準備してきたものを演奏するっていうことで、ストリートとの違いを出そうかなっていう気持ちがあります。あと、意外と知られてないかもしれないんですけど、ピアニスト同士で合わせるのってすごく難しいんですね。今まで個性溢れる活動してきた人たちと合わせる中で、自分にできることは何かと考えたら、他の人のスタイルをまずしっかりと受け入れて、その上で自分らしさを出していくことかなと。音楽を協調性のあるひとつの形にすることを目指していきたいと思います。
ハラミちゃん:私は、ストリートピアノとステージであまり変わらないというか、ストリートピアノをやっている感じで今回もやりたいなと思っています。一番の違いは、自分が聴き手にもなれること。素晴らしいピアニストの方たちの演奏を、生でこんなにたくさん聴ける機会ってほとんどないので。ストリートピアノでこんな人数が一気に会うことはないから、尊敬する仲間でありライバルで、同じようなスタイルでやっている方たちの演奏をたくさん聴いて刺激をもらえるっていうのが、自分の中での違いというか楽しみです。
よみぃ:お客さんにチケットを買っていただいて聴いていただくっていう形式になるので、演奏内容に対しては、普段自分がステージに臨むときのような気持ちで考える必要があるのかなとは思っているんですけど。そんな中で、ストリートピアノらしい表現が垣間見えるシーンがあるといいのかなと。それがこのイベントの目的だと思っていて。あと、今回出演される方は個人的に会ったことある方が多くて、普段から一緒に弾く方も多いんです。すでに一緒に弾いたことがあったりすると、そういうシーンをなお見つけやすいのかなとは思っています。
▲ござ
──今、ストリートピアノはとても盛り上がっていますが、みなさんに憧れて、自分たちも弾いてみたいと思っている人も多いのではないでしょうか。そんな人たちにアドバイスをいただけますか?
けいちゃん: YouTube などの動画を見ると、ポップスやジャズっぽいものを弾く方が多いですけど、基盤となるのはクラシックピアノ。ストリートピアニストには、クラシックからピアノをやっている人が多いんです。そういうテクニックや表現力って、クラシックピアノから吸収できるものがすごく多いんですよ。例えば、「紅蓮華」とか「千本桜」を弾きたくて、その曲を一生懸命練習するのもいいと思うんですけど、基礎となるクラシックを小さい時から勉強しておくと、のちのちすごく自分のためになると思います。
よみぃ:僕もストリートピアノを弾きたいと思う方がいたら、ストリートピアノを弾くと同時に、普通にピアノを練習したり触ったりしてみるといいのかなと思います。理由はけいちゃんと同じ。ただ、僕もアドバイスをしていい立場なのかわからないので、僕自身そういう練習も頑張っていきたいです。
ござ:ストリートピアノで弾かれるような、いわゆるヒット曲とかゲームソングっていうのはポップスというジャンルではあるんですけど、本当にいろんなジャンルの要素が入ってるんですね。ジャズを弾ける人がクラシックを弾けるかっていうとそうではない。絵に例えたら、油絵を描いてる人が漫画を描けるかというと、無理ですよね。そのぐらい違う分野だし、ピアニストとしていろいろな曲を弾こう思うと、履修する科目がいっぱいあるんです。目に見える動画とか、目の前のストリートピアノの演奏を見るだけではなくて、それを弾くためには何が必要なのかっていうのを考えてみることが、上達につながるんじゃないかなと思ってます。
けいちゃん:今のところ、3人とも同じこと言ってますね(笑)。
▲けいちゃん
よみぃ:声を揃えてしっかり練習しろ、と(笑)。でもやっぱりそう思うんですよね。
さなゑちゃん:じゃあ、練習していない私から言うと(笑)、ピアノは頭で弾くこともできますし、コブシで弾くこともできます。この前私が頭で弾いた時は、けいちゃんが素晴らしい伴奏をしてくれてたんです。リズムというか基盤となる音が鳴っていたら、頭でもコブシでも弾けちゃうんです。私はそれが楽しいなと思っていて。自由に楽しんで欲しいですね。18歳以上じゃないと難しいかもしれないですけど、誰でもピアノを弾けるセッションバーみたいなところがあるんですよ。そういう場所で、他の楽器がいっぱい鳴っている中でピアノを適当に弾くと楽しいんです。リズムをなぞるだけでも楽しい。ストリートピアノはなんでも弾いていいので、もし弾けなかったらコブシで弾けば楽しいと思います(笑)。
ハラミちゃん:私は、ストリートピアノを弾く、イコール練習しなきゃいけないとは思っていなくて。うまくなくてもいい、本当に「チューリップ」とかでもいいし、片手だけで弾いてもいい。自由に誰でも弾けるピアノっていうのが、自分が考えるストリートピアノだと思ってるんです。だから、YouTube を見て憧れて、ファッションから真似するのでもいいと思います。それで、その人のアレンジが素敵だなと思ったらそれも真似てみるとか。初心者でも弾ける簡単な楽譜集を買って練習してみて、半年後ストリートピアノに挑戦してみよう!っていう目標を作ってもいいですし。 YouTube で一部のすごく上手な方を見ると、上手じゃないとダメなのかなと思ってしまったり、恥ずかしい気持ちになってしまうと思うんですけど、そういうふうに弾ける方は本当に一部。1曲通して弾けなくても弾けるところだけ弾けばいいと思うので、ハードルを自分で勝手に上げることなく、まずは1回でもいいのでストリートピアノを楽しんでほしいなと思います。
──ではフェスの前に、予習に見ておくといいみなさんの動画を教えてもらえますか?
