【対談】MORRIE×清春、“スタイリング=清春”の理由と映し出された“ロックのリアル”「人生が見える感じ」
先ごろMORRIEの最新アーティスト写真が公開されたが、そのスタイリングを清春が手がけたことが話題となった。以前よりMORRIEへのリスペクトを公言してきた清春はソロ1stアルバム『poetry』のゲストギタリストに招いたことをはじめ、MORRIEのソロライブに清春がたびたびゲスト出演するなど、両者の親交の深さは周知の事実だろう。しかし、なぜMORRIEのスタイリングを? 清春のイマジネーションが投影されたアートワークはディレクションの一端を担ったといって過言でなく、これまでのMORRIEのイメージとはまた異なる仕上がりだ。
◆MORRIE×清春 画像
両者の対談では、“スタイリング=清春”の理由が明かされると同時に、MORRIEの節目や足立祐二への想い、現在のシーンからロックのリアルに至るまで、多岐に広がった。なお、対談取材にはMORRIEのデザイン全般を担当しているBorisのAtsuoが同席したほか、最新アーティスト写真同様、森 好弘が撮影を務めている。ちなみにMORRIE着用のコートは、この日この場で誕生日プレゼントとして清春から贈られたものだ。
◆ ◆ ◆
■前代未聞の状況だった(笑)
■ひとつ使命を果たせた気がしましたね
──MORRIEさんの最新アーティスト写真のディレクションを清春さんが手掛けたそうですね。
清春:あ、スタイリングをね。
──キッカケはどういったところからだったんですか?
清春:カメラマンを含めたところで、もっと鮮明に表現出来るんじゃないかな?と思ってたんですよ。
──鮮明に?
清春:今までのカメラマンさんが悪いというわけじゃなくて、僕らが実際に肉眼で見てるMORRIEさんをそのまま切り取れるカメラマンがいいんじゃないかな?と。
▲2021年2月25日に公開されたMORRIE最新アーティスト写真。Styling:清春/Hair and Makeup:谷崎隆幸/Design:Atsuo (Boris)/Photo:森 好弘 |
清春:そう。日本のアーティストの場合、ちゃんと撮影した写真のほうがカッコよかったりするじゃないですか。でも、MORRIEさんの場合、普通に普段カッコいい。ライヴ後の楽屋でメイクを落としてるところとかね。その写真と実物のカッコよさの差を無くしていったほうがいいんじゃないかな?って思ったとこからだったんですよ。
MORRIE:あははは。
──それは“清春的に”ですか? “ファン目線”ですか?
清春:どっちも。でも一番は“MORRIEさんのために”っていう思いからなんですよ。前々から思っていたことでもあったので、今、僕をよく撮影してくれてるカメラマンの森(好弘)君をご紹介したんです。MORRIEさんのマーチャンダイジングを作ってるBorisのAtsuo君にも相談したりとかして。
──最初にそのお話が出たのはいつ頃だったんですか?
清春:去年。Atsuo君といろいろ話してる中で、実際にちゃんとそれを具現化してみたいなと思い始めて。
MORRIE:そうね。随分前に話をくれたよね。「いいカメラマンがいるんで、ご紹介したいんです」と言ってくれて。
清春:その辺りからいろいろとMORRIEさんに提案するようになったんですよ、生意気にも。
MORRIE:「MORRIEさん、一回やってみましょうよ! 早く形にしてみましょうよ!」って。
清春:ダメだったらダメで切り替えていったらいいんで、「まずはやってみたい」と。で、森君がMORRIEさんの撮影をして、その流れで僕は洋服を用意して。僕の知り合いの洋服屋さんに借りに行ったんだけど、たしか3パターンだったかな。僕が一番気に入ってるのはプリントの入ってるマントを着てる正面からの写真です。
MORRIE:すごくいい雰囲気の写真だよね。清春からの紹介もあったので、森君には去年11月28日の東京キネマ倶楽部のライヴを撮ってもらって。その写真がすごくよかったから、そこから弾みがついて、「やってみようか」って清春に言ったんですよ。去年12月だったかな? 自分は結構腰が重い方なんで、完全に清春が引っ張ってくれる形で進めてくれて。
清春:活動が長くなってくるとチームみたいなのが出来たりするから、MORRIEさん周りの方々との関係性もあるだろうし、あまり僕が出しゃばるようなことはしたくないなっていうところもあったんですけどね。だから、周年とか節目的なところでやれたらいいかなと思ってました。
──節目ですか。
清春:そういう意味では、YOUさん(足立祐二。2020年6月16日に敗血症により死去)がお亡くなりになられて、MORRIEさんの中にも変化というか、すごく大切な節目でもあるのかなと。
▲清春 |
清春:してますね。僕と森君もそんなに付き合いは古くないですからね、ごくごく最近。知り合いの雑誌編集者に「大阪でライヴ撮影してくれる人いないかな?」って相談したところ、紹介してくれたのが森君だったんだけど、撮影してもらったらすごくよくて。森君て女王蜂やドレスコーズを撮影してるんですけど、一応作品を見せてもらって、このライブラリーの中に僕も入ろうと思ったんです。
──素敵な出逢いだったんですね。
清春:僕のメイクさんはずっと同じ人だし、チームとして固めるところもあるんですけど、自分よりも若い感覚をたまに入れていかないとなって思ってて。刺激を受けるためにもね。やっぱり、今の若い子達とは感覚が違ってきているのが分かるんですよ。彼らが言う「カッコいい」を僕自身がカッコいいと思えなくなってたりするから。そこを完全に理解しようとは思わないけど、感覚が古くなるのはよくない。例えばマドンナは撮影現場で、カメラマンが連れてきたアシスタントに「ちょっと撮ってみて」って撮影させて、その写真がよかったら使うらしいんです。その感覚って大事だと思うんですよ。
──先輩からの意見は貴重ですけど、若い感覚も大切ですよね。でも、信頼関係という意味では、なかなかの冒険にもなるわけで。
清春:メイクは一番信頼してないと任せられないから同じ人ですよ。その一方でスタイリストはそんなに信用してない。
──あははは。清春さんはスタイリングに関して長けているし、ご自身の魅せ方を一番知ってますから。
清春:服は自分で選べちゃうけど、本当は自分と同じような感覚持ってる人がいたらお願いしたいし、MORRIEさんにも紹介したいんですけどね。今のところ自分でやってますけど。カメラマンは、信頼出来る人に撮ってもらわないとね、自分で自分を撮れないから。あと、身近にいるスタッフの意見は尊重してますね。近くで見てる人が「いいですね」って言わないとダメだと思ってるので。そこは信頼して任せてます。
──そういう意味では、MORRIEさんにとって清春さんは、すごく身近にいる信頼出来る人でもあるわけですよね。
MORRIE:そうだね。すごく信頼しているから。アーティスト写真の撮影も安心だったよ。
──撮影中、清春さんが袖口のヨレを直したり、丈を気遣ったりしてらしたようで、「スタイリストさんみたいだった」という話をAtsuoさんに聞きました(笑)。
清春:そうそう。ちょっとスタイリストでしたね、頑張りました(笑)。スタジオにいながら自分が写真を一切撮られないっていう、前代未聞の状況だった(笑)。でも、森君もメイクの谷崎(隆幸)さんもみんなプロだから、安心して任せられる中でスタイリング出来たので、気持ち良かったし、楽しかったです。楽しいっていうか、ちょっと変な言い方になっちゃいますけど、ひとつ使命を果たせた気がしましたね。
◆インタビュー【2】へ
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