よみぃ:初音ミクのピアノの動画ですかね。プロジェクトセカイ・ピアノっていうピアノがありまして、人間が楽譜どおりに「千本桜」を弾くと AI の初音ミクが歌ってくれるんです。そのピアノはすごく面白くて話題沸騰中で。それを弾いている動画があるんですけど、ピアノを演奏してAIと人間らしいやり取りをする、みたいなシーンもあって。あと、将棋と音楽を融合した動画も見てほしいんですけど、これは今回のフェスには関係ないですね(笑)。
けいちゃん:ストリートピアノの動画であれば何でもいいので、ぜひ好きなものを見てください。
ござ:僕はかれこれ10年ぐらい動画を上げているので、何でもいいので見ていただければ、どんなジャンルのピアノを弾くのかわかっていただけると思います。手っ取り早く知りたい方は、生放送配信のアーカイブも上がってありますので、そちらをご覧いただければと思います。
さなゑちゃん:私は最近 YouTube をサボっておりまして(笑)。私のこと知らない人は、以前私がテレビ番組のストリートピアノ特集に登場した際の映像を見てもられば、よくわかると思います。
ハラミちゃん:大塚駅で弾いた「鬼滅メドレー」を聴いていただきたいです。その場でリクエストいただいたものをつなげて弾いたっていう、ストリートピアノならではの演奏で。たまたま駅にいた方にリクエストいただいて生まれたメドレーなので、ストリートピアノの良さが詰まっていると思っています。
──最後に、今回のピアノフェスに参加するにあたっての意気込みを聞かせてください。
よみぃ:会場の河口湖ステラシアターは野外のような場所で、そういうところにピアノが何台も置かれるっていう状況はかなり珍しいので、そんな中でどういった演奏ができるのか楽しみです。
けいちゃん:ストリートピアノフェスっていうのは世界初だと思います。フェスができるくらいストリートピアノという文化が日本で盛り上がってきている証拠だと思うので、ストリートピアノの楽しさを存分に伝えたいです。
ござ:フェスというと本当に大規模な集まりで、そういう大きなイベントに自分も参加するんだっていう自覚が湧いてきて、緊張してきました(笑)。河口湖へ行くのもの初めてで、ピアノを弾いてれば河口湖に行けるようになるんだな〜って簡単に考えてたんですけど、大きなイベントということで気を引き締めてやっていきたいと思います。
さなゑちゃん:最初に私が上げたストリートピアノの動画は、ニコ生でふざけて配信したものなんです。それがこんなふうになるなんて思ってもいなくて。とんでもないことだなと。最近YouTubeをサボってたんですけど、頑張ってまた投稿を始めようと思いました(笑)。
ハラミちゃん:ストリートピアニストがこんなにたくさん集結するっていうのが、すごく珍しいと思っていて。ストリートピアノは無料でやっているものですけど、それに対してチケットを買っていただいて、みんなで集まって演奏できるってことだけで感謝です。普段見られないコラボステージとかもたくさんあるので、そういう意外な組み合わせもぜひ楽しんでもらいたいなと思います。
文◎山本奈緒
写真◎市村辰文
<PIANIC -STREET PIANO Festival->
時間:11:00 開場 / 12:00 開演 / 18:00 終演(予定)
場所:河口湖ステラシアター (住所:山梨県南都留郡富士河口湖町船津5577)
出演:
5月8日:菊池亮太、けいちゃん、光輝 -Kouki-、ござ、さなゑちゃん、スミワタル、ハラミちゃん、ムック、よみぃ
5月9日:大塚 愛、菊池亮太、けいちゃん、ござ、さなゑちゃん、ハラミちゃん、ぴあの男子ゆうちゃん、みやけん、yoshikitty、よみぃ
チケット:
一般指定席:5,500円
お土産付きチケット:9,800円
※出演者サイン入りピクチャーチケット、非売品お買い物バッグ付き
主催:PIANIC実行委員会
後援:富士河口湖町、富士河口湖町教育委員会
特別協力:河口湖ステラシアター
企画制作:avex entertainment
※本公演は、新型コロナウイルス感染予防・感染拡大防止に必要なソーシャルディスタンスを保つために通常収容人数の50%以下での開催となります。
公式サイト: https://www.pianic.net
Twitter:https://twitter.com/PIANIC_fes
Instagram:https://www.instagram.com/pianic_fes/
問い合わせ:公演事務局:event@user-support.jp (平日10:00~17:00)
・チケット一般発売
イープラス https://eplus.jp/pianic/
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Yahoo!チケット http://r.y-tickets.jp/pianic2101
◆<PIANIC -STREET PIANO Festival->公式サイト
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